AWSの料金を各サービスごとに紹介
世界的に高く評価されており、国内での開発案件においても度々登場するクラウドコンピューティングサービスのAWSは、水道や電気などの公共料金に似た料金モデルを採用しています。
従量課金制をベースにしたその料金モデルにはどのような特徴があり、そして実際に使用した場合どの程度の料金がかかるのでしょうか。
本記事ではAWSの料金モデルの概要と、サービスごとの料金の目安について解説していきます。
AWSの料金モデル
極めて幅広い機能を提供しており、世界的に高く評価されているクラウドコンピューティングサービスのひとつに、AWSがあります。このAWSの料金モデルは水道や電気などの公共料金の支払いモデルに似ています。
AWSの料金モデルの概要
AWSが提供するサービスは基本的に従量課金制の料金モデルを採用しています。水道や電気などの公共料金の支払いと同様に、使用した分の料金のみを支払うという料金モデルです。
AWSの料金モデルはこのような従量課金制をベースに、その他に次のような仕組みを組み合せたものになっています。
- 予約して使用することで安くなる(特定のサービスのみ)
- 使うほど安くなる
前者はEC2やRDSなどの一部のサービスのみで適用可能な仕組みですが、これを利用することで大幅に料金を削減することが出来ます。
後者についてはAWSで提供されているサービス全般に適用されているものであり、多く使用するほど、使用した量に対する請求される額が安くなっていきます。
AWSの料金モデルの特徴
前述の通り、AWSは従量課金制をベースとした料金モデルを採用しています。
使用した量に応じた額を請求されるため、あまり使用していないのに多額の料金の支払いが請求される、ということがありません。
このような料金モデルであるため、急にサービスを拡大したり、逆に縮小したいといったニーズに速度感をもって対応することが出来ます。
ユーザからのアクセスが増加したためにサービスをスケールアウト・スケールアップすることも、AWSの料金モデルであれば容易です。常に使用したサービスの種類と量に応じた額が請求されるのみであるため、料金がらみの契約変更の手間が存在しない為です。
AWSの各サービスごとの料金の目安を紹介
前項で説明した通り、AWSは従量課金制をベースにした料金モデルを採用しています。使用した量に応じた額が請求される仕組みではありますが、実際の額はサービスごとに異なります。
以降で、実際にAWSを利用したときにかかる費用についての目安を、各サービスごとに解説していきます。(なお料金形態は当記事では2019年4月時点ものです。)
S3の料金
Amazon S3は極めて高い耐久性とセキュリティ、パフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスであり、有名どころでは映像ストリーミングサービスを配信するNetflixなどがS3を導入しています。
S3には様々なストレージクラスが存在します。現在のS3標準ストレージクラスの料金は以下の通りです。
- 最初の 50TB / 月:0.023USD / GB
- 次の450TB / 月:0.022USD / GB
- 500TB / 月を超える分:0.021USD / GB
2019年4月現在の1USDは日本円にしておよそ111円で取引されているため、これはおよそ次のような料金になります。
- ~50TB:2.5円 / GB
- 50TB~500TB:2.4円 / GB
- 500TB~:2.3円 / GB
Lambdaの料金
AWS Lambdaは、データやステータスの変更、ユーザのアクション等にフックをかけ、サーバーレスでコードを実行することが出来るサービスです。
料金はコードが実際に実行されたリクエスト件数と実行時間に応じて請求されるようになっており、そのうち以下の使用分は無料枠として提供されています。
- 100万件 / 月のリクエスト
- 400TB-秒のコンピューティング時間
後者のコンピューティング時間とは、【関数に割り当てているメモリ数 × 実行時間】の値を示します。そのため、128MBを関数に割り当てている場合はおよそ320万秒が、192MBを割り当てている場合はおよそ210万秒が無料枠として扱われます。
上記無料枠を超えた後は、以下の料金で課金されます。
- リクエスト100万件ごとに0.20USD(およそ22円)
- 1 GB-秒 あたり0.00001667USD(およそ0.0018円)
CroudFrontの料金
Amazon CroundFrontはデータや動画、アプリケーション、APIをCDNで配信することが出来るサービスです。 CDNとはコンテンツデリバリネットワーク(Content Delivery Network)の略で、WEB上の最も近い配信拠点からコンテンツを配信する仕組みであり、高速かつグローバルにサービスを配信できることが特徴です。 このCroundFrontの料金ですが、これは以下の4つの区分に分かれます(料金は日本での使用を想定したものです)。
インターネットへのリージョンデータの転送
10TB / 月まで:1GBあたり0.114USD(およそ13円)
10TB以降は段階を踏んで、使用量が多くなるほど料金が徐々に安くなっていきます。オリジンへのリージョン内データの転送
1GBあたり0.060USD(およそ6.6円)HTTPリクエスト
1万リクエストあたり0.0090USD(およそ1.0円)HTTPSリクエスト
1万リクエストあたり0.0120USD(およそ1.3円)
CloudWatchの料金
Amazon CloudWatchはアプリケーションのモニタリングやシステム全体のパフォーマンスの変化、リソース使用率の最適化、運用状態の統合的な確認などを行うことが出来るサービスです。
CloudWatchをアジアパシフィック(東京)リージョンで利用した場合の料金は以下の通りです。
メトリクス
最初の1万リクエスト / 月:0.30USD(およそ33円)
次の24万リクエスト / 月:0.10USD(およそ11円)
以降、リクエスト数が増えるごとに料金が下がっていきます。API
リクエストされたメトリクス1000個あたり0.02USD(およそ2.2円)ダッシュボード
ダッシュボードひとつあたり3USD(およそ330円)アラーム
標準分解能アラーム:アラームのメトリクスあたり0.10USD(およそ11円)
高分解能アラーム:アラームのメトリクスあたりおよそ0.30USD(およそ33円)ログ
ログ収集:1GBあたり0.76USD(およそ84円)
S3へのログ配信:10TB / 月まで0.38USD(およそ42円)イベント
クロスアカウントイベント100万件あたり1.00USD(およそ110円)
API Gatewayの料金
Amazon API Gatewayは、簡単にAPIの作成、配布、保守、監視、保護を行うことが出来るサービスです。
AWS上のコンソールで数クリックするだけで素早くAPIを作成できることが特徴のサービスであり、HTTP/REST APIを作成・使用した場合の料金は次の通りです。
コール
最初の3億3300万リクエスト / 月まで:3.50USD(およそ385円)
以降、リクエスト数が増えるごとに料金が下がっていきます。キャッシュ
キャッシュメモリサイズが0.5GB:1時間あたり0.020USD(およそ2.2円)
キャッシュメモリサイズが1.6GB:1時間あたり0.038USD(およそ4.18円)
以降、キャッシュメモリサイズが大きくなるごとに、時間あたりの料金が上がっていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したように、AWSでは従量課金制をベースにした料金モデルを採用しておりますので、公共料金のように使用した分のみを払うことでサービスの利用が可能です。
料金モデルを適切に把握し、AWSの各サービスを積極的に利用していきましょう。
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