【レポート】デジタルマーケティングから紐解き、マーケティングをもういちど考える:デジタルマーケティング[第1部] - TECH PLAY Conference 2017

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「汚れが落ちる!」では潜在は売れない理由

「デジタルの時代でマスが無くなったとともに、マスターゲットも消失した」と石井さんは続けます。

30年前に花王が発売した洗剤「アタック」は、「洗浄力が高く、コンパクトである」ということが強みであり、次々にシェアを獲得していきました。それは、子供が泥にまみれ遊んでいたからこそ効いたポイントでもありました。しかし、現代では子供がゲームで遊んでいたり、そもそも子供がいなかったりと「落とすべき泥汚れ」がありません。

こうした生活の多様化により、洗剤に求められる効果も変わってきます。例えば、共働きで部屋干しをせざるを得ない家庭の場合、衣服が白くなるよりも、部屋に嫌な匂いがつかない洗剤にニーズがあるわけです。

花王では多様化するニーズに合わせて、商品の購買履歴やウェブサイトの訪問ログからターゲティングを実施。そして、同じ商品であってもそれぞれのターゲットによって訴求する機能をカスタマイズしたコミュニケーションをとっています。

さらにスマートフォンが普及することで、1人がひとつのメディアを使う、つまり、自分にパーソナライズされたメディアから情報を取得したり、エンターテインメントを楽しむようになっています。テレビを見ながら、駅のホームにいながら、ベッドに入りながらと、いつでもどこでもメディアとの接触が生まれます。

このようにメディアがパーソナライズされた結果、カスタマージャーニーのあらゆる接点でデータを取得したり、消費者とコミュニケーションをとることが可能になりました。それは消費者が購買に至るまでにどの情報を必要としたのかが可視化されるということです。マーケターとしては、どのタイミングで広告を届けることが効果的なのかが明確になっています。つまり、「消費者が本当に欲しいと思ったタイミングで手を伸ばさせるための広告」を打てる可能性があることを意味します。

しかし、デジタルマーケティングと言ってもその範囲は広く、デジタル広告だけでも様々な種類があります。石井さんは「カスタマージャーニーのステージに分けて広告を考えることが大切」だと話します。

購買に一番近い「行動期」には、「この商品がいいですよ」と消費者に伝えることが必要です。その時に確実なのはソーシャルメディアから背中を押すことです。次に購買を検討する「比較・検討期」では、他の商品から選ばれる理由をつくるために自社サイトやタイアップ広告が、情報収集を行う「探索期」には商品を見つけてもらうためにリスティング広告やディスプレイ広告がそれぞれ有効だと石井さんは考えます。

マーケティングにおいてさらに大切なのは、ボリュームが一番多く通常期にいる潜在欲求層に気づきを促したり、届けたりすることです。なぜこのステージのマーケティングが一番大切なのかといえば、例えば行動期の消費者に「AよりもBがいいですよ」とすすめて購買させたところで、店舗全体としての売上は増加しないからです。石井さんは「マーケティングとは需要を創造して利益を作り出していくこと。本来であれば売り場に来なかったであろう人を連れてくるのがマーケターの仕事です。デジタルマーケティングでは、MAや広告など顕在化した顧客へのコミュニケーションに流れがちです。でも、デジタル広告だけがデジタルマーケティングではないと忘れないで欲しい」と熱弁します。

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3倍以上の訪問者を獲得したSNS広告施策

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