「経営をリードするエンジニア」とは何か──LIFULLのプロダクトエンジニアはこう成長していく

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「経営をリードするエンジニア」とは何か──LIFULLのプロダクトエンジニアはこう成長していく
LIFULLの事業の中核にある不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」。そのサイトの開発・改善・保守・運用を担うのがプロダクトエンジニアリング(PE)部です。PE部に所属するエンジニアを束ね、開発組織のマネジメントを担当する河津隆洋さんに、LIFULLにおけるエンジニアの使命をどう捉えているのか。また、エンジニアをどのように成長させ、これからのエンジニア組織をどう発展させたいと考えているのか、その抱負を聞きました。

スペイン語で話し一緒に開発する仲間として、海外エンジニアの信頼を勝ち取っていく

——まずは、プロダクトエンジニアリング(PE)部の部長として、現在どのような仕事をされているかをお聞かせください

河津:LIFULLのメイン事業である「LIFULL HOME'S」のサイトにおけるプロダクトの開発チームには、多くのエンジニアが在籍しています。その開発チームをまとめる組織長という役割です。企画担当者やデザイナーのチームと協業しながら、プロダクト開発の生産性向上、保守・運用体制の整備、エンジニアが仕事をしやすい環境作りをすることがミッションです。

——LIFULLへの入社は2008年ですが、それ以前はどんな仕事をされていたのでしょうか

河津:SIerでSEとして開発を担当していました。クライアントは大小さまざまでしたが、ECサイト構築の案件が多かったですね。その会社がクローズするタイミングで、先にLIFULLに入社していた元同僚からの紹介を通してLIFULLのカジュアル面談を受けました。

その面談で会った社員たちの情熱というか、「住生活を革進する」というミッションへの熱い想いに触れて、純粋にすごい会社だなと思いました。前職ではプロダクトを開発したら基本的に一旦チームは解散するのですが、LIFULLの場合は自社開発なので、チームの関係は永続的に続くし、長く一緒に仕事をする仲間が得られる。そこが魅力的でしたね。

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——LIFULL入社後、2013年から国際事業部門に配属され、2015年からは不動産・中古車・求人などのアグリゲーションサイト事業を世界的に展開するスペインのTrovit社へ出向されます。国際事業と海外出向、これ大きな体験だったのではないですか

河津:国際事業部では「LIFULL HOME'S」のような不動産・住宅情報サービスを、タイやインドネシアで現地のユーザー向けに提供する仕事に携わりました。LIFULLの現地法人がそれぞれの国にあり、現地のスタッフと一緒にプロダクトをイチから作り上げていきました。この時はリモートワークが中心で、ときおり日本から出張するという感じでしたね。

その後、LIFULLがTrovitを子会社化したタイミングでスペインに出向することになりました。当初はエンジニアマネジャーという立場だったのですが、現地では一緒に開発する仲間を求めていることがわかったので、エンジニアとしても事業に関わるようになりました。

基本的に業務での共通語は英語でした。私は学生時代カナダに住んでいたこともあるため、英語なら大丈夫だと思っていたのですが、現地のメンバー同士が会話する時はスペイン語が多く使われることもありました。なので、自分ももっと深く業務やメンバーのことを理解したいという想いから、必死でスペイン語を勉強しました。

すでに立ち上がっているチームの中に途中から参加するわけですから、チームにとけ込むまでには時間がかかりました。開発プロセスを見ていて、みんながつまづいているところがあったら、簡単なツールを作ってチームのメンバーを助けるというようなことをするうちにだんだん信頼され、仲間として認めてもらえるようになりました。最初は関係性に距離感があったのですが、最後は「日本に帰らないでほしい」と言われたりもしました。

国籍の違うさまざまなバックグラウンドを持つエンジニアたちと一緒に働きながら、少しずつ信頼関係を構築して関係性を作り、世界規模でユーザーに価値提供するという経験は、国際事業部での仕事も含め、私のキャリアの中ではとても貴重なものだと思っています。

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1年間に78本の改善リリース。怒涛の「特命プロジェクト」とは

——3年間の出向を経て日本に戻られてからは、国内の開発チームの組織作りを担当されます。2019年から「特命プロジェクト」のリーダーにアサインされますが、どのようなプロジェクトだったのですか

河津:「LIFULL HOME'S」は2017年頃まで、業界の中でもGoogleからの自然検索の流入が抜群に高い時代がありました。ただ、競合他社もポータルサイトの開発をどんどん活発化していき、当社の自然検索流入は徐々に減ってきました。その減少部分を2017年の状態まで戻すというのが特命プロジェクトの目的でした。

SEO対策の強化はもちろん重要ですが、それ以上に大切なのはやはりサイトの品質を高め、ユーザーが求める情報をきちんと提供し、より使いやすい機能を作りこんでいくことなんですね。

1年間の期間限定プロジェクトでしたが、サイト改善に集中的に取り組みました。考えうる改善案をすべてリリースすることを目標としました。結果的に78件リリースできたので、アウトプットの面でも実際の改善効果という点でも、大きな成果があったと思います。

——1年間で78件のリリースはすごいですね

河津:人と組織について提案できたことや、それに対して経営陣がスピーディに決定してくれたことが大きかったですね。他部署の優秀な社員たちに、期間限定でジョインしてもらうことができた。そのメンバーたちのおかげで達成できたと思っています。

また、小手先の改修だけでなく、本質を捉えて何をすべきかをプロジェクトに関わる全員ときちんとすり合わせできたことも重要なポイントです。専門的な知見や経験を持つエキスパートたちの意見を聞き、どんな機能を開発するのかを徹底的に考え抜く。そしてプライオリティを上げながらスピーディにやりきる。マネジャーとしての私を成長させてくれたプロジェクトでした。

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経営をリードするエンジニアたち。新技術を使った基盤刷新にもチャレンジ

——部長として、PE部という組織はどうあるべきだと考えていますか

河津:PE部は、LIFULL HOME'S事業本部の組織であり、事業本部が目指す「住生活を革進する」というビジョンを実現するための実働部隊です。プロジェクトは企画、デザイン、エンジニアの3職種が連携しながら進めますが、エンジニアの職務は企画チームと立てた施策を、理想でいえば翌日にはリリースできること。それを目指したいと思っています。

そのためにはエンジニアがしっかり考えて開発し、すぐにリリースできるような環境作りが大切です。スクラムによるアジャイル開発を進めていますし、古くなっているプロダクトの技術的負債を解消することも重要です。さらに必要であれば、基盤から刷新するなど、ドラスティックに変えていくことも大事なので、そうした取り組みも進めています。

基盤刷新の例でいえば、LIFULLは賃貸・流通・分譲のように不動産マーケット別のバーチャル組織があるのですが、そのうち流通事業のプロダクトの基盤刷新を進めました。他の事業に影響が出ないように、流通だけを切りだしてスクラッチで開発しています。

ただし流通と他の事業が全く別のアーキテクチャでは困るので、クリーンアーキテクチャを採用するなど技術基盤の根幹部分は揃えながら、分担を明確にすることを心がけました。

この基盤刷新は、LIFULLの事業を中長期的な展望で考えたとき、今まで以上の売上・利益を達成するためにはどうしたらいいか。企画とデザインの組織長とミーティングしながら、エンジニアリングを代表して、提案したものです。

エンジニアが開発を進めやすい環境作りはもちろんですが、それ以上に基盤刷新すればこれまで2週間かかっていた開発が1週間でできるようになることや、ユーザーからの資料請求数やコンバージョンレートをアップさせる施策を打ちやすくなるなど、経営や事業拡大に直接資するものであることを示して納得してもらい、彼らを巻き込んだ開発体制を作ることができました。

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——LIFULLのエンジニアは、テクノロジーの力で経営をリードすることがミッションなので、基盤刷新もそのミッションの一つだという例ですね

河津:経営をリードするということは、経営に直結できる施策をエンジニア視点で考えて実行することです。単に技術的にモダンだから導入しますというのではなくて、必ず経営とのつながりを意識することが大事なんですね。

もちろんエンジニアですから、モダンなことをやってみたいというマインドが強い人も当然います。一方で、やはり技術と経営のつながりについては、常に念頭に入れておいてほしい。その上での技術的チャレンジだと考えています。

こうしたことは、毎月開催される総会でのビジョンシェアリングで、毎回私自身の言葉で伝えていますし、私の配下のユニット長やグループ長も彼らの言葉でメンバーに伝えてくれています。その繰り返しを通して、エンジニアも一人ひとりが経営を意識するLIFULLならではのエンジニア文化が生まれているのだと思います。

先程の流通の基盤刷新も、現場メンバーが経営とのつながりを考えた結果から提案してくれた施策でした。こういう声があがるのもとても頼もしくて嬉しいですね。

さらに基盤刷新では、あえて自由な発想で挑戦もしてもらいました。

もちろん新しすぎて誰も知らなかったり、保守性が悪かったりしたら考え直してもらうのですが、既存の枠組みにとらわれないで最適な仕組みを考えることはエンジニアの喜びなので、やはりそれは大事にしたいです。 これからも可能な限り、自由な発想で挑戦してほしいですね。

LIFULLは、社員の内発的動機を大切にする会社です。その内発的動機の中に、経営視点が自然に入り込んでいる形にしたいです。

エンジニアの内発的動機を高めるべく、キャリアチャレンジや創造性を刺激

——エンジニアの内発的動機、モチベーションを高めるための施策は他にもありますか

河津:内発的動機は、本来一人ひとりのキャリアビジョンの中から生まれるものです。5年後、3年後はどんなキャリアを描いているのか。そのために直近1年間は何をしたいのか。そういう目標設定は全員に聞くようにしています。

そのキャリア目標につながるプロジェクトがあればアサインしますし、「キャリフル」という社内兼業制度もあります。所属を変えないまま他の部署にヘルプという形で入ってキャリアを積んでもらうといったこともしています。

本人の希望を踏まえ、エンジニアマネジャーたちが相談して、「このメンバーにこれをチャレンジさせられないか?」というような話をするんですね。本務と兼務の兼ね合いは、エンジニアマネジャーたちが相談してバランスを取っています。

また、日頃から最新技術に関心を持っていないと、内発的動機や創造性というものは生まれません。エンジニアのクリエイティビティを高めるために、社内勉強会は活発に行われていますし、長沢の記事でもあった、通常業務の枠を離れて新たな技術や手法に取り組む「クリエイターの日」というのもあります。日常業務やクリエイターの日、プライベートな時間に作ったプロダクトをお披露目する「創民祭」を年に一回開催していますが、これは盛り上がりますよ。

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——現状の開発組織を「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージ実現のために、これからはどうしていきたいですか

河津:やはり思いついたらすぐにリリースできるように、開発の速度をもっと速めていきたいですね。住宅業界でもAIを活用して、よりスピーディにユーザーからのリクエストに応えるという流れになっています。そうした最新技術でも他社に遅れを取ることなく、さらに一歩早い手を打っていくことが重要になります。

サイトの新機能を一日でも早くリリースするためには、技術的負債の返済、開発生産性の向上が不可欠です。現在3カ年計画で開発生産性を150%に向上するというプロジェクトを進めているのですが、今期はそれをしっかり達成したい。開発生産性というからには、そのゴールとエビデンス、評価を数値で示すことももちろん大事です。

Trovitに出向したとき、CEOに真っ先に言われたのは、「I think...」ではなく「It says...」で語れということでした。「私はこう思います」じゃなくて「データがそう示している」ということ。データドリブンで発想することはエンジニアの世界では常識なので、それは常に心がけたいですね。

「住まい」を軸にワークとライフが交差する環境で、技術とニーズの変化を常に意識

——少し大きな話になりますが、今後の住宅を巡る市場の変化はどのようなものになるのか。それに対して技術はどう貢献したらいいのかについては、どう見ていますか

河津:少子高齢化は止まらないし、人手不足はあらゆる業界で深刻化するでしょう。住宅業界でも人を介さずに住宅の内見や契約や解約ができる、そうしたシステムが必要になるだろうと考えています。

その意味でも、AI活用はもうマストだと思います。社内にはそれを専門に開発している部署もあります。LIFULLのいいところは部署間の横連携がとても強いこと。例えば、私のPE部でAIを活用したいと相談したら、すぐに協力を得られます。

AIを活用したチャットボットによるユーザー対応などはまだまだ過渡期で、AIだけで解決するにはもちろん不安があります。ただ近い将来、それは必ずAIだけで解決できるようになる。それに伴って、ユーザーと不動産事業者双方のニーズも変化していく。それにすぐに対応できるように、準備を欠かすことはできません。

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——今後のエンジニアのキャリア採用についてお聞きします。現在はどんな技術者を求めていますか

河津:PE部のミッションは、「住生活を革進する」ための技術的貢献です。あらゆるユーザーが安心して物件探しができる世界を実現するために、住まい探しを取り巻く社会課題を解決することも含まれます。そしてその革進は、日本だけでなく世界中で求められているわけです。

PE部はそうしたニーズに応えて、解決するミッションを楽しく、面白く、かつグローバルに担える組織でありたい。そのワクワクするスピードをもっと速めたいのです。

LIFULLに入社したら、エンジニアとしてのスキルをフルに活用してほしい。と同時に、ビジネスについての関心や勘も養ってほしい。ここが重要なビジネス課題だと思えれば、そこにアプローチするために必要な技術的スキルは何か、そのためのスキルはどうやれば身に付くのかと考える力、つまりビジネスと技術を切り離すことなく捉えられるエンジニアを求めたいですね。

要素技術として求めたいのは大規模なWeb構築の経験と知識ですが、私たちはそのスキルだけを切り離して求めたいわけではありません。ユーザーとクライアント双方への価値提供こそが最終ゴールなので、これから入社を希望する人たちとも、そのゴールはぜひ共有したいと思います。

——最後に、河津さんご自身のプライベートな今年度の抱負を聞かせてください

河津:今年だけの目標ではありませんが、やはり家族が幸せに感じられるようなことはやっていきたいと思っています。自分が家族を幸せにするのと同じように、誰もが自分の家族を大事にしたいと思っているはず。家族を幸せにするために私自身がやること・できることは、きっと社会課題解決にもつながるはずというイメージがあります。

とりわけ、住宅は家族がそこで育つ場所です。社員たちが生活者、家族の一員としてよりよい暮らしを模索することが、サービスの改善や事業の成長にもつながる。それが私たちの仕事でもあるのです。ワークとライフが密接につながる環境を、ぜひ多くの人に楽しんでほしいと思っています。

(プロフィール)画像
株式会社LIFULL
LIFULL HOME'S事業本部
プロダクトエンジニアリング(PE)部 部長 河津 隆洋氏
2008年にキャリア入社。2013年から国際事業に従事、2015年からスペインの子会社Trovitへ出向、3年間の任期を経てLIFULLへ帰任。帰国後、2019年には特命プロジェクトを担うチームを率い、ベストマネジャー賞を受賞。現在はPE部部長として、エンジニアを束ねる。

■株式会社LIFULL 採用サイト
https://techplay.jp/r/02137274
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