KPIに従うのではなくKPIを従わせる~KPIの外に目を向けてみる
どうも、totokoです。
僕は現在ゲームプランナー(ゲーム運営・開発における企画職。キャラクターのパラメターデータを作ったりという数値設定をしたり、イベントの施策とかを考える人。
あと、プログラマ向けに仕様書を書いたりする人)として、ゲームスタジオにアサインしてます。
まあ、ゲームに限ったことではありませんが、運営をしていると「KPI」という言葉が出てきます。
KPIというのは「Key Performance Indicator:重要業績指標」の略称で、経営目標や戦略目標を達成する上で重要な数字(指標)のことです。 事業などの問題解決や、評価に使ったりします。
さて今回はそんなKPIに関するお話でも。
僕らはKPIで一喜一憂
現代の国内スマートフォンゲームの運営で切っても切れないものはガチャです。
課金して、ガチャして、あれがでたこれがでたというやつです。
僕らスマートフォンゲームを作って運営している会社は、そのガチャのための課金(俗称:石を買ってもらう)による売上が多くを占めています。
そして、どのようなガチャを作るか(どれくらいの頻度で新しいものを出すかとか、確率とか)それらを見る上で重要視しているのがKPIです。
特にディレクターやプロデューサークラスはこの数字で、そのゲームの寿命を決めるまでもあります。
長いこと数字が悪ければ、店じまい(サービス終了)をしますし、数字が良ければ様々な施策を試してさらなる売上増大を図ります。
つまり言ってしまえば僕らはKPI(主に売上)で一喜一憂しているわけです。
まあ、もちろんゲームの場合だとここに「SNSや5ちゃんねるの反応」というのが加わるわけですが……。
後手後手の運営
さて、そんなKPI。優秀ですね。
課金率だったり、継続率、DAU(デイリーアクティブユーザー:1日で遊んでくれたユーザーの数)などなど、沢山の数字が教えてくれます。
今運営しているサービスがどういう状況なのか、どの数字が良いのか。そういうなかなか人間だと分かりづらい(計測し辛い)データが見えます。
そして、それを元に施策や運営方針を考えるわけですね……。
あれ? そうです。
非常に受け身な状態なんです。
「KPIの〇〇という項目でこういう数字だからこれをやろう」となるんです。それはちょっと根拠に欠けるものなんです。
数字だけを見て、ただやるというのはKPI分析でもなんでもないです。 言ってしまえばKPIの奴隷です。
いくら数字は嘘をつかないとはいえ、これでは綱渡りの運営です。
なぜなら、その施策を行うのに「成功する根拠」がないからです。
そして、失敗して「あーこれはダメだったのかー」となる……。なんとも後手後手です。
大切なのは成功の再現性
最近のほとんど多くのスマートフォンゲームの会社は、「一発目が当たっても二発目が不発」というケースが非常に多いです。
それはどんなに成功したプロジェクトでも、その理由の分析を蔑ろにしているからです。
そのため、新しく開発したゲームが思ったほど売れないというのはざらにあります。
単純に成功の再現性がなされていないからです。
どんなにKPIで良い数値を叩き出してもそれが次、その次、そのまた次に活かせないともったいないです。
目標を達成しました。はい、おしまい。ではなく、それはなぜなのか。成功したのならば、以前とは何を変えたのか。
サービス内だけの変化なのか、環境が何か変わったのかそういうことまで分析できないといけません。
それらを持って「だから成功しました。次は同様に~」となって、常に成功のパターンを作り続けることができれば、次にどんなサービスを作っても成功します(少なくとも大ゴケすることはないでしょう)。
よくある「今○○が流行っているから、ウチもやろう」という二匹目のドジョウを狙ってみるのはいいですが、ただ真似するだけでは「なんだパクリかよ」と一蹴されておしまいです。
なぜ、成功したのか、なぜうまく行ったのかという「KPIとしては現れない情報」を握ることができればうまくいくことでしょう。
KPIを操ることができれば最強です
では最もいいのは何か、それはKPIを自由自在に操ることです。
これは数字を誤魔化せという意味ではなく、「良い数字を出そうと思えばすぐに出せる」と同様に「悪い数字を出そうと思えばすぐに出せる」ということができる。
さらに高次元のことを言えば「この△△という数値、~~って値にしますよ」と思い通りにKPI数値を叩き出すことができれば最強でしょう。
なぜなら、それはKPIが示した数字が何によってそうなったのかを完璧に理解しているからです。
ただ数字を良くしよう、ただ結果を良くしよう。ではなく、その数字は〇〇によってもたらされたものなのだ。
こういう結果になるのは想定内、というかはじめから分かっていた。と言えてしまえば敵なしでしょう。
ともあれ必要なのはKPIありきではなく、KPIを自分の思考のひとつの要素にしてしまえばこれからの時代でも、しっかりと生きていけるはずです。
データ分析とは昔からそういうものなのです。