【レポート】データ活用ビジネスの始め方:デジタルマーケティング[第2部] - TECH PLAY Conference 2017

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2017年8月20日(日)から25日(金)の6日間にわたり、「TECH PLAY Conference 2017」が開催されました。

本レポートでは、8月23(火)15時よりスタートした第4日目の「デジタルマーケティング」のうち、第2部「データ活用ビジネスの始め方」の内容をお届けします。

当日の登壇者と内容は下記の通りです。

「コトバDMPで実現する、ネイティブアドの最終進化形」
株式会社小学館 青木岳さん

「マーケティング活動のプロセスをデザインする」
株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 菅恭一さん

「データ分析だけじゃ終わらせない。データを活用した新たなビジネスを考える。」
トレジャーデータ株式会社 岸田昇さん

パネルディスカッション
株式会社小学館 青木岳さん
株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 菅恭一さん
トレジャーデータ株式会社 岸田昇さん

それでは内容をご紹介します!

コトバDMPで実現する、ネイティブアドの最終進化形

第2部では小学館が開発するマーケティング基盤「コトバDMP」に関わった3人にご登壇いただきます。まず1人目は、小学館の青木さんです。

青木岳(あおき・がく)/株式会社小学館 デジタル事業曲 兼 広告局デジタルメディア営業センター。1978年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学理工学部卒。新卒で小学館へ入社し、12年間編集として勤務した後、デジタル部門を担当。SK2クラスに参戦するレーサーでもある。

小学館では多くのウェブメディアを運営しています。男性、女性、若年層からシニア層まで幅広くカバーするメディア群は、月間2.2億PV、5000万UUと多用なユーザーを抱えています。また、それぞれのメディアの裏側には多用な編集者も存在します。この2点が小学館のウェブメディアの特徴です。

小学館でDMPへの取り組みについて、ある日上司から突然「たくさんあるウェブメディアを統一してデータベース化すれば、商売になるんじゃないの?」と言われたことがきっかけだったと青木さんは説明します。

しかし、そのとき青木さんは「イヤです」と上司に答えます。これは2014年のことで、当時青木さんもDMPに興味を持っていましたが、「DMPを導入しても成果があがらない事例とその理由」を耳にしていました。

その理由とは「DMPを導入して統合的な施策を展開しようとすると、部門間の軋轢に阻まれてスムーズに展開できない」というもの。青木さんは「編集局をまたぐ部署が小学館でうまく作れるはずがない」と感じていたのです。

ところが、その上司は編集局をまたいだ部署を作ることに成功。ここから本格的にDMPの導入が動き出します。

DMPプロジェクトが動き出したことで小学館のメディア群について改めて整理した青木さんは、次の2点の課題があると感じます。まず、幅広いユーザーが来訪しているものの、マネタイズできているメディアは部分的だったこと。そして、「枠から人のコミュニケーション」が全くできていなかった点です。

さらに、青木さんはメディア群の強みと弱みを分析します。まず強みは、ユーザー像が幅広く、オウンドメディア施策ではわからない発見とリーチができる点や、幅広いジャンルで質の高いコンテンツを作る人がいる点。反対に、ユーザーの絶対数が多くないこと、IDと紐付いていないCookieしかなくデータが薄いこと、技術職がいないことが弱みです。

そして、2017年の6月にローンチしたのが「コトバDMP」です。「コトバDMP」は、トレジャーデータが提供するプライベートDMP、インティメートマージャーが提供するパブリックDMP、ブレインパッドが提供するレコメンドエンジンから構成されます。

「コトバDMP」の特徴は、ブレインパッドが提供する自然言語解析ツール「DeltaCube」を導入していることで、記事の中で特徴的に使われている単語を抽出できる点にあります。これにより、例えば、小学館のメディアの中で「リップ」という単語に接触したユーザーが11万人いるというような、今までにはない切り口からユーザーを見ることが可能です。

なぜこのような切り口をとったかと言えば、「ユーザーをセグメントして、セグメントを売るような方法では、Yahoo! JAPANさんのように膨大なユーザーを抱えるメディアに勝ち目がないから」だと青木さんは説明します。

それではこの「コトバDMP」をどのように活用しているのでしょうか? 例えば、記事広告を制作する場合、「ブランドサイトを訪れたCookie」と「小学館のメディア群を訪れたCookie」の重ね合わせを分析します。そして、ブランドサイトを訪れたユーザーが、小学館のサイト群でどのようなキーワードのコンテンツに接触したのかを可視化。そこからそのキーワードを切り口としたコンテンツを制作します。

あるブランドではOLの比率が低いことを課題にしていました。そこで、こうした場合は、ブランドサイトと小学館のメディア群の重ね合わせを職業別で切り取ります。すると、OL層は「料理」「旅」「ライフスタイル」などのキーワードと相性がよく、主婦層は「ヘアスタイル」「スキンケア」「ファッション」などのキーワードと相性がいいことが判明しました。

さらに、「ブランドサイトを訪れたCookie」と「小学館のサイト群を訪れたCookie」の重ね合わせを見ることで、そのブランドは小学館のどのメディアと相性がいいのかを抽出することも可能です。

つまり、掲載メディアを決定することも含め、小学館では「コトバDMP」をコンテンツの企画開発に利用しています。そして、この一連の取り組みを「ブランドリフトソリューション」として広告主に提供。「これは小学館の強みである編集力を最大活用する方法だ」と青木さんは説明します。

「コトバDMP」を活用して制作された記事広告は、通常のタイアップよりも高い成果が出ています。まず、データに基づいてコンテンツを制作することで、約2.5倍のPVを達成。さらに、小学館の様々なメディア群から誘導も実施しています。その結果、さらに100%のPVが積み重なり、全体としては通常時と比較して約3.5倍のPVを獲得した事例が出ています。

この事例では、PVだけではなく、コンテンツを掲載したメディア以外からの誘導による流入でも滞在時間が長かったり、課題としていたOLへのリーチも高いという結果も残せています。

さらに、この「ブランドリフトソリューション」では、ウェブ調査も同時に実施することで、定性的な態度変容を取得します。この事例では、制作したコンテンツが、専業主婦よりもOLにとって商品を知るきっかけとなったものの、OLには商品の特徴がよく伝わらなかったという結果が明らかになりました。

最後に青木さんは「設定する課題次第で、データの使い方やストーリーは全て変える必要があると思っています。その課題が解決できた点や、解決できなかった部分を明らかにすることで、次のアクションを発見、提案できるように活用していきたい」と展望を語りました。

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マーケティング活動のプロセスをデザインする

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