パーソルグループ初の地方エンジニア拠点採用に向けた、最終選考直結型のワークサンプル型選考会を開催!
ワークサンプル型選考会とは?
ワークサンプルとは、実際の職務に近いワークショップの体験を通して入社後の活躍度合いを測る、欧米で注目の採用手法のこと。今回のパーソルグループのワークサンプル型選考会は「行政が抱える人材の課題を解決する企画立案」という課題を通じて、テクノロジービジネスとは何か、IT企画職が課題解決にどう関わっていくのか、企画の仕事とはどういうものなのか、などを体験できるプログラムを用意しました。パーソルグループが地方都市にIT企画職の拠点を開設し、デジタルイノベーターを創出したいと考える理由、地方ではたらくIT職種の課題について、パーソルグループで、グループ全社のITに対する責任を担う本部長の内田明徳氏に聞きました。
内田 明徳氏
パーソルホールディングス株式会社 グループテクノロジー推進本部 本部長
「以前から地方の大学や専門学校でITを学び、そのまま地方での就職を希望したエンジニアが、思い描いていた仕事をできていないという課題を感じていました。開発系の仕事に挑戦するチャンスが少なかったり、年収が上がらなかったりと、地方のIT人材は都市部に比べると総じて価値が低く見られています。その結果、優秀なIT人材は都市部に集まることになり、地方IT人材は先進的な情報や学びの機会を得にくくなるという悪循環が生まれているのです。
仙台市や神戸市は、このような地方都市が抱えるIT人材のミスマッチが起きている代表的な都市の一つです。造船、鉄鋼、機械などの産業が集積するテクノロジービジネス都市である一方、人口の減少、高齢化の加速といった深刻な課題を抱えています。そのため、地元の大学や高専などでITを学んだ若者が東京や大阪といった都市部に流出してしまったり、愛着のある地元にとどまったとしても、そのスキルを十分に生かせているとは言い難い状況になっています。
2023年度よりパーソルグループのIT人材は、日本国内のどこでも居住できる『居住地フリー』を選択することが可能になりました。その延長線上で、2025年に仙台市・神戸市にIT企画職のための拠点開設を決定。愛着ある土地に住み続けたまま、はたらきがいのある仕事、スキルに見合った収入、先進的な学びの環境を提供することで、『地方IT人材のミスマッチ』という課題に解決策を示します。今回のワークサンプル型選考会は、IT職種を志望の学生さんに『地方発デジタルイノベーター』というはたらき方の魅力を知ってほしいと考え、企画しました」(内田氏)
インターンシップのプログラム
ワークサンプル型選考会は、共通点探しゲームのアイスブレイクワークで参加学生同士の交流を深め、緊張をほぐすことからスタート。その後、(株)Michele Holdings代表の山田大典氏が登壇し、問題の明確化、原因の特定、課題の設定、解決策の立案、解決策の実行という問題解決プロセスや、その過程で用いられる「MECE」「ロジックツリー」といった論理的な思考法について、具体例を交えながら解説を行いました。
神戸の人材市場の課題を把握し、解決策を検討する
山田 大典氏
株式会社Michele Holdings 代表取締役
事業内容:デジタルの力を通じて個人・企業を変革し、社会全体の良化に貢献するコンサルティング・研究開発
問題解決のプロセスを理解したら、いよいよ「自分を市役所の職員採用担当と仮定し、採用環境を巡る情報を分析し、その分析内容と採用企画、採用強化のために実施・提供するサービスを担当役員に提案する」というテーマでワークショップがスタート。まずは、市役所が抱える課題や採用環境の3C分析、内部・外部環境に関するSWOT分析、組織の特徴が書かれたケースブックが渡されました。学生たちは、そのケースブックを読みながら解決策の立案に向けてあれこれ思案していました。
地元就職希望率が低く、東京・大阪など大都市への就職を希望する学生が多いこと、大都市圏の企業や地元の大手企業と比較して待遇が劣ること、地元の企業が積極的にUIJターン採用を行っており市内に競合が多いこと、市内に閉じない仕事がしたい公務員志望者は県庁や国家公務員を選ぶ傾向にあることなど、神戸市が抱える課題は、そのまま地方都市の役所が直面する課題でもあり、学生たちは解決策の検討を通して、地方都市のIT人材市場について理解と分析を深めていました。
午前中の最後には、グループで考えた問題や課題、原因の仮説、最終化した解決策を代表者が発表。山田氏からはそれぞれに対するフィードバックとともに、「解決策は人それぞれ違っていて当たり前。正解にこだわらずに考え続けることが大切」というアドバイスが送られ、午後のワークにつながる視点の持ち方や考え方のヒントなども伝えられました。
昼休憩の後は、先輩社員によるQAタイム。3人の社員がそれぞれの仕事内容を説明し、その後、学生からの質問に答える形で、居住地フリーの活用状況、ドレスコードフリーや副業の実態、ワークライフバランスのライフ部分の充実度など、さまざまなリアルが紹介されました。
キャリアの定義やキャリア観の変化を理解する
午後は、パーソルHD内田氏による、キャリアの本質を伝える講座からスタート。「キャリアとは個人の生涯にわたる生き方のプロセスそのものであり、人生を能動的・ポジティブに生きること・生き方を指す」というキャリアの定義から、教育・仕事・引退の境目がなくなった人生のマルチステージ化、AI社会の到来といった世の中の変化に伴い、キャリア観も変化していることなどを、多様な研究者のキャリア理論を交えて紹介しました。
キャリア=その人の生き方によってパラレルキャリアやリスキリングなど、多様な選択肢があることや、今の自分を作っている2種類の経験(原体験・連体験)に基づくやりたいこと・できること・すべきことの見つけ方、個人の志と企業のパーパス(なぜ社会に存在するのか)を合致させることのメリットなど、多面的な話で、学生たちに多くの気づきを与えていました。
Figmaを活用したアイデアの具体化に挑戦する
その後は、午前中に検討した課題分析やその解決策のアイデアを具現化するプロセスの体験です。まず、要件定義、設計、コーディング、テスト、運用・保守というサービス開発の流れが講義形式で伝えられ、続いて、市役所ではたらく魅力を伝えるサービスとは何か、サービスのプロトタイプを作る要件定義/スコープ定義に入りました。
学生たちには、サービスの目的や概要、想定利用者、業務要件を整理し、業務フローや画面イメージ、デザインといった具体的な項目を詰めるため、45分ほどの時間が与えられました。パーソル社員や山田氏も学生の横につき、就職・転職市場の状況や実際の事例など、具体的な情報とアドバイスを交えながら個別にサポート。それでも、自らの漠然とした考えを明確化することには皆、かなり苦心したようで、サービスの前提である課題とその解決策に何度も立ち返りながら思考する時間が長く続きました。
要件定義/スコープ定義が固まったら、「Figma」(ブラウザ上で簡単にUIデザインやWEBデザイン、グラフィックデザインができるツール)をチュートリアル体験し、操作方法やFigmaでできることを確認。課題解決のためのサービスの開発に移ります。なお、今回の参加学生は皆、Figma初体験で、作業はまず、基本的なツールを把握することからスタート。市役所やその他の行政、一般企業の採用サイトなども参考にしながら、制限時間ぎりぎりまで息つく間もなく集中して作業に取り組み、開発体験が終了しました。
アイデアピッチで自身の強みと弱点を把握する
ワークサンプル型選考会のクライマックスでもあるアイデアピッチでは、1人5分の持ち時間で、課題に対する分析内容、仮説、その解決策、要件定義の内容、Figmaで作成したプロトタイプの発表までを行いました。「自分を市役所の職員採用担当と仮定し、採用環境を巡る情報を分析し、その分析内容、採用企画、採用強化のために実施・提供するサービスを担当役員に提案する」というテーマに対する学生たちのアプローチはさまざま。社会人インターンの実施や、転職希望者だけが閲覧・投稿できる口コミと市内飲食店のクーポンを備えた専用サイトの作成といった施策を提案した学生もいれば、ある学生はふるさと納税の仕組みを活用した資格取得のサポートと市役所の業務を副業として請け負うことによる移住費用免除を組み合わせた施策を提案し、聞き手の関心を惹きつけていました。ほかにも、結婚・出産を控える世代に向けたマッチングアプリの運営と地元企業を巻き込んだ結婚・出産のサポートなど、それぞれの視点と発想を生かしたバラエティ豊かなアイデアが発表され、たくさんの意見や感想が飛び交う中、アイデアピッチは終了しました。
ただ、課題の分析や解決策の立案、要件定義に時間を取られ、画面が完成途中のまま発表に臨んだ学生も多く、アイデアを出す、アイデアをまとめる、実際の作業に当たるといった時間の設定と配分に苦労をした様子が見て取れました。
講師の山田氏やパーソルグループの内田氏、パーソル社員からの講評では、最初に、本来であれば社会人2、3年目のエンジニアが取り組む高難度なテーマに、わずか1日という短い時間で力の限り立ち向かった学生たちへのねぎらいの言葉が送られました。さらに内田氏から、あえて難しい課題を設定したことの意図として、実際の開発には正解がなく、うまくいかないことが多い中でもチャレンジしなければならないという現場のリアルを説明。「業務はアウトプットが重要であり、どんな形でも完成させること」「アイデアを出す、デザインを考えるといった終わりの見えにくい作業は時間を区切って行うこと」など、チャレンジにおいて大切なことも併せて伝えられ、すべてのプログラムが終了しました。
最優秀賞を受賞した学生の感想
立命館大学 文系 K.Mさん
最初は何を課題とするか、その解決策は何か、それをどうサービスに落とし込んでいくか、全く見通しが立っていなかったのですが、グループのみんなと議論を重ね、講師の先生や先輩方からも考えるヒントをもらって大枠が固まってからは順調に進めることができました。今、アルバイト先の学習塾で、校舎運営補佐として生徒の継続率の上昇・退塾率の減少に向けたさまざまな施策を企画・実行しているのですが、その経験も大いに役に立ちました。アイデアピッチに関しては高い評価をいただけましたが、画面の作り込みまでしっかりやり切ることができなかったので、これから何かに取り組むときには今日のこの経験を生かしてアウトプットまでしっかり意識していきます。
ワークショップ講師からのメッセージ
たいていのことはオンラインで済ませるこの時代、仙台・神戸という場所に絞って現地で1日かけて選考会を行うというのはパーソルグループにとっても大きなチャレンジだったと思いますが、まず、集まることに価値を感じる人たちが対面でじっくり話ができたということが非常に良かったと感じています。アウトプットに関しては、通常であれば何か月もかけて行うことを1日でやろうとしているのですから完成することを目的にはしていませんでしたが、私たちではとても思いつかないような面白いアイデアがたくさん出てきましたし、グループワークではチームとしての成功体験を共有してもらうこともでき、建設的な選考会になりました。学生の皆さんには、パーソルグループが採用活動にいかに真剣に取り組んでいるかということがしっかりと伝わったでしょうし、その心意気をポジティブに受け取ってほしいと思います。
こうした選考会の進め方や時間の使い方には企業のスタンスが表れます。ですから、選考会やインターンシップに参加する際には、企業の事業内容や業務内容だけでなく、採用活動を通して自分とどういう向き合い方をしてくれるか、自分が心地良い距離感を取れるような居場所を会社が用意してくれるか、そこに入ったときに貢献したいという気持ちになれそうかということもしっかりと確かめながら、それぞれの企業のスタンスを感じ取るよう努めてほしいですね。
参加学生のコメント
関西学院大学 文系 N.Hさん
パーソルグループの別会社の選考を受けたことがきっかけで、パーソルグループの人材事業に興味を持ち、今回の選考会に参加しました。私は論理的に話すことや論理的思考を用いて内容を整理することがあまり得意ではないので、始まる前はとても不安でしたが、講師の先生や先輩方のサポートのもと、論理的思考に基づいてアイデアを形にするプロセスが体験でき、良い勉強になりました。こうした企画・開発をするときには、最初に内容や対象を具体的に詰めておくことや、客観的な数字を用いて説得力を持たせることがいかに重要かということを改めて認識できたのも良かったと思います。
法政大学 文系 W.Iさん
「はたらいて、笑おう。」というキャッチフレーズに惹かれてパーソルグループに興味を持ち、選考会に参加しました。座学やワークを通して問題解決のプロセスを理解し、体験できたことは自身の成長につながったと思いますし、初めて触ったFigmaも、基本の操作さえ覚えてしまえば難しすぎず、自分の考えを反映しやすい良いツールだと実感しました。先輩方と話をする中で、もしこの会社に入ったらこんな仕事をするんだろうなということがリアルにイメージできましたし、キャリアに関する講演では、自分のキャリアをどう考え、どう形成していけばいいのかということを考えるヒントもいただけて、とても有意義な選考会でした。