なぜNTTデータの金融業界×ウォーターフォール型PMが、 たった2カ月でアジャイル開発リーダーに変貌できたのか?
アーカイブ動画
■登壇者プロフィール
株式会社NTTデータ 技術革新統括本部
Agileプロフェッショナル担当 主任 河口 慈氏
2017年入社。金融系大規模アジャイル案件のスクラムマスターや、アジャイルプロセスのR&Dを担当。アジャイルコーチとして、様々な案件のサービス検討やスクラム開発のサポートを行う。また、社内外に向けたアジャイルの研修や勉強会も実施。
株式会社NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部
第五製造事業部 コネクティッド統括部 課長代理 辻岡 佑介氏
2008年入社。入社以来一貫して金融部門で共同利用型ダイレクトチャネルシステムの開発・運用を手掛ける。全国の金融機関向け大規模システムにて、オンプレミス環境、Java/Oracleで構築されたエンタープライズシステムの開発を担当。本年度よりモビリティ専門チームである第二開発にてスクラムマスターなどプロジェクトリーダーを務める。
株式会社NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部
第五製造事業部 コネクティッド統括部 課長 前田 康博氏
2004年入社。入社後、法人系の人事給与システムなどのバックオフィス系の開発に従事。顧客の立場で業務遂行を行うITディレクターなど、NTTデータへの開発に繋げる業務も実施。ミッションクリティカルなシステムの開発PMなど、様々な業務・役割を担当。現在は、第二開発部で複数のチームを管轄する開発マネージャーを務める。
株式会社NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部
第五製造事業部 コネクティッド統括部 統括部長 西沢 昌哉氏
2002年入社。入社より法人分野を中心に、製造業の基幹システムの構築に従事。公団民営化プロジェクト等にも参画し公共プロジェクトも実施。NTTデータ人事採用の責任者、FactoryIoT領域でのシステム開発責任者、AI/IoT領域での事業企画、AI営業を経てコネクティッド領域の開発責任者として現在に至る。
新しいモビリティサービスを生み出すべく、多様な人財が集結した専門部隊「M5-2」
まずはモビリティチームのコネクティッド統括部を牽引する統括部長である西沢昌哉氏が登壇し、チーム発足の理由とメンバーの特徴について紹介した。
「NTTデータには金融や公共・自治体といった大規模案件を手がけているイメージを持つ人が多いと思います。実際には9つのストラテジーフィールドがあり、私たちが所属しているのは、その中の自動車、モビリティ領域になります」(西沢氏)
EVや自動運転など、モビリティ業界は変化が激しい。その変化に対応できるように、2020年4月に登壇メンバーが所属する、通称「M5-2」と呼ばれる部署が発足した。従来のウォーターフォール開発ではなく、アジャイル開発で市場にフィットしたサービスをスピーディー生み出していく。
メンバーは、社内公募で多様な人財を求めた。結果、様々なバックボーンを持つメンバーをアサインすることができた。西沢氏自身、製造業務系のシステム開発でPMやコンサルタント経験に加え、本社人事系業務、工場のIoT化やAIサービスの提供、クライアント先への出向など、幅広い経験を持つ。
課長を務める前田康博氏は、バックオフィス系の開発案件でSEやPLを経験後、大手電機メーカーのITディレクター、顧客企業のIT部門への出向、ミッションクリティカルプロジェクトでのPMなどを様々な業務・役割を経験し、現在、M5-2のアジャイル開発マネージャーを担当している。
辻岡佑介氏は、入社以来13年間一貫して、金融関係のシステム開発のアプリケーションエンジニア、PMとして活躍してきたが、社内公募によりM5-2に参画している。 今回タイトルにもある2か月でアジャイルプロジェクトリーダーに転身したという。
河口慈氏は、入社当初はウォーターフォール型の案件に携わってきたが、2019年からは「アジャイルプロフェッショナルセンター」に異動し、金融系大規模アジャイル案件のスクラムマスターやアジャイルプロセスのR&Dを担当。現在はアジャイルコーチとしての仕事に加え、社内外でアジャイル関連の研修や勉強会を実施している。
なお、アジャイルプロフェッショナル担当とはまさに言葉どおり、アジャイル開発手法の研究開発およびプロジェクト遂行を行うために、社内に設けられた専門組織である。詳しくは、こちらのWebサイトを参照してもらいたい。
アジャイルに転身するための3つのポイント
続いてはアジャイルコーチの河口氏が登壇し、次の2つの質問を参加者に投げかけた。
Q1:みなさんは、どの旅行者タイプですか
1:綿密に計画通りに実行する
2:計画通りでなくても臨機応変に
3:同行者についていく
Q2:5名でパリに旅行中。1人が「どうしてもルーブル美術館に行きたい」と言っている
1:ルーブル美術館に行くことにする
2:ルーブル美術館には行かない
3:みんなで多数決で決める
Q1の回答は「2:計画通りでなくても臨機応変に」が約8割。一方、Q2の回答は「1:行くことにする」が47%、「3:多数決で決める」が48%と割れ、「行かない」は4%であった。「どれも正解ではない」と、河口氏はニヤリ。この質問には「アジャイル開発の本質が込められている」と、解説を始めた。
「アジャイル開発では、顧客の『価値』とプロダクトの『目的』によって、目の前の選択を判断します。今回の場合は、改めて全員で旅行の価値と目的を話し合い、再計画する。アジャイル的には、このような行動が正解です」(河口氏)
なお、アジャイルの本質は「アジャイルソフトウェア開発宣言」でも明確に提示されていると河口氏。実際に宣言の一部を引用し、次のように補足した。
「アジャイルはプロセス論ではなく『個人と対話』すること。その上で、顧客満足を最優先すべきだと記述されています」(河口氏)
だが、アジャイルの本質を理解したところで、実践することは難しいと河口氏。では実際に「できる」ようになるのはどうすればよいのか。「目的」「マインドセット」「組織」と3つのポイントを挙げながら、従来のウォーターフォール型との違いを説明した。
【目的】
ユーザーが5000万人に達するまでに要した期間を比較すると、電話50年、テレビ22年、インターネット7年、Twitter2年、ポケモンGOは19日。昔のプロダクトは浸透するまでに時間がかかっていたが、昨今のプロダクトは短いことが分かる。
このような傾向から、ウォーターフォール型では開発している間に他のサービスが生まれたり、市場のニーズが変わる。そのためアジャイル型で開発し、常に顧客の目的や価値を確認しながら開発を進める必要がある。
【マインドセット】
以下のスライドの右側は、事前に緻密な計画を立て、計画どおりに動くウォーターフォール的マインドであり、アジャイルには適さない。詳細な計画がなくてもまずは動き、やってみるマインドがアジャイルでは求められる。
さらに、作業や役割分担、個々のスキルを明確にし、スコープ以外の業務や活動はしないのがウォーターフォール型。対してアジャイル型では柔軟に対応する心構えが必要になる。
「アジャイルが正解でウォーターフォールが間違い、ということではなく、状況によってマインドセットを切り替えていくことが重要です。当然、ウォーターフォールで開発を進める方が、良い結果が出るプロジェクトもあるからです」(河口氏)
【組織文化】
個々のマインドセットがいくら変わったところで、組織が受け入れる体制でなければ、アジャイルはうまくいかない。従来の「縦割り組織」「ヒエラルキー型の体制」「失敗を是としない安定・安全が良しとされる文化」「一人ひとりの裁量が狭い」などの特徴を持つ組織は、ウォーターフォール型に向いている。
アジャイルに向いている組織文化は、まさに真逆だ。個々のメンバーが自由に動けるネットワーク型の組織であり、失敗、変革、チャレンジも許容される。河口氏は次のようにまとめ、セッションを締めた。
「まずは、やってみようという個々メンバーの意思を尊重すること。例え失敗しても否定せず、トライアンドエラーを繰り返すことを許容する組織が求められます。また、個人や組織が変わるためには、実際にアジャイルを実践すること、成功体験を重ねていくことが重要です。その結果、知識やマインドが机上の空論から、現場で活きるスキルとして定着していきます」(河口氏)
2カ月でアジャイル開発のリーダーにリスキルできた理由
続いては、実際にウォーターフォール型のPMから、わずか2カ月でアジャイル開発リーダーにリスキルをした辻岡佑介氏が登壇。どのようなフローやマインドセットで進めていったのか、その苦労や現状なども含めた秘訣を紹介した。
まずは、河口氏も掲げた「知識」「マインドセット」「バランス」である。知識は河口氏が説明したように、一般的なアジャイルの知識や手法を学んでいった。
並行して、マインドセットを変えていった。具体的には、「奉仕精神」「チームワーク」「顧客との信頼関係」を重視する。一番苦労した「バランス」では、ウォーターフォール型の開発スタイルとのバランスを模索していった。その際に、ウォーターフォール開発とアジャイル開発それぞれの特徴を比較したスライドを紹介した。
「特に苦労したのがスコープです。スプリントごとにスコープを定めるのですが、どうしてもウォーターフォールの開発手法に慣れているため、スプリントの期間内に決められたスコープを達成することばかり意識してしまう。メンバーに達成を促すアクションを、投げかける行動もしていました」(辻岡氏)
比較表を見ても分かるように、ウォーターフォール開発では決まったスコープの達成を優先し、それに合わせて期間・リソースを変動させることが良くあるが、アジャイル開発では開発者が無理をしてすべてのスコープを期間内に達成することよりも、限られた期間・リソースでなるべく優先度の高い要求を実現し、構築したシステムが動く状態にすることをより重視する。
そしてこのようなマインドは、規模・期間についても同様である。大事なのは「顧客満足」の意味するところがどこにあり、何に重点を置くべきかをお客様とも共有しながら開発を進めることである。
「どちらの手法が良いか悪いかが先にあるのではなく、先ず顧客が何を求めているのかがあり、その上でアジャイルなのか、ウォーターフォールなのかを選択することが重要なのだと、今回のリスキルを経て、改めて感じています」(辻岡氏)
スクラムマスターとしてチームを率いた経験から、アジャイル開発のスキルを身につける上で大切なポイントも、同じく3つ挙げた。
・素直さ
・当事者意識(自分ができることをやる)
・チャレンジ精神
素直さでは、自分で計画を立てながらもメンバーの意見も傾聴し、場合によっては計画を変更する柔軟性が求められる。当事者意識はそのまま、他人の状況を詮索したりサポートするのではなく、自分ができることを考え、自ら動くマインドだ。
辻岡氏は任天堂の元代表取締役社長、岩田聡氏の言葉「プロジェクトがうまくいくときは、完璧な計画があって理想的な管理者がいて、計画通りに進めればうまくいくかというとそうではなく、最初決まっていなかったことに自ら手を挙げてくれるメンバーの存在が重要」を引用しながら当事者意識とアジャイル開発との関連性を示唆したうえで、チャレンジ精神について次のように述べ、セッションを締めた。
「変わらぬ信念と変える勇気。私の大好きな言葉です。長年キャリアを積んだフィールドから今の部署に異動したのも、新たなチャレンジをすることで、自分自身が変わることを望んだから。これまで培ってきたスキルに、先進的なモビリティやアジャイル開発のスキルを身につけることで、成長できると感じたからです」(辻岡氏)
【パネルディスカッション】アジャイル向きな人財・組織とは?
ここからは課長を務める前田氏が加わり、パネルディスカッションが展開された。
未経験者だけのアジャイルプロジェクトは失敗する?
前田:アジャイルに向いている人財・組織とは別に、もうひとつ重要な指標があります。プロジェクトそのものがアジャイルに向いているかどうか、という点です。
要求事項が明確で仕様変更があまり発生しないようなプロジェクト特性であればウォーターフォール型が向いていると思います。例えば会計など法律やルールが決まっているシステムなどです。
一方で、新規サービスやエンドユーザーに使ってもらい、フィードバックを得ながら、変更を繰り返すみたいなプロジェクトはアジャイルが向いていると思います。 また、アジャイルで進める場合には、チーム構成も重要です。アジャイルの実経験がないメンバーだけで取り組むと、ウォーターフォールのマインドや手法から脱せられない場合があるからです。河口さんのようなアジャイルコーチをメンバーにアサインすることがポイントです。
辻岡:私がスクラムマスターを務めたプロジェクトでも、河口さんにコーチとして加わってもらい、アジャイルのマインドセットを教えてもらいました。さらに、価値探索など要求事項の明確化のため、クライアントにもディスカッションに参加してもらいました。アジャイル開発のマインドセットを共有してもらうことも重要だと学びました。
前田:マインドセットの醸成に向けた勉強会の実施、クライアントの上位レイヤーにも参加してもらうことは、とても重要ですよね。さらに言えば、アジャイル開発のマインドが浸透するように、クライアント組織全体にNTTデータが提供するアジャイル研修などを受けてもらうことが理想ですね。
西沢:1人ではなく、チーム・組織・クライアントも含めた会社全体が変わっていくことが、必要だと考えています。アジャイルの成果を伝え続けることで、プロジェクトに携わる全メンバー、組織のマインドセットの変化が重要です。
クライアントも巻き込みアジャイルマインドへの変革が必須!
辻岡:私たちがディスカッションにクライアントを招いても、最初は「改めて議論が必要なのか?」と多少懐疑的なメンバもいました。しかし、価値や目的、ゴールを共有することが、アジャイル開発には重要だと説明を継続。すると次第に、お客様にもアジャイルマインドが浸透していったと感じています。
受注・発注という関係性ではなく、顧客が求めるプロダクトを開発するために活発に意見を言い合える。フラットな関係性を築くことが重要だと感じています。
西沢:もちろん一朝一夕では構築できませんから、時間やそれなりの我慢が必要になります。丸投げではなく、顧客から私たちに開発に関しての意見を言える関係性にまで発展することが、望ましいと考えています。
【Q&A】イベント参加者からの質問に登壇者が回答
続いては、参加者からの質問に登壇者が答える時間が設けられた。
Q.NTTデータは堅いイメージがあるが、どのように組織文化を変えていったのか
西沢:すべてが成功するわけではないので失敗してもいい。だから、迷ったらチャレンジしていいと、メンバーに伝えています。アジャイルでは、市場の反応を確かめるためにプロダクトを開発するわけですから。
※補足:NTTデータモビリティチーム M5-2では、統括部長の西沢氏が4Fを掲げ、組織のそのカルチャーが浸透している。
前田:リーダーがチームを引っ張るのではなく、一人ひとりのメンバーの自律性が出るようなマネジメントを意識しています。いわゆるサーバントリーダーシップです。部下・メンバーへ任せる勇気や不安はありましたが、実際に任せてみると、成功体験を重ねていきました。そして成功体験の繰り返しでチームの自律性はさらに高まり、不安も消えていく。良きサイクルが今は生まれていると感じています。
Q.スプリントの期間やスコープの設定は、どのように進めたのか
河口:アジャイルに限ったことではありませんが、最初に大きなロードマップを作成し、マイルストーンを決めます。そこからどれくらいの頻度で変更が入るのか。ユーザーに提供してどの程度の期間でフィードバックしてもらうのか。それらの指標から、スプリントの期間を決めていきます。もちろんアジャイル開発ではマイルストーンの設定も小さく、できるだけ短い期間で検証することが求められます。
辻岡:モビリティ系Webシステム開発では、Webに表示するメイン画面に技術課題があったこともあり、まずはメイン画面のうち主要機能の部分だけでスコープを切りました。大切なことは、動くソフトウェアを早めに提示し、出来上がりをイメージしてもらうことなので、スプリントを長く設定して作り込んだUIを見せるのではなく、大事な箇所が都度分かるようなスプリントの切り方をしました。
Q.ウォーターフォール・アジャイルどちらで進めるかは、依頼を受けた際に決まっているのか。もしくは、コンセンサスを取るのか
西沢:プロジェクトによります。そのためウォーターフォールに向いている場合は我々ではない、別のチームを紹介します。また、アジャイル開発を魔法の杖のように捉え、とりあえずアジャイルで何かしたいといった、ふわっとした依頼は受けないようにしています。
前田:最近は、要件定義よりもさらに上流のビジネスそのものの創発や、サービスのデザインといった価値探索フェーズ(デザイン思考)から我々に支援してほしいという要望もあり、実案件でも価値探索フェーズからプロダクト提供まで一気通貫で対応する案件もでてきています。
河口:顧客から指定される場合もあります。アジャイル開発はお客様を巻き込むことが重要になるので、その場合には、お客様の意思を尊重しつつ意見を伝えます。
Q.顧客に対するコミュニケーションで意識していることは何か
西沢:アジャイル開発は、お客様に負担がかかることは間違いありません。だからこそ、スプリントごとに優先順位を明確にするようにしています。
辻岡:私は、毎朝スコープの優先順位を共有していました。密にコミュニケーションを取るので、アジャイル開発は今のようなオンライン、リモートの方が効率的ですね。
河口:実際に動くプロダクトを見せることを意識しています。その上で議論したり、フィードバックをいただくようにしています。
西沢:顧客はどのようなプロダクトになるのか気になりますから、早く見せることは重要です。それが結果として、早くフィードバックをもらえことにもつながります。
辻岡:私は2週間に一度、レビューをいただくようにしていました。
前田:キックオフの段階からコミュニケーションしやすい関係性を醸成しておくと、フィードバックを多くもらえると感じています。
Q.チームメンバー全員が、アジャイルマインドでない場合もあるのでは?
西沢:もちろん向き・不向きはありますが、実際にやってみると成長スピードの違いこそありますが、多くの場合でアジャイルなマインドに変化していくと感じています。
Q.アジャイル開発での苦労は何か
辻岡:スプリントの期間は短いですが、何周も回していくと正直、疲弊してきます。 また、ウォーターフォール開発が染み付いていると、スコープを守ろうと過多な残業をしてしまい、結果的に潰れるようなケースも見られます。メンバー全員が持続可能な開発を続けられるスコープの見定めも重要だと感じています。
河口:明確に分業化されているウォーターフォールと異なり、アジャイルの場合は個々のメンバーが自発的に動き、かつ裁量も広いです。そのため長時間労働で負荷がかかると、却ってパフォーマンスが落ちてしまうケースが見られます。
西沢:このような特徴から、休憩を入れることもスクラムマスターの大切な役割のひとつでもありますし、フレームワークとしてもあるほどです。
Q.PMはスクラムチームにどのように接すればよいか
前田:大事なのはチームが能動的に動けるような状況を作ることで、PMは彼らを支えるサーバント的な役割にまわります。ただし、チームだけでは解決できないような課題・コンフリクトに直面したときや他のチームや組織を超えたようなマネジメントが必要な場合は、PMが引っ張る場面も当然あります。
河口:アジャイル・スクラムでは自律性を尊重していますが、逆にリスクになる場合もあります。そのような場合は、PMが介入して解決に導きます。
西沢:スクラムマスターやプロダクトオーナーが間違った方向に進まないよう、常にお互いのベクトルや考え方のコアの部分を、すり合わせておくことが重要だと思います。
Q.アジャイル開発ではオールラウンダーを集める必要があるのか。また、人財はどのように育成しているのか
前田:アジャイルの場合、比較的小規模かつ短期間での開発であり、これまでのような設計要員やテスト要員のような専任化の体制構築が困難でオールラウンダーは必要です。個人的にはアプリ~インフラ、上流~下流などの開発の基礎力は、ひとりひとりが経験・身につけておくべきですが、それほど深くでなくても幅広く知識やスキルセットでまずはいいのかなと思います。当社の場合は様々な育成制度がありますので、活用しながら時間をかけて育てています。
西沢:一方で、オールラウンダーばかりを集めるとコストがかかります。そのためチーム内で補完し合っている部分もあります。
河口:結果を出しているアジャイルチームを、他のプロジェクトにそのままアサインするのも良いアプローチだと思います。
Q. モビリティ業界ではどのようなサービス開発が多くなっているか?
前田:自動車業界では、100年に一度の大変革時代と言われていて、これまでのクルマをつくるだけでなく、クルマから得られるデータを基に新たなサービスや社会課題に貢献するような事業がどんどん出て来ています。またクルマがデータを持つようになると自動車業界に限らず、決済や食品・保険など他業界の顧客とつないでサービスを考えられるというのも豊富な顧客基盤をもつNTTデータの強みの1つだと考えており、実際にそのような案件も増えています。
イベントでは参加者から質問が多く出て、時間内に答えきれないものもあったが、 NTTデータモビリティチームは今後もTECHPLAYイベントを開催予定です。
開催予定のイベント
イベントに登壇したNTTデータモビリティチームのM5-2が、経験者採用を目的としたカジュアルMeetUpを開催!!
転職検討中の方も、そうでない方も、「Agile人財になるためにどうしたらいいのか?」なんて、柔らかいキャリア形成の情報収集も歓迎です。
NTTデータのモビリティ最前線、アジャイル開発チームM5-2がカジュアルMeetUpを開催!
開催日時:1月21日(金) 19:00~
イベントページ:https://techplay.jp/event/842200