【レポート】新しい「エコシステム」を生み出すWeb/モバイル VRの世界:VRが創り出す世界[第1部]- TECH PLAY Conference 2017
「ピューロランド」を認知してもらうためのVR
続いては「InstaVR」を導入している企業の講演です。まずは、サンリオエンターテインメントの志賀さんにお話をいただきます。
志賀優子(しが・ゆうこ)/株式会社サンリオエンターテインメント 営業部マーケティング課課長代理。東京都出身。デザイン製作会社やネットイヤーグループでの勤務を経て、2016年にサンリオエンターテインメントに入社。写真好き。
志賀さんの勤めるサンリオエンターテインメントは、東京都多摩市にあるテーマパーク「サンリオピューロランド」を運営する企業です。
同社では「サンリオピューロランド」にまつわる次の3つの課題を抱えていました。
- 「サンリオピューロランド」がどのようなところなのか、まだ認知されていない
- ライブキャラクターの動きの可愛さや演技力、ショーの本格さが伝わっていない
- 海外で認知が低いにも関わらず、海外の展示会ではチラシなど紙媒体でしか展開していない
志賀さんは自身でVRを体験したことをきっかけに「これらの課題をVRで解決できるのではないか?」と考えるようになります。
そうして志賀さんがVRについて情報を集めるようになる最中、株式会社クロスコ様から「InstaVR」を利用したVRコンテンツの制作の提案を受けます。その提案に対して志賀さんは「VRはとても高いと思っていたが、数百万かかるわけではないし、うちの会社でもなんとかなりそうだと感じた」といいます。
役割としては、サンリオエンターテインメント側が「企画」「絵コンテ」などを担当し、「撮影機材調達」「編集」などの実制作面はクロスコが担当します。映像はクオリティを重視し、8Kカメラで撮影しました。
志賀さんは「ロケハンからデモ動画を1日であげていただいたことでスムーズに進行した」と制作を振り返ります。それは、社内にはやはりデジタルがわからず「そもそもVRってなに?」というレベルの人もいたためです。すぐにモックがあがることで、社内のイメージ共有が可能になり、事前準備や判断をスムーズに行うことができるようになりました。
制作したVRは2017年の2月上旬から展示会でテストを始めました。用意したのは視聴端末としての「Galaxy」とヘッドセットです。
視聴してもらうハードルして志賀さんが挙げたのは「特に情勢はヘッドセットをつけるのが嫌」「VRで酔うんじゃないか」という体験前のフェーズでの2点。しかし、実際に体験してもらうと「いい意味で思っていたのとは違った」という好意的な感想が寄せられました。
本格的に海外の展示会で活用を開始したのは2月の中旬です。タイの展示会ではVRを体験した人が会場内でチケットを購入し、実際にタイからの入場者数が増加するという成果もでています。
志賀さんは「今後は展示会だけではなく、VRをアプリとして一般公開することで、さらなる入場者数増に期待したい」と展望を語りました。
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LIXIL社内でのWeb型VRの導入