【レポート】デジタルマーケティングから紐解き、マーケティングをもういちど考える:デジタルマーケティング[第1部] - TECH PLAY Conference 2017

公開

3倍以上の訪問者を獲得したSNS広告施策

次に石井さんはヘアスプレー「ケープ」の事例を紹介しながら、最適なタッチポイントと顧客体験について説明します。

まず、大切なのは生活者が「自分事化するタイミング」を捉えること。例えば、Googleでの「髪型」に関連した検索の結果を見ると、「入学式 髪型」「成人式 髪型」「浴衣 髪型」などのワードは、ある時期に急にピークを迎えます。「検索数の変化」からヘアアレンジへのニーズが顕在化するタイミングが掴めるわけです。

さらに、花王では悩みが顕在化するタイミングを掴むために、ブログやSNSなどのテキストを収集してマイニングしています。その結果は地図のようにグラフ化され、話題の盛り上がりをビジュアルで把握できるようになっています。例えば、「髪」に関連してどのような言葉が盛り上がっているかを分析すると、「梅雨入り」という言葉の前後に様々な女性の悩みを読み取ることがわかりました。

そこで花王では、梅雨のない北海道を除いた46都府県ごとにYouTubeで配信する広告を制作。IPアドレスを見ればユーザーがどの県からアクセスしてきたのかがわかりますが、既に梅雨入りが発表された地域からアクセスしてきたユーザーには、その都府県の広告を配信しました。

その内容は通常の15秒CMの前に「◯◯県が梅雨入りしましたよ」と伝える5秒程度の動画を追加したというもの。自分の住んでいる地域が梅雨入りしたことを知らせることによって、「自分ごと化」させることを狙いました。

さらに東京では、朝の通勤時間帯に天気予報に連動したコンテンツを配信。これらのデジタル広告に接触した生活者が、検索行動を行うタイミングで再度広告を配信しています。「ケープ」はシリーズ全体で70%のシェアを持っている商品ですが、これらの施策を売ったタイミングで発売以来最高シェアを獲得しました。2014年6月という増税後で需要が落ち込む期間にも関わらず、極めて高い効果が伺えます。

デジタルのコミュニケーションにおいては、広告・ウェブの閲覧履歴、SNSのリスニング、連携するECからの購買データなど様々なデータを取得すれば、そのデータからお客様自身のことやカスタマージャーニーが理解できます。そこから発見できるのは、今まで見逃していたかもしれないお客様やインサイト、広告などのタッチポイントです。それらが見つかれば、今度はさらに広告のコンテンツを最適化したり、メディアやタイミングを最適化することも可能です。

「こうしたプロセスを経て、市場を活性化したり売上やROIを改善することがマーケターのたどり着くべきゴールです。この一連がデジタルマーケティングの本質と構造なのです」と石井さんは説明します。

さらに石井さんはヘアカラー剤「リーゼプリティア」のデジタル施策を紹介して、これらの取り組みを具体的に補足します。「リーゼプリティア」のコンセプトは「ヘアカラー未経験者に使ってもらえるような、マイルドなヘアカラー剤」。しかし、様々な調査からブランドチームが作り上げたターゲットイメージは、とても現実的ではないものでした。

そこで、「髪を染めたい」と発言している人はどのような人なのか、今度はデータから読みとる試みを行います。1年分の「Twitter」での「髪を染めたい」という発言を分析したのです。その結果、「ヘアカラーを試してみたいけど美容院に行くのが怖い」「2次元や2.5次元が好き」など、これまで見逃していたお客様像が見つかったのです。

新たなお客様像は2次元や2.5次元に興味があると発見した後、次に行ったのはその発見に基づいたコンテンツ制作、広告配信です。

これまでの「Twitter」上のコアターゲットには、どのようなカラーが自分に似合うかを判定する「パーソナルカラー診断」を配信していました。しかし、アニメやキャラクターが好きなユーザーにはオリジナルアニメを配信。また、声優やアイドルが好きなユーザーには「オフ会や握手会の前に少しだけ髪を明るくしませんか?」というメッセージを配信します。

これらの施策の結果、通常時の訪問者数が4万〜7万人ほどだった「リーゼプリティア」のウェブサイトに、25万人ものユーザーが訪問しました。さらに、閲覧ページ数でも結果を残します。花王のウェブサイト上では、1訪問辺りの閲覧ページ数はおよそ4ページほど。しかし、「リーゼプリティア」から流入した訪問者は、平均11ページの閲覧を記録しました。もちろん購買にもつながっており、この施策を実施した後、「リーゼプリティア」のシェアは1年の間、毎月2%ずつ上昇する結果となりました。

さらに、この施策を実施した月に購買したユーザーの70%は、過去にヘアカラー剤を購買した履歴がありません。つまり、今までとれていなかったユーザーをウェブサイト・店頭に連れていくことに成功したのです。

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デジタルのミッションは絆づくり

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