「利他主義」を掲げてプロダクト開発を手掛ける、LIFULLのエンジニア組織の魅力とは

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「利他主義」を掲げてプロダクト開発を手掛ける、LIFULLのエンジニア組織の魅力とは
日本最大級の不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」を手掛ける株式会社LIFULL。2017年よりCTO(Chief Technology Officer)に就任した長沢翼さんに、エンジニア組織づくりで大事にしてきたスタンス、ユーザー視点へのこだわり、働く環境の魅力について話を聞きました。

ビジネス観点を踏まえ、CTOとしてエンジニア組織づくりを強化

──2017年にCTOに就任されています。現在の仕事内容についてお聞かせください

就任以来、LIFULLとしてどんな方針でプロダクト開発を進めていくか、技術戦略の立案やエンジニア組織の強化を進めてきました。社内インフラのクラウド化をはじめ、システム刷新も進め、ここ2~3年は、エンジニア人材の必要性に応じた海外との連携強化に注力しています。

現在、ベトナムとマレーシアに開発拠点があります。ベトナム拠点は2017年から、マレーシア拠点は2023年から稼働しており、それぞれ現地のエンジニアが在籍していますが、日本との連携の仕方に特徴があると思います。よくある「オフショア開発」といってイメージされる受発注の関係ではなく、同じチームのエンジニアとして日本・ベトナム・マレーシアが連携していくグローバル開発チームを組成するべく、ボードメンバーとして現地にもよく足を運んでいます。

──長沢さんがCTOに就かれた経緯、これまでのご経歴について教えてください

もともと社内にCTOポジションはなく、私がやりたいことと会社のやっていきたいこととが一致して、CTOを任されることになったと感じています。

就任以前はエンジニアのマネジャーをしており、プロダクト開発を担うエンジニアは社内でも重要なポジションにあると考えていました。ただ、当時はいろんな事業部にエンジニアが散り散りに在籍していて、エンジニアが一人だけという部門もありました。

「システム的にこうしたらいいのに」と意見したいことがあっても、どこにどうやって提案すれば良いのか分からず、システムのアップデートに踏み切れないことが社内でも散見されるようになりました。

エンジニア組織として、誰に相談すればいいのかをわかりやすくできれば、意見を持っていきやすくなりますし、経営的な意思決定に絡んでいくことでビジネス観点で技術的負債の解消に取り組んだり、システムのリファクタリング(ソフトウェアの挙動を変えることなく、内部構造を整理すること)を提案したりしやすくなるとも考えました。

マネジャー時代から、組織づくりやプロジェクトの進め方、人材育成面でも、もっとよくなる方法があると、取締役に直接資料を持っていって提案することが多くあり、「こんな技術戦略が必要です」と伝え続けていました。そうしながら、自ら動きつつ様々な壁にぶつかりながらも解決に邁進していました。そうした行動を続けていく中で、「CTOとしてLIFULLのテクノロジー領域を革進させていってほしい」との話がありCTOを任されることになりました。

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──現在、エンジニア組織はどのような体制で動いているのでしょうか

大きく3つの組織があります。1つが、私が本部長を担うテクノロジー本部。全社の情報システム、セキュリティなどインフラ基盤などを横断でカバーする部門です。

2つ目がLIFULL HOME’S事業本部。その中に、LIFULL HOME’Sをメインで開発しているプロダクトエンジニアリング部と、生成AIなど最先端技術を活用しながら、LIFULL HOME’Sの新しいビジネスを作っていくイノベーション開発室があります。後者はエンジニアだけでなく、ビジネス系の人材も多く所属しています。3つ目はグループデータ本部で、データ系エンジニア、データサイエンス系エンジニアが活躍しています。

──CTOとして取り組んできたエンジニア組織づくりを経て、社内のエンジニアに対する見方はどう変化していますか

LIFULLはもともと社内コミュニケーションがオープンな会社で、エンジニアと営業などのビジネスサイドとの関係はとてもうまくいっていました。

ただ、ビジネスサイドからのオーダーに応えて作るという点では機能していましたが、エンジニア側からの技術刷新の提案はなかなかできていませんでした。開発の生産性が悪くても気づかれず、課題があることすら社内で知られていない、という状況がありました。

エンジニア組織が生まれたことをきっかけに、“技術をビジネス価値に転換していく”という観点で提案できる社員が増えていきました。それにより、エンジニアじゃないと言語化しにくい大切な課題に取り組めることが増えてきました。例えば、「開発生産性を上げていくために、リファクタリングが必要」という共通言語が全社に徐々に広がっていった、などのことが挙げられます。

システムのクラウド移行も、部門によっては進んでいないところもありましたが、全社でのクラウド化を方針として示したことで、一気に浸透していきました。

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ユーザーメリットの機能刷新で”業界初のサービス“を生み出す

──プロダクト開発を進める上で、LIFULLが大事にしてきたスタンスや、CTOとして大切にしている価値観、考え方は何ですか

LIFULLでは一貫して、「ユーザーへの価値提供」を大事にしてきました。技術は手段であり、どんな価値を届けるのかがまず最重要である。そこは、エンジニアも非エンジニアもLIFULLで働くみんなが意識していることであり、社是の「利他主義」のマインドが影響しています。

LIFULL HOME’Sでは、他の不動産ポータルサイトよりも先に新たな機能を開発・搭載してきた実績があります。今では当たり前になっている「地図から検索」も、10年前に最初に始めたのはLIFULL。「家賃相場」を出したのもそうですし、昨今では、業界内では珍しく、物件の地図に重ねてハザードマップを表示する機能もつけています。

どのプロジェクトもそうですが、物件を貸したい、売りたいオーナーや事業者の方々と、ユーザーが望むものが必ずしも一致しない場合があり、そこに情報の非対称性がうまれ、ユーザーは理想の住まいからは遠のいてしまいますし、後々クレーム等が発生すればオーナーや事業者の方々にとっても幸せなことではありません。

やはり、ユーザー側からすれば、良い面も悪い面も、すべての情報をあらかじめ得た上で、納得感を持って決めたいと考えるものでしょう。この情報を出してしまうと人気がなくなってしまう物件があるのでは?という声もありましたが、徹底的に議論を重ね「ユーザーのためならば、やってみよう」と機能をリリースしたところ、反応はとてもよく、結果として集客につながり、事業者の方々も喜んでくれるようになりました。

リスクがあったとしても「ユーザーのためのものづくり」を優先する。実績ベースで本気で取り組んできたことが、LIFULLの大事なカラーだと思っています。

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LIFULLで働く魅力は、自らユーザー課題にフォーカスしていくこと

──エンジニアにとって、LIFULLで働く魅力とは何ですか?

ユーザー視点でものづくりがしたい人、自分から意見を発信しながらプロジェクトを進めたい人には最適な環境だと思います。

LIFULLでは、プロダクトごとに、「プロダクトマネジャー」「テックリード」「プロダクトデザイナー」の3職種のトップがつき、ユーザーに「どんな価値を提供するか」から話し合って開発を進めていきます。言われたものを作るのではなく、自らユーザー課題にフォーカスしていくことができますし、営業も「ユーザーのためならやっていこう!」と前向きに動いていきます。

「利他主義」という考えのもとにはみんな平等なので、必要な提案や改善点があれば、年次に関係なく通ります。実際に、新卒1年目のエンジニアが「ABテストの仕組みはもっとこうすべきでは」と私のところまで提案を持ってきて、周りを巻き込んで進めていったケースもありました。

スピード感のある開発に向けて、「市場学習回数」を増やすことも徹底され、市場に出していきながらプロダクト改善をしていこうというアジャイルの考えが浸透しています。成長実感も得られやすいのではないかと思います。

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エンジニアの学ぶ環境という点では、例えばプロダクトエンジニアリング部においては、月に1回、自分の好きな技術を学ぶ時間を業務中に作るという取り組みを実施している部門もあります。

全社でも、四半期に7営業日、業務と離れてプロダクトづくりに向き合える「クリエイターの日」という制度があり、自己研鑽できるところも魅力の一つでしょう。

また、社内のスペシャリストやマネジャーとキャリアの話から技術の話まで様々なことを対話しながら学びに活かす機会として、誰でも自由に相談できる「キャリアクリニック」という制度もあります。各エンジニアが、自分の得意領域や、相談に乗れるテーマを社内サイト上に開示し、「相談してみる」というボタンを押せば申し込みできます。

(実際の相談申し込み画面)
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全体だと月に3~5人くらいの相談が入ります。中には、上司との面談や定期的なミーティングで、「そういう悩みがあるのなら、あの人に相談するといいよ」とアドバイスを受けて申し込んだという方もいます。誰にでもナレッジ習得の機会が開かれているのも、LIFULLのいいところだなと感じています。

CTOとして挑みたい4つのチャレンジとは

──長沢さんが、これからCTOとして挑戦していきたいことは何ですか?

CTOとして、やりたいことは大きく4つあります。まず1つ目はグローバル開発体制をより推進し、日本、ベトナム、マレーシアのエンジニアが同じチームメンバーとして協業する、フラットな体制づくりを強化していきたいです。優秀な仲間を世界中から集められる組織であることが、これからの事業成長には欠かせないからです。

2つ目に、開発生産性の向上にも引き続き挑戦し、可視化の仕組みを作っていくこと。エンジニア組織を作ったとき、3年で生産性を1.5倍まで高めると目標を定めたので、それをしっかりと達成しながら開発者体験の良い組織を作っていきたいです。

3つ目は、エンジニアにとってのLIFULLの良さを、もっと社会に知ってもらうこと。組織体制や開発環境など、取り組んでいる工夫はまだまだ知られていないので、認知拡大のために私をはじめ多くのエンジニアが情報発信をしていくことも必要だと考えています。

最後は、最先端技術を活用した提案など、CTOだからこそ起こせる非連続な変化を生み出していくこと。技術能力の拡張戦略を立てていくことが、これからのミッションだと捉えています。

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──事業を通じて社会にもたらしたいインパクトとは? 

LIFULL HOME’Sの掲げる「住生活を革進する」というビジョン実現に向けて、住まい領域での課題はまだまだたくさんあります。

ポータルサイトが提供できている価値は、「自分に合った家探しと暮らしの実現」のためのごく一部です。ユーザーが不動産会社に行ってからのプロセスも革進すべく、例えば、ユーザーにぴったりな接客を提供する不動産会社のサポートといった領域までチャレンジしていきたいと考えています。

LIFULL HOME’Sが、日常生活の中で当たり前のように起動するアプリの一つになり、利用しながら生活していくという世界観を作っていきたいですね。

──最後に、どんなエンジニアと一緒に働きたいか。求める人材像についてメッセージをお願いします

エンジニアに持っていてほしいのは、「技術を活用して社会課題を解決していきたい」という思いです。面接では、「利他主義」の考え方や、LIFULLのビジョンとフィットしているのかを第一に、カルチャーフィット、ポテンシャル、スキルフィットの順に見ています。

スキルや経験は幅広く受け入れており、LIFULLで使っている言語(TypeScript、Rubyなど)の開発経験がなくても、入ってから学ぶ意欲とユーザー視点があることが大事。ほかの言語でチーム開発経験がある方であれば、ぜひ一度お話したいと思っています。

(プロフィール)
株式会社LIFULL 長沢様
株式会社LIFULL
執行役員 CTO(Chief Technology Officer)
テクノロジー本部長 兼 LIFULL HOME’S事業本部 イノベーション開発室長 長沢 翼氏
2008年入社。「LIFULL HOME’S」のWebおよびiOSアプリケーション開発に従事した後、バックエンド・インフラ系を担当。API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)基盤の刷新、事業系システムのAmazon Web Services(AWS)への移行チームを責任者として牽引した後、2017年CTO就任。同年にコーポレートITシステムも管掌し、事業系・社内系システム両面で技術・IT戦略を策定し実行。ベトナム(2017-)およびマレーシア(2023-)の開発子会社2社のボードメンバー・取締役も兼任しながら、エンジニアのグローバル開発戦略を推進している。

■株式会社LIFULL 採用サイト
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