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Amazon S3 の一般提供が開始されたのは、20 年前の先週にあたる 2006 年 3 月 14 日でした。 Amazon Simple Storage Service は、クラウドインフラストラクチャを定義した基礎的なストレージサービスだと考えられがちですが、シンプルなオブジェクトストレージサービスとして始まった S3 は、今でははるかに広い範囲と規模を備えたサービスへと成長を遂げました。 2026 年 3 月現在、S3 には 500 兆を超えるオブジェクトが格納されており、何百エクサバイトものデータ全体で 1 秒あたり 2 億件を超えるリクエストをグローバルに処理しています。料金は 1 ギガバイトあたり 2 セントを少し超える程度まで下がっており、リリース時から約 85% 削減されたことになります。私の同僚である Sébastien Stormacq が、「 Amazon S3 の 20 年を振り返り、未来を築く 」でエンジニアリングと今後の展望に関する詳しい記事を書きました。AWS の最初のお客様と、これらのお客様が現在の AWS をどのように形作ったかに関心がある場合は、「 How three startups helped Amazon invent cloud computing and paved the way for AI 」をぜひお読みください。20 年。これは立ち止まって祝うに値する年月です。 S3 の 20 周年記念に伴い、今週は Channy Yun も S3 の新機能、Amazon S3 汎用バケットのアカウントリージョナル名前空間に関する記事を書きました。この機能を使用すると、リクエストするバケット名にアカウント固有のサフィックスを追加することで、ユーザー独自のアカウントリージョナル名前空間内に汎用バケットを作成できるため、使用したい名前がユーザーのアカウント専用に常時予約されるようになります。新しい s3:x-amz-bucket-namespace 条件キーを用いた AWS IAM ポリシーと AWS Organizations サービスコントロールポリシーを使用して、組織全体での導入を強制できます。 Amazon S3 汎用バケットのアカウントリージョナル名前空間の詳細については、 Channy の記事 をお読みください。 2026 年 3 月 16 日週に行われた注目のリリースは、 Amazon Route 53 Global Resolver の一般提供 です。このサービスは、私自身との個人的なつながりがあるものです。昨年の re:Invent 2025 でのこの機能の プレビュー に関する記事を書いたのですが、とても楽しく取り組めた記事だったので、一般提供が開始されたと聞いて本当に嬉しく思っています。 インターネット経由でアクセスできるエニーキャスト DNS リゾルバーである Amazon Route 53 Global Resolver は、どこからでも承認済みクライアントに DNS 解決を提供できます。30 の AWS リージョンで一般提供が開始されており、IPv4 と IPv6 両方の DNS クエリトラフィックをサポートします。Route 53 Global Resolver は、組織内の認証済みクライアントに対し、Route 53 プライベートホストゾーンに関連付けられたパブリックインターネットドメインとプライベートドメインのエニーキャスト DNS 解決を、特定の VPC やリージョン内だけでなく、どこからでも提供します。また、悪意があると考えられるドメイン、職場に不適切なドメイン、および DNS トンネリングやドメイン生成アルゴリズム (DGA) などの高度な DNS 脅威に関連するドメインをブロックするための DNS クエリフィルタリング機能も提供されており、一元化されたクエリのログ記録機能も含まれています。一般提供された Global Resolver は、辞書ベースの DGA 脅威に対する保護を強化します。 2026 年 3 月 9 日週のリリース 以下は、2026 年 3 月 9 日週に行われたその他の発表の一部です。 Amazon Bedrock AgentCore Runtime がステートフル MCP サーバー機能のサポートを開始 – Amazon Bedrock AgentCore Runtime が、ステートフルモデルコンテキストプロトコル (MCP) サーバー機能のサポートを開始しました。開発者はこの機能を使用して、リソース、プロンプト、およびツールに対する既存のサポートとともに、エリシテーション (情報の引き出し)、サンプリング、および進捗通知を使用する MCP サーバーを構築できます。ステートフル MCP セッションでは、分離されたリソースを用いる専用の MicroVM で各ユーザーセッションが実行され、サーバーは Mcp-Session-Id ヘッダーを使用して複数のやり取りにおけるセッションコンテキストを維持します。エリシテーションは、サーバーが開始するマルチターンの会話を行って、ツールの実行中に構造化された入力をユーザーから収集できるようにします。サンプリングは、パーソナライズされた推奨事項などのタスクのために、サーバーがクライアントに LLM 生成コンテンツをリクエストすることを可能にします。進捗通知は、長時間に及ぶ操作中でも、クライアントが情報を常に把握しておけるようにします。詳細については、 Amazon Bedrock AgentCore ドキュメントを参照してください。 Amazon WorkSpaces が Microsoft Windows Server 2025 のサポートを開始 – Amazon WorkSpaces Personal と Amazon WorkSpaces Core で Microsoft Windows Server 2025 を活用する新しいバンドルを利用できるようになりました。これらのバンドルには、Trusted Platform Module 2.0 (TPM 2.0)、Unified Extensible Firmware Interface (UEFI) Secure Boot、セキュアコアサーバー、Credential Guard、Hypervisor-protected Code Integrity (HVCI)、DNS-over-HTTPS などのセキュリティ機能が含まれています。既存の Windows Server 2016、2019、および 2022 のバンドルも引き続きご利用いただけます。マネージド Windows Server 2025 バンドルを使用することも、カスタムのバンドルとイメージを作成することも可能です。このサポートは、Amazon WorkSpaces が提供されているすべての AWS リージョンでご利用いただけます。詳細については、「 Amazon WorkSpaces のよくある質問 」をご覧ください。 AWS ビルダー ID が GitHub と Amazon を用いたサインインのサポートを開始 – AWS ビルダー ID でサポートされるソーシャルログインオプションに、GitHub と Amazon の 2 つのオプションが追加されました。これらのオプションは、既存の Google と Apple のサインイン機能に新たに追加されるものです。この更新により、開発者は一連の認証情報を個別に管理しなくても、既存の GitHub または Amazon のアカウント認証情報を使用して AWS ビルダー ID プロファイル (および AWS Builder Center、AWS トレーニングと認定、Kiro などのサービス) にアクセスできるようになります。詳細を確認して使用を開始するには、 AWS ビルダー ID ドキュメントをご覧ください。 Amazon Redshift に COPY 操作用の再利用可能なテンプレートを導入 – 頻繁に使用される COPY パラメータを保存して再利用できる COPY コマンド用のテンプレートが Amazon Redshift でサポートされるようになりました。テンプレートは、データインジェスト操作全体で一貫性を維持するために役立ち、COPY コマンドの実行に必要な労力を軽減して、将来の使用のすべてにテンプレート更新を自動適用することでメンテナンスを簡素化します。COPY テンプレートのサポートは、Amazon Redshift が提供されているすべての AWS リージョン (AWS GovCloud (米国) リージョンを含む) でご利用いただけます。使用を開始するには、こちらの ドキュメント を参照するか、ブログ記事「 Standardize Amazon Redshift operations using Templates 」をお読みください。 AWS のお知らせに関する詳しいリストについては、 ニュースブログ チャネルである「 AWS の最新情報 」ページをご覧ください。 近日開催予定の AWS イベント カレンダーを確認して、近日開催予定の AWS イベントにサインアップしましょう。 AWS Summit – 2026 年の AWS Summit に参加しましょう。AWS Summit は、クラウドおよび AI 関連の新興テクノロジーを探求し、ベストプラクティスについて学び、業界の同業者や専門家とつながることができる無料の対面イベントです。次回の Summit は、 パリ (4 月 1 日)、 ロンドン (4 月 22 日)、 バンガロール (4 月 23〜24 日) で開催される予定です。 AWS Community Day – コミュニティリーダーたちがコンテンツを計画、調達、提供し、テクニカルディスカッション、ワークショップ、ハンズオンラボが行われるコミュニティ主導のカンファレンスです。今後のイベントには、 プネー (3 月 21 日)、 サンフランシスコ (4 月 10 日)、 ルーマニア (4 月 23~24 日) などがあります。 AWS at NVIDIA GTC 2026 – 2026 年 3 月 16~19 日に米国サンノゼで開催される NVIDIA GTC 2026 で、AWS のセッション、ブース、デモ、付帯イベントに参加しましょう。AWS 経由でイベントパスの 20% 割引を受け、GTC での 1 対 1 ミーティングをリクエストできます。 AWS Community GameDay Europe – 2026 年 3 月 17 日に行われる AWS Community GameDay Europe は、ヨーロッパの 50 を超える都市で同時開催される、チームベースのハンズオン AWS チャレンジイベントです。参加チームは、壊れた AWS 環境内 (誤設定されたサービス、欠陥のあるアーキテクチャ、セキュリティギャップ) に配置され、2 時間の制限時間内で環境を可能な限り修正する必要があります。最寄りの開催都市を見つけて、 awsgameday.eu でサインアップしてください。 AWS Builder Center に参加して、ビルダーとつながり、ソリューションを共有し、開発をサポートするコンテンツにアクセスしましょう。こちらのリンクから、今後開催されるすべての AWS 主導の対面イベントおよび仮想イベント と デベロッパー向けのイベント をご覧いただけます。 2026 年 3 月 16 日週のニュースは以上です。2026 年 3 月 23 日週の Weekly Roundup もお楽しみに! – Esra この記事は、Weekly Roundup シリーズの一部です。AWS からの興味深いニュースや発表を簡単にまとめて毎週ご紹介します! 原文は こちら です。
この記事は、Amplify Japan User Group の池田 健人 氏 ( @ikenyal ) に寄稿いただきました。 こんにちは、AWS Community Builder 兼 AWS User Group Leaders、そしてAmplify Japan User Groupの運営メンバーであり「AWS Amplify Conference 2026 by Amplify Japan User Group」の実行委員長の池田( @ikenyal )です。 2026年1月20日(火)、Amplify Japan User Groupは日本で初となるAWS Amplifyの年次カンファレンス「AWS Amplify Conference 2026 by Amplify Japan User Group」を目黒セントラルスクエアにて開催しました。どうやら、日本初だけでなく、世界でもAWS Amplifyの年次カンファレンスは初のようです。 構想から準備まで、運営チーム一丸となって走り抜けたこのイベント。当日は多くの方にご来場いただき、まさに「Amplifyの熱量」が凝縮された1日となりました。 今回は、初開催となった「AWS Amplify Conference 2026 by Amplify Japan User Group」の目的と当日の様子をお伝えします。 開会挨拶(Amplify Japan User Group・カンファレンス実行委員長 池田 健人・アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 常務執行役員 技術統括本部長 巨勢 泰宏) イベント当日の開会挨拶にて、本カンファレンスの目的をお伝えしました。 開催日時:2026年1月20日(火) 10:00–17:00・懇親会 17:30–19:30 会場:目黒セントラルスクエア 21F セミナールーム 主催:Amplify Japan User Group Amplify Japan User Group主催となる初のAmplifyの年次カンファレンスが始動し、今回がその初回です。 「AWS Amplify Conference 2026 by Amplify Japan User Group」では「新規事業を加速させるAmplifyの魅力を探る」というテーマを掲げています。 Amplifyは「スタートアップでリソースが少ない環境でもアプリケーションを作れるもの」と思われることも多いですが、エンタープライズ企業・大企業においても、社内の新規事業の立ち上げや効果検証を高速に実施する武器としても大いに役立ちます。 今回のカンファレンスでは、是非そのような大企業の方々にもAmplifyの良さ・有用性を感じ取っていただき、このAmplifyのユーザーコミュニティをスタートアップ・エンタープライズの垣根なく拡大させて盛り上げていきたい思いもこめたテーマです。 なお、スライドでも利用しているカンファレンスのロゴですが、海外からも「日本のAmplifyカンファレンス行きたい」と思ってもらえるよう、「日本らしさ」を意識し、カタカナや富士山をあしらい、Amplifyのモチーフのロケットを添えたデザインになっています。 カンファレンスは1日かけてAmplifyの理解を深め、明日からの活用イメージを持っていただけるよう、様々なコンテンツをご用意しました。 午前のハンズオンでまずは体験していただき、午後には米国からAmplifyの開発を行っているプロダクトチームによる登壇や、実際にAmplifyを活用している企業の事例・ノウハウを学べる時間をご用意しました。また、最後には懇親会も開催しました。 ※当日は都合により一部登壇者・登壇内容に変更がありました そして、開会挨拶の締め括りとして、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 常務執行役員 技術統括本部長の巨勢さんからご挨拶・メッセージをいただきました。ご挨拶の後、ハンズオンの様子もご覧になったり、本カンファレンスに強い関心を抱いていただいていたのが印象的であり、実行委員長として感慨深い光景でした。 ハンズオン(講師:Amplify Japan User Group 足立 優司) 午前中のコンテンツはハンズオン。 Amplify Japan User Group運営の足立が講師を務めました。この日のために足立が中心となり、ハンズオンの内容を作成しました。 この「AWS Amplify Gen2 ハンズオン ― Dev ToolとAIが変える、次世代アプリケーション開発体験 ―」というハンズオンでは、AWS Amplify Gen2を用いて、ログイン機能付きのTodoアプリケーションを実装しながら、フロントエンドからバックエンド、デプロイまでの一連の開発フローを体験できるよう設計されています。 ハンズオン資料は公開されていますので、是非体験してきてください。 https://github.com/ototrip-lab/amplify-gen2-workshop 本ハンズオンのポイントは大きく三つあります。 1. Amplify Gen2を「実装レベル」で習得 宣言的なバックエンド定義、フロントエンドとの連携、開発フロー全体を実際に手を動かしながら学べます。 Qiitaなどで公開されているAmplify Gen2の最新記事を読んで「何をしているのか」「なぜこう書くのか」が理解できる状態を目指します。 2. Dev Tool開発体験(Kiro × AWS MCP サーバー) Kiro CLIとAWS MCPサーバーを組み合わせた、AI支援を前提とした最新のdev toolチェーンを実プロジェクト形式で体験できます。 AIによるガイド付き実装 Amplify Gen2の設計・実装を考えながら進める開発体験 単なるコード生成に留まらない、実務を意識したAI活用 「AIをどう開発に組み込むか」を具体的に掴める内容です。 3. 事前準備はアカウント登録だけ 参加前に必要なのは、以下の三つのアカウントを用意するだけです。 AWSアカウント AWS Builder ID GitHubアカウント GitHub Codespacesを利用するため、ローカル環境構築や複雑なセットアップは不要です。 すぐにハンズオンに集中できます。 特に、三つ目に挙げた事前準備の簡略化はワークショップ形式のハンズオンでは非常に重要なポイントです。当日は実際に手を動かす時間が一番大切なため、可能な限り準備に困らないよう意識したハンズオン設計になっています。 Amplifyセッション 午後のセッションは「Amplifyセッション」と「事例紹介セッション」の二部構成です。最初に「Amplifyセッション」としてAmplifyに関する知識を習得したうえで、後半の「事例紹介セッション」でより具体的なイメージを掴められるよう構成しています。 Amplify入門(アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 稲田 大陸) SA 稲田さんからは「AWS Amplify入門 仕様からリリースまで一気通貫 生成AI時代のフルスタック開発」というテーマでAmplifyを用いたモダンな開発の流れを伝える内容でした。 Kiroの由来が「岐路」だという話は聞いたことありましたが、それはプロジェクトのコードネームがそのままプロダクト名になったこと。Kiroのお化けキャラクターは開発中に社内でも極秘開発されていた際に「バレないようにお化け」にしていたものが、これもそのまま公式のキャラクターになったこと。Kiroが「AWS Kiro」でも「Amazon Kiro」でもないのは、AWSに関係なく幅広く使えるツールであることを示すために何も頭につかない「Kiro」になったこと。公式ドキュメントからは知ることのできない、たくさんのKiroトリビアも披露していただきました。 https://speakerdeck.com/inariku/aws-amplify-conference-2026-shi-yang-kararirisumade-qi-tong-guan-sheng-cheng-ai-shi-dai-nohurusutatukukai-fa コミュニティ紹介(Amplify Japan User Group・カンファレンス実行委員長 池田 健人) 本カンファレンスを主催するコミュニティ「Amplify Japan User Group」の紹介をしました。 「Amplify Japan User Group」はAWS Amplifyの利用者・開発者が主体となり、相互にAWS Amplifyの利用・開発をサポートするために、主に日本国内で活動するグループです。 2020年にコミュニティSlackがAWS主導で開設され、2021年にコミュニティのWebサイトが開設されました。 そして、このコミュニティは日本で三つしかないAWS公認コミュニティの一つだというのも特徴です。 JAWS-UG Amplify Japan User Group AWS Startup Community コミュニティでは主に三つの領域の活動をしています。 一つ目が「交流の場の提供」です。 Amplify利用者、なかにはコントリビュータの人もいたりしますが、その参加者が交流、質問、相談をできる場として用意しています。 コミュニティの初期の頃はSlackで提供していましたが、運用上Slackも無料プランを使わざるを得ない状況だと過去ログが見えなくなる点が懸念として上がり、今も継続しているDiscordに移行しました。 イベント情報もDiscordでご案内しますので、是非Discordにご参加ください。 https://discord.gg/2wVQ2D53Na 二つ目は「情報の提供」です。 Webサイトを公開しており、イベント情報、イベントレポート、学習リソースなどの情報をまとめています。 なお、このサイトは管理者が一方的に情報提供をするものではなく、コミュニティ全体で作り上げていくものなので、是非コンテンツ追加のPull Requestをお願いします。 そのようなPull Requestも立派なコミュニティ参加ですので、お気軽にトライしてみてください。 https://aws-amplify-jp.github.io/ そして三つ目が「ミートアップ・カンファレンスの開催」です。 年に数回のオンラインミートアップの開催と、年に1度のオフラインカンファレンスを提供しています。 ミートアップに関しては登壇者を募集する形式なので、Amplifyを使ってみて得られた知見やノウハウを是非発表してみてください。 ここまででご紹介したDiscord、イベント、登壇に関するリンクはこちらの通りですので、是非コミュニティ活動にご参加ください。 Discord https://discord.gg/2wVQ2D53Na Amplify Boost Up ・カンファレンスへの参加 https://aws-amplify-jp.connpass.com/ Amplify Boost Up での登壇 https://github.com/aws-amplify-jp/amplify-meetup-cfp そして、これらを支えるのがコミュニティの運営です。 本カンファレンスの開催も含め、全員ボランティアで運営をしています。 以前にこの運営体制の記事を出したので是非ご興味ありましたらご覧いただければと思います。 https://zenn.dev/ikenyal/articles/75637f3d3ce52a また、本カンファレンスですが、ここに掲載している運営メンバーを中心にAWSの社員の方々にもご支援・ご協力いただいて開催できております。改めて関係者の皆さま、そして参加者の皆さまに感謝の意を表します。 The Future of Amplify Gen2 And How We’re Bringing Everyone Along(AWS Amplify Product Team, Senior Product Manager Praneeta Prakash・Software Development Manager Joey Wang) 米国から来日中のAmplifyプロダクトチームのPraneetaさんとJoeyさんによる講演です。 英語による講演でしたが、Zoomのリアルタイム翻訳とDiscordによる要約による言語サポートを実施しました。 Joeyさんからは、まだまだAmplify利用者としてもGen1利用者が多いなか、Gen2の特徴を改めて伝えるものでした。 そして、まだ公開された間もないGen1からGen2へのマイグレーションツールの紹介もありました。 https://github.com/aws-amplify/amplify-cli/blob/gen2-migration/GEN2_MIGRATION_GUIDE.md Praneetaさんからは、Amplifyのロードマップに関するメッセージがありました。 生成AIの進歩によってAmplifyはどう変化していくのか。AmplifyはGen2ではAWS CDKをネイティブサポートしています。それによって、AIがより読みやすくなり、AIからの利用が容易になっています。 CDKとAmplifyは距離の近い隣のチームで開発されています。CDKを初日で分かる人は少ないかもしれませんが、AmplifyはAWSを知らなくても使えるようにしていくことを引き続き目指していきます。 事例紹介セッション 午後の後半は「事例紹介セッション」として、実際にAmplifyを利用している企業・プロダクトの事例紹介を行いました。 サイトの本番公開までにあと2ヶ月しかなかった時(株式会社すかいらーくホールディングス 福田 誠) すかいらーくホールディングス 福田さんからは、リリースまでに2ヶ月という期間しかない状況において、Amplifyによってそれをどう実現したかというお話でした。 そして、福田さんは午前のハンズオンに参加され、その時間に開発したルーレットで会場参加者向けにプレゼント企画も実施していただきました。 ADRで「なぜ」を残す開発:AWS Amplifyで実現した薬局のWEB問診票(株式会社エムティーアイ Leinikka Marko Kristian) エムティーアイのLeinikkaさんの発表です。 ADRを残す大切さや、Nuxtのサポートやプレビュー環境の自動構築等のAmplifyを選定した理由を、許容したポイントも添えて紹介いただきました。 クラウド知識ゼロからAmplifyで始める新規事業サービス開発(三菱電機株式会社 的場 祐弥) 三菱電機の的場さんからは、AWSもクラウドもReactも、何も知らない状態からAmplifyで新規事業へ挑戦してリリースまで果たし、そこからより深いAWSの理解や継続開発につなげていったお話をいただきました。 初めてのモバイルアプリ内製化:Amplifyを用いたバックエンド開発の道のり(シチズン時計株式会社 Rudolf Yoga Hutama・シチズン・システムズ株式会社 浅原 一葉) シチズン時計のRudolfさんとシチズン・システムズの浅原さんによる発表です。 外部委託していたアプリを内製化する際に、育成のためにフロントエンド開発とバックエンド開発の期間を分けて開発する計画を策定。結果としては1ヶ月の開発期間の短縮に成功し、その短縮できた期間でスコープ外にしていたログイン機能を追加開発を実現させました。 質疑応答 当初予定していたピュアポムメディアラボ 青木さんが都合により来場が間に合わなくなり、質疑応答の時間を設けました。 予定していなかった質疑応答コーナーですが、会場からは続々と質問をいただき盛り上がりました。笑顔もあふれる質疑応答の時間になりました。 懇親会 イベントの最後は懇親会も開催。参加者・登壇者・運営が一緒になって会話や食事を楽しみました。 おわりに 今回は年次カンファレンスの立ち上げという貴重な体験をすることができました。結果として、多くの皆さまに参加いただき、楽しんでいただけて一安心しております。参加者アンケートでも、5段階のうち、すべての回答が4以上の評価でした。さらには7割の方に5点満点評価をいただきました。 これも、参加いただいた参加者の皆さま、登壇者の皆さま、そして運営メンバーだけでなくご支援・ご協力いただいたAWSの皆さまのおかげです。 来年はさらにパワーアップしたカンファレンスになるよう頑張りたいと思います! 著者について 池田 健人(Ikeda, Kento) AWS Community Builder、AWS User Group Leaders。Amplify Japan User Group 運営メンバー、AWS Amplify Conference 2026 実行委員長。 和智 大二郎(Wachi, Daijiro) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト
はじめに こんにちは、SRE部カート決済SREブロックの伊藤( @_itito_ )です。普段はZOZOTOWNのカート決済機能のリプレイス・運用・保守に携わっています。また、DB領域でのテックリードを務めており、データベース周りの運用・保守・構築も担当しています。 ZOZOでは全社的に生成AIの活用が推奨されており、SRE部においてもAmazon Q Developer(以下、Q Dev)のPoCを実施しました。 本記事では、Q DevのPoCをどのように実施したのか、PoCを通じて得られた知見なども含めてご紹介します。 目次 はじめに 目次 Amazon Q DeveloperとKiroについて Kiro CLI Kiro IDE PoCの概要 背景 PoC体制 利用状況の取得方法について フィードバックと分析 Kiro CLIの評価 デフォルトモデルの違いによる体感品質の差 AWS操作の利便性について Kiro IDEの評価 仕様駆動開発の活用事例 PoCの総括 Amazon Q Developer ProとKiroのプラン選定について まとめ Amazon Q DeveloperとKiroについて まず本PoCで扱ったツールの全体像を整理します。 Amazon Q Developer (以下、Q Dev)はAWSが提供するAI搭載の開発者向けアシスタントです。コード補完やチャットなどのIDE支援、CLI、AWSリソース管理といった機能を備えています。一方、 Kiro はAWSが提供するAI搭載の開発ツールで、 Kiro IDE と Kiro CLI の2つの製品で構成されています。 本PoCは、Q Devをターゲットとして開始しましたが、PoC期間中にKiroがGA(一般提供)され、Amazon Q Developer CLIがKiro CLIに改名されました(後方互換性あり)。本記事ではサービス全体をPoC開始時の名称に基づき「Q Dev」と表記しますが、CLIについては現行名称の「Kiro CLI」と表記します。 以下では、PoCで特に評価対象となったKiro CLIとKiro IDEの概要を説明します。 Kiro CLI Kiro CLIは、Amazon Q Developer CLIを引き継いだターミナルベースのAIエージェントツールで、ターミナルからAIと対話しながら開発・運用作業を行えます。主な機能は以下の通りです。 インタラクティブチャット :ターミナル上で自然言語を使い、コード生成やAWS操作を可能 MCP統合 :MCPサーバーを介して外部ツールと接続することで、AIの回答精度を向上させることが可能 カスタムエージェント :使用するツールや権限、コンテキストを定義した設定ファイルを用意することで、特定のワークフロー向けに特化したエージェントを構築・実行 Kiro IDE Kiro IDEは、VS Code互換のGUIベースの統合開発環境です。最大の特徴は 仕様駆動開発(Spec-driven Development) です。プロンプトから直接コードを生成する「バイブコーディング」とは異なり、以下の3段階のワークフローで構造的に開発を進めます。 Requirements(要件定義) :ユーザーストーリーをEARS記法 1 で形式化した requirements.md を生成 Design(設計) :アーキテクチャやデータフローを記述した design.md を生成 Tasks(タスク) :実装タスクを細分化した tasks.md を生成し、追跡可能な形で管理 KiroのGA前は、Q Devの契約でKiro IDEが正式にサポートされるかは不明瞭でした。しかしGA時に正式にサポートが発表されたため、PoCの評価対象に含めることとしました。 PoCの概要 背景 弊社では、全社的に生成AIの活用が推奨されています。全エンジニアを対象に1人あたり月額200米ドルの基準のもと、開発AIエージェントの導入が許可されています。 corp.zozo.com SRE部でもClaude Codeを利用できる環境でしたが、AWSとの親和性の観点からQ DevのPoCを実施することとしました。Kiro CLIにはデフォルトでAWSリソースと連携できる use_aws ツールなどの機能が組み込まれています。そのため、リソース管理やトラブルシューティングでより優れた体験を得られると考えました。 aws.amazon.com PoC体制 項目 内容 期間 2025年11月〜2026年1月までの3か月間 対象 SRE部37名 目的 Q DevがZOZOTOWNの運用業務の効率化に有用か判断すること 契約プラン Amazon Q Developer Pro PoCの進め方としては、初期設定およびハンズオンをAWS社のサポートのもと実施した後、各メンバーに自由に使ってもらい、フィードバックを収集する形をベースとしました。2週間に1度の定例で各チームの代表者から利用状況やフィードバックを共有してもらいつつ、必要に応じてKiroに関する共有や追加のハンズオンを実施しながら進めました。 Kiro IDEのハンズオンにおいては、以下のような記事を参考に、仕様駆動開発の流れを体験してもらう内容としました。 aws.amazon.com 利用状況の取得方法について Q Devではダッシュボードを有効にすることで全体の利用状況を把握できますが、ユーザーごとの利用状況は確認できません。 そこで、 ユーザーアクティビティレポート を有効にし、S3にCSVを出力して分析する方法を採用しました。 出力したCSVはAIツールに以下のようなプロンプトを渡して可視化しています。 S3バケット `{バケット名}` に保存されたAmazon Q Developerのユーザーアクティビティレポートをダウンロードして、この情報を可視化したHTMLファイルを以下の仕様で作成してください。 - IAM Identity Centerからユーザー情報を取得し、そのUserIDとcsvのUserIDをマッピングしてユーザー名を表示できるようにする - 1つのHTMLの中に全ユーザーの情報が含まれていてユーザーをボタンで切り替えることができるようにする - 土日は除外する - 3ヶ月分まとめたデータを1つのグラフで見れるようにする - Chat_MessageSentとChat_AICodeLinesにフォーカスしたグラフを作る。その際単位の違いを考慮して2軸とし、左軸がChat_MessageSent、右軸がChat_AICodeLinesとする フィードバックと分析 各チームから集めたフィードバック内容はカテゴリ別に整理して分析しました。大きく分けると、Kiro CLI・Kiro IDEの2つの観点となり、それぞれについていくつか紹介します。 Kiro CLIの評価 Kiro CLIの使用用途としては、主に以下のようなものが挙げられました。 CloudFormationなどのコード生成や修正 AWSに限らないコードの生成や修正 MCP経由でのAWSコスト確認 AWSリソースやEKSで発生したトラブルの原因調査 デフォルトモデルの違いによる体感品質の差 今回のPoCでは、自由に使ってもらったうえでフィードバックを収集する形式としており、モデルや設定の制限は行っていないため、厳密な精度検証ができる状態ではありません。 その前提のもとで、「バイブコーディングで生成したコードの品質がClaude Codeよりも低いと感じた」という意見がありました。これはデフォルトモデルの違いに起因すると考えられます。 項目 Kiro CLI Claude Code デフォルトモデル Auto(自動切り替え) Opus(最上位モデル固定)※Claude Maxプラン利用時 モデル選択の方針 コストパフォーマンスを重視し、タスクに応じて最適なモデルを自動選択 Claude Maxプランではデフォルトで最上位モデルを使用 特徴 コスト効率が高い 一貫して高い生成品質 このデフォルト設定の違いが、体感的な品質差につながった可能性があります。 AWS操作の利便性について 前述の通り、本PoCのきっかけの1つはAWSとの親和性の評価でした。比較しながら使っている中で、例えば以下のような違いが見られました。 ケース例 :EKS側の設定不備によってAWS FIS(Fault Injection Simulator)のアクション pod-cpu-stress が失敗した原因を調査する。 ツール プロンプト 結果 Kiro CLI FIS のアクションpod-cpu-stressが失敗する理由を調べて。 awsコマンドを実行し、実際のAWSリソースを調査した上で具体的な原因と修正手順を回答 Claude Code FIS のアクションpod-cpu-stressが失敗する理由を調べて。 Web Searchなどを活用して一般的な知識に基づき回答 この結果だけを見るとKiro CLIの方がAWSとの親和性が高いように見えますが、Claude Code側のプロンプトに以下のように1文付け加えるだけで同様の結果が得られました。 ツール プロンプト 結果 Claude Code FIS のアクションpod-cpu-stressが失敗する理由を調べて。 awsコマンドはインストール済みで、AWS_PROFILEも設定済みです。 awsコマンドを実行し、実際のAWSリソースを調査した上で具体的な原因と修正手順を回答 さらに、毎回プロンプトに付け加えなくても、MCPの設定や ~/.claude/CLAUDE.md に以下のように記載しておくだけで、同様にAWS操作を活用した回答が得られるようになります。 ## ツール - AWS CLI ( ` aws ` ) はインストール済み。AWSのトラブルシューティング時に積極的に使用してよい デフォルトの状態ではKiro CLIの方がAWS操作の利便性が高いと言えます。しかし、Claude Code側も簡単な設定次第で同等の操作が可能になるため、設定込みで比較すると大きな差は見られませんでした。 Kiro IDEの評価 Kiro IDEについては、 仕様駆動開発(Spec-driven Development) が使用できるという点が大きな評価ポイントとなりました。 仕様駆動開発ではエージェントやプロンプトを調整せずにRequirements → Design → Tasksを構造化されたドキュメントとして自動生成してくれるため、以下のような点が評価されました。 開発プロセスのトレーサビリティ :要件・設計・タスクが構造化されたドキュメントとして残るため、なぜその実装に至ったのかを後から追跡しやすい 属人化の抑制 :個人のプロンプト技術や暗黙知に依存せず、チームの誰が見ても開発の意図と経緯を理解できる 仕様駆動開発の活用事例 実際に仕様駆動開発が活用された例として、設計したアーキテクチャの妥当性を確認するための技術検証が挙げられます。この技術検証はインフラだけでなくアプリケーションの改修も含むもので、通常であればアプリケーションレイヤーとインフラレイヤーで担当者を分けて進めるものでした。 ここでKiro IDEのSpecモード(仕様駆動開発モード)が威力を発揮しました。アーキテクチャや設計方針が固まっている状態でそれをSpecに落とし込むことで、要件定義・設計・タスク分割が構造的に整理され、ゼロベースからの実装が非常に高速に進みました。結果として、通常は複数人で分担するような規模のPoCを1人で完遂でき、技術戦略の意思決定に必要な検証を迅速に行えました。 PoCの総括 PoCの結果、Kiro CLI自体は非常に便利なものの、既にClaude CodeなどのAIエージェントツールを利用している環境では、Kiro CLIだけでは追加導入の決め手としては弱いと感じました。 一方で、Kiro IDEの仕様駆動開発ワークフローは非常に好評でした。他ツールでも工夫次第で近い進め方は可能ですが、Spec→Design→Tasksが一貫して組み込まれた” デフォルト体験 ”として非常に高い価値があるという結論に至りました。 そのため、 必要なメンバーがKiro IDEを追加で利用できる環境を整備する という方針としました。 Amazon Q Developer ProとKiroのプラン選定について PoCはAmazon Q Developer Proで契約していましたが、本番導入にあたってはKiro Proを選定しました。両プランの比較は以下の通りです。 Amazon Q Developer Pro Kiro Pro 料金(月額) US$19/月 US$20/月 使用可能な機能 Kiro CLI・Kiro IDE Kiro CLI・Kiro IDE 使用量の単位 1,000リクエスト(推論呼び出し10,000回が1,000リクエスト相当) 1,000クレジット(1リクエスト≠1クレジット。消費クレジットはリクエスト内容により変動し、簡単なものなら1クレジット未満) 超過時の扱い リセットされるまで利用不可 上位プランへのアップグレードや従量課金の設定で利用を継続可能 ユーザーアクティビティレポートに含まれる情報 Kiro CLIでの使用量のみ Kiro CLI・Kiro IDE両方の使用量 使用量リセット 月次 月次 出典: Amazon Q Developerの料金プラン , Kiroの料金プラン (2026年3月5日現在) 料金差はKiro Proの方が月額1ドル高いですが、以下の2点を重視してKiro Proを選定しました。 クレジット枯渇時の柔軟性 :Amazon Q Developer Proではクレジットを使い切ると翌月のリセットまで利用できなくなる。一方、Kiro Proでは上位プランへのアップグレードや従量課金の設定により利用を継続できるため、業務が止まるリスクを回避できる。 利用状況の可視性 :Amazon Q Developer ProのユーザーアクティビティレポートにはKiro CLIでの使用量しか含まれず、Kiro IDEでの使用量を把握できない。Kiro ProではKiro CLI・Kiro IDE両方の使用量がレポートに含まれるため、チーム全体の利用傾向を正確に把握できる。 まとめ 本記事では、SRE部で実施したAmazon Q DeveloperのPoCの進め方と結果についてご紹介しました。 Amazon Q Developer/Kiroの導入を検討している方や、Kiroを使おうとしている方の参考になれば幸いです。 ZOZOでは、一緒にサービスを作り上げてくれる方を募集中です。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください。 corp.zozo.com Easy Approach to Requirements Syntaxの略。「WHEN〜, THE SYSTEM SHALL〜」(「〜の場合、システムは〜しなければならない」)などの定型文で要件を自然言語で記述する手法。 ↩

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