三越伊勢丹・良品計画・パルコ・アダストリアの事例を大公開 ──小売企業が取り組むプロダクト開発・改善の舞台裏とは?

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変化が激しいこの状況下で、小売事業者はどのようなチャレンジに挑み、デジタル施策を手がけているのか。今回はEC、DX戦略、コロナ禍対応など、Web・スマホアプリといったプロダクトにおける開発・改善の舞台裏について、三越伊勢丹・良品計画・パルコ・アダストリア4社の事例を紹介する。
三越伊勢丹・良品計画・パルコ・アダストリアの事例を大公開 ──小売企業が取り組むプロダクト開発・改善の舞台裏とは?

■登壇者プロフィール

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株式会社三越伊勢丹 仲田 朝彦氏
MD統括部 オンラインクリエイショングループ
デジタル事業運営部 計画推進 仮想都市プラットフォーム事業
早稲田大学政治経済学部経済学科卒。幼少期からシムシティや仮想世界に魅力を感じ、2008年のiPhone発表時に見たGoogleMAPをきっかけに事業構想を開始。その後2020年イントラプレナー制度で採択されPOCを実施。 2021年3月にVRを活用したスマートフォン向けアプリ< REV WORLDS >をローンチ。

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株式会社良品計画  枡野 大輔氏
情報システム部 個客・EC担当 課長
2007年良品計画に入社。店舗からスタートし店長を経て、情報システム部門に配属。社内基幹システムの企画や運用、海外の新規国立上げや基幹システムの海外展開を行い、2018年より現在の個客・EC担当になり、ネットストアやMUJI passportのシステム企画や運用に従事。

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株式会社良品計画 新城 功久氏
情報システム部 個客・EC担当
社内SEとして、インフラ系企業で顧客向け会員サイトやCRM基盤といったオムニチャネル施策関連のプロダクト開発PMを経て、 2021年良品計画に入社。無印良品ネットストアのUIUX改善等、国内ECの開発責任者を担当。

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株式会社パルコ 林 直孝氏
執行役員 CRM推進部兼デジタル推進部担当
株式会社パルコデジタルマーケティング 取締役
株式会社アパレルウェブ 取締役
パルコ入社後、全国の店舗、本部及び、Web事業を行うグループ企業の株式会社パルコ・シティ(現 株式会社パルコデジタルマーケティング)を歴任。2013年に新設された「WEBコミュニケーション部」にてPARCOのデジタルマーケティング及びオムニチャネル化を推進。2017年より「グループICT戦略室」にて、ショッピングセンターのDX(デジタルトランスフォーメーション)を具現化するため『デジタルSC(ショッピングセンター)プラットフォーム』戦略の推進を担当。 2020年より、現職。

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株式会社アダストリア 林 知果氏
DX戦略部 部長
外資系IT企業で19年間ECや新技術導入を得意とするITアーキテクトとして活動。国内最大手のSPAアパレル企業に転職後、IT側のEC部長としてマイクロサービス化を推進。再び外資系ITのプログラムアーキテクト職後、現職。現在株式会社アダストリアのECサイト、モバイルアプリ、配信基盤など、顧客のデジタル的な直接的な接点となる領域を統括している。

【三越伊勢丹】バーチャル上でのアナログ体験を可能にする仮想都市空間サービス

最初に登壇したのは、三越伊勢丹で仮想都市プラットフォーム事業を手がける仲田朝彦氏だ。プロダクトは、3月に提供を開始した仮想都市空間サービス「REV WORLDS」。VRを活用したスマートフォン向けアプリであり、アプリ内には、新宿東口の街の一部エリアと伊勢丹新宿本店が再現されている。利用者は、VR上でアバターを操作し、街並みが見られる他、仮想伊勢丹新宿店でお買物を楽しむことができる。

仲田氏はデモ動画を見せながら、同プロダクトを通し、どのような体験や価値を利用者に提供したいのか、また体感してもらいたいのか、同事業にかける想いを語った。

「2019年時点の小売のEC化率は、約6.7%(2020年、経済産業省調べ)。スマートフォンが、一気に普及していったのと比べると、伸び率は緩やかです。そこで私は、多くのお客さまは従来どおりのアナログ的なお買物を好んでいるため、ECサービスをあまり利用しないのではないか。つまり、アナログ的な付加価値をバーチャル上に実現することで、新たなEC事業を展開できるのではないか。このように考えています。」(仲田氏)

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仲田氏が説明するアナログ的な付加価値とは、一般的なECでは体験することがない、友だちやパートナーとのお買物や行動を指す。つまり、単に目的の商品を購入するだけのECショップではあり得ないが、リアル店舗と同じように「誰かと一緒になにかをする」体験ができる。このプロダクトは、仲田氏の想いが反映した空間となっている。

また、百貨店ならではのサービスをバーチャル空間に再現することで、一般的なECショップとの差別化にもつながると仲田氏は語る。

「一般的なECサイトとの違いは、大きく3つあります。ひとつは、3D空間であること。次に、3D空間ですから、商品の一覧が羅列されている一般的な2次元のECショップとは異なり、リアルな店舗と同じく什器や装飾、価格の表記などをこだわることができ、重厚感を演出できる他、ショップの個性を最大限表現することが可能です。 そして最後に、セレンディピティな体験です。たとえば、コスメ売り場に来店されたお客さまが、コスメの隣に展示してある全く別の商品を気に入り、ご購入に至るなど、当初の目的とは違った商品との出会いを体感いただけます。 」

そしてバーチャル世界では、リアル店舗ではあり得ない商品を展示できることも、仮想空間ならではの特徴であり、期待が高まる。

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例えば、ガラスの靴などアバターが着用するデジタルデータの取り扱いである。現在、「REV WORLDS」において、デジタルデータの取り扱いはないが、今後、実現していきたいという。 仲田氏は次のように述べ、セッションを締めた。

「今回のプロジェクトを通じて、小売は特に仮想空間事業に向いていると感じました。実際、利用者からの評判も上々で、営業時間に左右されない点や、遠方にいても、いつでもお買物を楽しめるのでとても便利など、嬉しいお言葉をいただいています。今後の新たな顧客創造、ブランディングにもつながると考えています。」(仲田氏)

●参加者から三越伊勢丹に寄せられたQ&Aを紹介

──3DCGの開発環境・体制を知りたい

外注コストを抑えるため、3Dスキャン装置を購入し、基本的に内製化しています。ソフトウェアは無料の「Blender(ブレンダー)」を採用しています。開発メンバーは11名で、商品をCG化する、ショップを構築する2つの作業がメインです。

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──プロジェクトの承認はどのように行ったのか

知見のない新しい取り組みを会社に受け入れてもらうというのは、なかなか難しいものです。実際、私たちもこれまで3度、同プロジェクトの承認で失敗しています。そこで今回は手法を変え、自分たちで3DCGの制作を学び、実際のプロダクトを作成しました。 スライドなどのプレゼン資料ではなく、実際のプロダクトを見せることで、リアル感を演出したのです。

また、私たちのような普通の社員でも作成できることを、伝えたかったからです。実際、制作はさほど難しくありませんでした。仮に思ったような成果が出なかったとしても、リアルなショップではありませんから、土地の購入や在庫リスクがないことも伝えました。

──利用者を増やすための施策について

当社(仮想伊勢丹新宿店)以外の建物をたくさん造ることです。同業である他の百貨店も同じく建てたいと考えていますし、様々な企業と協力して、仮想空間でのビジネスを盛り上げていきたいです。

【良品計画】2200万会員のデータを軸としたEC戦略アプローチ

良品計画の枡野大輔氏は、会社と所属する情報システム部の紹介、そして今回のテーマについて語った。

「1980年に創業した当社は、『素材の選択』『工程の点検』『包装の簡素化』をテーマに、家庭用品を中心に商品づくりを行ってきました。昨年は40周年を迎え、現在の店舗数は国内443店舗、海外535店舗となります」(枡野氏)

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さらに顧客とのタッチポイントであるECサイト、アプリは国内で構築した後、グローバル展開していると述べ、次の登壇者である新城氏にバトンを渡した。

新城氏は「店舗やMUJI passportは、最も重要なコミュニケーションチャネル」と強調する。実際、MUJIパスポートのダウンロード数はこれまで2365万人。同アプリはいわゆる一般的な会員証やEC機能を備えるだけではないのも特徴だ。たとえば、自宅や勤め先近く、多種多様な商品を扱う大型店などをフォローすることができる。

フォローした店舗からは定期的に、アプリのUIにその店舗ならではのおすすめ情報などが届くといった仕組みが実装されている。さらにその情報は「いいね」することができ、後から簡単に見直すことも可能だ。

店舗のフォロワー数も大きく、約1291万人。昨年11月からはアプリだけで買い物ができるように、独自の決済システム「MUJI passport Pay」も実装した。現在もより良いアプリにすべく、改善を続けている。しかし、利用者も大きなアプリだからこその課題があるという。

「新しい機能を追加したい。もっと、見やすくしてほしい。もう少し、操作を分かりやすくしてほしいなど、日々、大量の要望リストが上がってくるのが現状です。一方でリソースは限られていますから、どの要望から対応するのか、順位をつける必要がありました。そこでアプローチしたのがデジタル情報です」(新城氏)

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2200万人を超える利用者から上がってくる情報は、年齢やポイントといった個人の属性データはもちろん、アプリやECへのアクセス数、実店舗の購買情報、商品レビューなど、膨大なボリュームになる。

新城氏のチームは、この膨大なデータをロジックツリーで分析することで、最終的なKGIである売上高はもちろん、下層にある各種KPIと紐付けることで、各ニーズによる各種KPIやKGIの相関関係を明らかにする取り組みを行っている。

ロジックツリーの活用では、サイズ感や在庫の見せ方、質感などの変更を行った場合、紐づく各種KPIである閲覧率・離脱率・購買率がどう変化しているのかも分析している。

そして、1つの商品で得た分析結果をベースに、全7000品目の商品に横展開することで、全商品における顧客の買い物体験のさらなる向上、結果として売上アップにつないでいる。つまり、KGIの達成を目指すような取り組みも行っている。

また今後は、冒頭紹介したもうひとつの重要なコミュニケーションチャネル、実店舗とECとの相乗効果、つまりOMOについても積極的に取り組んでいくと述べ、具体的な施策も紹介した。

「ECで離脱したとしても、その後店舗で購入されるケースもあります。ECはあくまで商品をチェックするために利用しているお客様もいるからです。このような顧客ごとの購買ジャーニーをより深堀りし、どちらでも購入しなかった場合は、どこがペインポイントであったのかを洗い出す。さらなるECの改善に取り組んでいきたいと考えています」(新城氏)

さらにはECの売上ランキングだけでは分からない、各店舗における顧客の属性や、売上を分析することで、各店舗ならびに地域それぞれで売上アップにつながるような活用も行っている。たとえばセット販売であったり、新商品の開発につなげるなど、「すべての領域でデータを活用していきたい」と述べ、セッションを締めた。

●参加者から良品計画に寄せられたQ&Aを紹介

──現場のデジタルリテラシー向上に対する取り組みについて

ノウハウを作成したり、定期的に勉強会を開催するなど、システムの仕組みをできるだけ分かりやすく伝えるようにしています。また、こうした啓蒙活動も、情報システム部の役割だと捉えています。

──DX推進に際しての組織・部署連携について

ロジックツリーを紹介することで、結果としてKGIが達成するとの共通ゴールができます。このような情報を勉強会などを通して、各部署のメンバーが共有するようにしています。

──アプリの会員数を増やすための施策

新規の会員獲得だけでなく、利用頻度が上がる施策を、実店舗にも協力してもらいながら行っています。この1年で会員数は358万人新たなに増えました。

【パルコ】スマホからスマートグラスで変わる商業施設の未来

続いて登壇したパルコの林直孝氏は、まずはパルコのようなSC(ショッピングセンター)や出店している各ブランドの役割について、次のように説明した。

「各ショップは、もちろん買い物をする場所ではありますが、『ブランド認知×体験』の場だと考えています。お客様とブランドのマッチングスペースとも言えるでしょう。一方SCの役割はそのような体験が何度もできること。相乗効果も期待できます。

明確な目的を持たずにSCに来店されるお客様も多く、気に入ったブランドと出会えたり、お気に入りのアイテムを購入したりする方もいます。まさに三越伊勢丹さんが述べたのと同じように、セレンディピティを生む場であると考えています」(林氏)

このような役割を担うSCだが、当然スマホやECサービスの台頭で、実店舗の顧客に対するアプローチやサービスは変わっていった。たとえばパルコでは、2014年にスマホアプリ「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」をローンチ。単にオンラインで買い物ができるだけでなく、実店舗でも顧客が喜ぶようなサービスが実装されている。

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たとえば来店前のユーザーに向けては、トレンドに敏感なユーザーが興味を持ちそうなトピックを、コラム記事として配信している。最新のファッショントレンドやコーディネート、さらには渋谷の情報発信基地であるパルコらしい、アート、映画、演劇、旅行などの情報を発信。加えてテナントショップから発信されるニュース記事も来店前の参考にできる。ユーザーは気に入った記事をクリップ(保存)しておき、後から読むこともできる。ECサービスとリンクしているので、コラムに登場するアイテムをオンラインで購入することも可能だ。

来店時には、チェックインコイン(ポイントに交換可能なインセンティブ)が付与される。ユニークなのは、館内を歩いた歩数により、ポイントが付与される仕組みを実装したこと。その理由を、次のように説明した。

「500歩で5円相当のポイントですから、金銭的にはあまりお得感はありません。私たちの狙いは、いつもなら行かないようなフロアやショップにも足を運んでもらうことです。これまでのアプリ利用状況をAIで分析し、利用者それぞれが興味がありそうなショップをレコメンデーションする機能も有しています」(林氏)

まさに冒頭紹介した偶然の出会いや体験、セレンディピティを生むようなしかけを、オン・オフ両アセットを活用し、実行している事例と言えるだろう。また、パルコが各種サービスにおいて、参考にしてきたアプリも紹介された。

「歩き回る楽しさは、世界的に多くのユーザーが使っているゲームアプリからヒントを得ました。店舗へのチェックインは良品計画さんのアプリから。アプリでは来店後、体験の評価ができる仕様となっていますが、同フローに関しては、こちらも世界的に使われている配車アプリの評価機能を参考にしています」(林氏)

建物内の設備の状況などをデジタル上に再現しシミュレーションで確認できる、いわゆるデジタルツイン。従来の平面2次的なCAD図面ではなく、BIM(Building Information Modeling)と呼ばれる3次元設計データで建物を管理しているため、今後ビルの保全・メンテナンスにも大きくに寄与することが期待されている他、ヴァーチャル上でもリアル店舗と違ったショッピング体験を提供することも視野に入れている。

「セレンディピティ」というワードが好きだという林氏は、セレンディピティというキーワードを改めて取り上げ、次のように述べてセッションを締めた。

「これからのSCは、ファション、アート&カルチャー、エンターテインメント、食、テクノロジーといった様々な要素についてリアルとバーチャルを組み合わせることで、セレンディピティを提供していく。セレンディピティセンターと呼ばれる、例えばそういった出会いや感動をすでに実現されているディズニーランドのような場にしたいと思っています」(林氏)

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●参加者からパルコに寄せられたQ&Aを紹介

──協力に積極的ではないショップへのアプローチはどうしているか

特定ショップだけを訪れるお客様より複数のショップをご利用になるお客様の方が、その後の来店・購買頻度が高いといったデータを示して、協力をお願いしています。

──紹介された施策は、どのような指標を軸に意思決定、結果判断をしているのか

滞在時間とともに、来店回数を増やしたいと考えているのがひとつ。もうひとつは、来店客数に対する購入客数の比率「買上率」をアップしたいと考えています。パルコの全店平均は約50%ですが、この数字は長らく変わっていないからです。テクノロジーの力を活用すれば、上げられると考えています。

【アダストリア】NPSアップにつなげるプロダクトマネジメント

カジュアルテイストな衣料品や雑貨ブランドを、30以上展開するアドストリア。社歴は約70年。SPAであるため、国内外に1400もの自社店舗を展開しているのも特徴だ。近年はECサービスにも注力している。公式Webサイト「.st(ドットエスティ)」の会員数は1200万人以上、ECの売上高は538億円(2021年2月期)の規模を誇る。

登壇した林氏は、ECサイトのマーケティングで注視される、売上やCVR(コンバージョンレート)、訪問率といったパラメータはもちろん重要だと前置きした上で、ブランド価値、サービスの質、企業に対する信頼感などの定性データ、顧客ロイヤリティを測る指標「NPS(ネットプロモータースコア)」を半年に一度計測すると取り組みや、同指標を高めるための施策について紹介した。

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「結論から話せば、まさに塵も積もれば山となるようなシンプルな施策や取り組みを、日々地道に重ねていきました。具体的には大きく2つ。お客様からの不満の声を集め、検証した上で解消していくことです。同時に、従来のオンプレミスなシステムから少しずつ脱却し、マイクロサービスで新たな機能を開発。システムもモダナイゼーションしていきました」(林氏)

顧客の声を集めるために、2020年4月から常設アンケートを設置した。すると1日100~200件のアンケートが集まった。得たデータはすべてデータレークにプールするのと同時に、サマリーを毎日確認。年齢、性別、ショップの利用頻度といったパラメータをチェックし、アンケートの対応優先度を順位付けした。その上で、随時対応していった。

「アプリが頻繁に落ちるというご不満の声がありました。当初、お客様からのコメントはネガティブな内容が多かったのですが、月に3つのクラッシュの改善は必ずリリースする、など地道に取り組んでいった結果、ネガティコメントは次第に減り、逆にお褒めの言葉など、ポジティブコメントが増えていきました」(林氏)

ユーザーの声が仮にクレームであったとしても、プロダクトの改善、質向上につながるまさに成功例と言える。さらに、ポジティブコメントを頂くことで、自分たちの地道な作業の効果を実感し、メンバーの士気が高まる効果もあったという。

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画像枚数が少ない、画像が拡大できない、古い商品の画像が載っていない。このような声も寄せられた。オンプレミスなシステムであったため、画像が増えていく容量に耐えられないことが原因であった。そこで、同画像管理部分をクラウドに移行することで、改善につなげた。

「システムアーキテクチャに関する改善の余地は、まだあります。会員登録やポイント付与、決済といった機能をEC本流以外のシステムの実装のスピードを上げるため、マイクロサービス型の開発体制に変更していきました。その結果、本流の負担が減り、個々の機能の開発スピードがアップするとの効果もありました」(林氏)

そのほかにも、新たな機能追加を行う際は、モダンな開発手法であるスモールスタートを取り入れた。開発はクイック・スモールである一方で、プロダクト全体のロードマップとしては、大きな絵を描き、実店舗との融合、いわゆる「OMO(Online Merges with Offline)」サービスを明示した。

そして、既存のアーキテクチャで行える施策とそうではない施策を、明確に分けることで、迅速に進むことを狙った。林氏は今回の取り組みを振り返り、次のように述べ、セッションを締めた。

「ユーザーのNPS、満足度を向上させるには、地道な施策を繰り返すことが間違いないと、今回改めて確認できました。今後もモニタリングを継続していき、さらなる向上に努めたいと思います」(林氏)

今回紹介したアダストリアのDXは、「ファッションECのアワード」という、業界誌が主催する、EC・デジタルでの業務革新と担当部署の功績を表彰するアワードで見事受賞した。ユーザーからのポジティブコメントに加え、このアワードの受賞により、メンバーの士気が高まったことは言うまでもない。

●参加者からアダストリアに寄せられたQ&Aを紹介

──取り組みを進める中で苦労した点は何か

お客様のことを第一に考えながらサービスを実現するシステム開発は、どうあるべきなのか。具体的に、どのように実現していくのが良いのか。私はベンダーで長く働いていたこともあり、事業会社では当たり前の思考であるそうした取り組みに慣れるまで時間がかかりました。

──マイクロサービス化に向けて苦労したことは?

マイクロサービス化する価値を、事業サイドに理解してもらうのが、まず一苦労でした。解決策としては、マイクロサービスであれば、いかにスピーディーに開発できるかを実際に見てもらうことで、理解してもらいました。

もうひとつ、ベンダー様含めた開発チーム全体のマインドセットを変えてもらう必要もありました。こちらも同様に、モノリシックなシステムで作るよりも、マイクロサービスにした方が、システム全体で見た場合開発しやすいことを理解していただきました。だからこそ、今の状態があると思っています。

株式会社アダストリア
https://www.adastria.co.jp/

株式会社アダストリアの採用情報
https://recruit.adastria.co.jp/career/

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