【レポート】大規模WebサービスのUIUX:大規模Webサービス[第2部] - TECH PLAY Conference 2017

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フリマアプリ『メルカリ』の急成長を支えるプロダクト改善と開発体制

続いて3人目は、メルカリの小山さんがご登壇です。

小山大明(こやま・ひろあき)/株式会社メルカリ プロデューサー。1990年生まれ。東京都出身。中央大学卒。新卒で入社したゲーム制作会社などでの勤務を経て、2016年にメルカリへ参画。バスケ好き。

2013年にサービスをローンチしたフリマアプリ「メルカリ」は、現在、日本・アメリカ・イギリスの3カ国で展開しています。従業員数は約500名。その半数以上がカスタマーサポートというのが特徴のひとつです。流通額は月間100億円を超え、出品数は1日100万品以上。DL数はグローバルで7500万を突破しています。

2016年4月にメルカリに入社した小山さんは、入社以来一貫して日本版「メルカリ」を担当しています。その小山さんからは「メルカリの組織体制」「この1年で実施した施策」「施策の狙いや結果」「状況に応じて激変した開発体制」について共有します。

まずは「メルカリの組織体制」から。

「『メルカリ』を運営する株式会社メルカリと、姉妹アプリ『メルカリアッテ』などを運営するソウゾウは、それぞれ独立して開発しています。また『メルカリ』は日本・アメリカ・イギリスに展開していますが、それぞれの国別チームで独立して開発しています。A/Bテストは多数実施していて、毎日大量にリリースがあります。

私はプロデューサーですが、企画からディレクション、実装、QAリリース、リリース後の分析のすべてのフローに噛んでいます。これはメルカリのプロデューサーの特徴だと思います。企画からディレクションはチケットで管理していて、全て『JIRA』で管理しています。プロデューサーは、エンジニアバックグラウンドの人が多いですね。

リリース後の分析はプロデューサーが自分でSQLを書くことが前提ですが、ハイレベルな分析はBIチームと協業します」

次に小山さんは「この1年で実施した施策」「施策の狙いや結果」を紹介していきます。

「私が入社した2016年4月は、全社的にアメリカ版にリソースを掛けていました。全体の約9割がアメリカ版のプロジェクトに参加している状態です。私が参加した日本版を担当するチームはわずか7名しかいませんでした。

担当機能は日本版の全てで、アプリを担当するプロデューサーは私1人しかいませんでした。このメルカリ全体がアメリカ版に集中していた時代に、私は日本版で施策を企画、実現しました」

この時期に打った施策のうち、小山さんは次の3つについて説明します。

  • 大型プロモーション施策
    内容:購入経験のないお客様に期間限定のポイント付与。総額数十億円規模。
    狙い:初購入転換

「『メルカリ』は当然ながらBuyerの積み上げが取引額に反映されます。1度購入転換したお客様は継続的に購入する傾向が非常に強いんです。結果としては数億円規模のポイントが消費されました。そして、購入転換後の数ヶ月でその消費額を回収できています。

この当時まだ入社して2週間くらいだったこともあり、数十億円規模のポイント付与に一瞬でGo判断が出たことには驚きました。この大胆で高速な判断ができる背景には、数字があります。事前のテストで、1000P付与しても付与後に回収見込みがあることがわかっていたんです」

  • アメリカ版ヒット機能の移植
    内容:タイムラインを2列から3列に変更
    狙い:1人あたり商品閲覧数の増加

「1人あたりの商品閲覧数は1.5倍に増加しました。『メルカリ』では、検索・閲覧・購入という流れになっていますので、閲覧が増加することで、結果的にARPUも向上しています。ただ、アメリカ版ほど激しい上昇ではありませんでした。

タイムラインを3列にしたので、商品写真は小さくなり「♡」の数と商品名はなくしたんです。定量的な指標は改善したのですが、お客様からは『見づらい!』という声を多数いただきました。

ただ、UIは慣れの要素が強いので、3列自体は継続しました。そのまま商品名を入れたり何パターンかA/Bテストをしたんです。しかし結局、数字が落ちてしまったので中止しています」

  • 日本版独自機能 商品価格上限アップ
    内容:商品価格の上限値を30万から999万に引き上げ
    狙い:高額商品を出品できるようにする

「この施策の実施に至った背景が2つあります。まず分割払いができるようになったこと。そして、CSによる体制が充実してきたことです。

結果としては、『バーキン』『ロレックスの腕時計』『甲冑』など今まで見たことがなかった商品が取り引きされ始めています」

最後に「状況に応じて激変した開発体制」です。

「今年の4月からは、日本版を強化するために開発体制は大きく変更されました。きっかけは、取締役の小泉が日本の社長となって、山田がグローバルを担当するダブルヘッドクォーター体制が始まったことにあります。マーケティングは強化され、開発は7人から30人にまで増えました。

日本で目指すのは成長曲線を圧倒的に上昇させることです。私はその目標を達成するために、現在『JP-Nextチーム』というチームで取り組んでいます。具体的にはライブコマース機能である『メルカリチャンネル』、『メルカリ』内での困り事をお客様同士で質問・回答して解決する『メルカリボックス』をリリースしました。

『メルカリ』はまだまだ発展途上です。サービスを知っているけど利用していない人は、利用者の3倍くらいいるという調査もあります。課題はたくさんあるので今後も取り組みを続けていきます」

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UXデザインのその先へ 〜 リクルートが手掛けるCXデザインとそれを支える”型化文化”

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