【レポート】データ活用ビジネスの始め方:デジタルマーケティング[第2部] - TECH PLAY Conference 2017

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データ分析だけじゃ終わらせない。データを活用した新たなビジネスを考える。

最後の登壇者はトレジャーデータの岸田さんです。岸田さんはトレジャーデータに入社する以前はブレインパッドで「Rtoaster」や「DeltaCube」のプロダクトオーナーを務めていました。つまり、「コトバDMP」の開発期にはレコメンドエンジンを担当するブレインパッドの立場で、現在はプライベートDMPを担当するトレジャーデータの立場で関わっています。

岸田昇(きしだ・のぼる)/トレジャーデータ株式会社。大阪府出身。アウトドアインストラクターなどを経験した後、2012年にブレインパッドに入社。2017年5月にトレジャーデータへ参画。趣味はサーフィン、旅行、キャンプ。

岸田さんの講演のテーマは「データをどのようにビジネスに変えるか?」。多種多様なデータを「簡単に収集」「一元管理」「素早く分析」「施策に連携」するためのクラウド型データマネジメントプラットフォームを提供しているトレジャーデータのカスタマー事例から考えます。

まず、岸田さんは前職のブレインパッド時代に、ビジネスモデルを作るにあたって活用していた「ビジネスモデルキャンバス」を紹介します。ビジネスモデルキャンバス」とは、「顧客セグメント」「顧客関係」「提供価値」「チャネル」「収入構造」「費用構造」「業務活動」「経営資源」「提携先」の9つを図式化してビジネスモデルを理解するためのフレームワーク。そのポイントは「誰のどのような課題を、どのように解決するのか?」「誰のどんな予算をどこから持ってくるのか?」を考える点にあると岸田さんは指摘します。

次に、メディア側とブランド側の両面から「データをビジネスに変える方法」を考えます。まずは「メディアがいかにデータを売るか」です。

多くのメディアは「データがたくさんあるので、データを売ってビジネスにしたい」と考えますが、岸田さんは「どんなに貴重なデータだとしても生データだとそれほど高く売ることはできない」と感じています。

その理由は、データを買うクライアントの立場に立って考えてみれば明確です。クライアントは「データを買うからにはすぐに使いたい」「ROIは絶対に合わせたい」「広告配信や分析だけではなく、様々な用途で使いたい」と考えるからです。これらのニーズを生データで満たすことはできません。

岸田さんは「メディアは持っている生データを『情報』に、そして『知恵』に昇華する必要がある」と提唱します。

「知恵」に昇華する、すなわちデータをビジネスに変える具体的な方法として、岸田さんは次の4点を挙げました。

  • ユーザーデータ(ID)を統合させる
    複数メディアに対して、複数のデバイスがあったり、会員IDやCookie、IDFAを取得できるが、それらをできるだけ統合する。

  • コンテンツから情報を作る
    記事を解析してキーワードを抽出したり、ユーザーの閲覧履歴から趣味趣向を推定したりする。

  • 自社の強みを活かしたセグメントを作る
    広告配信や文政に使いやすいセグメントを作り、クライアントがすぐに使えるようにする。

  • メディアならではの価値を作る(ブランド連携)
    PR記事との連動やリアルイベントの連携を行う。

メディアがデータをビジネスに変える方法を「ビジネスモデルキャンバス」にまとめると、「クライアントの売上を上げたいといった課題を、自社が持つ豊富なデータを使いやすく提供して解決する」「クライアントのデータ取得予算・広告配信予算をFacebook・Googleなどのメディアに使っている予算から持ってくる」とまとめました。

続いて、ブランドが「データをビジネスに変える方法」、つまりどのようにブランドがデータを使うべきなのかを考えます。ブランドは「データを使って売上を上げたい。でも、何から始めればいいのかわからない」といった課題を持っています。

現在、データを活用して大きく成長しているGoogle、Facebook、Amazon、Airbnbなどの企業に共通しているのは、「パーソナライズした顧客体験」を提供している点が挙げられます。「情報が多くて何を見ればいいのかわからない」という状況に対して、コミュニケーションをパーソナライズすることで成長しているのです。

これは日本の市場においても同じです。野村総合研究所の調査によると「商品情報が多すぎて困る」と感じているユーザーは70%、「性格・好みを理解し、適した選択肢を勧めて欲しい」と感じるユーザーは88%にも上ります。つまり、日本でもパーソナライズが重要なのです。

そして、岸田さんはブランドがデータをビジネスに変えるポイントとして次の4点を共有します。

  • ユーザーデータ(ID)を統合させる
    ブランドも複数サイトを持っていたり、複数のデバイスで提供しているが、会員IDやCookie、IDFAをできるだけ統合する。

  • パーソナライズコミュニケーション
    カスタマージャーニーを考え、オフラインも含めた全てのタッチポイントでのパーソナライズを考える。

  • データを元にした商品/イベント企画
    今必要とされているモノ・企画をデータから読み解く。

  • メディアと連携したカスタマー把握や顧客育成
    オウンドメディアだけではなく、メディアデータと連携することでカスタマーを把握し、コンテンツパワーによる態度変容を促す。

「データ活用ビジネスを加速させるためには、メディアとブランドの連携が不可欠です」と岸田さん。それはデータから「相関関係」を導くのではなく、「因果関係」を紐解くことからビジネスが生まれると考えられるからです。

そのためには、やはり自社データだけでは限界があります。メディアとブランドなど、企業を超えたデータ連携が必要だと岸田さんは提案しました。

最後に岸田さんはトレジャーデータの取り組みを紹介。トレジャーデータを導入している企業同士であれば、簡単にデータの連携、エクスチェンジが行えます。既に多くのメディアとブランドがトレジャーデータをプラットフォームにしてデータ連携を行っていますが、さらに現在は小売店との連携も始まっています。

現在、トレジャーデータではID統合への取り組みに特に注力しています。「クロスデバイス、ブラウザ、オフラインを問わずIDをできる限り統合していくことで、お客様の役に立つ製品を提供していきたい」と岸田さんはまとめました。

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パネルディスカッション

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