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みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの野間です。今週も生成 AI に関する 1 週間のアップデートをお届けします。今回は Kiro の公開 1 周年にあわせた記事群やAWS Summit Japan 2026 の開催報告など、盛りだくさんの内容です。 7 月 28 日(火)に「 AWS Bedrock LLM Day Japan 」が東京 赤坂インターシティにて開催されます。AWS Summit New York で発表された最新のサービスアップデートを日本のお客様向けにいち早くお届けするとともに、Amazon Bedrock 上での Anthropic・OpenAI モデルの活用法や、AI エージェント構築基盤 AgentCore の最新機能を実践的に解説します。ぜひご参加ください。 それでは 7月 13日週の生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。 さまざまなニュース AWS 生成 AI 国内事例ブログ「 株式会社村田製作所様の AWS 生成 AI 活用事例 : 3 万人利用の「Murata Coworker」を AI エージェント活用基盤へ進化させるまで 」を公開 株式会社村田製作所様による寄稿記事です。全社生成 AI プロダクト「Murata Coworker」は資料作成、翻訳、調査、社内データを活用した RAG/Agent などを統合的に提供し、累計約 3 万人が利用、1 人あたり月約 3 時間の工数削減などの効果が確認されています。この Murata Coworker を Amazon Bedrock AgentCore を中心とした AI エージェント活用基盤へ進化させる取り組みが紹介されています。社内外の知識をつなぐ Knowledge Hub やヘルプデスク業務を支援する ITSM Agent の実装に加え、AI エージェント特有のリスクを体系化したガイドライン、Amazon Bedrock のガードレール機能と NVIDIA NeMo Guardrails を組み合わせた二重構造、「人 → Agent → ツール/データ」の認可チェーン設計など、ガバナンスの実践例が具体的に語られており、AI エージェントの全社展開と統制の両立を検討している方の参考になる内容です。 ブログ記事「 音声 AI エージェントで実現するセントラルキッチンのハンズフリーオペレーション 」を公開 株式会社アドバンスト・メディア様と AWS Japan の共同執筆記事です。AWS Summit Japan 2026 で展示した、セントラルキッチン(複数店舗向けの集中調理施設)の業務課題を音声 AI エージェントで解決するアーキテクチャを解説しています。AmiVoice による高精度な日本語音声認識、Amazon Bedrock AgentCore Runtime と Strands Agents SDK による AI エージェント、Amazon DynamoDB や AWS Lambda によるサーバーレスバックエンドを組み合わせ、「手を使わずにレシピを操作できる」ハンズフリーオペレーションを実現しています。調理中に手が塞がる環境でのデータ入力障壁は、食品製造に限らずホテル・医療・製造・物流など多くの業界に共通する課題であり、音声認識と AI エージェントを組み合わせたシステム設計の参考になります。 ブログ記事「 AI と一緒に進める AWS Well-Architected Framework レビュー のすすめ 」を公開 AWS Summit Japan 2026 の Well-Architected ブースで展示した、AI を活用して AWS Well-Architected Framework レビュー(WAFR)を加速する 3 つのアプローチを紹介する記事です。Amazon Quick のチャットエージェント機能を活用して構築する Well-Architected Quick Advisor、Kiro や Claude Code などのコーディングエージェントに Well-Architected の知識を組み込むサンプルスキル・ステアリング集、そして IaC ファイルや設計書を生成 AI で自動レビューする Well-Architected IaC Analyzer です。「フレームワークの内容を理解するのが難しい」「時間がなくてレビューを実施できない」という悩みに対してレビューのハードルを下げる具体的なツールが揃っており、チームの状況に合わせて始めやすいものから取り入れられます。 ブログ記事「 Amazon Bedrock における LLM コストの最適化:請求の帰属から運用テレメトリまで 」を公開 Amazon Bedrock 上の LLM コストを可視化・最適化するための 3 層のオブザーバビリティフレームワークを解説する翻訳記事です。AWS IAM と AWS Cost and Usage Report(CUR)を用いたネイティブな請求の帰属、モデル呼び出しのログ記録、OpenTelemetry によるアプリケーションレベルのテレメトリを段階的に積み重ねる構成で、Kiro や Amazon Q Developer、Claude Code、Cursor、カスタムアプリケーションのいずれにも対応します。あわせて、モデルの切り替えやキャッシュ効率の改善など、ワークロードに応じて支出を 30〜50% 削減できる 5 つの具体的なレバー(施策)も紹介されています。「いくら使ったか」だけでなく「なぜそのコストが発生したのか」まで踏み込めるようになり、LLM 利用の拡大に伴うコスト管理に悩む方の実践的な指針になります。 ブログ記事「 Amazon Bedrock と Oracle Database@AWS で生成 AI ユースケースを加速する 」を公開 Oracle Database@AWS 上の Oracle AI Database 26ai をベクトルストアとして使い、Amazon Bedrock と統合して RAG(検索拡張生成)アプリケーションを構築する手順を解説する翻訳記事です。Oracle AI Database 26ai は VECTOR データ型と AI Vector Search 機能により、データベース内にビジネスデータと並べてベクトル埋め込みを保存し、セマンティック検索を実行できます。記事では Amazon Titan Text Embeddings v2 モデルで埋め込みを生成し、Amazon Bedrock 上の Anthropic Claude モデルと LangChain を組み合わせた Streamlit ベースの AI チャットアシスタントを構築しています。コードは GitHub で公開されており、Oracle Exadata ワークロードを AWS で運用しながら生成 AI 活用を進めたい方が手を動かして試せる内容です。 ブログ記事「 ナレッジグラフと IoT データによる生産ラインのボトルネック分析 〜AI エージェントのための製造データの構造化〜 」を公開 AWS Summit Japan 2026「生産ラインの未来」ブースで展示した、AI エージェントが生産ラインのボトルネックを検知し改善策を提案するデモの実装詳細を解説する記事です。製品・部品・設備・サプライヤーといった要素間の関係性を Amazon Neptune 上のナレッジグラフとして定義し、サイクルタイムや在庫といった鮮度の高いデータは AWS IoT SiteWise や Amazon DynamoDB から必要なときに参照する構成で、変わりにくい構造と刻々と変わる値を分離しています。「300 台増産は間に合うか」という問いに対して AI エージェントがナレッジグラフ探索、リアルタイムデータ取得、在庫照合、統合判定、自然言語での報告までを実行する推論フローが具体的に示されており、製造データを AI エージェントで活用するためのデータ構造化の進め方として参考になります。 Kiro関連 ブログ記事「 Kiro の 1 年:学生たちが今まさに未来を築いている 」を公開 Kiro 公開 1 周年にあわせ、学生ビルダーたちの活躍を紹介する記事です。Kiro for students の開始以来、数千人の学生が Kiro で開発に取り組んでおり、視覚障害のあるユーザー向けに Web の視覚コンテンツを音声フィードバックに変換するアクセシビリティアプリや、音声起動の遠隔ウェルネスシステム、自然言語の説明から配線済みブレッドボード回路を生成する電子工作プロトタイピングツールなど、分野を横断したプロジェクトが生まれています。ハッカソン経験者から初めてコードを書く学生、開発に踏み出したデザイナーまで、それぞれのやり方で Kiro を使う 4 人の学生の声も掲載されています。今年後半には学生向け提供の拡大やキャンパスでのワークショップ・ハッカソン開催も予定されており、AI とともに開発を学ぶ次世代の動きを知ることができます。 ブログ記事「 Kiro でテスト駆動開発(TDD):こうあるべき体験 」を公開 テスト駆動開発(TDD)の red-green-refactor サイクルを Kiro の hook で徹底する方法を紹介する翻訳記事です。hook は IDE で特定のイベントが発生したときに自動的に実行される自動化ツールで、Kiro がコードを書こうとする前に「まず失敗するテストを書く」ことを促す hook の設定例が、そのままコピーして使える形で掲載されています。モンティ・ホール問題(確率のパズルとして知られる題材)を使ったシンプルな例と、タスク管理システム用 REST API の構築という実践的な例の両方で hook が機能する様子が示されています。TDD の利点は理解しつつも、テストを書く単調さやコンテキストスイッチが負担で実践しきれなかった方にとって、その規律を AI に守らせるアプローチとして試す価値があります。 ブログ記事「 Kiro の 1 年:これまでの振り返りと、これから 」を公開 Kiro の公開から 1 年を振り返る記事です。プレビュー公開から最初の 5 日間で 10 万人以上の開発者が Kiro IDE を試し、10 月にはその数が倍以上に増加、11 月には一般提供を開始しました。仕様駆動開発、プロパティベーステスト、チェックポイント、CLI、エンタープライズ機能に加え、Web・モバイル体験の提供や OpenAI の GPT-5.6 モデルの追加まで、この 1 年の進化がまとめられています。2 人のクラウドチームが数十の AWS アカウントにまたがる 500 の Lambda 関数の更新を 2 ヶ月から半日に短縮した Loyola Marymount University の事例や、従来は複数の開発者で 3〜4 ヶ月を要するプロジェクトを 1 人のアーキテクトが 2 週間で完了させた Siemens の事例など、利用者の具体的なストーリーからも Kiro の広がりが伝わります。 ブログ記事「 GPT‑5.6 が Kiro で利用可能に 」を公開 OpenAI のモデルが初めて Kiro に登場しました。GPT-5.6 Sol、Terra、Luna の 3 モデルが Kiro の IDE、CLI、Web で利用可能になり、性能とコストのトレードオフに応じて選択できます。フラッグシップの Sol は複雑なマルチステップ作業向け、Terra は日常的なエージェント作業向けのバランス型、Luna は最もコスト効率の高いモデルという位置づけで、クレジット倍率は Sol が 2.4 倍、Terra が 1.2 倍、Luna が 0.6 倍です。AWS 米国東部(バージニア北部)リージョンと欧州(フランクフルト)リージョンにおいて、Kiro Pro、Pro+、Pro Max、Power のお客様向けに実験的サポートとして段階的に展開されており、クロスリージョン推論にも対応しています。 ブログ記事「 ビルダーたちを称えて:創業者は Kiro でどのように開発を加速しているか 」を公開 Kiro 公開 1 周年にあわせ、スタートアップ創業者たちの事例を紹介する記事です。昨年 11 月に開始した Kiro for startups は応募が殺到して早期に受付を終了し、今年 4 月に Kiro Startup Credits として再開、この 1 年で数千の創業者が Kiro を選びました。記事では、規制の厳しい金融コンプライアンス分野で対象ワークフローのデリバリーを約 50% 高速化した Facctum Solutions や、テスト開始まで 24〜32 週間と見積もっていたプロジェクトを 5〜7 週間で完了させた Banking-as-a-Service プラットフォームの Nymbus など、4 社の創業者の声が紹介されています。Kiro Startup Credits の応募は年末まで延長されており、アーリーステージから Series A のスタートアップが対象です。 イベント開催報告関連 ブログ記事「 【開催報告】AWS Summit Japan 2026 — AI エージェントで危機対応:小売×消費財の混乱を AI と人が即座に解決 」を公開 AWS Summit Japan 2026 の流通小売・消費財・飲食業界向けブースで展示した、サプライチェーン危機対応デモの開催報告です。台風による広域配送停止や原材料の調達難といった外乱に対し、AI エージェントが検知・影響分析・代替案の探索と提示を行い、人間が承認したうえで実行と通知までを一気通貫で行う流れをライブで実演しました。Amazon Bedrock AgentCore Runtime と Strands Agents SDK によるマルチエージェント構成で、Strands Agents SDK の Interrupt 機能を使った人間による承認の必須化(Human-in-the-Loop)や、AWS AppSync Events による AI の思考プロセスのリアルタイム可視化が工夫のポイントです。AI に任せる範囲を 5 段階の自動化レベルとして整理し、既存データを使った「レベル 1 のシミュレーション」からであれば実業務のプロセスを変更せずに今日からでも始められると提案しており、BCP 訓練に課題を持つ企業に具体的な出発点を示しています。 ブログ記事「 【開催報告】AWS Summit Japan 2026 ― AI で加速する製品イノベーション 〜マルチエージェントで実現する製品開発 」を公開 AWS Summit Japan 2026 の流通小売・消費財・飲食ブースで展示した、マルチエージェントによる製品開発デモの開催報告です。製品イノベーションのライフサイクルをリサーチ・デザイン・製造の 3 フェーズに分け、それぞれに専任の AI エージェントを配置し、市場調査から製品デザイン、原価試算・収益予測までを一気通貫で進める体験を提供しました。従来 6 ヶ月から 1 年以上を要することも珍しくない開発プロセスを数分に短縮しつつ、各ステップで AI が複数の案を提示し人間が方向性を決める Human in the Loop の思想を貫いています。エージェントは Amazon Bedrock AgentCore 上で Strands Agents SDK により構築され、経営戦略資料などの自社データを Amazon Bedrock Knowledge Base に連携することで「一般解」ではなく「わが社の解」が得られる点も強調されており、製品開発の高速化を検討する方がイメージを掴みやすい内容です。 ブログ記事「 AIで変える鉄道保全と、「クローズド」を読み解くクラウド設計 — AWS Summit Japan 2026 展示ブース開催報告 」を公開 AWS Summit Japan 2026 の鉄道ブースにおける 2 つの展示の開催報告です。1 つ目は、AI エージェントと地理情報システム(GIS)を統合した鉄道設備保全プラットフォームで、異常検知から原因調査、作業指示書の生成までを AI エージェントが支援するとともに、Amazon Science が開発したオープンソースの時系列基盤モデル Chronos-2 を応用した学習不要(ゼロショット)の予兆検知を紹介しています。2 つ目は、国土交通省「鉄道分野における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン」第 6 版を踏まえた OT/IT 設計アプローチのパネル展示で、AWS Direct Connect による閉域網接続を前提に、Amazon GuardDuty などのマネージドサービスでセキュリティ運用の負荷を軽減する考え方を示しています。人手不足や保全対象機器の増加に直面する保全現場と、クローズド前提の制御系システムの両面から、鉄道業界のクラウド活用を考えるヒントになります。 ブログ記事「 【開催報告】AWS Summit Japan 2026 — 「AI ペルソナ達がビジネス課題解決を加速する」バーチャル AI エキスパート 」を公開 AWS Summit Japan 2026 の流通小売・消費財・飲食ブースで展示したプロトタイプ「バーチャル AI エキスパート」の開催報告です。CEO 視点、IT Director 視点、店舗マネージャー視点など異なる専門性と立場を持つ複数の AI ペルソナが専門家チームとして自律的に調査・分析・議論し、人間は最終判断だけを行うというコンセプトで、数分の対話で数週間かかっていた意思決定の下準備が完了する体験を提供しました。Nova 2 Sonic によるリアルタイム音声対話、A2A・AG-UI プロトコルによるエージェント間・UI 間通信の標準化、Amazon Bedrock AgentCore Runtime 上での実行という技術構成に加え、4 名のソリューションアーキテクトが Kiro と AI-DLC(AI Development Life Cycle)を活用して約 3 週間のスプリントで設計から開発まで完了させた過程も詳しく語られています。マルチエージェント開発の設計判断や苦労した点が率直に共有されており、同様のシステムを検討する方に実践的な学びがあります。 ブログ記事「 【開催報告】AWS Summit Japan 2026 〜 Future of Agentic Commerce ブース 」を公開 AWS Summit Japan 2026 で展示した、流通小売消費財業界ブース「AWS で実現する新しい E-Commerce の形 〜 Future of Agentic Commerce」の開催報告です。Agentic Commerce とは、自律的な AI エージェントがユーザーに代わって商品の検索・比較・購入・決済までを独立して実行する新しい形の e コマースで、現状では購入の最終判断は人が行う形が中心です。デモでは、AI プラットフォーム側の Incoming Agent と EC 事業者側の Onsite Agent を Amazon Bedrock AgentCore を中心に統合し、UCP・AP2・ECP・MCP Apps といった複数のコマースプロトコルへの対応や Amazon Pay による決済まで、一連のカスタマージャーニーを実際に動く形で紹介しました。来場者からは「AI エージェントに決済まで任せたい」よりも「AI プラットフォーマーに自社の商品を推薦してもらい、自社の EC サイトへ流入させたい」という声が多かったなど現場の生の反応も紹介されており、急速に整備が進むこの分野の全体像を掴むのに役立ちます。 ブログ記事「 【開催報告】AWS GenAI Catapult! 〜AI 駆動型ハッカソンイベント:ユースケース創出から Kiro によるプロトタイプ開発まで〜 」を公開 2026 年 6 月 11 日・12 日の 2 日間、AWS 麻布台オフィスで開催した AI 駆動型ハッカソンイベント「AWS GenAI Catapult!」の開催報告です。Amazon のイノベーション創出メカニズム「Working Backwards」手法を用いて顧客起点で生成 AI ユースケースを創出し、AI コーディングエージェント Kiro でプロトタイプ開発まで行うコンテスト形式のイベントで、金融領域の 13 社 12 チーム(47 名)が参加しました。前回はアイデア創出が中心でしたが、今年は「考える」から「作る」までを 2 日間で一気通貫に体験する構成へと進化しています。参加者アンケートでは総合満足度 4.8/5.0、今後も Kiro を業務で使いたいと回答した方は約 94% にのぼり、「開発をしたことがない人間でも、ここまで作れるのか」という驚きの声とともに、生成 AI 活用を業務効率化の先のイノベーション創出へ引き上げようとする場の熱気が伝わってきます。 サービスアップデート OpenAI GPT-5.6 Sol、Terra、Luna が Amazon Bedrock で一般提供開始 OpenAI の GPT-5.6 Sol、Terra、Luna が Amazon Bedrock で一般提供を開始しました。フラッグシップの推論性能を持つ Sol、バランスの取れた性能の Terra、高速かつコスト効率の高い推論の Luna という能力階層をカバーし、いずれも Amazon Bedrock の Responses API から利用できます。Sol はエージェンティックコーディングのベンチマークで最先端の結果を示し、Terra は GPT-5.5 レベルの性能を半分のコストで、Luna は最も低い価格で高速な推論を提供します。明示的なキャッシュブレークポイントを指定できるプロンプトキャッシュに対応しており、エージェントワークフローで繰り返し使われるコンテキストは 90% 割引で課金されます。料金は OpenAI が直接提供する場合と同じ水準で、利用分は AWS のコミットメントにもカウントされます。Sol は米国東部(バージニア北部)と米国東部(オハイオ)の各リージョンで、Terra と Luna はこれに加えて米国西部(オレゴン)リージョンで利用できます。 AWS の AI ワークロード向け Amazon GuardDuty AI Protection のご紹介 Amazon GuardDuty に、Amazon Bedrock や Amazon SageMaker を含む AWS の AI サービスへ脅威検知を拡張する AI Protection が登場しました。AWS AI サービスの AWS CloudTrail 管理イベントとデータイベントを分析し、異常な呼び出しパターン、攻撃者が AI リソースに GPU 時間やトークンを過剰消費させるコストハーベスティング攻撃、Amazon Bedrock Guardrails との統合によるプロンプトインジェクションの試行などを検出します。検出結果は AWS Security Hub に直接連携され、AI 資産と脅威を単一のビューで確認して優先度を付けた対応ができます。GuardDuty または Security Hub のコンソールから数ステップで有効化でき、AWS Organizations を使えば組織内の全アカウントで一括して有効化することも可能です。手動の設定や独自ツールなしに AI 特有の脅威へ対応できるようになり、GuardDuty のお客様は 30 日間の無料トライアルで利用を開始できます。 AWS Security Hub が組織全体の AI 資産を可視化する AI インベントリを提供開始 AWS Security Hub が、組織全体の AI 資産とそのセキュリティ態勢を継続的に把握できる AI インベントリの提供を開始しました。Amazon Bedrock、Bedrock AgentCore、Amazon SageMaker といったマネージド AI サービスは AWS Config リソースから追加設定なしでインベントリ化し、Amazon EC2 インスタンスや Amazon ECR コンテナイメージ上のセルフホスト型 AI ワークロード(Ollama、vLLM、Hugging Face TGI などのフレームワークを含む)は Amazon Inspector の SBOM(ソフトウェア部品表)分析で、EC2 インスタンスからアクセスされる外部 AI API エンドポイントは Amazon GuardDuty の DNS テレメトリで発見する、3 つの発見方法を組み合わせています。発見された AI 資産は基盤となるインフラにマッピングされ、Amazon GuardDuty の脅威検出結果を含むセキュリティ検出結果と相関付けられるため、実際に脅威にさらされている AI ワークロードから優先的に対処できます。Security Hub Essentials に追加料金なしで含まれ、新たな有効化作業も不要で、Security Hub が提供されているすべての AWS 商用リージョンで利用できます。 PII の検出とマスキングを行う OpenAI の privacy-filter が Amazon SageMaker JumpStart で利用可能に OpenAI の privacy-filter が Amazon SageMaker JumpStart で利用可能になりました。テキスト中の個人を特定できる情報(PII)の検出とマスキングを行う双方向トークン分類モデルで、入力シーケンスを 1 回のフォワードパスでラベル付けし、アカウント番号、住所、メールアドレス、名前、電話番号、URL、日付、シークレットといった PII のカテゴリを検出します。高速で文脈を認識し、チューニングも可能という特性を備え、高スループットなデータサニタイズ(無害化)ワークフロー向けに設計されています。SageMaker JumpStart から数クリックでデプロイできるため、機密情報を含むテキストを扱う処理にデータの無害化を組み込みたい場合に活用できます。 Gemma-4-E2B-it が Amazon SageMaker JumpStart で利用可能に Google DeepMind の Gemma-4-E2B-it が Amazon SageMaker JumpStart で利用可能になりました。テキスト・画像・音声の入力を処理してテキストを出力するマルチモーダルな指示チューニング済みモデルで、効率的なローカル実行に最適化されており、回答の前にステップバイステップで考える推論モードを内蔵しています。物体検出、ドキュメント解析、画面や UI の理解、チャートの読み取り、OCR といった画像理解に加え、動画理解、エージェントワークフロー向けのネイティブな関数呼び出し、コードの生成・補完・修正、数十言語にわたる多言語対応を提供します。SageMaker JumpStart から数クリックでデプロイでき、幅広いタスクに対応するモデルを自社の AWS アカウント上で試せます。 検索(retrieval)向けの Qwen3 埋め込みモデルとリランキングモデルが Amazon SageMaker JumpStart で利用可能に Qwen の Qwen3-VL-Embedding-2B と Qwen3-Reranker-4B が Amazon SageMaker JumpStart で利用可能になりました。2 つのモデルは通常セットで使われ、埋め込みモデルが効率的な初期リコール(候補の絞り込み)を行い、リランカーが後段の再ランキングで結果を精緻化します。Qwen3-VL-Embedding-2B はテキスト、画像、スクリーンショット、動画やそれらの混合入力を受け付け、視覚情報とテキスト情報を共有空間で捉える意味的に豊かなベクトルを生成し、30 以上の言語をサポートします。Qwen3-Reranker-4B はクエリと文書のペアを入力として精密な関連性スコアを出力し、テキスト検索、コード検索、テキスト分類、テキストクラスタリング、バイテキストマイニングを 100 以上の言語で扱え、タスクや言語に応じたユーザー定義の指示にも対応します。検索パイプラインの品質を左右する 2 つの段階を、自社の AWS インフラストラクチャ上で構築したい場合の選択肢になります。 リアルタイム音声書き起こし向けの Voxtral-Mini-4B-Realtime が Amazon SageMaker JumpStart で利用可能に Mistral AI の Voxtral-Mini-4B-Realtime-2602 が Amazon SageMaker JumpStart で利用可能になりました。ネイティブなストリーミングアーキテクチャによりリアルタイムの書き起こしを実現する音声書き起こしモデルで、13 言語にわたる多言語書き起こしをサポートします。書き起こしの遅延を設定で調整できるため、用途に応じてレイテンシー(応答までの遅延時間)と精度のバランスを選べる点が特徴です。SageMaker JumpStart から数クリックでデプロイでき、低レイテンシーの音声アプリケーションを AWS インフラストラクチャ上に構築できます。 Amazon OpenSearch Service が Agent Toolkit for AWS をサポート Amazon OpenSearch Service が Agent Toolkit for AWS と統合され、Claude Code、Kiro、Cursor などの AI コーディングエージェントから OpenSearch Service ドメインや OpenSearch Serverless コレクションを直接構築・管理・クエリできるようになりました。AWS API 呼び出しを代行する AWS MCP(Model Context Protocol)サーバーと、自然言語のリクエストを適切な機能へ自動的に振り分けるキュレーション済みスキル「amazon-opensearch-service」の組み合わせで動作します。セルフマネージドの OpenSearch からの移行、ドメインとコレクションのプロビジョニング・管理、ベクトル・セマンティック・ハイブリッド・RAG 検索の構築、PPL と OpenSearch Ingestion によるログ分析、OpenTelemetry による分散トレース分析という 5 つの領域を、目的を自然言語で伝えるだけでエージェントが処理してくれます。既存インフラの変更は不要で追加料金なしに利用でき、Amazon OpenSearch Service と OpenSearch Serverless が提供されているすべての AWS リージョンでサポートされます。 Kiro-CLI : Introspect サブエージェントとグローバル hooks Kiro CLI 2.13.0 がリリースされ、早期アクセス中の CLI 3.0 向けに 2 つの新機能が追加されました。Introspect サブエージェントは、Kiro の機能について質問するとその場で正確な回答が得られる組み込みのサブエージェントで、カスタムエージェント・hooks・steering ファイルの書き方の案内や、ワークフローに合った設定の提案も行います。グローバル hooks は、~/.kiro/hooks/ に配置した hook がすべてのワークスペースで自動的に発火する仕組みで、保存時の lint、コミット前のセキュリティチェック、カスタムの承認ゲートといった横断的な処理をプロジェクトごとに複製する必要がなくなります(ワークスペースレベルの hooks も引き続き併用できます)。いずれも kiro-cli –v3 で利用でき、全ユーザー向けのエラーハンドリング修正もあわせて含まれています。 Kiro-Model : OpenAI GPT-5.6 Sol、Terra、Luna が利用可能に OpenAI のモデルが初めて Kiro に登場し、GPT-5.6 Sol、Terra、Luna が IDE、CLI、Web で利用できるようになりました。フラッグシップの Sol は仕様駆動の実装や長期にわたるリファクタリング、複雑なターミナルタスクといった難度の高いマルチステップ作業向けで、Coding Agent Index で 80、Terminal-Bench 2.1 で 88.8% のスコアを記録しています。Terra は日常的なマルチステップ開発をフラッグシップの数分の一のコストでこなすバランス型、Luna はスループット重視の高頻度タスク向けの最速・最安のティアです。3 モデルとも 272K のコンテキストウィンドウを持ち、Kiro のクレジット倍率は Sol が 2.4 倍、Terra が 1.2 倍、Luna が 0.6 倍。実験的サポートとして、米国東部(バージニア北部)と欧州(フランクフルト)の各リージョンで、Pro、Pro+、Pro Max、Power のお客様向けにクロスリージョン推論とともに展開が進んでいます。なお、これらのモデルは思考過程を非公開とする chain-of-thought 推論を用いるため、内部の推論ステップは表示されず最終出力のみが表示されます。 Kiro-IDE : セッションの高速化、コンパクションの修正、PowerShell の信頼設定 Kiro IDE 1.0.138 がリリースされました。セッションの起動が高速化されたほか、大規模なセッションで「Context limit exceeded」エラーが繰り返し発生していたコンパクション(コンテキストの自動圧縮)のループが修正され、Windows での PowerShell の信頼(trust)が完全にサポートされました。また、MCP ツールが一時的なネットワーク障害の際にサイレントに失敗せず、回復するようになっています。最新の 1.0.x リリースは kiro.dev/downloads から直接ダウンロードでき、自動更新はユーザーへ段階的に展開中です。 最後に、「 AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラム 」も引き続き実施中ですので検討してみてください。 今週は以上です。それでは、また来週お会いしましょう! 著者について 野間 愛一郎 (Aiichiro Noma) AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、製造業のお客様を中心に日々クラウド活用の技術支援を行なっています。データベースやデータ分析など、データを扱う領域が好きです。最近燻製づくりにハマってます。
2026年6月11日(木)、12日(金)の2日間、AWS 麻布台オフィスにて AI 駆動型ハッカソンイベント「AWS GenAI Catapult! 」を開催いたしました。本イベントは、生成 AI 活用を前提にAmazon のイノベーション創出メカニズム「Working Backwards」手法を用いて顧客起点で生成 AI ユースケースを創出し、プロトタイプ開発まで行うコンテスト形式のイベントです。 前回 に続く2回目の開催となる今年は、創出したユースケースを AI コーディングエージェント「Kiro」でプロトタイピングし、アイデアを「動くもの」に変えるところまでを2日間で一気通貫に体験するという新たな挑戦を加えました。金融領域の13社12チーム(47名)の皆様にご参加いただき、活発な議論と創造的なアイデア創出、プロトタイプ開発、そして各社それぞれの工夫を凝らした内容で熱のこもった発表が行われました。本記事では、企画の背景から当日の様子、参加者の声までをお届けします。 前回開催からの進化 — アイデア創出から「動くプロトタイプ」へ 昨年7月の「AWS GenAI Catapult! 」は、Working Backwards によるアイデア創出を中心とし、プロトタイプの提示は任意(加点要素)、発表は初日から約3週間後に別日を設けて実施する形式でした。今年は昨今の生成 AI の進化に伴い次の3点を大きくアップデートして、「考える」から「作る」まで地続きで体験できるようにしたことが、今年最大の特徴です。 連続2日間で完結:学び・アイデア創出・開発・発表までを途切れさせずに2日間でやり切る構成に変更 Kiro によるプロトタイプ開発を本格導入:アイデアを構想で終わらせず、その場で動くアプリケーションとして形に 発表は「動くデモ」付き:プレスリリースに加えてプロトタイプのデモを披露 企画の背景 日本企業の生成 AI 活用の現状 — AI活用の方針は前進、しかし「使いこなし」はこれから 総務省の 令和7年版 情報通信白書 によると、日本企業で生成 AI の活用方針を「定めている」とした比率は 49.7% (前回の調査の 42.7% から増加)と着実に前進しました。一方で、調査した他国と比較すると依然として低い水準にとどまっています。実際の利用面でも、何らかの業務で生成 AI を利用している企業は日本で 55.2% 、「メールや議事録、資料作成等の補助」での利用は 47.3% と、いずれも他国より低い割合でした。導入に際しての懸念事項として日本企業が最も多く挙げたのは「 効果的な活用方法がわからない 」で、次いで社内情報の漏えい等のセキュリティリスク、ランニングコスト、初期コストが続きます。生成 AI を「どう自分たちの価値創出につなげるか」という具体的な適用イメージを描けていないことが、依然として大きな壁になっていると考えられます。 「業務効率化」の先へ — 顧客起点のイノベーションという課題 同白書では、生成 AI 活用による自社への影響について、日本企業は「 業務効率化や人員不足の解消につながる 」を最も多く挙げました。これに対し、米国・ドイツ・中国の3か国では「ビジネスの拡大」「新たな顧客獲得」「新たなイノベーション」を多く挙げる傾向が見られます。つまり日本では、生成 AI が業務効率化の手段にとどまりがちで、新たな顧客価値の創造へと踏み込めていない構図がうかがえます。金融業界でも、技術起点のアプローチに偏り、顧客価値創出に課題を抱えるケースは少なくありません。 「AWS GenAI Catapult! 」は、まさにこの「業務効率化の先」へ一歩踏み出すための場です。顧客起点でユースケースを発想し、その価値をその場で検証する体験を通じて、生成 AI 活用を効率化からイノベーション創出へと引き上げることを狙いました。 Amazon 流・顧客起点のイノベーション創出メカニズム「Working Backwards」 Amazon が実践してきたイノベーション創出のメカニズム「Working Backwards」手法 は、Amazon Echo、Amazon Prime、AWS などのサービス開発に活用されてきたアプローチです。顧客の理想的な体験から逆算してサービスを設計することで、顧客が本当に求める価値に焦点を当てた開発を可能にします。具体的には、企画段階から顧客体験をプレスリリースという形に詰め込むことで実現します。「Working Backwards」は知識として学ぶだけでは習得できません。実際にプレスリリースを書き、発表しフィードバックを受ける体験を通して、はじめて身につきます。 コーディングエージェントの進化が、「作る」のハードルを下げた 今年プロトタイプ開発まで踏み込んだ最大の理由が、AI コーディングエージェントの急速な進化です。 Kiro に代表されるコーディングエージェントは、自然言語の対話から要件定義・設計・実装・テストまでを支援できるまでに進化し、エンジニアでなくとも、アイデアを短時間で「動くもの」に落とし込めるようになりました。 これにより、「顧客起点で何を作るべきかを考える力(Working Backwards)」と「それを素早く形にする力(AIコーディングエージェント Kiro)」が地続きになり、アイデアの価値を構想で終わらせず、その場で動かして検証できるようになりました。昨年はアイデア創出が中心でプロトタイプ開発は任意でしたが、こうした技術の進化を背景に、今年は「考える」から「作る」までをやり切る2日間へと踏み切りました。 イベント概要 項目 内容 開催日時 2026年6月11日(木)、12日(金) 会場 AWS 麻布台オフィス(麻布台ヒルズ 森JPタワー) 参加者数 47名 参加企業 金融関連企業 13社(12チーム) AWS GenAI Catapult! とは 「AWS GenAI Catapult!」は、顧客起点での生成 AI ユースケースを創出し、世に送り出すための発射台(カタパルト)としての位置づけで、その意図をイベント名の「Catapult」に込めています。生成 AI の学習・スキル習得に留まらず、ユーザーの課題や体験に焦点を当て、Amazon 流のイノベーション文化を理解し、「Working Backwards」手法による実践的なユースケース創出につなげることを目指しています。今年はさらに、創出したユースケースを Kiro でプロトタイピングし、動くアプリケーションとして発表するところまでを2日間で体験いただきました。企業横断の交流セッション「World Café」も実施し、参加者同士の学びの共有とネットワーキングの機会も提供しました。 イベント開催報告 参加企業・チーム 金融領域の事業会社・サービサーなど 13社にご参加いただき、12チームを編成して臨みました。各社が個性豊かなチーム名で参加しています。 チーム名 会社名 Masult 株式会社アイフィスジャパン 麴町 Squad 株式会社オリエントコーポレーション TQQQ 株式会社QUICK 東池袋 4+1 株式会社クレディセゾン やる KIRO 満々 株式会社ジェーシービー しんぷれこ シンプレクス株式会社 NEXT BAMBOO 株式会社セゾンテクノロジー えぇアイをつくる会 CHEER証券株式会社 TMN Sei-katsu-sha AI Lab 株式会社トランザクション・メディア・ネットワークス AIに任せ隊 株式会社Finatext / 株式会社ナウキャスト P:AI プレミアグループ株式会社 ほか、1社 AWS GenAI Catapult! 1日目 Amazon Culture of Innovation Session / Working Backwards Experience Workshop 1日目は、Amazon のイノベーションを支えるカルチャーとテクノロジーの紹介から始まりました。Amazon は「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」を使命とし、徹底したお客様志向、あくなき挑戦、辛抱強さを基本理念としています。お客様から逆算して考える「Working Backwards」というメカニズム、「Every day is still Day One」という心構え、小さく権限委譲された「Two-pizza チーム」という組織構造、そして変化に対応できるアーキテクチャが、イノベーションを生み出す源泉であることが説明されました。失敗を恐れず Builder 精神を持った社員が、顧客中心主義に基づいて新しい顧客体験を創造している——その文化が共有されました。 Working Backwards 体験ワークショップでは、参加者は各社チームに分かれ、生成 AI を活用したユースケースの創出に取り組みました。「Customer Obsession(お客様へのこだわり)」「Think Big(広い視野で考える)」「Bias for Action(行動へのこだわり)」というリーダーシッププリンシプルに基づき、まず「お客様は誰か」を特定し、課題を明確化。続いて課題を解決するソリューションとその目玉機能を考案し、最終的にプレスリリース形式でアイデアをまとめます。完成したプレスリリースは他チームに発表し、建設的なフィードバックを受けることで、アイデアをさらに洗練させていきました。 参加者からは「要件定義ではなく“体験定義”をするという観点が非常に勉強になった」「プレスリリースから物事を考えること自体が新鮮だった」という声が多く聞かれました。 AWS GenAI Service Introduction / AWS Dojo Hands-on [ Kiro ] 続いて、AWS Session で AWS の生成 AI サービスの全体像を学び、続くAWS Dojo Session ではいよいよ AI コーディングエージェント Kiro のハンズオンに取り組みました。AWS のワークショップ「Kiroで学ぶ:AI駆動開発」を教材に、まず講師が Vibe モード(AI と会話しながら探索的に実装を進める使い方)をデモで実演。続いて参加者自身が Spec モード(仕様駆動開発)を実践し、要件を Kiro の Spec に落とし込み、そこから自動生成される設計ドキュメントを確認しました。Vibe(素早く作る)と Spec(要件→設計→タスクに構造化する)の両方をここで体験することで、翌日のプロトタイプ開発で両者を使い分けるための確かな助走となりました。 AWS GenAI Catapult! 2日目 Prototyping Workshop with Kiro 今年最大の挑戦が、AI コーディングエージェント Kiro を用いたプロトタイプ開発です。Working Backwards で描いた顧客体験を、構想で終わらせずに「動くもの」へと変えていきます。Kiro は、次の3つの機能をうまく活用頂くことで効率良く開発を進めていくことができます。 Spec(仕様):自然言語の対話から、要件定義・設計ドキュメント・実装タスクを構造化 Steering(制約):Steering ファイルで規約やアーキテクチャ制約を AI に教え、チームの意図に沿った実装へ誘導 Coding(実装):タスクリストに沿って AI が実装。必要に応じて Vibe コーディングで素早く形にする 開発をスムーズに始められるよう、運営からは Working Backwards やアプリ雛形の生成などのスキルと、規約・アーキテクチャ制約を定義したステアリングを同梱した「スターターキット」を配布しました。各チームはまず Day1 で作った PR/FAQ を Spec に落とし込み、アプリの雛形を生成。生成 AI 部分はモックと実モデルを切り替えられる構成(Mock/Real 切替)にしておくことで、ネットワークやモデルに左右されずデモのシナリオを安定させる工夫も共有されました。実装は「頼む → 動かす → 確認する → 次へ」という小さなループ(黄金ループ)を回し、迷子にならずに少しずつ完成へ近づけていきます。 「雑な自然言語からでも仕様書やモックを作成してくれる」「開発未経験でもここまで作れるのかと驚いた」「要件定義からテストまで1〜2時間で実行できた」——短時間で完成度の高い成果物が生まれていく様子と、会場のあちこちで驚きの声を聞くことができました。 参加チーム プレスリリース発表 & デモ & QA 2日目午後、いよいよ発表の時。今年は プレスリリースに加えて、Kiro で作り上げた動くプロトタイプのデモ を披露するスタイルです。12チームを4チーム×3ブロックに分けて予選を行い、各ブロックの1位が決勝に進出するトーナメント形式で実施しました。各チームが顧客課題に深く向き合い、生成 AI ならではの新しい顧客体験を提案。単なる業務効率化に留まらず、顧客体験を根本から再定義するような大胆な提案が並び、Q&A では他チームの提案を積極的に理解しようとする姿が印象的で、会場は熱気に包まれました。 AWS World Café [AI 活用推進] 生成 AI 活用をテーマにした参加者交流セッション「World Café」を開催しました。少人数グループで「ホスト」と「旅人」の役割を交代しながらメンバーの組み合わせを変え、対話を深めていく独自の形式です。結論や合意形成を目的とせず、多様な意見の共有と相互理解の深化を重視。「同じ課題に直面していることがわかって安心した」「他業種の取り組みが参考になった」など、業界や立場を超えた対話から多くの共感と気づきが生まれました。 Networking Party & Awards Ceremony *表彰式 セッション終了後、会場は和やかなネットワーキングパーティーへ。参加者は2日間の学びを共有し合い、企業の垣根を越えた新たな繋がりが次々と生まれました。表彰式では、AI審査員を加えた5名による厳正な審査の結果、以下の3チームがAWS Awardsを受賞しました。 優勝:TMN Sei-katsu-sha AI Lab ( 株式会社トランザクション・メディア・ネットワークス ) 準優勝:P:AI ( プレミアグループ株式会社) 3位:TQQQ ( 株式会社QUICK ) さらに、プレスリリースの完成度を称える特別賞「Kiro賞」を、しんぷれこ(シンプレクス株式会社)/AIに任せ隊(株式会社Finatext・株式会社ナウキャスト)/やる KIRO 満々(株式会社ジェーシービー) の3チームが受賞しました。受賞チームには記念トロフィー・メダルと AWS クレジットが贈られ、参加者全員にも AWS オリジナルグッズが配布されました。会場は受賞チームへの祝福と拍手に包まれ、和やかな雰囲気の中で締めくくられました。 参加者の声 本イベントの参加者アンケート(回答47件)では、総合満足度(CSAT) 4.8 / 5.0 と昨年(CSAT 4.6)を上回る非常に高い評価をいただきました。また、Working Backwards × 生成 AI によるサービス創出プロセスの有用性も 4.76 / 5.0、今後も Kiro を業務で使いたい と回答した方は約94%にのぼりました。参加者からは、次のような声が寄せられました。 「要件定義ではなく“体験定義”をするという観点が非常に勉強になった」 「雑な自然言語からでも仕様書やモックを作ってくれるのがすごくよい」 「開発をしたことがない人間でも、ここまで作れるのかと興奮した」 「他社の AI 活用のリアルな実情やアイデアを聞ける、貴重な交流の場だった」 「‘それは私たちの仕事ではありません、と言わない’を自分の信条にしたい」 運営の工夫 — イベント運営そのものも生成 AI と 今年は、イベントの「中身」だけでなく「運営」にも AI コーディングエージェントを活用しました。参加者に Kiro での開発を勧める私たち運営自身が、その Kiro を使って運営の仕組みを作り上げる——これもまた、今年のイベント開催における裏テーマでした。 イベントポータルサイトの開発 当日の参加者体験を一元化するため、専用の イベントポータルサイト を内製しました。参加者はこのポータルから、当日のアジェンダ・各セッションのガイド、開発チートシート、FAQ/トラブルシューティングを確認でき、完成した成果物(PR/FAQ・発表スライド・プロトタイプ・デモ動画)をカテゴリ別にアップロードできます。 技術構成はフロントエンドに React + Vite + TypeScript、バックエンドに AWS Amplify Gen2(認証は Amazon Cognito、ストレージは Amazon S3、ホスティングは Amplify Hosting)を採用。チーム単位のアカウントを運営が事前発行し、各チームの成果物は S3 上で IAM により相互に隔離(他チームからは参照不可、運営のみ横断アクセス可)しました。参加者が金融機関であることを踏まえ、全ページ認証必須・S3 のパブリックアクセス全ブロックと暗号化・成果物の一定期間後の自動失効といった、セキュリティとデータ保護の作り込みも行っています。 アプリ開発用スターターキットの準備と配布 コーディングエージェントを初めて使う参加者でも、半日で動くアプリを作り切れるように、運営が事前に「スターターキット」を配布しました。0 から作るのではなく、これを起点に開発できるようにする狙いです。 キットには、Working Backwards の PR/FAQ・ストーリーボードの生成、発表資料づくり、コーディングエージェントの「運転ガイド」、Spec / Vibe の使い分け、生成 AI アプリの雛形生成、HTML スライド作成といった用途別の スキル群 と、毎回守ってほしい制約を定義した ステアリング(共通ガードレール)、そして開発中に手元で見る 1 ページの早見表やトラブルシュートを同梱しました。これにより、初心者がつまずきやすい「曖昧に大きく頼んで迷子になる」「動作確認せずに進む」「生成 AI 連携部分を自力で組めない」「Spec を巨大にして破綻する」といった落とし穴を、あらかじめ吸収できるよう設計しています。 Kiro と AI 駆動型開発 特筆すべきは、ポータルサイトもスターターキットも、コーディングエージェント Kiro を使って開発したことです。とりわけポータルサイトは、Kiro の Spec モード(仕様駆動開発) を用い、要件定義(requirements)→ 設計(design)→ タスク分解(tasks)という流れで開発しました。これはまさに、当日参加者に体験いただいた開発プロセスそのものです。 「考える」から「作る」までを生成 AI で地続きにする——その手応えを、運営は準備段階から自ら検証していました。参加者に届けた体験は、私たち自身が有効性を確かめたうえでお渡ししたもの、と言えます。 まとめ 「AWS GenAI Catapult! 」は、単なる技術セミナーではなく、顧客起点でのイノベーション創出プロセスを学び、実践する場です。今年は Working Backwards による「考える」体験に、Kiro による「作る」体験を加え、アイデアを2日間で動くプロトタイプにまで昇華させる挑戦を行いました。生成 AI という革新的技術を真に価値あるものにするためには、技術の可能性を理解しつつ、常に顧客価値を中心に据えたアプローチが不可欠です。そして今、その顧客価値を「素早く形にして検証する」ことが、誰の手にも届く時代になりました。参加者の皆様がこの本質を体感し、自社での実践に活かしていただけることを心から願っています。 最後に、2日間にわたり熱心にご参加いただいた皆様、そして革新的なアイデアとプロトタイプを生み出してくださった各チームの皆様に、心より感謝申し上げます。皆様の挑戦が、日本の生成 AI 活用を加速し、新たな顧客価値の創造へとつながることを確信しています。AWS では今後もお客様のイノベーション創出を支援するプログラムを継続的に提供してまいります。
2022年にスタートし、毎年全国の地域を巡ってきた「AWS デジタル社会実現ツアー」が今年で 5年目 を迎えます。2026年は 全国8都市(北海道・宮城・新潟・静岡・愛知・広島・愛媛・福岡) を約2週間で巡り、最新のAI・クラウド技術と、地域の未来を動かすプログラムをお届けします。 本イベントでは、AIやクラウドの「今」と「これから」を一日で体感できる多彩なセッションをご用意しました。 いま注目のAIエージェント技術をデモを交え、わかりやすく解説。続いて、地域企業のAI/クラウド活用事例を当事者が語ります。社会課題に挑んだ学生コンテスト入賞者のプレゼンテーション、自治体・地銀・大学・AWSパートナーが地域のAI活用の未来を議論する産学官金パネルディスカッションも開催。さらに経済産業省「GENIAC PRIZE」による懸賞金企画の最新情報もお届けします。 開催日程・会場など 日程 県道 会場 申込リンク 8/18(火) 北海道 DO-BOX EAST アジェンダおよびお申し込みはこちら 8/19(水) 新潟 NINNO3 アジェンダおよびお申し込みはこちら 8/20(木) 静岡 M20 アジェンダおよびお申し込みはこちら 8/21(金) 愛知 中日ホール&カンファレンス アジェンダおよびお申し込みはこちら 8/25(火) 広島 エディオンピースウイング広島 アジェンダおよびお申し込みはこちら 8/26(水) 愛媛 E:N BASE アジェンダおよびお申し込みはこちら 8/27(木) 福岡 Growth1 アジェンダおよびお申し込みはこちら 8/28(金) 宮城 せんだいメディアテーク アジェンダおよびお申し込みはこちら ※ 会場によって時間が異なりますのでご注意ください。 ※参加無料・事前登録制です。 こんな方におすすめ AI・クラウドの最新情報を効率よくキャッチアップしたい方 地域でのDX推進・AI導入に関心のある経営者・自治体関係者 AI活用の先行事例を知りたい方 地域の産学官金ネットワークを広げたい方 学生AIコンテストの成果に興味がある教育関係者 主催・共催 主催:アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 共催:共同通信社、河北新報 後援・協力:広島県、愛媛県、仙台市、名古屋市、北海道新聞、 新潟日報、 静岡新聞、 中日新聞、 中国新聞、 愛媛新聞、 西日本新聞 皆さまのご参加を心よりお待ちしております。ふるってお申し込みください!





















