
Treasure Data
イベント

マガジン
技術ブログ
はじめに こんにちは。株式会社エブリーの開発1部の村上です。 弊社ではClaudeを非エンジニアも含めた全社に展開しており、業務のあらゆる場面で生成AIの活用を推進しています。 弊社のデータ基盤は、昨年TreasureDataとDatabricksを併用していた構成からDatabricksに統一しました。(この移行の話は今週の 「第3回 Youは何しにDatabricksへ!?」 で「データ基盤をTreasureData + DatabricksからDatabricksへ統一する話」として弊社のデータエンジニアの吉田がお話しする予定なので、ぜひご参加ください。)基盤が統一されたことで、次のステップとして見据えているのが「AIを活用したデータの民主化」です。 AIの進歩によって、ずっと掲げてきたこのテーマがいよいよ現実味を帯びてきました。MCP経由で社内のデータを取得し、AIと対話しながら分析を進め、今までにないインサイトを得る。そんな世界がすぐそこまで来ています。 一方で、 「AIを使えばデータが簡単に出せる」ことと「現場で信頼して意思決定に使えるレベルの分析ができる」 こととの間には、まだまだ大きな壁があります。 AIはとても賢いですが、私たちの会社のこと、事業のこと、プロダクトのことを詳細には知りません。そのため、聞きたいことをそのまま質問してもその意図を正確に理解できず、全く違うデータを返してしまったり、生成するクエリが微妙に間違っていて正しいデータが出せなかったりします。結果として「使い物にならない」となってしまうわけです。 今回は、そんな状態からどのように進めていくことで「現場で使えるAI分析基盤」を作れるのか、Databricks環境で試行錯誤している話をします。 Databricks Genieとは こうした課題を解決するためにDatabricksが提供しているのがGenieです。Genieは自然言語でデータに対して質問すると、SQLを自動生成して結果を返してくれるインターフェースです。 docs.databricks.com ただし、これは単にDatabricks上でLLMを呼び出してSQLを書かせるだけのものではありません。 LLMの限界を理解した上で、自分たちの組織専用にチューニングできるように設計されている のがGenieの本質です。 Genie Space — 目的特化の分析空間 Genieでは「Genie Space」という単位でデータの分析空間を作ります。会社にはさまざまな部門があり、それぞれが見たいデータや使う用語は異なります。Spaceではそのそれぞれに適したコンテキストを設定できるようになっており、登録するテーブルを指定することで必要なデータだけにアクセスさせることができます。 たとえば営業チーム向けのSpaceにはSalesforceのデータを、ECチーム向けのSpaceには注文・顧客データを登録するといった具合です。1つのSpaceに登録できるテーブルは最大30件で、むやみに広げるのではなく、そのSpaceが答えるべき質問の範囲に絞ることが推奨されています。 Knowledge Store — AIのためのコンテキストを整える仕組み 各Genie Spaceには「Knowledge Store」と呼ばれるコンテキストをチューニングする機能が備わっています。これがGenieを組織専用に育てていくための中核です。Knowledge Storeには以下の要素があります。 Metadata: テーブルやカラムの説明文、同義語、不要カラムの非表示。GenieがSQLを組み立てるための基礎知識 Prompt Matching: カラムの実際のデータ値をGenieに事前認識させ、ユーザーの言葉とデータ値のマッチング精度を上げる Joins: テーブル間の結合条件を定義。Genieが複数テーブルをまたぐクエリを正しく書けるようにする SQL Expressions: Filter(条件定義)、Measure(指標の計算式)、Dimension(グルーピング定義)をSQLで直接登録 Example SQL: よくある質問に対する正解SQLをテンプレートとして登録 General Instructions: テキストでの補足指示 ここからは、実際にSpaceを作ってKnowledge Storeを育てていく過程を、実際に行なった試行錯誤とともに解説していきます。 まずは何もチューニングせずに聞いてみる まずやったのは、最小限の設定だけでGenie Spaceを作って、いきなり質問してみることです。テーブルにはカラムコメント(日本語の説明文)を付与済みで、General Instructions(テキストの指示文)にはビジネスコンテキストを3行だけ書きました。 これはECサービスのデータが格納されているスペースです。 ECカートからのトランザクションデータを元に、事業KPIを分析します。 日本語で回答してください。 この状態でいくつかの質問を投げてみた結果がこちらです。 質問 Genieの挙動 正誤 先月のGMVは? キャンセル・返品済みの注文も含めて集計 ❌ 先月の割引額は? 割引関連の3カラムのうち1つだけで集計 ❌ 先月の定期購入のGMVは? データ値を英語で推測し、0件ヒット ❌ 先月の1人あたり月間購入金額は? 分子に使うべき指標を別の指標と混同 ❌ 先月のキャリア決済のGMVは? 一部の決済方法を集計から漏らした ❌ 5問中、正解はゼロ。しかし、間違い方には共通するパターンがあります。 ビジネスルールを知らない 「KPI集計時にはキャンセル・返品を除外する」というルールをGenieは知りません。そのためフィルタなしで集計してしまいます。 言葉の定義が曖昧 「割引」と聞かれたとき、 discount というカラム名だけを見てそれだけで完結したと判断しました。実際には複数のカラムを合算する必要があるのですが、ビジネスの定義を知らなければわかりません。 データの中身を知らない 受注種別カラムには「定期受注」「通常受注」という日本語の値が入っているのに、Genieは英語の 'subscription' で推測して何もヒットしませんでした。 似た指標を区別できない 税込の総額と税抜の売上高を混同したり、決済方法のグルーピングが期待と一致しなかったり。似た概念が複数存在する領域で間違いが起きやすいことがわかりました。 AIは知らないことを推測で埋めようとします。それ自体は賢い振る舞いですが、ビジネスでは「もっともらしい間違い」が一番危険です。ここから「AIに正しく教えていく」プロセスが始まります。 AIにデータを活用できるようにするためのステップ 先述のKnowledge Storeの機能を使い、実際に設定を追加してはテストし、間違えたらまた設定を足すという繰り返しで精度を上げていった過程を紹介します。 1. メタデータ整備 — まずAIにデータの地図を渡す Genieがテーブル構造やカラムの意味を理解できなければ、そもそもSQLを正しく組み立てることさえできません。個人でClaudeを使うなら自分専用のテーブル定義書を作ってコンテキストに含めればいいですが、組織で複数人が使う場合にはスケールしません。 そこで重要になるのが、Databricksの Unity Catalog でのメタデータ管理です。 テーブル・カラムの説明文 Unity Catalogではテーブルやカラムに対してCOMMENTを付与できます。 COMMENT ON COLUMN orders.subtotal IS ' 小計(税抜商品売上)。定期割引適用済み ' ; COMMENT ON COLUMN orders.total IS ' 注文合計(税込)。GMV計算に使用 ' ; COMMENT ON COLUMN orders.revenue IS ' 売上高(subtotal + deliv_fee + charge)。税抜合計 ' ; カラムの説明は「何が入っているか」だけでなく「何に使うか」「何と違うか」まで書くと、Genieの精度が大きく変わります。特に似た概念のカラムが複数ある場合(GMV / 売上高 / 商品売上など)は、区別を明示することが重要です。 Genie Space上の同義語 ユーザーはいつも同じ言い方で質問するとは限りません。「UU」「ユニーク顧客数」「月間ユーザー数」はすべて同じ指標を指しています。Genie SpaceのMetadata設定でカラムに同義語を登録しておくことで、こうした表記揺れを吸収できます。 Prompt Matching Genieにはカラムの実際のデータ値を事前に認識させる機能があります。 Format Assistance: カラムからサンプルデータを取得して、どんな値が入っているかをGenieに学習させる Entity Matching: カテゴリカラムのユニーク値をリスト化して保存し、ユーザーの言葉と実際のデータ値をマッチさせる たとえば先ほどの「定期購入のGMV」問題。これは受注種別カラムの値が日本語であることをGenieが知らず、英語で推測してしまったことが原因でした。Prompt Matchingを有効にすることで、Genieは実際のデータ値を事前に把握した状態で質問に答えられるようになります。 ただし、Prompt Matchingは値を「見せる」機能であり、「使わせる」保証はありません。あくまで補助的な役割です。確実にビジネスロジックを定義するには、次のステップが必要です。 2. SQL Expressionでビジネスロジックを定義する 自然言語での質問には、データ上の定義とのギャップが必ず存在します。ユーザーが「売上」と言ったとき、それがGMV(税込総額)なのか売上高(税抜)なのか商品売上(商品のみ)なのかは、ビジネスの文脈を知らなければ判断できません。 Genie SpaceのKnowledge Storeでは、 SQL Expression としてこのビジネスロジックをSQLで直接定義できます。SQL Expressionには3つの種類があります。 Filter — 条件の定義 「有効注文のみで集計する」というビジネスルールをFilterとして定義します。 名前 SQL 同義語 Instructions 有効注文 orders.state NOT IN ('canceled', 'returned') 有効注文, KPI対象 GMV・売上・注文数など金額や数量を集計するクエリでは必ず適用すること。キャンセル分析時のみ適用しない Filterを設定する前は集計に不要なデータが含まれていましたが、設定後は正しい値が返るようになりました。 Measure — 指標の定義 ビジネスで使うKPIの計算式をMeasureとして定義します。 名前 SQL 同義語 Instructions 割引額 SUM(orders.subscription_discount + orders.discount + orders.point) 割引額, 割引合計, 値引き 定期割引 + クーポン割引 + ポイント利用の合計 設定前は割引に関連するカラムのうち1つだけが使われていましたが、設定後は3カラムの合算で正しい値を返すようになりました。 同様に、「1人あたり月間購入金額」もMeasureで定義することで、分子と分母に使う指標が正しく固定され、安定して正確な結果が得られるようになりました。 Dimension — グルーピングの定義 データ上は複数種類ある決済方法を、ビジネスで見たいグループにまとめるDimensionを定義します。 CASE WHEN orders.payment_method IN ( ' ドコモ払い ' , ' au決済 ' , ' ソフトバンク払い ' ) THEN ' キャリア決済 ' WHEN orders.payment_method = ' クレジットカード ' THEN ' クレジットカード ' WHEN orders.payment_method LIKE ' 後払い% ' THEN ' 後払い ' ELSE orders.payment_method END Dimensionを定義する前は、Genieが毎回自力でCASE WHENを書いていたため、聞き方によってグルーピングが変わるリスクがありました。定義後は「決済グループ別のGMVは?」と聞くだけで毎回同じロジックが適用されます。 3. Example SQLで信頼性を引き上げる SQL Expressionが「部品」だとすると、Example SQLは「完成品の見本」です。よくある質問パターンに対する正解SQLを丸ごと登録しておくことで、Genieはそのテンプレートを参考にSQLを生成します。 Example SQLの設定で重要なポイントが3つあります。 1. タイトルはユーザーが実際に聞く質問文にする Genieはタイトルとユーザーの質問をマッチングしています。「定期購入GMVクエリ」ではなく「先月の定期購入のGMVは?」と書くことで、マッチング精度が上がります。 2. Usage Guidanceでいつ使うかを明示する 「定期購入のGMV」「定期のGMV」「サブスクのGMV」と聞かれたとき、のように具体的な発動条件を書きます。 3. 全Example SQLに共通のフィルタパターンを含める これが最も効果的でした。すべてのExample SQLに有効注文フィルタを含めておいたところ、Example SQLに直接マッチしない新しい質問に対しても、Genieが同じフィルタパターンを自然に適用するようになりました。Example SQLはGenieにとって「スタイルテンプレート」としても機能するのです。 -- タイトル: 定期購入のGMVは? SELECT SUM (orders.total) AS gmv FROM orders WHERE orders.kind = ' 定期受注 ' AND orders.state NOT IN ( ' canceled ' , ' returned ' ) AND fct_orders.order_date >= :start_date AND fct_orders.order_date < :end_date Example SQLを パラメータ化 すると、そのクエリがそのまま使われた場合に応答に「Trusted」ラベルが付きます。これはGenieが検証済みのクエリをそのまま実行したことを示すもので、結果の信頼性をユーザーに保証する仕組みです。 究極的には、レビュー済みのクエリが使われるのが一番精度が高く、出力が安心できます。Trustedラベルがどんどんつくようになれば、ユーザーがデータを疑う回数は極端に減っていきます。 General Instructionsは最後の手段 ここまでの3ステップで、大半の課題は解決します。General Instructionsには何を書いたかというと、最終的にこれだけです。 これはECサービスのデータが格納されているスペースです。 ECカートからのトランザクションデータを元に、事業KPIを分析します。 日本語で回答してください。 たった3行。なぜこれだけでいいのかというと、 テキストの自然言語指示はGenieの行動を強制する力が最も弱い からです。 Genieは複合AIシステムであり、単一のLLMではありません。テーブルのメタデータ、SQL Expression、Example SQL、サンプル値、チャット履歴など、周辺のあらゆる情報を総合的に参照してSQLを生成します。多くの場合、General Instructionsに書きたいことは、SQL ExpressionやExample SQLでより堅牢に定義できます。 実際、当初はGeneral Instructionsに「KPI集計時はキャンセル・返品を除外すること」と書いていましたが、それだけでは適用されないケースがありました。SQL ExpressionのFilterとして定義し、さらにExample SQLのパターンで学習させることで、ようやく安定して適用されるようになりました。 Databricksの公式ドキュメントでも「instructionsは他の方法で対応できない場合の最終手段」と 明記 されています。 Knowledge Storeを育てた結果 ここまでの設定を積み重ねた結果、冒頭で全問不正解だった質問に対して、すべて正しい値を返せるようになりました。 対策したのは以下のようなシンプルな設定の積み重ねです。 SQL Expression: Filter、Measure、Dimensionの定義 Example SQL: よくある質問パターンの正解SQLを登録 Prompt Matching: カテゴリカラムの値を認識させる 一つひとつは小さな設定ですが、それぞれが特定の間違いパターンに対応しており、積み重なることでGenieの応答精度は着実に向上していきます。 育てたGenie Spaceを組織で活用する Genie Spaceをある程度チューニングしたら、次はそれを組織で活用して育てるフェーズです。 Genie MCP — ClaudeからGenieを直接使う DatabricksのManaged MCP Serverを使えば、Genie SpaceごとにMCPエンドポイントを作成できます。 https://<workspace>/api/2.0/mcp/genie/<genie_space_id> これをClaude.aiのConnectorに登録すると、普段使いのClaudeから直接Genieに質問できるようになります。ユーザーはDatabricksの操作を覚える必要がなく、いつも使っているClaudeで自然言語で質問するだけです。裏側でGenieがKnowledge Storeを参照しながら正確なSQLを生成し、結果を返します。 弊社ではClaudeを全社展開しているため、各部門のGenie Spaceを作ってそれぞれのMCPをClaudeに登録すれば、非エンジニアでも自分の部門のデータに自然言語でアクセスできる環境が作れます。 Monitoringで改善サイクルを回す Genie SpaceのMonitoringタブでは、ユーザーが実際に投げた質問と応答を確認できます。うまく答えられなかった質問は、Benchmarkに追加し、Knowledge Storeの設定を改善し、再度評価する。このループをチームで地道に回していくことが、Genie Spaceの精度を継続的に向上させる鍵です。 おわりに AIが自社データを"わかる"ようになるには、一度の設定では終わりません。使って、間違いを見つけて、設定を足して、テストする。その繰り返しです。 改善は地道ですが、 これをやり切った組織とそうでない組織では、プロダクト改善のスピードや事業成長のスピードに取り戻せないほどの差が生まれてくる と考えています。 AIの進化によって、データ分析の主役はSQLを書けるエンジニアから、事業を深く理解しているビジネスメンバーへとシフトしていきます。そのとき、AIが正しく答えてくれるための「土台」を整えておくことが、データ基盤をみるエンジニアの役割の一つだと思っています。私たちの組織ではこれを全社を巻き込んで主導していきたいと思っています。 エブリーでは一緒に働く仲間を募集中です! エンジニアブログをきっかけに少しでも興味も持っていただけたら、まずはカジュアルに面談しましょう!
この記事は Accelerate Marketing campaign planning by 3x with Treasure Data AI Agents powered by Amazon Bedrock の翻訳記事です。 マルチチャネル・キャンペーンの企画・実行において、マーケティングチームは大きな課題に直面しています。従来のキャンペーン企画では、仮説設定、オーディエンス分析、ジャーニーマッピング、コンテンツ開発、アクティベーション、そして効果測定など、システムとチーム間の調整だけで数ヶ月を必要とします。この長いプロセスの間に、顧客がエンゲージメントを必要とする重要な瞬間を逃してしまうことがあるのです。 Treasure Dataの 顧客データプラットフォーム(CDP) は、世界中の大手ブランドにサービスを提供しており、インターネット接続人口の大部分の顧客プロファイルを管理しています。Amazon Web Services(AWS)と連携し、Amazon Bedrock を利用したマーケティングチーム向けの AI 活用ソリューションを開発しました。 Amazon Bedrock は、生成 AI アプリケーションを構築するための高性能な 基盤モデル へのフルマネージドアクセスを提供し、自然言語の指示を理解し、様々なシステムと自律的に対話する AI エージェントの導入を可能にするサービスです。 このブログでは、Amazon Bedrock を使って構築された Treasure Data の AI を活用したサービスによって、どのようにしてキャンペーン作成を数か月かかるプロセスから数時間または、数日へと変革することができるのか解説します。これらのソリューションにより、マーケティングチームと CX チームは、エンタープライズ企業が求めるセキュリティとガバナンスの基準を有しつつ、市場機会に迅速に対応し、パーソナライズされた体験を大規模に提供できるようになります。 信頼できるデータを基にした AI エージェント構築 AI の真の力は、高度な基盤モデルと高品質な顧客データを組み合わせることにこそあります。Treasure Data のプラットフォームと Amazon Bedrock の統合により、マーケティング担当者が顧客データを迅速に分析し、ターゲットオーディエンスセグメントを生成し、詳細なペルソナを定義し、技術的な専門知識がなくてもデータに基づく意思決定を行うことができるようになります。この組み合わせにより、キャンペーン作成時間が大幅に短縮され、ターゲティングの精度とキャンペーンのパフォーマンスが向上します。 AWS との共同開発 Treasure Data は AWS と緊密に連携し、従来のキャンペーン計画・実行プロセスにおける主要なボトルネックを特定しました。既存のツールにチャットインターフェースを単に追加するのではなく、AI の効果を最大限に高めるための基本的なワークフローを再設計することに重点を置きました。 このパートナーシップでは、人間の持つ専門知識と AI の能力の適切なバランスを見つけることを重視しました。マーケティング担当者は戦略的な全体監督としての役割を維持し、AI エージェントが時間のかかる分析タスクを処理します。このアプローチでは、複雑なデータの相関性を処理し、実際の顧客の行動に基づいた実用的なインサイトを提供できるエージェントを構築する必要がありました。 このコラボレーションにより、Amazon Bedrock 上に構築されたマルチエージェント・フレームワークが実現し、エンタープライズ企業が求めるセキュリティとコンプライアンスの標準を維持しながら、特定のマーケティング課題に対処できるようになりました。 Amazon Bedrock の価値 Treasure Data が AI エージェント基盤として Amazon Bedrock を選択したのは、制御性やセキュリティを犠牲にすることなく迅速な導入を可能にするためです。Amazon Bedrock はモデル選択を簡素化し、チームにデータサイエンスの専門知識がなくても高度な基盤モデルにアクセスできるようになります。 このフルマネージドプラットフォームにより、カスタムインフラストラクチャをゼロから構築することなく、本番環境への迅速な導入が可能になります。顧客データは AWS とお客様による責任共有モデルの範囲内でプライバシーとセキュリティが確保されます。AWS が基盤となるインフラストラクチャを保護し、お客様はコンテンツとアクセス権限を管理できます。 Treasure Data の顧客データに関する専門知識と Amazon Bedrock が提供する AI 基盤モデルを組み合わせることにより、組織がセキュリティとガバナンスの標準を維持しつつ AI イニシアチブを拡張することができます。 Treasure Data の目的別 AI エージェント Treasure Data は、Amazon Bedrock を基盤として、特定のマーケティング課題に対応するための目的別 AI エージェントをいくつか開発しました。各エージェントは、キャンペーンの計画・実行プロセスにおける重要な課題を専門に扱います。 Audience Agent を利用すれば、マーケティング担当者が SQL や高度なデータ操作スキルを持たなくても、行動シグナルから高価値のオーディエンスセグメントを素早く発見・作成できます。エージェントが顧客行動のパターンを自動的に識別してくれるため、データ分析とオーディエンスセグメンテーションの速度と精度が向上します。図 1 はクエリに基づいて顧客データを取得する Audience Agent の例です。例えば「最もロイヤルティの高い顧客について知りたい」という要求に対して、Audience Agent が関連する属性を識別し、結果を提示しています。 図 1: Audience Agent コンソール Deep Research & Analysis Agent は、仮説構築プロセスを数ヶ月から 1 週間未満にまで短縮します。手作業による分析やマーケティングに膨大な時間を費やす代わりに、顧客チームは行動シグナルに基づいた高品質な仮説を構築し、戦略、テスト、実行の意思決定に役立てることができます。Treasure Data の Deep Insight Platform は「質問管理」機能を提供しており、ユーザーは図 2 に示すように、解約率の傾向やメールのパフォーマンス分析など、いろいろな分析のための質問を作成できます。 図 2: Treasure Data Deep Insight Platform Treasure Data の CDP トレードアッププログラム の一部として提供される Migration Agent は、既存の顧客データプラットフォームからの移行を最大 60% 加速します。現在のシステムからクエリ、セグメント、変換ロジックを抽出し、SQL、パイプライン、オーケストレーション・ワークフローを自動生成します。このエージェントにより、既存のセグメント、ワークフロー、ビジネスロジックを維持したままデータを移行できるため、ゼロから構築する必要がなくなります。 これらのエージェントは、データ処理機能と Amazon Bedrock の推論機能を組み合わせた Retrieval Augumented Generation (RAG) を利用しており、正確でデータに基づいた応答を提供します。これにより、AI による提案が一般的な推奨事項ではなく、実際の顧客行動を反映したものになります。 Treasure Data AI Agent Foundryのご紹介 予め提供されるエージェントは一般的なマーケティング課題に対応していますが、Treasure Data のお客様からは、独自のビジネス要件や業界固有のユースケースに合わせてカスタマイズされたエージェントを作成する必要性も指摘されていました。 AI Agent Foundry はこのニーズに応えるソリューションとして登場しました。 AI Agent Foundry は、特定のビジネスニーズに合わせてカスタマイズされた AI エージェントを構築するための基盤です。マーケティングチーム、カスタマーエクスペリエンスチーム、データチームは、深い専門知識を持たなくても、エージェントを作成、改良、導入することができます。効果の高いユースケースとしては、ジャーニーオーケストレーション、データヘルスモニタリング、組織固有のキャンペーン最適化などが挙げられます。 AI Agent Foundry には、エンタープライズガバナンス要件を満たすセキュリティ機能、権限管理、監査機能、アクセス管理が組み込まれています。チームは、データセキュリティ、プライバシー、規制コンプライアンスを維持しつつ、AI 機能を試し、エージェントを導入できます。このアプローチにより、お客様は特定の市場動向やビジネスプロセスに対応するエージェントを構築できます。 成果に直結する実用的なアプリケーション これら専用エージェントは、Amazon Bedrock との統合で、複数の重要なマーケティングユースケースにも対応します。意思決定支援機能は、マーケティング担当者がキャンペーンのターゲティング、メッセージング、チャネル選択を決定する際に、複数の要素を同時に評価するのに役立ちます。AI が、単なる直感ではなく、包括的なデータ分析に基づいた推奨事項を提供してくれます。 複数のチームメンバーが AI エージェントと同時に協働できるため、マーケティング組織全体で顧客インサイトへのアクセスが民主化されます。この機能により、マーケティングチームの技術的専門知識の不足によって生じるボトルネックが解消されます。 エージェントは顧客とのやり取りやキャンペーンのパフォーマンスから継続的に学習するため、チームは素早い反復と最適化を通じてアプローチを改善し、よりよい成果を上げることができます。 事例:nobitel 株式会社 ヘルス&スポーツサービスのリーディングカンパニーである nobitel 株式会社は、日本全国でストレッチ専門チェーン「Dr.Stretch」240 店舗以上を展開しています。同社はマーケティング業務において、手作業によるキャンペーン計画とデータのサイロ化により、技術チーム以外のチームが、顧客インサイトにアクセスしてタイムリーなパーソナライズされた推奨事項を提供することができないという課題を持っていました。 この課題に対処するため、nobitel 社は Amazon Bedrock を含む AWS AI/ML サービスを利用して構築された Treasure Data AI Agent Foundry を導入しました。これにより、同社のマーケティング業務は変革され、技術チーム以外の、高度なデータスキルを持っていないマーケターでも、パーソナライズされたキャンペーンを実行できるようになりました。その結果、キャンペーン計画のスピードは 3 倍、店舗効率は 20% 向上しました。nobitel 社の変革の詳細については ケーススタディ をご覧ください。(訳注:日本語補足資料として こちら もご覧ください) AI を活用したマーケティングの未来 AI エージェントは、マーケティングとカスタマーエクスペリエンスのオペレーションを再構築する変革の始まりを象徴しています。将来的には、エージェントがメッセージのバリエーションをテストし、クリエイティブなコンテンツを生成し、マルチチャネルキャンペーンをオーケストレーションし、デバイスや地域を問わずリアルタイムで支出を最適化するようになるでしょう。 マーケティングと CX の専門家は、キャンペーンを実行する役割から戦略的なオーケストレーターへと進化します。大事なことは、データインフラストラクチャが多数の自律型キャンペーンを正確かつ制御された状態で同時に実行できるかどうかです。 こうした未来では、堅牢なデータ基盤、高度な AI 機能、そして大規模な信頼とコンプライアンスを確保するガバナンスフレームワークが必要とされます。すでにこのような基盤を構築している組織であれば、自律型マーケティングと CX オペレーションを活用できる態勢を整えていると言えるでしょう。 AI とデータによるマーケティングの変革 Amazon Bedrock を基盤とする Treasure Data の専用 AI エージェントと AI Agent Foundry は、マーケティング、CX、データの各チームが顧客データから価値を引き出す方法を根本的に変革します。信頼できるデータと高度な基盤モデルを組み合わせることで、チームはデータ分析、セグメント作成、ペルソナ生成、そして戦略的な意思決定を、数ヶ月ではなく数時間で実行できるようになります。 この変革により、顧客インサイトへのアクセスが民主化され、複雑な分析タスクが自動化されます。マーケティングチームは市場機会への素早い対応と、迅速な反復処理によるよりよい成果の達成が可能になります。このソリューションは、効果的なマーケティングには、インテリジェントエージェントと、それらを真に強力にする堅牢なデータ基盤の両方が必要であることを示しています。 セキュリティとコンプライアンスは、AWS とお客様の共有責任モデルの上にあります。AWS は Amazon Bedrock を通じて安全でコンプライアンスに準拠した基盤を提供し、お客様はデータとアクセスポリシーを管理できます。このアプローチにより、企業のガバナンス要件を満たしつつ AI を活用したイノベーションを実現できます。 まとめ Amazon Bedrock を基盤とする Treasure Data AI Agent Foundry とプリビルドの AI エージェントが、マーケティングキャンペーンの作成プロセスを数か月から数時間、あるいは数日へと変革します。これらの AI ソリューションにより、マーケティング担当者に深い専門知識がなくても、データの迅速な分析、セグメントの作成、ペルソナの生成、そしてデータに基づく意思決定が可能になります。Amazon Bedrock の基盤モデルを活用した顧客インサイトへのアクセスの民主化と、複雑な分析タスクの自動化により、マーケティングチームは市場機会への素早い対応と迅速な反復処理を通じてよりよい成果を達成できるようになります。 Treasure Data – AWS パートナースポットライト AWS パートナーである Treasure Data は、エンタープライズ規模に特化したインテリジェントなカスタマーデータプラットフォームです。Yum! Brands、Stellantis、AXA を始めとする 80 社を超える Global 2000 企業から信頼を得ている Treasure Data は、信頼性、パフォーマンス、そして AI ファーストのアーキテクチャを融合し、高度にパーソナライズされた顧客体験による収益向上、マーケティングコストの削減、そしてリスク軽減を実現します。Treasure Data は、すぐにご利用いただけるエージェントと AI Agent Foundry の両方を提供しています。データドリブンなチームやパートナーは、Treasure Data プラットフォーム上およびワークフロー全体で AI エージェントを活用、作成、展開し、信頼できる Treasure Data 環境内でデータを活用することができます。 関連情報 Treasure Data on AWS Marketplace Treasure Data Partner Profile 著者について Ronak Shah Ronak Shah は、ニューヨークを拠点とする AWS インダストリーバーティカルチームのプリンシパルパートナーソリューションアーキテクトです。小売消費財業界の AWS パートナーと協力し、AWS 上でのイノベーション共創を推進しています。小売業界の新たなトレンドの発見と、デジタルコマース、サプライチェーン、顧客体験、マーケティングテクノロジーの分野における革新的なソリューションの開発に関心を持っています。プライベートでは、ボーイスカウトや地元のディベート大会でボランティア活動を行っています。 Hiroshi Nakamura Hiroshi Nakamura は、ソフトウェアエンジニアリングとシステムアーキテクチャの分野で豊富な経験を持つテクノロジーリーダーです。2014 年 10 月より Treasure Data の CTO 兼エンジニアリング担当 VP を務めており、膨大なデータに対応可能なクラウドベースのデータ管理プラットフォームの設計・開発に尽力してきました。1999 年 4 月からオープンソース開発者としても積極的に活動しており、Ruby と JRuby の大幅な機能強化に貢献しています。早稲田大学理工学修士号を取得しています。 Pranjal Gururani Pranjal Gururani は、シアトルを拠点とする AWS のソリューションアーキテクトです。様々な顧客とともにビジネス課題を解決するクラウドソリューションの構築に取り組んでいます。趣味はハイキング、カヤック、スカイダイビング、そして家族との時間です。 翻訳は Solutions Architect 杉中が担当しました。原文は こちら です。
イベント概要 AWS は Amazon の流通小売事業における知見と経験をもとにソリューションを提供しており、流通小売・消費財業界におけるイノベーションのカギとして、「カスタマーエンゲージメント」「デジタル コマース」「インテリジェント・サプライチェーン」「マーチャンダイジング & プランニング」「スマートストア」の 5 つのテーマを重視しています。 本イベントでは、この 5 つのテーマから、特に「カスタマーエンゲージメント」「デジタル コマース」 「スマートストア」の 3 つのテーマにフォーカスをして、AWS のテクノロジー、専門知識を活用して提供しているソリューションプロバイダーから業界に固有の課題と機会に応えるサービスやベストプラクティスをご紹介します。 「イノベーションを加速させたいが、スピードや人材が課題」といった状況でもすぐに活用できるソリューションを学び、展示ブースで製品デモをご覧いただけるほか、ソリューションプロバイダー各社と個別にご相談できる機会も提供いたします。 日時:2025 年 11 月 25 日(火)16:00–19:00(15:30 受付開始) 場所:AWS 目黒オフィス 目黒セントラルスクエア 21 階(東京都品川区上大崎 3-1-1) 主催:アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 参加費:無料(要事前申込) 参加申込:こちらの お申込みフォーム からお申込みください。 展示テーマと出展企業 「カスタマーエンゲージメント」 カスタマー 360° によって顧客セグメントの関係性や特徴、顧客生涯価値を理解し、CRM、顧客データプラットフォーム、コンタクトセンター DX など、データ主導のインサイトによるカスタマーエンゲージメントの促進に役立つソリューションをご紹介します。 <出展企業(アルファベット順)> Amplitude Analytics 合同会社 Braze 株式会社 株式会社電通デジタル 株式会社サーバーワークス トレジャーデータ株式会社 「デジタルコマース」 生成 AI を利用した魅力的なサイトや、俊敏なコマース基盤など、デジタルコマースソリューションへの投資は不可欠です。デジタルコマースのイノベーションを加速し、あらゆるチャネルでカスタマーエクスペリエンスを高めるためのソリューションをご紹介します。 <出展企業(アルファベット順)> アジアクエスト株式会社 Contentsquare Japan 合同会社 「スマート ストア」 小売業に新たな収益の柱をもたらすことが期待される店舗内の先進ソリューションや、顧客接点の可能性を広げる POS データ活用、店舗省人化に応える最新のテクノロジーなどをご紹介します。 <出展企業(アルファベット順)> フォージビジョン株式会社 富士ソフト株式会社 株式会社インテック ソニー株式会社 株式会社ティールテクノロジーズ 株式会社 USEN Camera Solutions 来場者特典 事前お申込みのうえ当日ご来場いただきましたお客様へ 先着 150 名限定 で、イベント特製のステンレスマグカップ(AWS ロゴ入り)をプレゼントいたします! ※ 画像はイメージです。実物と異なる場合がございます。 当日はパートナー各社のブースにて、展示ブースで製品デモをご覧いただけるほか、ソリューションプロバイダー各社と個別にご相談できる機会も提供いたします この特別な機会をお見逃しなく。お申し込みは こちら から。 皆様のご参加を楽しみにお待ちしております!
動画
該当するコンテンツが見つかりませんでした
書籍
該当するコンテンツが見つかりませんでした












