プロフィール
株式会社NTTデータMSE
次世代ビジネス推進室 室長/シニアITスペシャリスト
今村 浩人氏
2004年、新卒入社。入社後は、組込みLinuxをベースにした携帯電話・スマートフォンの開発に従事。2011年からはその知見をオートモーティブ分野に活かし、ビジネス展開を推進。同時に業界団体の社内推進も行う。2020年に経営企画に参画。2022年から現職。顧客拡大や次世代ビジネスの創出を行う。
組込み開発力を武器に事業拡大。現在はグリーンソフトウェアへの応用も
NTTデータMSEの元となるパナソニックMSE株式会社は、旧松下電器(現パナソニック)のソフトウェア開発部隊として1979年に誕生した(株式会社ナショナルシステムエンジニアリングとして設立)。設立以降は基地局や交通管制システム、携帯電話の組込み開発を中心に成長を続けていたが、スマートフォンの普及や車載ソフトウェアの変革を背景に、新たな成長機会が生まれた。携帯電話で培った組込み開発の技術力を強みに、それ以外の領域にビジネスの拡大を図ったのだ。
「例えば、弊社の柱事業でもあるオートモーティブ分野の組込み開発は、携帯電話の組込み技術を応用しています。2000年代から車載ソフトウェアの開発事業が始まり、2016年には車載機器開発のサプライヤーであるデンソーが資本参加。オートモーティブ分野を中核とした大規模な変革を遂げました。現在は車載ソフトウェア開発にとどまらず、サーバークラウド開発、アプリケーションサービス開発にも注力しています」
また、NTTデータMSEが持つ技術力とは、単なる「スキルの高さ」という意味だけではない。大規模開発の実績が多いからこそ、企画・構想から評価までのプロセス全体が強みとなっている。昨今ではこうした開発経験を踏まえ、企画段階から顧客に伴走してサービスデザインを行う、構想設計業務も得意としている。
そして、今村氏が所属する次世代ビジネス推進室では、これらの強みを統括し、社会に価値を提供することを目的としている。
「弊社はお客様の直近のビジネスだけでなく、少し先のビジネス構築にも弊社の価値を活かしていくことを目指しています」
次世代ビジネス推進室では、NTTデータMSEが社会に提供できる価値の一環として、グリーンソフトウェアの推進も積極的に行う。
「昨今、環境負荷低減は企業の重要な経営課題として捉えられています。ソフトウェアでの取り組みも進められており、ここにも組込み技術は活かせるのです。極力電力消費を抑え、CO2排出を減らすためのグリーンソフトウェアへの応用に、NTTデータグループで連携し、取り組みを推進しています」
未経験分野で手を動かした経験が、今につながる
そんな今村氏のキャリアも、携帯電話の組込みエンジニアとしてスタートした。
「学生時代はデジタル信号処理を専門に学んでいたので、通信というカテゴリで携帯電話のソフトウェア開発ができる弊社に入社しました。とはいえ、Linux OSを携帯電話に適用する開発チームに配属されたため、学生時代の研究を活用する機会はそれほどありませんでした。ただ、未経験の分野に飛び込んだことは、結果的に良い経験でした。当時の親会社であるパナソニックも含めてチームで開発していたので、さまざまな知見を持つスペシャリストに囲まれ、ひたすら手を動かしながらシステム開発の根幹を学びました」
当時、ハードウェア制御やオペレーティングシステムなど、ハードウェアに近いレイヤーのソフトウェア開発をしていたため、「いかに制限のある環境下で効率的にリソースを利用するか、性能を最大限に発揮するか」を意識していたそう。その後、今村氏は自動車の車載ソフトウェア開発領域へ進むことになるが、「この視点が役立った」と語る。これは現在取り組んでいるグリーンソフトウェア開発でも同様だそうだ。
また、今村氏が車載ソフトウェアの開発に携わったタイミングで、NTTデータMSEはThe Linux Foundationというソフトウェアの業界団体にも加盟。個人としても社外交流を積極的に行うようになったのが、今につながっているという。
「グローバルカンファレンスで講演する機会もあり、社内でも団体活動を推進する責任者になりました。社外で国内外の自動車メーカーやサプライヤーの方々と交流することで視野も広がったと感じています。その後、経営企画の部署を経て、現在に至ります」
エンジニアとしての強みを、あらゆる業界・分野に展開してほしい
NTTデータMSEは、今後も社員の成長と会社の発展を循環させ、豊かで持続可能な社会の実現によりいっそう貢献できる企業を目指していく。
「エンジニアとしての強みは、特定の業界や分野に限定されるものではありません。与えられた課題に対して自ら考え、行動し、アウトプットにつなげる力は、さまざまな業界で求められています。幅広い社会課題の解決に貢献するために挑戦を続けていきたい―そうした志を持つ仲間を、これからもっと増やしていきたいですね」