若手社長デザイナー、シニアデザイナーたちが語り合う!──デザインを越境せよ - CXO Night #3

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若手社長デザイナー、シニアデザイナーたちが語り合う!──デザインを越境せよ - CXO Night #3

スタートアップで奮闘するデザイナーを集めて、マネジメントの課題や実用的なノウハウを共有するコミュニティ「CXO Night」。CXO Night Meetup第3回となる今回のテーマは、「デザインを越境せよ」。毎回あっという間に定員オーバーになる本イベントですが、今回も定員170人に対して、769人の応募があるという大人気ぶり!

第一線で活躍している若手、シニアデザイナーである豪華な登壇者たちが、スタートアップにおけるデザイン役員の重要性、マネジメント、事業作りにおけるデザイナーが果たすべき役割について、語り合いました。

若手ならではの発想・視点を活かしたサービスは、どうやって生まれた?

イベント冒頭、本イベントの主催者である坪田朋氏は、「スタートアップに挑戦するデザイナーや経営に関わるデザイナーが増え、スタートアップ界隈では、CDO(Chief Design Officer)、CXO(Chief Experience Officer)の需要も増している」と語ります。

さらに、今回のイベントでは、デザイナーの枠を超えて領域を超えて活躍してほしい、企業経営者には経営にデザインが重要であることを知ってほしいと訴えました。

▲Onedot CCO / Basecamp CEO 坪田 朋氏
livedoor、DeNAなどで多くの新規事業立ち上げ後、UI/UXデザイン領域を専門とするデザイン組織の立ち上げ。現在は、BCG Digital Venturesにてデザインシンキングを使った新規事業開発業務で立ち上げたOnedotにCCOとして転籍。Basecampではスタートアップ関連のデザイン/事業立ち上げをお手伝いする事が多いです。@tsubotax

若手デザイナーのスタートアップ社長3人が経営とデザインを語る

最初のセッションは、スタートアップの若手デザイナー社長3人が登壇。FOLIO CDOの広野萌氏がモデレーターを務め、UNDEFINED 代表取締役 デザイナー若月佑樹氏と、picon 代表取締役社長 デザイナー山口翔誠(しょせまる)氏が、事前に募集した質問5つに対して答えるかたちで行われました。

株式会社FOLIO CDO
広野 萌氏
早稲田大学文化構想学部卒。ヤフー株式会社にて、主に新規事業・全社戦略の企画やアプリのUX推進に携わる。2015年、株式会社FOLIOを共同創業しCDOに就任。国内株式を取り扱う10年ぶりのオンライン証券を立ち上げる。代表作に「inShade」「INTEMPO」など。
株式会社UNDEFINED 代表取締役 デザイナー
若月 佑樹氏
NYAGO というアプリを作っています。アンディファインドという会社のCEOとデザイナーをやっています。
株式会社picon 代表取締役社長 デザイナー
山口 翔誠(しょせまる)氏
株式会社piconのCEOでデザイナーのプロダクト屋です。@talkroom_main で未来の電話を再発明します。

Q1.デザイナー経営者を志したきっかけは?

広野:最初の質問は「デザイナーと経営者を目指したきっかけや、デザインはどのくらいできるのか」について、お聞かせください。

若月:僕たちは3人で起業したんですが、その創業メンバーと会った時に、この二人となら起業できると確信できたからですね。デザイナーになったのは、メンバーにデザイナーがいなかったこともありますし、デザイナーという仕事に憧れがあったからです。

絵も下手ですし、デザインのセオリーもよくわかってないんですが、ユーザーインタビューや使ってみてどうだったのかというユーザー体験をとても大事にしています。

しょせまる:僕はデザイナーや経営者を目指していたわけではなくて、自分で新しいプロダクトを作ってみたかったんですね。企業のインターンもいくつかやってみたのですが、ちゃんと出社して働くことができなかったので、起業したというかんじです。

もう一人のメンバーが論理的思考を持ったエンジニア気質で、僕は感性でクリエイティブなものを作るタイプだったので、デザイナーを担当することにしました。

広野:二人はエンジニアリングはどのくらいやってますか?

しょせまる:僕はWebサービスとクライアントアプリのフロントはひと通り書けます。

若月:僕は「NYAGO」を作ったときから、アプリは自分で全部書いていました。最近はメンバーも増えて、エンジニアリングを任せられるようになってきました。

広野:デザインの勉強はしていましたか?

若月:全くしていません。Webサイトやアプリのトレースしたり、良さそうなアプリを使ってみたりするくらいでした。

しょせまる:僕はデザイナーの上司がいなかったので、ダサいデザインでもとりあえず出してみて、ユーザーの反応を見て改善していました。その中で自分のデザインポリシーを見つけてきました。

Q2「今風」アプリのデザインで心がけたこと、PR方法は?

広野:今風のモバイルアプリのデザインを作る時に、心がけてたことは何でしたか?

若月:「NYAGO」は自分の周りの友人や後輩にユーザーインタビューをして、「なんとなくダサい」とか、「なんとなくいいよね」といった意見を聞きながら、デザインやプロダクトに反映したり、改善したりしていました。周りがターゲット層だから正直に言ってもらえるし、やりやすかったです。

しょせまる:アプリの世界観と空気感を伝えることを大事に考えて作りました。「Talkroom」は、ディズニーランドのUFOキャッチャーやアニメで何回も見て、アプリUIの参考にしています。

街でユーザーインタビューをするときは、ナンパと勘違いされないようにペンギンの姿になって行ってます。YouTuberと勘違いはされました(笑)。ちなみに、ペンギンの服は7着持っています

広野:若者向けに、特に戦略的に行ったPRはありますか?

若月:「NYAGO」はPRとプロダクトチームが分かれていて、僕はPRにはあまり関わっていませんでしたが、OGPを派手にしたり、誰でもわかるようなシェア導線にはこだわっていました。LPもサウンドエンジニアが妹の声を使った短い動画を自前で作っていましたね。

しょせまる:界隈でバズるのと、ちゃんと若者に届くのは違うと思っています。「Talkroom」は圧倒的に界隈の人が多かったのですが、「BATON」はインターネット上の普通の若者に届いた実感がありました。今後はインフルエンサーを活用した広告も出していきたいと考えています。

Q3.デザイナーであり、かつCEOを担う人の業務範囲は?

広野:デザイナーであり、CEOでもあるお二人の業務範囲を聞かせてください。

若月:今は開発フェーズというよりは、プロダクトをデザインに落とし込むフェーズなので、1日の80%をデザイン、20%はエンジニアをしています。UXデザインのディレクション、ユーザーフロー、プロモーションなどはPM、僕は主に平面のデザインをやっています。

しょせまる:先週まで2人だったので、デザインだけでなく、開発以外の業務は全てやってました。今は自分より優秀なメンバーが入ったので、デザインも任せていきたいと思っています。

若月:僕も最初に役割デザインをした時は開発とデザインを担当していたのですが、今は開発は切り離しつつあり、コードを書く割合が減ってきました。デザインは好きなので、ずっとやっていきたいのですが、自分より優秀な人が入ってきたら社長業に専念するような気がします。それはさみしくもあるのですが、うれしいことだとも思っています。

Q4.デザイナー社長のメリット・デメリットは何ですか?

広野:デザイナー社長ならではのメリット・デメリットは何ですか? デメリットから聞かせてください。

しょせまる:僕はクリエイター気質なので、デザインを極めたいという気持ちがあります。でも社長業もやらないといけないので、デザインの各領域でトップを目指すのは難しいというのがデメリットですね。

ただ、CEOとして自分の好きなようにデザイナー組織を作っていけるメリットもあります。デザイナードリブンでpiconらしいアウトプットが出していける。なので、メンバーが働きやすく、アウトプットしやすい環境作りを頑張っていきたいと考えています。

若月:デメリットは職業柄アポが多いので、デザイン作業が中断したり、それによって開発やプロダクトのリリースが遅れてしまったりなど、ボトルネックになりやすいことでしょうか。マルチタスクが求められることが多いので、お金を集めなくていけない時期はキツイですね。

Airbnbのように、創業社長がデザイナーだとデザインのプライオリティが高いので、イケてる会社になるということですね。これから新しく入社する人もイケてる会社で働きたいはずなので、それがメリットになると考えています。

Q5. 今後目指しているキャリアは?

若月:僕はUNDEFINEDをめちゃくちゃカッコいい会社にしたいと考えてます。UNDEFINEDのカルチャーとして「イケてるものを創ろう」と挙げているように、とにかくイケてるプロダクトを創って、カッコいい会社にしていきたいですね。

しょせまる:piconは発明研究所のようなラボのような会社を目指していきたいと思っています。プロダクトを創っているときが一番楽しいので、エグジットを狙うというよりもゆるふわな雰囲気の中で、イケてるラボを運営し続けるパワーを貯めながらプロダクトを創っていきたいです。

Goodpatchがデザイナーを「ReDesigner」でリデザインする

続いて、Goodpatchキャリアデザイナー佐宗純氏によるLT「デザイナーをリデザインする」が行われました。

▲Goodpatch キャリアデザイナー 佐宗純氏

佐宗氏が紹介したのは、Goodpatchが5月にリリースしたデザイナー向けのエージェントサービス「ReDesigner」。Goodpatchがデザイナーと企業の間に立ち、デザイナーのキャリアの翻訳者になることで、お互いが期待するスキルや役割などのミスマッチを防ぎたいと語ります。

また、デザイナーが知りたい情報を企業の代わりにヒアリングをしたり、デザイナーのキャリアを理解しているエージェントが、Goodpatchのノウハウを活用して壁打ちするなど、デザイナーのキャリア形成に関しても支援します。さらに、企業によってはどのような組織を作っていくべきか組織コンサルティングも行っていくといいます。

佐宗氏はデザイナーに特化した「ReDesigner」の特徴として、以下の3つを挙げます。

  1. オリジナルの求人票をデザイン
  2. デザインを理解したエージェントによる面談
  3. デザイナーに特化したオンラインアンケート

「ReDesigner」の目的は、デザイナーの転職回数を上げることではなく、デザイナーの価値を社会的に向上させること。企業とデザイナーのミスマッチを減らし、デザイナーのパフォーマンスを最大限出せるような社会を創っていきたいと、佐宗氏は決意を語りました。

SNSの情報に特化した「kakeru」のメディア編集とデザインのこだわり

休憩をはさみ、SNSの情報に特化したWebメディア「kakeru」編集長のオプト三川夏代氏が「メディア編集とデザイン」をテーマにLTを行いました。

▲株式会社オプト kakeru編集長 三川 夏代氏

三川氏は「kakeru」を立ち上げた背景は、3つあると言います。1つはオプトに在籍するSNSコンサルタントのブランディング。それまであまり知られていなかったSNSコンサルタントが、kakeruを通じてスマホ撮影術や韓国トレンドなどについて発信していった結果、書籍を出したり、イベントの登壇依頼が来るまでになったといいます。

2つ目の「生活者のSNSインサイトをインプット」は、企業が知りえない女子高生やスマホユーザーのリアルな声や情報などを自分たちの足を使ってリサーチして伝えていきたいという想いから生まれました。

3つ目の「SNS市場におけるねじれを解消したい」は、生活者の実態を発信することで、企業の思い込みを解消していきたいという想いがあるといいます。そうした課題を記事を通じて解決に導き、健全なSNS市場を築いていきたいと、三川氏。

また、同社ではスキル特化人材が出会うルイーダの酒場のような場所「Studio Opt」を立ち上げ、プロジェクト単位で社内外関係なく、クリエイターがマッチングできるように取り組んでいきたいと語りました。

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デザインを越境せよ

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