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.table-of-contents > li > ul > li > ul { display: none } p + ul { margin-top: -10px !important } img[src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/v/vasilyjp/20260114/20260114193736.png"] { width: 50% } img[src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/v/vasilyjp/20260114/20260114223243.png"] { width: 40% } img[src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/v/vasilyjp/20260118/20260118003257.jpg"] { width: 50% } .images-row { width: 100% !important } p.footnote { margin: 0 !important } こんにちは、XR × Fashion TechやXR × Beauty Tech領域の取り組みを推進している創造開発ブロックの @ikkou です。 2026年1月6日から9日の4日間にかけてラスベガスで開催された「 CES 2026 」に一般参加者として現地参加しました。個人としては7回目、ZOZO所属としては5回目の参加です。継続参加し、業界動向を定点観測しています。 CES 2025 現地レポート: XRとFashion Techの未来を探る CES 2024 参加レポート - コロナ禍以前の活況を取り戻した CES CES 2023 参加レポート - 3年ぶりの現地参加 CES 2020参加レポート: 現地参加3年目の目線で視た #CES2020 前半はCESの概要と関連する情報のアップデートを、後半は特に私が注目したトピックについてお伝えします。 CES 2026全体のトレンドについては、会期中に配布される「CES Daily」(デジタル版)の Day 1 / Day 2 / Day 3 などもあわせてご覧ください。 CES 2026の概況 CES 2026のメインテーマは「Innovators Show Up」 CES 2026の6つのトレンドと49のカテゴリー CES 2026におけるメガトレンド 出展社数と参加者数の推移 CES 参加バッジの価格 会場の概要 LVCC Campus Venetian Campus その他の会場 会場間の移動 Vegas Loop Zoox 注目のトピック:XR Tech XR関連企業の出展動向 出展ブースのXRデバイスから見るトレンド 中国企業の大攻勢 中国系の眼鏡型デバイスを一手に引き受けるMeta-Bounds 見かける機会の減ったHMD型デバイス 日本発企業が示したXRデバイス向け要素技術 Play For Dream Cellid Even Realities Meta 注目のトピック:Fashion TechとBeauty Tech Mode Wearablesの「ModeX Bomber Jacket」 デジタルカラーチェンジネイルの「iPolish」 カスタム3Dプリントシューズの「Fitasy」 ReFaの「ReFa AI color recipe PRO」 花王の「my Symmetry & THE CORE」 Perfectの「YouCam AI API」 注目のトピック:その他 NVIDIA Samsung Razer Robot, Robot and Robot... おわりに CES 2026の概況 今年のCESは「人が戻った」だけでなく、“会場の重心”がLVCC中心から周辺会場に少し移動したように感じました。 大手企業の出展の仕方が変わり、LVCCの景色が去年と違う 一方で来場者は増え、移動のボトルネックは相変わらない このあと前半で全体像、後半でXR Tech、Fashion Tech、Beauty Tech目線の“刺さった展示”をまとめます。 数年来の工事が完了して綺麗に整備されたLas Vegas Convention Center CES は CTA (Consumer Technology Association)が主催する、毎年1月にラスベガスで開催される世界最大級のテックイベントです。公式サイトでは「 The Most Powerful Tech Event in the World 」と表現されています。「セス」と呼ぶ方もいますが、正しくは「 シーイーエス 」です。CESはかつて『Consumer Electronics Show』と呼ばれていましたが、現在この表記は使用されていません。現在は「Consumer Electronics Show」の表記は前面に出されず、CESとしてブランド化されています。 CES 2026のメインテーマは「Innovators Show Up」 メインテーマが掲げられているVenetian 2Fのサイネージ CES 2024の「All ON」、CES 2025の「DIVE IN」に続くCES 2026のメインテーマは「 Innovators Show Up 」でした。 *1 "CES is where innovators show up, business accelerates, partnerships ignite, and technology transforms real-world challenges into bold opportunities" CTA CEOのGary Shapiro氏は上記のように、CESはイノベーターが集う場であることを強調しています。 CES 2026の6つのトレンドと49のカテゴリー CESには毎年CTAの打ち出すトレンドがあり、2026年のトップトレンドとして、次の6つが挙げられています。 *2 AI Digital Health Energy Enterprise Mobility Robotics 「AI」「Digital Health」「Mobility」は昨年に引き続きトップトレンドとして挙げられています。一方、昨年のトップトレンドであった「Energy Transition」「Quantum」「Sustainability」は外れ、新たに「Energy」と「Enterprise」が加わりました。 トップトレンドとは別に、次に挙げる49の技術領域が公式カテゴリーとして設定されています。 Accessibility, Accessories, Additive Manufacturing & 3D Printing, AgTech, Artificial Intelligence, Audio, Beauty Tech , Biotech, Blockchain & Digital Assets, Cloud Computing, Computing, Construction & Industrial Tech, Content & Entertainment, Cybersecurity, Digital Health, Drones, Education Tech, Energy Transition, Enterprise, Fashion Tech , Fintech, Fitness , Food Tech, Gaming & Esports , Home Entertainment & Office Hardware, Imaging, Investment & Venture Capital, IoT/Sensors, Lifestyle, Longevity, Marketing & Advertising, Next G, Pet & Animal Tech, Quantum, Retail/E-Commerce , Robotics, Smart Communities, Smart Home & Appliances, Sourcing & Manufacturing, Space Tech, Sports, Startups, Streaming, Supply & Logistics, Sustainability, Travel & Tourism, Vehicle Tech & Advanced Mobility, Video & Display, XR & Spatial Computing 私が特に注目しているカテゴリーは太字で示しています。CES 2025では「AR/VR/XR」がカテゴリーとして設けられていましたが、今年は「 XR & Spatial Computing 」と名称が変更されました。同様にいくつかのカテゴリー名が変更された一方で、「Cryptocurrency」「Metaverse」「NFT」などは外れています(それらのカテゴリーの出展が完全になくなったわけではありません)。 CES 2026におけるメガトレンド 先に発表された6つのトップトレンドとは別に、CTAはトレンド予測セッション「 Trends to Watch 」で2026年のメガトレンドとして次の3つを挙げました。 Intelligent Transformation Longevity Engineering Tomorrow なかでも「 Longevity (ロンジェビティ)」、つまり「長寿、健康」に関するAgeTech、LongevityセクターはCES 2026の会場内でも多く見かけました。健康寿命を延ばすことに関心が高まっていることを示しています。 このセッションはメディア向けセッションのため現地では聴講していませんが、 アーカイブ動画 と PDF資料 が公開されています。CTAの謳うテックトレンドに少しでも興味がある方は、一度は目を通すことをおすすめします。 出展社数と参加者数の推移 出展社数は過去最高タイだったCES 2025の4,500社以上から4,100社以上に減少しましたが、参加者数はコロナ禍以降では過去最高の148,000人以上となりました。2018〜2026年の出展社数と参加者数の推移は以下の通りです。 年度 出展社数 参加者数 CES 2018 3,900社以上 182,198人 *3 CES 2019 4,500社以上 175,212人 *4 CES 2020 約4,500社 171,268人 *5 CES 2021 約2,000社 約80,000人 CES 2022 2,300社以上 44,000人以上 CES 2023 3,200社以上 117,841人 *6 CES 2024 4,300社以上 138,789人 *7 CES 2025 4,500社以上 142,465人 *8 CES 2026 4,100社以上 148,000人以上 CESの参加者数は各年のATTENDANCE AUDIT SUMMARYに1桁単位で精密な数字が公表されています(コロナ禍の影響で完全オンライン化された2021年とハイブリッドで開催された2022年は公式発表なし)。これは参加バッジの発行数をもとにした、重複なしの参加者数です。CES 2026の正確な参加者数は後日公開される見込みです。 CES 参加バッジの価格 CESへの参加には参加登録が必要です。メディアやインフルエンサーではない一般参加者は有償で参加バッジを得られます。 参加バッジは紛失時に350 USDの手数料がかかるので要注意 CES 2026の参加登録は昨年同様9月11日に開始され、通常のチケットであるExhibits Plus Passの価格は同12月1日までの早期登録が149 USD、以降は350 USDでした。私は昨年に続き過去回の参加者特典により無料でした。 参加バッジは空港で受け取るとスムーズ 過去に一度だけCES公式のセッションを聴講するためのカンファレンスプログラミングパスを追加しましたが、以下の観点から今年も追加せずにブースのみを巡りました。 カンファレンスに参加するとブースを巡るための時間を削減せざるを得ない 多くのセッション動画は後日アーカイブ動画として無償で公開される セッション以外の動画も含まれていますが、実際に CES 2026関連の公式アーカイブ動画は500本以上が公開 されています。 会場の概要 Image source: https://www.ces.tech/explore-ces/maps-and-locations/ CESの展示会場は昨年同様、 LVCC Campus ・ Venetian Campus ・ C Space Campus の3つで構成されています。 LVCC Campus 大きく様変わりしたLVCC Centralの内部 LVCC CampusはLVCCことLas Vegas Convention and World Trade CenterのWest Hall・North Hall・Central Hall・South Hallを中心に構成されていて、CESのメイン会場とも言えます。特にCentral Hallは大規模工事を経て外観・内観が大きく変わりました。CES 2025以前の参加者はその変化に驚いたはずです。 GoogleはCVSやSphereでGeminiやAndroid XRをアピールしていた 今年は、CESの初回となる1967年から58年間連続で出展してきたSonyをはじめとして、Google、Samsungなどの大手企業がLVCCでの出展を取り止めています。もっともSonyはSony Honda Mobilityとしてブースを構え、販売を控えるAFEELAを大々的にアピールしていました。参加バッジのストラップもSonyではなくSony Honda Mobilityでした。また、Googleは会場外でGeminiやAndroid XRをアピールし、SamsungはWynnに独自のブースを構えていました。 昨年に続きWestgateは会場として利用されず、 CES Foundry や後述するNVIDIA Live、NVIDIA Showcaseの会場として、2023年12月にオープンしたラスベガスで最高層の Fontainebleau Las Vegas が追加されました。 Venetian Campus Venetian Expoの2Fから1Fを俯瞰する Venetian ExpoはCESの1か月前に開催されるAWS re:Inventでもお馴染みのVenetianを会場として、スタートアップ企業の集まるEureka Parkが設けられています。 Eureka Parkで勢いを増しているKorean Tech Image source: https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?st=country&hallID=M&sv=South%20Korea このEureka Parkには、スタートアップ企業による個別のブースとは別に、特定の国が1カテゴリーとして集まっているという特徴があります。これまではフランス発のLa French Techが非常に目立っていましたが、近年は韓国発のKorean Techが勢いを増しています。 JETROが支援するJapan Pavilionとクリエイティヴ・ヴィジョンが推進するJAPAN TECH 日本発としてはJETROが支援する「 Japan Pavilion 」から31社、クリエイティヴ・ヴィジョンが推進する「 JAPAN TECH 」から37社がEureka Parkにブースを構えていました。 その他の会場 C Space Campusは主にマーケター向けの会場で、CESの出展社や参加者がビジネスミーティングするためのスペースが提供されています。 その他、前述の通りSamsungやMetaはCESのプログラムとは別に、Wynnに独自の会場を設けていました。ホテルの一室を利用してプライベートミーティングの場を設ける企業もよく見聞きします。 一般の来場者向けの会期は4日間ありますが、1人ですべての会場・すべてのブースを巡るのは非現実的です。私は今回、到着日をDay 0として、Day 3まで滞在し、以下の行程で会場を巡りました。 Day 0:NVIDIA Live Day 1:LVCC Campus Day 2:Venetian Campus Day 3:周りきれなかったLVCC CampusとVenetian Campus 会期中はとにかく歩き回りました。歩きやすい履き慣れた靴の準備が欠かせません。今年はOnのスニーカーを履いて臨みました。事前に訪れるブースを決めてルートを最適化して効率的に巡っているとはいえ、4日間の平均歩数は昨年同様に毎日20,000歩を超えていました。 会場間の移動 会場間の移動には時間がかかります。例年同様、会場間の移動には徒歩とVegas Loop、そしてライドシェアを利用しました。徒歩とライドシェアについての特筆すべきアップデートはありません。LVCCとVenetianの移動に使えるラスベガスモノレールや2階建てバスのDEUCE(デュース)、通常のタクシーも選択肢として挙げられますが、私はこれらを利用しませんでした。 日中は非常に混雑して会場間の移動には使えませんでしたが、Amazonの子会社であるZooxが2025年9月からラスベガス市内で提供している自動運転車による特定スポット間の移動も利用できました。 Vegas Loop LVCC Central Underground Station 開通以降、毎回お世話になっている Vegas Loop ですが、今年も何度か利用しました。Vegas Loopはイーロン・マスク氏率いるThe Boring Companyが運営するLVCCの会場間を繋ぐ地下トンネルです。徒歩ではそれなりに時間のかかるルートを、Teslaで効率よく結ぶ交通システムです。 Vegas Loop Map Station Map(2026年1月20日現在) Image source: https://www.lvcva.com/vegas-loop/ CES参加者向けの路線は、LVCCのWest Hall・Central Hall・South Hall間を結ぶ無償ラインと、LVCCからホテルを結ぶ有償ラインがあります。この有償ラインは、昨年のCES 2025時点では RESORTS WORLD線 しかありませんでしたが、CES 2025閉幕直後の2025年1月18日に WESTGATE RESORT線 が開通、そして2025年4月8日に Encore線 が開通しました。 運良く乗車できたVegas Loopを走るCybertruck 今回はLVCCからWynnへの移動時に一度だけ有償のEncore線に乗車しました。Vegas Loopを走っている車両はTesla Model S、3、X、そしてYの4種類ですが、時々Cybertruckが走っている姿を見かけていました。この機会に運良く乗車できれば、と考えていたところ、見事このEncore線でCybertruckに偶然にも乗車できました。 Vegas Loopのチケット購入ページ Image source: https://lvloop.com/tickets このVegas LoopはLVCC周辺だけではなく、将来的にはラスベガスの大通りを行き交うルートが計画されています。CES 2026の期間中も10:00から21:00までの時間限定ではあるものの、Resorts World Stationからハリー・リード国際空港へ向かう空港線が運行していました。今回は都合が合わず乗車できませんでしたが、片道12 USDとライドシェアよりも安価なので、次回ラスベガス入りする際には試してみたいところです。 Zoox ZooxのカウンターがあるResorts Worldのエントランス前乗り場 It’s not a car. を標榜する Zoox はラスベガスに登場した新しい「ロボタクシー」です。2020年にAmazonが買収し、現在は独立子会社として運営されていて、システムのバックエンドには AWS(EC2, S3, EKS, CloudWatch)が使われています 。 2026年1月現在は、誰でも無料乗車できる形でラスベガスを、ウェイトリストに登録する形でサンフランシスコをテスト走行しています。 AWS re:Invent期間中も多くの方が乗車レポートを投稿していましたが、CES 2026でも多くの方が乗車していました。今後はSXSWの開催地であるオースティン、そしてマイアミへの展開が 計画されています 。 ラスベガスのZoox走行エリア(2026年1月20日現在) Image source: Zoox Android App CES参加者の目線では、Vegas Loopが主にLVCCの会場間を繋いでいる一方で、Zooxはラスベガス市街のホテルやショッピングモールなどの施設を繋いでいます。ホテルからAREA15やTopgolf間の移動にも使えるので、市内観光の一環としても便利かもしれません。 Resorts WorldのZooxカウンター 私はVegas Loop StationもあるResorts WorldからZooxに乗りました。 Zooxは2025年5月にResorts Worldの公式ロボタクシーパートナーになっていて 、エントランスには有人のZooxカウンターが設けられています(記念撮影してもらえます)。 アプリで無人車両のドアを開ける直前の様子 Zooxの車両は完全に無人です。車両の予約はもちろん、ドアの開閉もすべてZooxアプリ経由で行います。このZooxアプリのインストールにはUSのアプリストアアカウントが必要です。JPリージョンのアプリストアアカウントではインストールできないので、Zooxに乗りたい場合は事前にアカウントの作成が必要です(もっとも開発者に属する多くの方は検証用途などで持っているとは思いますが)。 目的地に到着後、誰も乗せずに走り去っていくZoox 運転席もない自動運転車への乗車は初めての体験でしたが、特段の違和感を覚えることもなく、目的地までスムーズに到着しました。時期的に予約が集中していたため、私の利用時は30分以上待機しました。そのため日中の移動手段としては使いづらい場面もありますが、今後、車両台数や運用が拡充されれば、利便性はさらに向上すると考えられます。前述の通りMobilityはCES 2026のトップトレンドの1つです。特にラスベガスで開催されるテックイベントであるGoogle Cloud Next、re:Invent、そしてCESの参加者はぜひ乗車してみてください。 注目のトピック:XR Tech CESのカテゴリーのひとつに「 XR & Spatial Computing 」が設けられています。これは私が強い関心をもって継続的に追っている技術領域です。このパートでは、それらをXR Techとしてまとめてお伝えします。 XR関連企業の出展動向 CES 2026全体を通して「 XR & Spatial Computing 」カテゴリーの出展社数は 265 でした。CES 2025では「 AR/VR/XR 」カテゴリーの出展社数は 355 だったので、 昨年対比で90ブース減った ことになります。 LVCC Central Hallの会場地図 Image source: https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?st=category&hallID=B 昨年同様、CES 2026では、LVCC Central Hallに「 GAMING | XR 」として分類された一画が設けられていました。 LVCC Central Hall内「GAMING | XR」エリアの会場地図 Image source: https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?st=category&hallID=B このLVCC Centralの「GAMING | XR」エリアにブースを構える「 XR & Spatial Computing 」カテゴリーの出展社数は 32 でした。このエリアは例年通り、Insta360、XREAL、Pimax Technologyなどの中国企業が目立っていました。 また、CES 2024まではXR関連エリアの設けられていたスタートアップ企業が集まるVenetian CampusのEureka Parkですが、今年もそういったエリアは見当たりませんでした。 CESでは毎年、デザインやエンジニアリングにおいて優れた製品を表彰する CES Innovation Awards を実施しています。XR関連の製品は XR & Spatial Computing として分類され、計 12 製品が受賞しました。いわゆるHMD型・眼鏡型のXRデバイスは次の 5 製品です。 CES Innovation Awardsの会場とQualcommのブースに展示されていたGalaxy XR Galaxy XR Vuzix Ultralite Pro Enterprise Platform World's Lightest Full-Feature Colorful AR+AI Glasses World's Lightest Stylish AR Glasses XREAL Project Aura 奇しくも Android XR のHMD型デバイスである「 Galaxy XR 」と眼鏡型デバイスである「 XREAL Project Aura 」の両方が受賞していました。しかし、いずれもデモとして試せる状態になっている動態展示はありませんでした。 出展ブースのXRデバイスから見るトレンド CES 2026で体験したXRデバイス(HMD型・眼鏡型)の一部 例年通り、CES 2026でもたくさんのXRデバイスを試してきました。この写真はHMD型・眼鏡型のXRデバイスの一部です。 体感として CES 2024 では、まだHMD型のバリエーションを感じられましたが、 CES 2025 では、HMD型デバイスを抑えて一気に眼鏡型デバイスが増えました。そして今年のCES 2026ではさらにその傾向が強まり、とにかくたくさんの、それこそ食傷気味になるくらい多くの眼鏡型デバイスを見かけました。 この背景として以下の要因が考えられます。 世はまさに“大AI時代”であること 眼鏡型デバイスの先駆者である「XREAL」の成功 さらに後発にあたるMeta発の眼鏡型デバイス「Ray-Ban Meta」の大成功 中国企業の大攻勢 私自身は展示されていた眼鏡型デバイスのすべてを数えたわけではありませんが、 英香港紙SCMPのレポート によると、眼鏡系デバイスは約60社あり大半を中国ブランドが占めていたそうです。また、 中国メディア我爱音频のレポート 曰くAI機能を持つ主要な眼鏡型デバイスは36種あり、 中国メディア智东西のレポート 曰く27社の中国企業が「AIスマートグラス、VR、AR」製品を展示していたそうです。 中国は、国家戦略として6,000元(2026年1月20日現在で約13.6万円)以内のスマートグラスを対象に価格の15%、500元(同約1.1万円)を上限に 買い替え補助金の支給を公布 し、2026年1月1日から施行したと報じられています。今後、デバイスの「生産」に加えて一般消費者による「購入」もいっそう加速することが予測されます。 中国系の眼鏡型デバイスを一手に引き受けるMeta-Bounds 中国系の眼鏡型デバイスを一手に引き受けるMeta-Bounds EssilorLuxottica がRay-BanやOakleyをはじめとする 非常に多くのアイウェアブランド の眼鏡型デバイスを引き受ける一方で、「oppo」「ZTE」「ThinkAR」「Lenovo」をはじめとする中国系デバイスの多くを Meta-Bounds(莫界科技) が引き受けています。この Meta-Boundsのブランド名がMojie であり、CES Innovation Awardsで2製品がノミネートされています。 見かける機会の減ったHMD型デバイス 眼鏡型デバイスが増え続ける一方で、HMD型の新作はあまり見かけませんでした。既存デバイスを生かした展示という観点でも、前述の通りGalaxy XRの動態展示はなく、Apple Vision Proも“野良展示”を1件見かけただけでした。また、CES 2025で強く打ち出していたSonyのXYN Headsetは協業しているSiemensのブースで見かけた程度でした。もちろん見逃しているブースもあるかもしれませんが、全体的にHMD型デバイスの存在感は薄れている印象を受けました。 HMD型デバイスを打ち出し続けているShiftallとPimaxのブース しかし、昨年から継続してLVCC Centralで出展しているShiftallの「 MeganeX 8K Mark II 」や、例年通り存在感を放っていたPimaxなど、HMD型デバイスを全く見なくなったわけではありません。また、後述しますが、今年はPlay For Dream社から“伏兵”も発表されています。 日本発企業が示したXRデバイス向け要素技術 眼鏡型デバイスではEssilorLuxotticaとMeta-Boundsの二強とも言えますが、複数の日本発企業からXR関連デバイスに生かされる新しい要素技術が発表されています。 www.youtube.com 例えばガラスで有名なAGCは、高屈折率ガラス基板など、次世代デバイスに必要な要素を兼ね備えた複数の要素技術を発表しました。今後、これらの技術はXRグラスメーカーに技術供与されそうです。 www.youtube.com また、TDKはHapticセンサーやMeta-Optic Mirrorによる網膜投影技術を搭載したスマートグラスのソリューション「 TDK AIsight 」を発表しました。他にも、アルプスアルパインは触覚・嗅覚・聴覚を刺激する新しい五感刺激を発表するなど、技術立国として日本も存在感を見せていました。 XR Techのトレンドに引き続き、個人的に興味を惹かれたブースをいくつか紹介します。 Play For Dream Play For DreamのMR R&Dプロトタイプ Image source: Play For Dream Unveils MR Prototype at CES 2026 Apple Vision Proライクな製品で話題になったPlay For Dreamは、“事前発表なし”でMRのR&Dプロトタイプを発表しました。 G-X100-M1のリファレンスデザイン Image source: 万有引力(宁波)科技有限公司 これは2025年12月に公開された GravityXR(万有引力) の G-X100 を搭載した G-X100-M1のリファレンスデザイン を採用したものと思われるデバイスです。現時点ではまだプロトタイプなのでこのままリリースされるとは限りませんが、リファレンスデザイン通りなら重量は93gで遅延はわずか9msという非常に軽量かつ低遅延なデバイスです。 Cellid 過去最大級のブースを出展していたCellid ARグラス用ディスプレイを開発するCellidは、次世代ARグラス「 HJ1 AI Smart Glasses 」を展示していました。このデバイスは、Foxconn × Cellidによる取り組みで、Cellidはレンズ部のウェイブガイドを担当しました。そしてJorjin Technologies(Foxconn)はグラス本体を、GIS(Foxconn)は精密光学と表示関連を担当したそうです。 グラスを各パーツに分解した状態の展示 Cellidの特長のひとつである最大2000nitsの高輝度表示は美しく、約46gの軽量サイズでありながらEye Trackingモジュールを内蔵するなど、非常に期待できる眼鏡型デバイスです。 CellidはこれまでLVCC CentralではなくNorthに小規模なブースを構えていましたが、今年は同じNorthではあるものの壁際に過去最大級のブースを構えていました。グラスの表示部に関わる要素技術において突出している日本発企業であり、ここ数年の変化を見てきているだけに、個人的にも嬉しい気持ちになりました。 Even Realities Even Realities Even G1が日本で局所的な盛り上がりを見せた後、2025年11月に後継機となる Even G2 を発売した Even Realities は満を持してCentral Hallに大きく洗練されたブースを構えていました。 The Even Realities booth at #CES2026 in a flash. Where to find us: Booth #16833, Central Hall. January 6–9. pic.twitter.com/Q70D1fRTvq — Even Realities (@EvenRealities) 2026年1月8日 Even RealitiesはXREALに代表されるような拡張ディスプレイの類いではなく、必要な情報を重畳することを目的としたスマートグラスです。カメラがついていないのでプライバシーの問題が起きず、何よりこのジャンルでは数少ない国内利用に必要な「技適」取得済みで、安心して使える点も魅力です。 当時のOculus Riftがそうであったように、XR関連デバイスにおいて日本は重要な市場のひとつと言えます。 Mogura VR Newsのインタビュー記事 によれば、実際にEven G2は日本の店舗がもっとも売れているそうです。今後の展開が非常に気になる、そしていわゆるキャズムを越える可能性のあるデバイスのひとつだと考えています。 Meta Metaはプライベートブースの他に2か所のMeta Labを推していた MetaはWynn内に商談を目的としたプライベートブースを構えていました。私はこのプライベートには行きませんでしたが、Metaの旗艦店であるMeta Labに行きました。 Wynn Plaza Shopsに店舗を構えるMetaの旗艦店Meta Lab Las Vegas Metaは2025年10月に常設の Meta Lab Las Vegas を Wynn Plaza Shopsにオープンしました 。Meta LabではMeta AIグラスのRay-Ban MetaやMeta Ray-Ban Displayを購入できます。いずれも日本国内ではまだ購入できない眼鏡型デバイスです。 Meta Labで調達したMeta Ray-Ban Display(技適特例申請済み) Meta Lab Las Vegasの存在は事前に把握していたので、あらかじめ予約した上で現地に赴き、その場で Meta Ray-Ban Display を購入しました。このMeta Ray-Ban Displayは特に人気のデバイスで、生産数が限られているため予約なしでは購入できません。 CES初日、この Meta Ray-Ban Displayに大きなアップデートが入り 、テレプロンプターやEMGリストバンドによる手書き入力など複数の機能が追加されました。 EMGリストバンドで自動車のナビを操作する Image source: Garmin Newsroom LVCC West HallのGarminブースでは、 EMGリストバンドを自動車のナビ操作などに活用する実践的なPoC が紹介されていました。 Wynn内にオープンしていた特設のMeta Lab また、 Encore Esplanade のAwakening theater付近にもうひとつのMeta Labを構えていました。こちらの店舗は予約の仕組みがなく、並んだ順の入店となっていました。 注目のトピック:Fashion TechとBeauty Tech CES 2025に続き、CES 2026でも「 Fashion Tech 」と「 Beauty Tech 」のカテゴリーが設けられていました。また、同様にCES Innovation Awardsのカテゴリーとしても設けられていました。 CES 2026で「 Fashion Tech 」カテゴリーとして登録されているブース数は 111 、「 Beauty Tech 」カテゴリーとして登録されているブース数は 121 でした。 CES Innovation Awardsで 2026 Honoree in Fashion Tech を受賞したのは次の7製品でした。 fēnix® 8 Pro - MicroLED Galaxy Watch8 Littlebird Safety Tracker ModeX Bomber Jacket Snapdragon W5+ Gen 2/W5 Gen 2 Wearable Platforms VRING:ON, From Sketch to Factory, in One Flow WE-STIM™ CalfSleeve: Advanced muscle anti-aging device 同様に2026 Honoree in Beauty Techを受賞したのは次の10製品でした。うち4製品は L'Oréal Groupe で、業界随一の強さを感じました。 BALANCE AI Rejuvenation Shower System Hyper Rejuvenating Eye Patch Light Straight MASTER AI Multi-Therapy Pod maXpace Renergie Nano-Resurfacer | 400 Booster SCAR: AI-Powered Precision Scar Treatment and Coverage System Device SkinBoosters Jet Skinsight Water Saver Dose 個人的に興味を惹かれたブースをいくつか紹介します。 Mode Wearablesの「ModeX Bomber Jacket」 Mode Wearablesの「ModeX Bomber Jacket」 「 ModeX Bomber Jacket 」は、2026 Honoree in Fashion Techを受賞したモジュラー式スマートウェアです。スマートウェアと言えば、例えば2019年にLevi'sが発売した「 Levi’s Trucker Jacket with Jacquard by Google 」が思い浮かぶかもしれません。これはスマートフォンの拡張デバイスに近い立ち位置でしたが、ModeX Bomber Jacketは現代の利用シーンに即した機能を備えています。 *9 Wearable charging, energy harvesting, and power transfer solutions. Programmable illumination for signaling and fashion applications. Haptic feedback systems for improved situational awareness. Spatial computing products leveraging on-device AI. 眼鏡型デバイスが一般社会に普及した先には、特に消費電力の課題が考えられるので、こういったスマートウェアが必要になる未来が想像できます。 デジタルカラーチェンジネイルの「iPolish」 デジタルカラーチェンジネイルの「iPolish」 Eureka Parkにブースを構えていたフロリダ発の「 iPolish 」は、ネイルチップを含む専用のデバイスとアプリを使い、わずか5秒で400色以上のカラーを切り替えられる デジタルネイル です。百聞は一見に如かず、まずはX公式アカウントの動画を見てください。 When it's hard to choose, choose iPolish! Pre-orders available now at https://t.co/DogxQcrORr . #iPolish #ces2026 pic.twitter.com/hAWLOQcaaP — iPolish® (@iPolish_inc) 2026年1月11日 これは映画「トータル・リコール」を想起させる体験で、印象に残りました(聞いたことがない方は「トータル・リコール ネイル」で検索してみてください)。原理としてはネイルチップに電気泳動フィルム(electrophoretic film)が貼り付けられています。いわゆるE Inkと似たような仕組みなので、色の変わり方に見覚えがある方もいるのではないでしょうか。 デジタルデバイスという制約があるため、例えばネイルチップのサイズを個々人に最適化するのは難しいといった課題があると思われますが、かなり興味を惹かれたデバイスでした。 公式サイト では2026年6月発送予定で95 USDのプレオーダーで受け付けていますが、残念ながら発送先に日本は含まれていませんでした。 カスタム3Dプリントシューズの「Fitasy」 カスタム3Dプリントシューズの「Fitasy」 Image source: Fitasy Unveils Breakthrough Technology Making Custom-Fit 3D Printed Shoes More Accessible and Affordable, Supporting Better Foot Health 「 Fitasy 」は3Dプリンターで制作するシューズです。3Dプリンター×シューズの組み合わせは、例えば「 STARAY 」をはじめとして既に製品化されているものも多く、新規性は感じられない方が多いかもしれません。このFitasyはスマートフォンアプリでスキャンした足底面と側面にAIを組み合わせて正確な3Dモデルを作成し、そのデータに基づき、個々人に最適化したシューズを印刷するソリューションです。スマートフォンアプリで計測するという観点は「 ZOZOMAT 」に通じるものがあり、非常に興味を唆られました。 ラスベガスのメディア「FOX5 Vegas」にFitasyのCEOのインタビュー動画が公開されています。スキャンの様子も少し映っているので、興味のある方はぜひ見てください。2026年春に発送予定で210 USDのプレオーダーを受付中です。 www.fox5vegas.com ReFaの「ReFa AI color recipe PRO」 CES初出展となったReFaのMTG社 ここ数年、美容系の国内企業がCESに初出展を果たしていますが、今年は美容機器のReFaを展開するMTG社がCESに初出展していました。ブースではよく見かけるReFaの製品群ではなく美容師向けのアプリ「 ReFa AI color recipe PRO 」を展示していました。 美容師向けの「ReFa AI color recipe PRO」 このアプリは「 ハイトーンカラーの技術を、AIテクノロジーで再現するプロフェッショナル向け次世代ヘアカラーAIソリューション 」 *10 とのことで、ブリーチやカラーを日常的に行う派手髪クラスタとしても、特に関心を惹かれる製品でした。 花王の「my Symmetry & THE CORE」 花王のコンディショニング・ライフケアブランド「花王ライフケア研究所」によるTHE CORE 花王が2025年10月に立ち上げたコンディショニング・ライフケアブランド「花王ライフケア研究所」はJAPAN TECHブースのひとつとしてブースを出展していました。このブースでは、“8歩あるくだけで身体のゆがみを測定できる”アプリケーションの「 my Symmetry 」と、測定結果に応じて着用時のゆがみを補正するためのインソール「 THE CORE 」を展示していました。 カテゴリーとしてはHealth Techの方が相応しいかもしれませんが、身体の歪みを補正するソリューションはBeauty Techにも通じるものがあると考えています。ちなみに私の総合スコアは32点でした。しばらくこのアプリを利用してみます。 Perfectの「YouCam AI API」 Perfectの「YouCam AI API」 ZOZOは2022年4月から「 ZOZOCOSME 」でARメイクを提供しています。このARメイクにパーフェクト社が提供するソリューションを利用しています。そのパーフェクト社はCES 2026では 次世代「AIビューティーエージェント」を展示 していました。また、「 The New Retail Experience in the AI-Powered Store 」と題したセッションに登壇していました。 注目のトピック:その他 一部、XR Tech・Fashion Tech・Beauty Techを含むものの、その他の気になった展示を紹介します。 NVIDIA NVIDIAショーケースの巨大オブジェ NVIDIAはCES本編とは別に、FontainebleauのBleauLive TheaterでCEOによる講演「 NVIDIA Live with CEO Jensen Huang 」があり、講演後からFontainebleau 4FのCobalt Foyerでショーケースとして関連する様々なものを展示していました。私はラスベガスに到着したDay 0に講演に現地参加し、展示も眺めてきました。 革ジャンが代名詞となっているNVIDIAのフアンCEOによる講演 非常に多くの人で賑わっていたショーケースの様子 講演とショーケースを通して感じたのはまさに王者の風格です。NVIDIAにとってもはやLVCCにブースを構える必要などないのかもしれません。NVIDIAに所以のあるブースにはNVIDIAのオブジェが置かれていたので、ブースは出さずとも、NVIDIAの存在をCES会場のいたるところで感じられました。 Samsung SamsungのAIギャラリーゾーン Samsungは1月4日のメディア公開後、1月7日まで Wynnの特別会場で「 The First Look 」と題したイベントを開催 しました。前述の通りSamsungもこれまではLVCC Centralにブースを構えていましたが、今年は独自のブースを展開していました。 CES 2026の会期は1月9日まででしたが、Samsungの展示は1月7日までだったため、会期終盤に見られなかったという声もありました。 ブース全体の様子を映した60秒動画がYouTubeに公開されている ので、興味のある方は覗いてみてください。 パーソナライズされた美容ケアを実現するAI Beauty Mirrorと新製品のSamsung Galaxy Z TriFold 「AIライフパートナー」をテーマにしていたこともあってか、展示されていたものは家電をはじめとした生活に紐づくものが多く感じられました。Beauty Techに分類される「 AI Beauty Mirror 」は、いわゆるミラー系デバイスですが、オンデバイスで動作するAIが搭載されていることや、偏光ミラーとハーフミラーの組み合わせによって鮮明な映像を実現していることが特長的でした。 *11 In the next area, visitors entered a space modeled after a powder room where a circular mirror revealed itself as the AI Beauty Mirror. Powered by on-device AI, the technology signalled Samsung’s technology expansion into the beauty space. The hybrid design combines a polarised mirror with a half mirror to improve reflectivity and transparency, delivering clearer, more precise visuals. このデバイスは韓国ビューティー大手であるAMOREPACIFIC社の技術を生かしたものです。その根底には2026 Honoree in Beauty Techを受賞した「 Skinsight 」の技術が取り込まれています。 一方で、そのテーマ性もあってか「CES Innovation Awards」で「2026 Honoree in XR & Spatial Computing」を受賞した「Galaxy XR」が、このSamsung特設会場のどこにも展示されていなかったことは、個人的には少し残念でした。 Razer AIコンパニオンのひとりに日本人のSAOさんを起用したProject AVA RazerはCES 2025で “AI esports coach”として発表していた「 Project AVA 」 を、CES 2026では “YOUR AI DESK COMPANION”としてその全貌を公開 しました。 プライベートエリアに展示されていたデスクサイズのProject Ava いわゆるポストGateboxとも言える“キャラクター召喚装置”は目新しいものではなく、2025年にKickstarterでクラウドファンディングを実施していた「 CODE27 」や、CES 2026にも出展していた「 Dipal 」や「 Lepro Ami 」などが挙げられます。そういった状況でこのAIが前提になった時代にRazerが本格的に参入してきたことは、潮目が変わりつつあると言えるかもしれません。 CES 2026の翌週、1月11日から13日にかけて開催された NRF 2026 で GoogleはAgentic Shopping時代に向けた共通規格となる「UCP」を発表 しました。もしかすると、こういったAIコンパニオンがその間に介在する未来も十二分に考えられるのではないでしょうか。 Robot, Robot and Robot... 数年前は「NorthはEVのCES」という雰囲気もありましたが、EV市場は頭打ちになりつつあると言われています。今年はそれらがロボットに置き換わっていました。トップトレンドにAIとRoboticsが含まれているだけあります。とにかく多種多様なロボットを見ました。ここで言うロボットは人型ロボットです。効率を最大化するとき、人型であることが最適解なのかは気になりますが、フィジカルAIの機運を感じられました。 AI とロボットの発展によって人が“洗濯物を畳む”という作業から解放される日は来るか? これはあまりに好きすぎてしばらく眺めていた Dyna Robotics 社によるシャツの折り畳みロボット🤖🧺 #CES2026 pic.twitter.com/O4UvKzF7A4 — HEAVEN ちゃんᯅ a.k.a. ikkou (@ikkou) 2026年1月9日 Roboticsは専門分野ではないため深掘りはしませんが、DYNAの洗濯物を畳むロボットはとても印象的でした。興味があれば動画を再生してみてください。 おわりに 帰国時にハリー・リード国際空港で体験したAmazon Oneによる手のひら決済 例によって今回のCES視察は開発部門の福利厚生である「 セミナー・カンファレンス参加支援制度 」を利用しての参加となります。 昨年同様、今回もアメリカン航空の直行便を選択したためフライトは割高になりましたが、乗り継ぎがない分、時間を有効に使えました( ハワイアン航空のStarlink機内Wi-Fi にも惹かれましたが!)。CES 2027の開催日程は、今年と同じ日程の1月6日から9日の4日間と発表されています。参加意向のある方は、できるだけ早くフライトとホテルを手配すると良いでしょう。 例年通りのことですが、フライトとホテル以外にも一定の金銭的コストが発生しています。CESに限らず、海外で開催されるカンファレンスにおいては、そのコストに対して得られる成果に対するコストの正当性を説明するのは難しいかもしれません。しかし、XR領域は「 百聞は一見ならぬ“一体験”にしかず 」です。CESに関するニュース記事はCESの会期中から多く目にしますし、ChatGPTのdeep research機能などを使えば、ある程度の情報は得られます。現地に足を運び、自らの目と手で体験し、一次情報を得ることが重要だと認識しています。Zooxの乗車体験や、帰国時に体験したAmazon Oneによる手のひら決済も、一次情報を得る取り組みの一環だと考えています。 モーニングミーティングで訪れたご当地ファミリーレストランのBlueberry Hill Restaurant そして、CESはビジネスショーという性質上、個別に会話するプライベートブースが用意されています。いくつか参加しましたが、こういったオンサイトならではの対面コミュニケーションも、インターネットメディアの記事等からは得られない大きなメリットだと考えています。わざわざ現地に赴いて参加するのであれば、あらかじめそういった場をセッティングしておくことを強くおすすめします。 最後までご覧いただきありがとうございました。来年もまた、CES 2027のレポートをお届けできるように努めてまいります。 ZOZOでは、各種エンジニアを採用中です。ご興味のある方は以下のリンクからご応募ください。 corp.zozo.com 以上、現地からのレポートでした! *1 : https://www.ces.tech/press-releases/innovators-show-up-ces-2026-opens-today *2 : https://www.ces.tech/press-releases/what-not-to-miss-at-ces-2026/ *3 : https://cdn.ces.tech/ces/media/pdfs/ces-2018-audit-summary.pdf *4 : https://cdn.ces.tech/ces/media/pdfs/ces-2019-audit-summary.pdf *5 : https://cdn.ces.tech/ces/media/pdfs/2020-ces-attendance-audit-summary.pdf *6 : https://cdn.ces.tech/ces/media/pdfs/attendee-audit-summary-2023.pdf *7 : https://www.ces.tech/media/5tmfzidk/attendeeauditsummary_2024.pdf *8 : https://www.ces.tech/media/53eghnx5/ces-2025-attendee-audit-summary.pdf *9 : https://www.modewearables.com/ *10 : https://www.mtg.gr.jp/news/detail/2026/01/article_2481.html *11 : https://news.samsung.com/uk/ces-2026-an-entertainment-companion-for-every-moment-seen-and-heard
ゲーム業界は今、かつてない変革期を迎えています。モバイルゲームの普及、クロスプラットフォーム化、そしてメタバースの概念拡大など、従来のゲーム開発に求められる技術スタックでは対応しきれない課題や知識需要が次々と生まれています。特に、大規模なマルチプレイヤーオンラインゲームの開発においては、スケーラブルなサーバーサイド技術への需要が急速に高まっています。 しかし、こうした技術需要に対して、ゲーム開発に特化したサーバーサイド技術を持つプログラマーの育成には課題が山積しているのが現状です。多くのゲームプログラマーはクライアントサイドの開発に特化しており、サーバーサイド技術への理解が十分とは言えません。従来の Web アプリケーション開発とは異なる、リアルタイム性やスケーラビリティ、グローバル展開といったゲーム特有の要件、さらには可用性・レジリエンシーを確保した堅牢なシステム設計に対応できるプログラマーの育成が、業界の課題となっています。 ゲーム開発におけるクライアントサイド技術に加えて、サーバーサイド技術も身につけることで、ゲームプログラマーとしてのキャリアの可能性は大きく広がります。オンラインゲームの企画段階からアーキテクチャ設計に関わることができ、技術的制約を考慮した企画提案や、運用を見据えた実装が可能になります。 このような背景から、 株式会社コーエーテクモゲームス (以下、コーエーテクモゲームス) と、Amazon Web Services Japan は共同で、2025 年度新卒ゲームプログラマー向けに、次世代のゲームプログラマーを育成する「ゲームサーバー開発研修プログラム」を実施しました。その取り組みをご紹介します。 ゲームサーバー開発研修プログラムの設計 オンラインゲーム開発・運営では、ゲーム開発スキルに加えて、以下のネットワーク関連スキルの習得が不可欠です: サーバーサイド基盤技術:Linux、TCP/IP、HTTP/HTTPS プロトコル データベース設計:RDB、NoSQL、分散データベース リアルタイム通信:UDP、TCP ソケットを活用したゲーム通信プロトコル 分散システム設計:負荷分散、可用性・レジリエンシー対応 クラウドアーキテクチャ:AWS サービス群の適切な活用と組み合わせ 新卒ゲームプログラマーがこれらのスキルを効率よく身につけられるよう、コーエーテクモゲームスと協力して、ゲームサーバー開発の研修プログラムを作り上げました。 また、この研修では、 「オンラインゲームがどのような仕組みで動いているのかを理解し、それを他の人とわかりやすく話し合えるようになること」 を目標に掲げています。プログラミングスキルやネットワーク関連スキルを習得することはもちろん大切ですが、それだけではありません。習得した知識を使って、オンラインゲームの仕組み全体を理解し、チームメンバーや企画部門、運営チームなど、さまざまな立場のスタッフと技術的な意見交換ができるようになることに期待しています。その結果、企画段階から「この機能のトレードオフは性能面でどうか」といった技術的な観点での提案ができたり、「将来の運用負荷を考慮したシステム設計」ができる。そんな幅広い視点を持つゲームプログラマーを育成することでオンラインゲーム開発力を高めたいと考えています。 この目標を達成するための、新卒ゲームプログラマー向けの研修は以下の方針で行いました。 1. 段階的スキル構築 :基礎から応用まで無理のない学習曲線を設定 2. ゲーム開発に即した学習 :汎用的なWebアプリではなく、ゲーム開発の文脈で技術を習得 3. 実践重視 :座学・ハンズオン・グループワーク・確認テストを効果的に組み合わせ 4. チーム開発体験 :個人学習に加え、グループ内のディスカッションや他グループのプレゼンテーションを通じた学びを得る ゲームサーバー開発研修プログラムの実装 研修プログラムは5日間の集中プログラムとして行われ、具体的には以下の技術要素を実践的に学習しました。本研修ではオンラインゲームの主要機能 (ギルド作成・ギルド参加・ギルド内でのプレイヤー間メッセージ送信)を題材に、データベース設計から Linux サーバーの操作、 Web API とリアルタイムサーバーのソフトウェアを一通り開発することができ、オンラインゲームにおけるサーバーサイド開発を体験することができるカリキュラムとして実装しています。 1日目: データベース リレーショナルデータベースを活用したゲームデータ設計の基本概念 ゲームデータに対する SQL 操作 テーブル設計グループワーク 2日目: Linuxサーバー・TCP/IP Amazon EC2 インスタンスでの Linux OS 基本操作 パフォーマンス監視、プロセス管理、ログ分析 TCP/IP プロトコルスタック、パケット解析 3日目: ネットワークプログラミング① HTTP プロトコルの理解 PHP を用いた Web API の実装 Web API の設計グループワーク 4日目: ネットワークプログラミング② ゲーム開発におけるネットワーク通信手段の理解 Node.js を用いたリアルタイムサーバーの実装 リアルタイムサーバーにおけるスケーラビリティの考慮 5日目: クラウドとアーキテクチャ設計 クラウドコンピューティングの基礎 要件定義からアーキテクチャ設計に至るプロセス ゲームサーバーのアーキテクチャ設計グループワーク データベース研修の様子 グループワークの実施 研修の一部では、3〜4名のチームに分かれて、オンラインゲームを題材に以下の3つの設計課題に取り組みました: データベース設計:プレイヤーデータ、ギルド、メッセージ情報の設計 Web API 設計:ゲームクライアント・サーバー間通信、ギルド参加、メッセージ送受信の実装 クラウドアーキテクチャ設計:AWS サービスを活用したシステム設計 グループワークで作成した API 設計の一例 グループワークの成果物のプレゼンテーションが行われている様子 グループワークの実施により、個人学習では得られない以下の効果が確認されました: 技術的議論を通じた理解の深化 :チームメンバー間での技術的議論により、個人学習では気づかない設計上の考慮点や最適化手法を発見する場面が見られました。特に、データベース設計においては「なぜこの設計にするのか」という根拠を説明し合い、他チームからのフィードバックを得ることで、理解が大幅に深まりました。 多角的な視点の獲得 : 同一の技術課題に対して複数のアプローチを検討する機会が生まれました。これにより、単一の解決策に固執せず、トレードオフを考慮した柔軟な思考力が身につきました。 研修の成果と評価 参加者フィードバック 研修終了後のアンケートでは、「オンラインゲームのアーキテクチャを大まかに理解できたこと」「サーバーサイド技術への苦手意識の改善」など参加者から多くの前向きな評価をいただきました。実施後の参加者向けのアンケートでも想像以上の高い満足度が確認できており、新卒ゲームプログラマーの成長に合わせた学習カリキュラムの提供を今後もコーエーテクモゲームスと共同で計画しています。 以下に、フリーコメントの一部を抜粋して紹介します: サーバーサイドの分野について漠然としていた理解が、より具体的でクリアなものになりました。特にデータベース設計やアーキテクチャ設計については、パズルのような面白さがあり、アイデアや深い思考が求められる点に強く関心を持つことができました。 以前はプログラミングでネットワーク関連に触れる機会がなく、今回の研修でサーバーの構築や運用の概要を知ることができ、大変勉強になりました。「ネットワークが難しそう」という印象から、「ネットワークをもっと知りたい」という意欲的な姿勢に変化することができました。 オンラインゲームに必要な技術や考え方、さらにインターネットを介することで重要性が増すセキュリティについて、実感を伴う形で理解を深めることができました。 技術理解度の測定 技術理解度の測定には、 AWS Skill Builder Trivia を活用し、ゲーム感覚で学習効果を測定できる仕組みを導入しました。AWS Skill Builder Triviaは、リアルタイムでマルチプレイヤー競争が可能なクイズプラットフォームです。本研修では、5日間の学習内容の復習を目的として、研修で扱った技術要素に関するカスタムクイズを作成し活用しました。 特に効果的だった点: 即座のフィードバック:クイズ結果により、理解不足の領域を即座に特定できる 競争要素:リアルタイムリーダーボードによる学習意欲の向上 インタラクティブな体験:QRコードでの簡単参加により、全員がスマートフォンから気軽に参加できる AWS Skill Builder Triviaを活用した復習セッションの様子 今後の展望 今後の展望について、執行役員 エンタテインメント事業部 シブサワ・コウブランド長 澤田 圭輔 氏と、エンタテインメント事業部シブサワ・コウブランド シニアリーダー 冨士田 智仁 氏に、今後の展望について話を伺いました。 「5 日間の集中研修で基礎技術を習得した後、チームでミニゲームを作成し、ネットワーク機能を実装することにしました。クライアント・サーバー間の連携や、実際のコーディング経験の重要性を、実践的なゲーム開発を通じて体験してもらうことで、より実用的なスキルが身につくと考えています。新卒社員にとって、サーバーサイド技術との連携を実感できる貴重な機会になると期待しています。そして、今回の研修で得た技術・経験を活かして開発現場で活躍いただけることに期待しています!」 澤田 圭輔 氏 「研修の成功を受け、より高度な技術領域への展開を計画しています。 AWS のクラスルームトレーニング を活用し、専門コースの受講を検討中です。また、研修参加者のスキルの可視化と継続的な学習モチベーションの維持のため、 AWS 認定資格 の取得を推奨しています。既に一部の社員が積極的に資格取得に取り組んでおり、社内の AWS 技術レベルの向上に大きく貢献しています。」 冨士田 智仁 氏 初級クラウド人材育成おすすめラーニングパス おわりに コーエーテクモゲームスと Amazon Web Services Japan の共同研修である「ゲームサーバー開発研修プログラム」は、ゲーム業界特有の技術要件に対応できる人材育成において、貴重な一歩を踏み出すことができました。 リアルタイム性、スケーラビリティ、グローバル対応、継続的サービス運用といったゲーム特有の要件を満たすために、クラウドの理解と実践的活用スキルを磨き続けることがゲーム開発者のキャリアの幅を大きく広げると期待しています。 また、今回の取り組みが、ゲーム業界全体での技術人材育成のモデルケースとなり、より多くの企業で同様のプログラムが展開されることを期待しています。AWS は今後も、ゲーム業界のイノベーションを支える人材育成に積極的に貢献していきます。 この記事は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 シニアソリューションアーキテクト 大西 啓太郎が執筆しました。
AWS Summit Japan 2025 が 6 月 25 日、26 日の 2 日間、幕張メッセにて開催され、会場とオンラインを合わせて過去最高となる延べ 69,000 人超の方にご参加いただきました。Industry Pavilion 流通小売消費財ブースでは「The Future of Retail – AWS の提案するリテールの少し先の未来 ( 参考ブログ記事 )」をテーマに展示を行い、本ブログではその中のデモ、「マルチ AI エージェントと 3D アバターによる新たな接客体験」についてご紹介します。 このデモでは、小売業界の店舗接客をテクノロジーで進化させ、マルチ AI エージェントと連携した 3D アバターが顧客一人ひとりにパーソナライズされた買い物体験を提供する新しい小売の形を示しました。人手不足の解消や接客品質の均一化といった業界課題に対するソリューションとして、多くの来場者の注目を集めました。 3D アバター接客がもたらす小売業の新たな価値 流通小売消費財企業における接客スタッフは実店舗での最も重要な顧客接点です。しかし、日本の労働人口減少による深刻な人手不足や高い離職率、接客品質の均一化といった課題に直面しています。特に小売業界では、人材確保が経営課題となっており、持続可能な店舗運営のための新たなソリューションが求められています。 近年、生成 AI の技術進化とネットワークインフラの充実により、3D アバターによる接客が実用段階に入りつつあります。これによって 24 時間対応可能な接客、顧客データと連携したパーソナライズされたレコメンデーションなど、人間のスタッフだけでは実現困難だった体験が可能になります。アバターは自然な会話能力を持ち、実際に喋ることができるため、より人間らしいインタラクションを提供できます。 今回展示した 3D アバターシステムでは、Amazon One Enterprise ( 参考ブログ記事 ) で取得した認証情報を元に顧客の属性、購買履歴、カート情報のデータを分析し、最適な接客を提供する機能が実装されています。Amazon One は、手のひらと静脈の画像を ID にリンクすることで、ID を正確に認証できる非接触型 ID 認証サービスです。この技術は店舗接客だけでなく、オンラインショッピング、ホテル、医療機関、金融機関など、様々な顧客接点に応用可能です。 マルチ AI エージェントの連携がもたらす新たな顧客体験価値 流通小売消費財企業が人手不足や接客品質の均一化という課題に直面する中、複数の AI エージェントが連携するマルチ AI エージェントは効果的な解決策を提供します。顧客属性や商品データの取り扱いにに特化したエージェント、接客対応に長けたエージェントなどが状況に応じて最適な対応を行い、それぞれの専門性を活かした総合的なサービスを実現します。生成 AI を活用したエージェントは、従来のプログラミングによる細かな制御を必要とせず、ルールベースでは難しい柔軟な応答や多様な顧客ニーズへの対応も可能です。これらのエージェントは顧客の属性や購買段階を検知して柔軟に役割を切り替え、Amazon One で取得した認証情報と連携した 3D アバターを通じて、顧客一人ひとりの購買履歴や属性に基づいたパーソナライズされた接客を 24 時間提供します。さらには、各エージェントが収集したデータを共有・分析することで接客の質が継続的に向上し、来店ごとに進化する体験を可能にします。このように、マルチ AI エージェントシステムは単なる省人化ツールではなく、人間のスタッフだけでは実現困難だった柔軟性と専門性を兼ね備えた新たな顧客体験価値を創出し、実店舗からメタバースまで幅広い顧客接点における次世代の小売体験の基盤となることが期待されています。 展示内容 会場では 3D ホログラフィックディスプレイによる接客アバター(写真左)を展示し、AI エージェントと連携した少し先の未来へとつながる購買体験をお客様にご覧いただきました。お客様が Amazon One で認証を行うと、システムが顧客情報を取得し、AI エージェントが自動的に起動します。AI エージェントのプロセスについてはモニタリングされ(写真中央)、複数の AI エージェントが一貫した接客をどの様に行うのかを見ることができます。AI エージェントは取得した顧客情報をもとに、アバターへ会話内容を送信します。アバターはお客様の名前を優しく呼びかけながら、丁寧な挨拶で接客を開始します。さらに、AI エージェントが顧客の属性、購買履歴、カート情報を分析し、アバターがお客様へ最適化されたレコメンデーションを親しみやすい言葉で案内します。 図1 AWS Summit Japan 2025 流通小売消費財ブースの様子 図2 マルチ AI エージェントによる接客のプロセスをモニタリング 接客デモの全体アーキテクチャ 接客デモの構成について説明します。全体構成図は次のようになっています。 図3 接客デモの全体アーキテクチャ図 以下は構成図内の番号と対応した説明になります。 1. Amazon One の端末からユーザーの識別子を送信 お客様の来店時に Amazon One へ手をかざしていただき、Amazon One のユーザーレジストリと連携した認証を開始します。 2. 認証情報を Amazon EventBridge へ送信 認証されたユーザー ID を Amazon EventBridge へ送信し、AI エージェントを起動するイベントとします。 3. AI エージェントの起動 イベントから AWS Lambda が起動されます。Lambda ではAIエージェントを構築・実行するオープンソースの SDK「 Strands Agents SDK 」により、購買履歴等の取得、メッセージの作成、メッセージの送信を行うタスクに分解され、それぞれの処理が実行されます。 4. 仮想店舗よりデータを取得 「Retail Demo Store ( 参考ブログ記事 、および ソースコード )」と名付けられた仮想店舗よりユーザー ID を基に、ユーザー名、購買履歴、おすすめアイテムを取得します。 5. レコメンデーションメッセージの作成 識別したユーザーに応じた挨拶やレコメンデーションメッセージを、取得したデータから生成AIが作成します。 6. アバターが発話 アバターに話をさせるための API(Speak API)へメッセージを送信し、ホロフラフィックディスプレイデバイス上でアバターが発話します。発話の際の唇の動きといったアバターの細かな動きは、ホロフラフィックディスプレイ上のアプリケーションで描画をしいます。 7. おすすめアイテムをタッチパネルへ表示 手順 4 で取得したおすすめアイテムをタッチパネルへ表示し、追加購入へとつなげやすいインターフェースを提供します。 8. おすすめアイテムの商品選択 アバターによる接客で購買体験を得た流れで、選択された商品データを送信します。 9. 追加購入商品をカートへ 以上の一連の流れで、3D アバターによる接客を通じて少し先の未来へとつながる購買体験ができます。 マルチ AI エージェントのアーキテクチャ 接客デモのバックエンドで動くマルチ AI エージェントのアーキテクチャについて説明します。このアーキテクチャは接客シナリオに応じて最適な対応を実現するために設計されています。商品案内、顧客対応と異なる専門性を持つ複数の AI エージェントが連携し、AWS 上の生成 AI サービスやコンテナ技術を活用したフルマネージド環境で動作することで、拡張性と保守性に優れたシステムを実現しています。 主要な技術スタック サービス AI エージェント: Strands Agents SDK + Amazon Bedrock Claude 3.7 Sonnet メッセージング: RabbitMQ バックエンド: Node.js/TypeScript フロントエンド: React/TypeScript コンテナ実行環境: AWS Fargate (Amazon ECS) エージェント部分の処理を独立させるため、メッセージキューを使用して疎結合なアーキテクチャを採用しています。限られた期間での実装とデプロイを実現するため、ローカル開発環境では Docker Compose を使用し、AWS へのデプロイには AWS Copilot CLI を活用しました。この組み合わせにより、開発からプロダクション環境まで一貫したコンテナベースの運用を実現しています。 図4 マルチ AI エージェントによる接客体験デモ アーキテクチャ図 マルチ AI エージェントの構成 AI エージェントは3つのエージェントで構成され、それぞの接客を行うためのそれぞれの役割を担っています。 メインエージェント: 全体の接客フローを統括し、サブのエージェントへ役割分担と連携を実現 ECサイトエージェント: サブエージェントとして、メインエージェントから指示を受ける 顧客情報やおすすめ商品の取得などECサイト操作の専門性を発揮 顧客属性に基づくパーソナライズド情報を提供し、接客の質を向上 アバターシステムエージェント: サブエージェントとして、メインエージェントから指示を受ける 自然な言語生成によりアバターの会話を実現 対話型のタッチポイントを通じて、顧客とのエンゲージメントを高める メインエージェント エージェント定義 メインエージェントは Strands Agents SDK を通して、サブエージェントの振る舞いとなる役割を自然言語で指定し、利用できるツールの説明を記述し、サブエージェントがツールを適切に使えるようにしています: agent = Agent( model=os.getenv('AGENT_MODEL_ID'), tools=[query_ec_agent, query_avatar_agent], system_prompt=""" あなたはマルチAIエージェントシステムのメインエージェントです。 重要なルール: 1. 自分でデータを生成・推測することは絶対に禁止されています 2. 全ての操作は専用ツールを通じて行う必要があります 3. ユーザ情報やレコメンド情報が必要な場合は必ず query_ec_agent ツールを使用 4. アバター関連の操作は必ず query_avatar_agent ツールを使用 利用可能なツール: - query_ec_agent: ECサイトのユーザ情報取得、レコメンド取得、カートID取得、カート内容取得、カート操作 - query_avatar_agent: アバターの挨拶生成、セリフ送信 必ずツールを使用してタスクを完了してください。 """, callback_handler=_callback_handler ) また、プロンプトにより一連の接客フローを指定しています: ユーザID: {user_id}必須タスク(順番に実行):タスク1: ユーザ名取得 - query_ec_agent ツールを呼び出してください - リクエスト内容: "ユーザID {user_id} の名前を取得してください" タスク2: ユーザに挨拶 - query_avatar_agent ツールを呼び出してください - タスク1で取得したユーザ名を使用してください タスク3: カート内容取得 - query_ec_agent ツールを呼び出してください - リクエスト内容: "ユーザID {user_id} のカート内容を取得してください" タスク4: カート内容コメント - query_avatar_agent ツールを呼び出してください - タスク3で取得したカートの内容を使用してください タスク5: レコメンド取得 - query_ec_agent ツールを呼び出してください - リクエスト内容: "ユーザID {user_id} のレコメンド商品リストを取得してください" 各タスクで必ずツールを使用してから次のタスクに進んでください。 ツールを使用せずに推測や仮定で回答することは絶対に避けてください。 すべてのタスクを完了したら、作業の概要報告などは避けてすぐに終了してください。 このプロンプト設計により、メインエージェントは他の専門エージェントを適切な順序で呼び出し、一貫した接客フローを実現します。 EC サイトエージェント エージェント定義 ECサイトエージェントはメインエージェントから指示により役割を定義され、複数のツールを持つ専門エージェントとして実装されています: agent = Agent( model=os.getenv('AGENT_MODEL_ID'), tools=[get_user_info, get_recommendations, get_cart_id, get_cart], system_prompt=""" あなたはECサイト操作エージェントです。 ユーザ情報の取得、レコメンド商品の取得、カートへの商品追加などの ECサイト関連の操作を担当します。なお通貨は米ドル (USD) です。 """, callback_handler=_callback_handler ) EC サイトの操作 Strands Agents SDK の @tool アノテーションを使用することで、Python 関数を簡単にエージェントのツールとして定義できます: @tool def get_user_info(user_id: str) -> dict: url = f"{_api_base_url}/users/id/{user_id}" try: return json.dumps(get_api(url, _api_region)) except Exception as e: logger.error(f"Error getting user info: {e}") return {"error": str(e), "user_id": user_id} @tool def get_cart(cart_id: str) -> str: url = f"{_api_base_url}/carts/{cart_id}" try: return json.dumps(get_api(url, _api_region), ensure_ascii=False) except Exception as e: logger.error(f"Error getting cart: {e}") return json.dumps({"error": str(e), "cart_id": cart_id, "items": []}) get_api という関数は、後述する Retail Demo Store に対する API アクセスを行うラッパー関数です。API のホストには Amazon API Gateway が利用されており、ラッパー関数内で SigV4 署名を行っています。 Retail Demo Store について 本デモでは Retail Demo Store と呼ばれる、AWS のサービスを利用したモダンなアーキテクチャにより構成された e コマース のリファレンス実装をバックエンドの EC サイトとして活用しています。実際のECサイトと同様のAPIを提供しており、デモ開発に最適なプラットフォームです。 Agent as Tools 重要な点として、ECサイトエージェント自体も @tool アノテーションを付与した関数内で定義することで、メインエージェントからツールとして呼び出される設計になっています。これにより、エージェント間の階層的な協調動作を実現しています。 アバターエージェント エージェント定義 アバターエージェントはメインエージェントから指示により、挨拶文の生成とアバターシステムへの挨拶文送信を担当します: agent = Agent( model=os.getenv('AGENT_MODEL_ID'), tools=[invoke_avatar_lambda], system_prompt=""" あなたはアバターシステム操作エージェントです。 依頼に応じてアバターが話すセリフを生成し、アバター操作用Lambdaを呼び出す役割を担当します。 セリフを生成したら、セリフ文を提示してからLambdaを呼び出してください。 セリフは2種類あります。 1. ユーザへの挨拶 2. カート内容へのコメント ユーザへの挨拶は以下のルールに従って生成してください。 - ユーザ名を含むこと - 「こんにちは、[ユーザ名]さま、(ひとこと)」など、簡潔であること - アラビア数字や漢字は使わないこと - ひらがなとカタカナのみ利用していること カート内容へのコメントは、以下のルールに従って生成してください。 - カート内の商品について触れること、ただし商品名を正確に復唱する必要はなく、すべての商品について述べる必要はない - 50文字程度の長さとすること - アラビア数字や漢字は使わないこと - ひらがなとカタカナのみ利用していること 以下のツールを使用できます: 1. invoke_avatar_lambda: 生成した挨拶文をアバターシステムに送信する """, callback_handler=_callback_handler ) ※ 本デモでは、アバターによる発音の都合上、文字種の指定も行っています。 アバターシステムとの連携は AWS Lambda を通じて行われ、以下のようなツールで実装されています: @tool def invoke_avatar_lambda(greeting: str) -> dict: try: lambda_client = boto3.client( 'lambda', region_name=os.getenv('PROTO_SPEAK_LAMBDA_REGION') ) payload = json.dumps({"text": greeting}) response = lambda_client.invoke( ...後略 この実装により、AI が生成した自然な挨拶文がリアルタイムでアバターに反映され、お客様に対してパーソナライズされた接客体験を提供できます。 なお、ブースの技術解説コーナーで利用していたデモ解説などの資料は、こちらの リンクからダウンロード いただくことが可能です。 まとめ 流通小売消費財企業は、商品開発製造から物流、多様なチャネルを横断したシームレスな購買体験の提供、進化する消費者のニーズと期待に応えるためのオペレーション最適化などを再発明 (reinvent) するための変革に直面しています。AWS Summit 2025 で展示された 3D アバターと マルチ AI エージェントの技術は、その変革において欠かすことのできない技術要素である生成 AI を中心に店舗体験を「少し先の未来」へと変えることができます。Amazon One による認証と AI エージェントを組み合わせ、顧客データを活用した高度なパーソナライゼーションと自然な会話による接客体験を実現しています。この技術は今後、小売業界だけでなく様々な顧客接点を持つ業界へと広がり、人間のスタッフ、生成 AI エージェント、3D アバターが共存する新しい接客の形として、顧客体験の向上と業務効率化の両立に貢献していくことが期待されます。 本記事著者およびデモの開発は、ソリューションアーキテクト 古山と小森谷が担当しました。

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