デジタルトランスフォーメーション時代の最新データベース技術勉強会 - OneファクトOneプレイスでリアルタイム? -
パネルディスカッション!
講演の終了後は新久保さん、河原さん、花木さんをパネラーに迎えてパネルディスカッションです。モデレーターは吉越さんが務めます。
ーー OLAPとOLTPって本当に1人でできますか? どういった点に気をつけなければいけない?
花木 いま入ってきたデータをリアルタイムで分析して何か判断する必要が本当にあるかどうかという点に気をつけるべきですね。何でもかんでも「OLTP+OLAP」でやる必要はないと私は思います。
また、本日も少しお伝えした通り、アーキテクチャの問題だけでなく、担当者のチューニングなどたゆまぬ努力が求められます。そういった技術のキャパシティの観点で考察すること。この2点に気をつけて欲しいですね。
新久保 もちろん、OLAPとOLTPは1人でもできます。ただ、花木さんのご指摘のように、通りいっぺんに「できます」と言えばいい話ではないと思います。
やはり、エンジニアの努力が必要になるんです。それはOLTPとOLAPは使い方が異なり、アプリケーションの最適化の方法が変わってくるのです。
一般的に「SAP HANA」は「インデックスが要らない」と言われています。それはOLAPに限れば正しいのですが、みっちりとOLTPをやりたければインデックス必要ですし、エンジニアの努力による正しい最適化が求められる場面も出てきます。
ーー 河原さんは「OLAPとOLTPを同時にやりたい」と相談された場合、クラウドプラットフォームベンダーとしてどのようにご提案をするのでしょうか?
河原 一般的な話をすれば、クラウドサービスとクラウドサービスを適材適所でつなげて、上手く使い分けるアーキテクチャをとりますので、「なにかひとつで全部やりましょう」と提案することはないですね。
SAPの話では、2つのパターンがあります。まずSAPの強みであるビジネスアプリケーションのデータベースとしての「SAP HANA」。もうひとつ、データウェアハウスとして「SAP HANA」を使いたいケースです。この2つの用途に合わせてお話しますね。
ーー そもそも、「OLAPとOLTPがひとつのプラットフォームで管理できたほうがいいビジネスシーン」ってどのようなものだと考えていますか?
花木 例えば、LINEのビーコンが設置されている自販機に近づくとクーポンや広告が出ることがありますよね。ユーザーがなにかアクションを起こしたとき、そのユーザーがそこにいる間に何らかのレコメンデーションをしなければチャンスを逃すような状況には有効だと思いますね。
河原 日本ではERPベンダーのSAPが出しているインメモリデータベースで、ERPをリアルタイム化するために「SAP HANA」を使う事例が多いと感じています。
「SAP HANA」をデータベースのプラットフォームとしてきちんと使いこなす流れになってないではないでしょうか。OLTPとOLAPを数十TBの規模の世界で管理したいというニーズは正直なところまだあまり聞きません。
新久保 ご指摘の通り、ERPの下で動いている「SAP HANA」という形が多いのは事実です。
現在の「SAP HANA」はOLAPではスケールアウト、OLTPではスケールアップを得意としています。ただ、今後はOLAPでもスケールアップを、OLTPでもスケールアウトを行えるように開発陣が奮闘いている最中です。
「SAP HANA」が生まれたきっかけを振り返ると、大きな部屋で大きな画面を見ながら、リアルタイムで流れてくるデータを簡単に指で止めて、そこで分析するといったことを実現したかったんです。これはERPからのデータではありますが、現在できるようになっています。
これを発展させていくと、流れてくるデータはスマホからのGPSデータだったり、Suicaでタッチした瞬間のデータになったりします。このデータを「SAP HANA」で受け止めて、瞬間的に分析するところまではさすがに現在は実現できていません。
現在の事例では、先頭にストリーミングのデータをかませて、ゆっくりデータを貯めているわけですね。そして、予測のモデルを作ったりするために裏側のリアルタイムのアナリティクスはぐるぐる回したりしています。ERP以外でOLTPとOLAPを使っているシナリオはこのようなものですね。少しIoT的な動きが今のところ多いですね。
懇親会!
ノンストップで2時間に渡った講演&パネルディスカッションの後は懇親会です!
多くの参加者が登壇者にさらなるお話を伺っていたようです。第3回の開催も楽しみにしています!