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こんにちは、Amazon Connect ソリューションアーキテクトの梅田です。 2026年 2 月号 はお読みいただけましたでしょうか。皆さんのお役に立つ内容があれば幸いです! はじめに、Amazon Connect について改めてご紹介します。Amazon Connect は、AI を中核に据えたコンタクトセンターソリューションです。音声・チャット・メール・タスクなど複数のチャネルを一つのプラットフォームに統合し、顧客とエージェントの双方にシームレスな体験を提供します。規模を問わず導入でき、Amazon のサービス体験を支える基盤技術を活用できます。 今月は 以下の内容でアップデート情報をお届けします。 2026 年 3 月のアップデート一覧 AWS Contact Center Blog のご紹介 今月のアップデートに関するよくある質問 1. 2026 年 3 月のアップデート一覧 Amazon Connect のクイックレスポンスをルーティングプロファイルごとに制御できる?タグベースアクセス制御の新機能 – 2026/03/28 Amazon Connect のクイックレスポンスで、ルーティングプロファイルの割り当てにタグベースアクセス制御(TBAC)が適用されるようになりました。これまでは、管理者がタグベースアクセス制御を設定してクイックレスポンスを構成しても、ルーティングプロファイルのタグに関係なく、すべてのエージェントがクイックレスポンスを利用できる状態でした。今回のアップデートにより、管理者は TBAC の権限に基づいて、特定のルーティングプロファイルにクイックレスポンスを割り当てることが可能になり、他の Amazon Connect リソースと同じレベルのアクセス制御を適用できます。TBAC を使用して Amazon Connect リソースへのアクセスを管理している組織は、同じアクセス制御をクイックレスポンスの割り当てにも適用できるようになりました。例えば、コンプライアンスチームが管轄地域ごとにルーティングプロファイルにタグを付け、地域固有の開示テンプレートなどの規制関連クイックレスポンスを対応するプロファイルに割り当てることで、エージェントが自分の役割に最も関連性の高いコンテンツのみを参照できるようになります。 管理者ガイド Amazon Connect のクイックレスポンス タグベースのアクセス制御 Amazon Connect の音声 AI エージェントがロンドンリージョンで使える?新ボイス3種も追加 – 2026/03/18 Amazon Connect のエージェント型 Speech-to-Speech 音声体験が、新たに欧州(ロンドン)リージョンで利用可能になりました。また、米国スペイン語と英国英語の新しい Speech-to-Speech ボイスが3種追加されました: Pedro(es-US)、Amy(en-GB)、Brian(en-GB)。 Amazon Connect のエージェント型セルフサービス機能は、AI エージェントが音声およびメッセージングチャネル全体で顧客の意図を理解し、推論し、アクションを実行することで、日常的なタスクから複雑なカスタマーサービス業務までを自動化します。Speech-to-Speech 音声 AI エージェントは、顧客が「何を言ったか」だけでなく「どのように言ったか」も理解し、顧客のトーンや感情に合わせて音声応答を適応させながら、自然な会話のペースを維持します。今回のアップデートにより、新しいリージョンでより幅広いボイスの選択肢を使って、エージェント型 Speech-to-Speech 音声体験を顧客に提供できるようになりました。 管理者ガイド Amazon Connect のサポートリージョン Amazon Connect の音声 AI エージェントは何言語に対応している?新たに13言語が追加で合計40言語に – 2026/03/18 Amazon Connect の音声 AI エージェントが新たに13言語をサポートし、対応言語は合計40のロケールになりました。新しく追加された言語は以下の通りです: アラビア語(サウジアラビア)、チェコ語、デンマーク語、オランダ語(ベルギー)、英語(アイルランド)、英語(ニュージーランド)、英語(ウェールズ)、ドイツ語(スイス)、アイスランド語、ルーマニア語、スペイン語(メキシコ)、トルコ語、ウェールズ語。 Amazon Connect のエージェント型セルフサービス機能は、AI エージェントが音声およびデジタルチャネル全体で顧客の意図を理解し、推論し、アクションを実行することで、複数の言語にわたって日常的なタスクから複雑なカスタマーサービス業務までを自動化します。 管理者ガイド Amazon Connect のサポート言語 Amazon Connect の生成 AI テキスト読み上げボイスはどのリージョンで使える?新リージョン3つと新ボイス9種が追加 – 2026/03/18 Amazon Connect の生成 AI テキスト読み上げ(Generative Text-to-Speech)ボイスが、新たに3つの AWS リージョンで利用可能になりました: 欧州(ロンドン)、アジアパシフィック(ソウル)、アジアパシフィック(シドニー)。また、米国英語、英国英語、欧州フランス語、ドイツ語、イタリア語にわたる9つの新しい生成 AI テキスト読み上げボイスが追加されました: Tiffany(en-US)、Amy(en-GB)、Brian(en-GB)、Ambre(fr-FR)、Florian(fr-FR)、Tina(de-DE)、Lennart(de-DE)、Beatrice(it-IT)、Lorenzo(it-IT)。 管理者ガイド Amazon Connect のサポートリージョン Amazon Connect のサポート言語 Amazon Connect のエージェントはメールを外部アドレスに転送できる?エージェントワークスペースからの直接転送が可能に – 2026/03/17 Amazon Connect のエージェントが、エージェントワークスペースおよびコンタクトコントロールパネル(CCP)から、メールコンタクトを外部メールアドレスや配信リストに直接転送できるようになりました。メールを転送した後も、エージェントは元のコンタクトの所有権と完全なコミュニケーション履歴を保持します。これにより、エージェントはバックオフィスチーム、専門家(SME)、パートナー、その他の関係者をシームレスに巻き込みながら、顧客にとって一貫した単一の窓口であり続けることができます。 管理者ガイド Amazon Connect のメール機能 メールチャネルのコンタクトを外部 E メールアドレスに転送する Amazon Connect でマネージャーがエージェントをコーチングできる?統合ワークフローが新登場 – 2026/03/12 Amazon Connect に、コンタクトセンターのマネージャーがエージェントに対してタイムリーかつ的確なフィードバックを Connect の UI 上で直接提供できる、統合エージェントコーチングワークフローが追加されました。マネージャーは評価スコアカードを通じて改善の機会を特定した際、具体的な顧客対応の事例を含むコーチングプランをその場で作成できます。例えば、問題解決には優れているものの顧客への共感をもう少し示すべきエージェントに対して、該当する対応事例と今後使える共感的な表現の例を共有することができます。コーチングセッション後、エージェントはフィードバックを確認し、期待事項や次のステップについての理解を示すメモを追加します。マネージャーとエージェントの双方が、すべてのコーチング履歴を単一のページで確認でき、体系的な進捗管理とコーチング効果の向上が可能になります。この統合アプローチにより、コーチングの遅延が解消され、エージェント育成プロセス全体を通じたアカウンタビリティが確立されることで、コンタクトセンター運営全体のパフォーマンス改善が加速します。 管理者ガイド Amazon Connect のエージェントコーチング Amazon Connect でメール送信時に差出人アドレスを選べる?キューごとの複数アドレス設定が可能に – 2026/03/12 Amazon Connect で、受信メールへの返信や新規アウトバウンドメッセージの送信時に「差出人(From)」メールアドレスを選択できるようになりました。これにより、コンタクトセンターはすべての顧客対応で正しいブランドやビジネスのアイデンティティを使用できます。管理者はキューごとに複数の送信元アドレスを設定でき、エージェントは担当しているキューに基づいて適切なメールアドレスを検索・選択できます。この機能は、単一の Amazon Connect インスタンスから複数のブランドやビジネスラインをサポートしているコンタクトセンターに特に有用です。 管理者ガイド Amazon Connect のメール機能 メール送信時の送信元アドレスの選択 Amazon Connect のケースデータを分析データレイクで活用できる?Athena や Quick でのレポート作成が容易に – 2026/03/12 Amazon Connect の分析データレイクでケースデータが利用可能になり、レポートやインサイトの生成がより簡単になりました。ケースデータが他の Amazon Connect 分析データと並んで利用できるようになったことで、Amazon Athena や Amazon Quick を使用して、複雑なデータパイプラインを構築・維持することなく、カスタムレポートの作成やトレンド分析が可能です。例えば、タイプ別のケース件数、エージェントシフトをまたいだケース処理状況、ケース全体のコンタクトセンチメントなどを分析できます。 管理者ガイド Amazon Connect Cases Amazon Connect 分析データレイク 分析データレイクにおけるケースデータテーブル Amazon Connect の AI 予測インサイトはどこまで進化した?商品カタログ8倍・精度14%向上の強化アップデート – 2026/03/11 Amazon Connect の AI を活用した予測インサイトの機能強化が発表されました。この強化により、企業はプロアクティブでパーソナライズされた顧客体験を大規模に提供しやすくなります。re:Invent 2025 で発表された5つのレコメンデーションアルゴリズムをベースに、AI 予測インサイトは最大4,000万件の商品カタログアイテムをサポートするようになり(従来の8倍)、トリガーベースキャンペーンのメッセージテンプレートでも利用可能になったほか、モデル精度が最大14%向上しました。これらの強化により、企業は適切なメッセージを適切なタイミングで自動的に顧客に届けることができ、AI パーソナライゼーションの展開に必要な時間も短縮されます。企業はトリガーベースキャンペーンを活用して、顧客の行動や予測シグナルに基づいたパーソナライズされたアウトリーチを開始できるようになりました。例えば、顧客がカートを放棄した際に商品レコメンデーションを送信したり、購入後に補完的なサービスを提案したりすることが可能です。また、予測された嗜好や行動に基づいて、特定の顧客コホートに対するターゲットキャンペーンも配信できます。モデル精度の向上とトレーニング時間の短縮により、企業はパーソナライズされた体験をより迅速に、かつ顧客に提供するレコメンデーションへの信頼性を高めた状態で展開できます。 管理者ガイド Amazon Connect Customer Profiles AI 予測インサイト Amazon Connect のメールでも会話分析ができる?自動分類・PII リダクション・要約生成に対応 – 2026/03/11 Amazon Connect のメールコンタクトで会話分析(Conversational Analytics)がサポートされるようになりました。コンタクトセンターのマネージャーは、メールの自動分類、個人識別情報(PII)の墨消し、コンタクト要約の自動生成が可能になります。これにより、新たなトレンドの迅速な特定、機密情報の保護によるコンプライアンスの維持、エージェントのパフォーマンスレビューにかかる時間の短縮が実現します。例えば、顧客がアカウントの問題についてメールを送信すると、Amazon Connect が自動的にメールを分類し、機密情報を墨消しし、スーパーバイザーのレビュー用に要約を生成します。この機能を有効にするには、コンタクトフローに「記録分析と処理動作を設定」ブロックを追加し、「チャネルを選択」で「E メール」を指定した設定を行います。メールチャネルの会話分析を活用して、カテゴリの割り当て、タスクの作成、ケースの更新などのアクションを自動的にトリガーするルールを迅速に作成できます。 管理者ガイド Amazon Connect の会話分析 Amazon Connect E メールの会話分析 PII リダクションの設定方法 Amazon Connect のマネージャー向け AI アシスタントとは?自然言語で150以上のメトリクスを即座に分析 (プレビュー) – 2026/03/10 Amazon Connect から、コンタクトセンターのマネージャーが自然言語を使って運用に関する質問に即座に回答を得られる AI アシスタントのプレビューが発表されました。エージェントのスケジューリング、セルフサービス体験、パフォーマンス評価を含む 150 以上の Amazon Connect メトリクスに対して、すべての履歴データを使ったクエリが可能で、結果は数秒で返されます。これにより、手動でのデータ収集に費やしていた数時間が不要になります。さらに、このアシスタントはサービスレベル目標を達成できないリスクのあるキューの特定や、具体的なリカバリーアクションの推奨など、根本的な問題の診断も行えます。この機能はプレビューとして提供されています。 2. AWS Contact Center Blog のご紹介 Amazon Connect と Amazon Lex によるセルフサービス導入と継続改善:JBR コンタクトセンターの業務効率化の取り組み Amazon Connect と Amazon Lex でコンタクトセンターのセルフサービス化はどこまでできる? 年間約32万件の生活救急対応を行う JBR(ジャパンベストレスキューシステム)が、パートナー店からの業務連絡窓口に音声ボットを導入した事例です。約16,000件の会話データを分析・改善し続けた結果、5ヶ月でエラー率を46%から18%に削減、ボット完結率は目標の75%を達成しました。さらに Amazon Bedrock による会話要約をエージェント画面に表示することで、後処理時間の短縮にもつなげています。 Kiro で Amazon Connect AI エージェント開発を加速 (日本語翻訳) Amazon Connect の AI エージェント開発を短期間で実現するには? Kiro を活用し、15 のバックエンド API を統合する AI エージェントを通常 2〜3 週間かかるところ、わずか 3 日間で構築した事例です。仕様駆動設計によりアーキテクチャ設計を 1〜2 時間に短縮し、15 の Lambda 関数を一貫したパターンで自動生成。CloudWatch Logs の自動分析で、デプロイからデバッグ・修正までのイテレーションサイクルを 10〜20 分で回すことで、高速な開発を実現しています。 Managing Amazon Connect flows as Code with AWS CDK (英語記事) Amazon Connect のコンタクトフローを IaC で管理するには? Amazon のカスタマーサービスチームが AWS CDK を使い、数百のコンタクトフローをコードとして管理する方法を紹介しています。従来の JSON 定義に代わり、型安全な TypeScript のビルダーパターンで可読性と保守性を大幅に向上。ビルド時のバリデーション、再利用可能なコンポーネント、複数インスタンスへの自動デプロイにより、デプロイ・メンテナンス時間を数日から数分に短縮した事例です。 Build Unified Voice, Video and Chat Communications with Amazon Connect (英語記事) Amazon Connect で音声通話中にチャットやファイル共有もできる? 音声・ビデオ通話とチャットを同一エージェントとの1つのやり取りに統合するソリューションの構築方法を紹介しています。例えば、ローン申請の電話中にエージェントが書類を送信し、顧客がその場で署名して返送するといった体験が実現できます。StartWebRTCContact API と DescribeContact API を組み合わせ、通話中のエージェント ID をチャットのルーティングに渡すことで、チャネルをまたいでも同じエージェントが対応し続ける仕組みです。 3. 今月のアップデートに関するよくある質問 Q. Amazon Connect とは何ですか? A. Amazon Connect は、AI を中核に据えたクラウドコンタクトセンターソリューションです。音声・チャット・メール・タスクなど複数のチャネルを一つのプラットフォームに統合し、あらゆる規模の企業で利用できます。( Amazon Connect について ) Q. Amazon Connect で AI 機能を使うと料金が高くなりませんか? A. Amazon Connect では Unlimited AI という料金プランが選択可能です。このプランでは、会話分析、パフォーマンス評価、画面録画、エージェントスケジューリング、Amazon Lex や Connect AI エージェントによる AI 音声・チャット対応、生成 AI テキスト読み上げなど、すべての AI 最適化機能がチャネル料金に含まれる包括的な価格体系になっています。AI 機能ごとに個別課金される アラカルトによるプランも選択でき、インスタンスごとにプランを変更することも可能です。いずれのプランも初期費用や長期契約は不要で、使った分だけの従量課金です。( Amazon Connect の料金 ) Q. Amazon Connect のタグベースアクセス制御(TBAC)とは何ですか? A. タグベースアクセス制御(TBAC)は、Amazon Connect のリソースにタグ(キーと値のペア)を付与し、そのタグに基づいてアクセス権限を管理する仕組みです。例えば、部門や地域ごとにタグを設定することで、管理者が担当範囲のリソースのみを操作できるように制御できます。今月のアップデートでは、クイックレスポンスのルーティングプロファイル割り当てにも TBAC が適用されるようになりました。( タグベースのアクセス制御 ) Q. Amazon Connect の会話分析(Conversational Analytics)ではどのようなことができますか? A. 会話分析は、コンタクトの内容を自動的に分類し、個人識別情報(PII)の墨消し、コンタクト要約の自動生成を行う機能です。音声やチャットに加え、今月のアップデートでメールチャネルにも対応しました。分析結果をもとに、カテゴリの割り当てやタスクの作成などのアクションを自動トリガーするルールも作成できます。( Amazon Connect の会話分析 ) Q. Amazon Connect の分析データレイクとは何ですか? A. 分析データレイクは、Amazon Connect のコンタクトデータを一元的に蓄積し、Amazon Athena や Amazon Quick で直接クエリ・分析できる機能です。複雑なデータパイプラインを構築することなく、カスタムレポートの作成やトレンド分析が可能になります。今月のアップデートでケースデータも分析データレイクに追加されました。( Amazon Connect 分析データレイク ) 今月のお知らせは以上です。皆さんのコンタクトセンター改革のヒントになりそうな内容はありましたでしょうか?ぜひ、実際にお試しいただき、フィードバックをお聞かせいただけますと幸いです。Amazon Connect の最新情報は毎月このブログでお届けしていますので、来月号もお楽しみに。 著者プロフィール   梅田 裕義(Hiroyoshi Umeda) アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 シニア Amazon Connect ソリューションアーキテクト 2020年12月入社。コンタクトセンター領域を専門に、Amazon Connect を活用した顧客体験の向上や業務効率化の技術支援を行っています。AI によるセルフサービスの導入、オムニチャネル対応、分析基盤の構築など、企業のコンタクトセンターが抱える課題解決に幅広く取り組んでいます。
Spec-Driven Presentation Maker は、「何を伝えるか」を先に設計し、スライドの構築を AI に委ねるオープンソースのサンプル実装です。本記事では、仕様駆動アプローチの考え方と、AWS 環境への導入方法をご紹介します。 プレゼン資料、「伝えたいこと」から作れていますか 多くの組織で、プレゼンテーション資料の作成は日常的な業務です。提案書、社内報告、技術共有、経営会議の資料 — いずれも、限られた時間の中で「伝わる資料」を作る必要があります。 しかし実際には、白紙のスライドを開いてから完成するまでの時間の多くが、レイアウトの調整、フォントや色の選定、図表の配置といった「見た目の作業」に費やされています。本来最も重要な「何を、どの順序で、なぜ伝えるのか」というメッセージの設計は、作業の合間に考えることになりがちです。 その結果、見た目は整っているものの、核心のメッセージが伝わりにくい資料ができあがることがあります。あるいは、構成が定まらないまま作り始めたために、途中で大幅な手戻りが発生することもあります。 この課題は、資料作成のプロセスそのものに起因しています。 AI に「作って」と言うだけでは解決しない理由 近年、生成 AI を活用したスライド作成ツールが登場しています。「プレゼン資料を作って」と指示すれば、AI がスライドを生成してくれる — 一見すると、前述の課題を解決できるように思えます。 しかし、AI に漠然とした指示を出した場合、生成される資料は「それらしい見た目」にはなるものの、伝えたいメッセージの論理構造や、聞き手に合わせた情報の取捨選択が不十分になりがちです。これは、AI が「何を伝えるべきか」の判断を十分に行えないまま、「どう見せるか」の作業に進んでしまうためです。 つまり、従来の手作業でも AI 任せでも、「設計なき資料作成」という根本的な課題は変わりません。必要なのは、メッセージの設計と、スライドの構築を明確に分離するアプローチです。 仕様駆動プレゼンテーションという考え方 Spec-Driven Presentation Maker は、ソフトウェア開発で広く実践されている「先に設計してから作る」という考え方を、プレゼンテーション資料の作成に応用しています。 ソフトウェア開発では、コードを書き始める前に要件定義や設計書を作成します。同様に、仕様駆動プレゼンテーションでは、スライドを作り始める前に「何を伝えるか」の設計書(仕様)を先に作成します。 ただし、設計書を一人で書き上げる必要はありません。AI との対話を通じて、聞き手の分析、論理構造の検討、メッセージの精緻化を一緒に進めていきます。AI がたたき台を提示し、利用者がフィードバックを返すことで、設計書の質を高めていくプロセスです。 具体的には、以下の 3 つのフェーズで資料を設計します。 仕様駆動プレゼンテーションの 3 フェーズ。「何を伝えるか」を段階的に設計してから、AI がスライドを生成します 1. ブリーフィング — 聞き手は誰か、何を伝えたいか、聞き手にどうなってほしいかを定義します 2. アウトライン — 1 スライド 1 メッセージの原則で、各スライドが答えるべき疑問と、その答えを定義します 3. アートディレクション — 色使い、フォント、ビジュアルの方向性を定義します この設計書が完成した後に、AI がテンプレートに準拠してスライドを生成します。設計と構築が分離されているため、メッセージの質を保ちながら、構築のスピードを大幅に向上できます。 従来の資料作成 仕様駆動プレゼンテーション 起点 白紙のスライド ソース資料と要件 設計 作りながら考える 先に論理構造を設計書として定義 構築 手作業でレイアウト AI がテンプレートに準拠して生成 品質 属人的 設計書に基づくレビュー可能なプロセス 資料ができるまでの流れ Spec-Driven Presentation Maker では、AI エージェントが対話を通じて設計書を作成し、スライドを構築します。利用者が行うのは、チャットでの対話と、設計内容の確認です。 Web UI の画面。デッキ一覧から資料を選択し、右側のチャットで AI と対話しながら設計・構築を進めます 1. 対話による設計 — AI が聞き手や目的についてヒアリングし、ブリーフィングを作成します。続いて、1 スライド 1 メッセージの原則でアウトラインを設計し、ビジュアルの方向性を決定します アウトラインの設計画面。各スライドのメッセージ、根拠(Evidence)、ビジュアル指示が構造化されて表示されます 2. スライドの自動構築 — 設計書に基づいて、AI がテンプレートのレイアウトやカラーに準拠しながらスライドを構築します 3. プレビューとレビュー — 生成されたスライドの PNG プレビューを確認し、AI との対話で修正を指示できます 生成されたスライドのプレビュー。グリッド表示で全体の流れを確認でき、チャットから画像配置などの修正指示も可能です 設計書(ブリーフィング、アウトライン、アートディレクション)はすべて保存されるため、後から設計意図を振り返ることができます。また、設計書をレビューすることで、スライドを作る前の段階で内容の妥当性を確認できます。 自社のテンプレートとブランドをそのまま活用 Spec-Driven Presentation Maker の特徴の一つは、既存の PowerPoint テンプレートをそのまま利用できることです。 Spec-Driven Presentation Maker で生成されたスライドの例。データビジュアライゼーション、引用、アジェンダなど多様なレイアウトが自動で選択されます お使いの企業テンプレート(.pptx ファイル)をアップロードするだけで、テンプレートに定義されたレイアウト、カラーテーマ、フォント設定が反映されます。AI は、テンプレートのデザインシステムに準拠してスライドを生成するため、企業のブランドガイドラインに沿った資料が作成されます。 同じ内容でも、テンプレートを変えるだけでデザインが変わります。左がダークテンプレート、右がライトテンプレート また、 AWS Architecture Icons や Material Symbols などのアイコンセットにも対応しており、アーキテクチャ図やフロー図を含むスライドも作成できます。独自のアイコンセットを追加することも可能です。 画像を渡すだけでスライドに Spec-Driven Presentation Maker は、画像の内容を理解してスライドに変換する機能も備えています。写真やイラストを渡すと、AI が画像の内容を分析し、それに合ったレイアウト・テキスト・スタイルを自動で選択してスライドを生成します。 画像を渡すだけで、内容を理解した上でスライドを自動生成。テンプレートのスタイルに合わせてレイアウトやフォントも自動選択されます 2 つの使い方 — ブラウザから、または普段の AI ツールから Spec-Driven Presentation Maker は、利用者のスキルや好みに応じて 2 つの方法で利用できます。 ブラウザから使う Web UI を使えば、ブラウザ上のチャットインターフェースから資料を作成できます。特別なツールのインストールは不要です。チャットで AI と対話しながら、同じ画面でスライドのプレビューを確認し、PPTX ファイルをダウンロードできます。 Web UI のダッシュボード。作成した資料の一覧がカード形式で表示されます。お気に入り、共有、組織内公開などのフィルタリングも可能です チームメンバーとの共有機能も備えており、作成した資料を他のメンバーに公開したり、共同編集者として招待したりできます。 普段の AI ツールから使う 開発者やパワーユーザーは、普段お使いの AI コーディングエージェント( Kiro 、Claude Desktop、VS Code など)から直接資料を作成することもできます。MCP(Model Context Protocol)を通じて AI コーディングエージェントにサーバーを追加するだけで、チャットの中で資料作成の指示を出せます。 社内の AI チャット基盤に組み込む Spec-Driven Presentation Maker はリモート MCP サーバーとして独立して動作するため、MCP に対応した社内の AI チャット基盤にも組み込むことができます。たとえば、 Generative AI Use Cases(GenU) の AgentBuilder 機能を利用すれば、GenU のチャット画面からプレゼンテーション資料を作成できるようになります。既存の AI 基盤に「資料作成」という新しいケイパビリティを追加する形で導入できる点も、このアセットの特徴です。 この柔軟性により、組織内のさまざまな役割の方が、それぞれに合った方法で利用を開始できます。 アーキテクチャ — 必要なレイヤーだけ使う Spec-Driven Presentation Maker は 4 層アーキテクチャで構成されています。各レイヤーは前のレイヤーの薄いラッパーであり、必要なレイヤーだけを選んで利用できます。 ユースケース レイヤー AWS Kiro CLI で個人利用 Layer 1: skill/ 不要 ローカル MCP(Claude Desktop、VS Code、Kiro) Layer 2: skill/ + mcp-local/ 不要 チームデプロイ Layer 3: + mcp-server/ + infra/ 必要 フルスタック(Web UI + チャット) Layer 4: + agent/ + api/ + web-ui/ 必要 Layer 1・2 は AWS アカウント不要で、ローカル環境だけで動作します。個人利用から始めて、チームでの利用が決まった段階で Layer 3・4 に拡張するという段階的な導入が可能です。 始め方 — CloudShell から数ステップでデプロイ Spec-Driven Presentation Maker は、AWS CloudShell から数ステップでデプロイできます。ローカル環境に AWS CDK や Docker をインストールする必要はありません。 git clone https://github.com/aws-samples/sample-spec-driven-presentation-maker.git cd sample-spec-driven-presentation-maker ./scripts/deploy.sh --region us-east-1 デプロイが完了すると、Amazon CloudFront の URL が発行されます。ブラウザでアクセスし、Amazon Cognito のユーザーを作成すれば、すぐにチームで資料作成を始められます。 すべてのリソースはご自身の AWS アカウント内にデプロイされます。資料のデータ(スライド、テンプレート、プレビュー画像)は Amazon S3 と Amazon DynamoDB に保存され、AWS 外部のサードパーティサービスにデータが送信されることはありません。認証には Amazon Cognito を使用し、リソースレベルのアクセス制御により、資料ごとに閲覧・編集権限を管理できます。 個人利用やローカル環境での利用方法については、 リポジトリのドキュメント をご参照ください。 まとめ Spec-Driven Presentation Maker は、「何を伝えるか」の設計と「どう見せるか」の構築を分離することで、プレゼンテーション資料の質とスピードを両立するオープンソースのサンプル実装です。 仕様駆動アプローチにより、メッセージの論理構造を先に設計し、AI がテンプレートに準拠してスライドを生成します 既存の企業テンプレートをそのまま活用でき、ブランドガイドラインに沿った資料を作成できます ブラウザ、AI コーディングエージェント、社内 AI 基盤など、多様なインターフェースから利用できます 4 層アーキテクチャにより、個人利用からチームデプロイまで段階的に導入できます ご自身の AWS アカウント内にデプロイされるため、データの管理はお客様自身の手の中にあります 次のプレゼン資料を作成する機会に、ぜひお試しください。 リンク集 GitHub リポジトリ アーキテクチャドキュメント CloudShell デプロイガイド カスタムテンプレートとアセット エージェント接続ガイド 著者/開発者紹介 片岡 翔太郎 (Shotaro Kataoka) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト。 本アセットの設計・開発を担当。 AI/ML関連で博士号取得後 2025 年に入社した SA。最近初めての娘が生まれ、家では常に抱っこをしている。業務効率化ツールの開発が趣味で、Kiro CLI を片手にいつも何かを作っている。 吉川 直仁 (Naohito Yoshikawa) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト。 本アセットの設計・開発を担当。 大学で AI/ML の研究を行い、昨年(2025/04)SA として新卒入社。Kiro CLI で仕事を効率的にしようとするも、何かを作り続けているので結局忙しい。 岡本 晋太朗 (Shintaro Okamoto) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト。 本アセットの設計・開発を担当。 育休から復帰後、生成 AI の進化をキャッチアップ中。今年の目標は家事を技術で楽にすること。Kiro はかわいいので IDE 推しだったが、最近は CLI も愛用。
目次 はじめに 1. AutoOps の通知機能とは? 2. 通知の設定ステップ ステップ 1:コネクタ(Connector)の作成 1.1 コネクタ作成画面への移動 1.2 コネクタの追加 1.3 送信先情報の入力 ステップ 2:通知フィルター(Notification Filters)の設定 2.1 通知フィルターの設定 2.2 通知条件とコネクタの紐づけ 3. 動作確認 : 異常検知から復旧検知まで 3.1 異常の発生(データノードの停止) 3.2 復旧の確認 4. レポート機能 5. さらに踏み込んだカスタマイズ : イベント設定 まとめ はじめに [ 前回 ]は、AutoOps を使ってオンプレミスの Elasticsearch のインデックス情報やメトリクスを可視化する方法を解説しました。 今回は一歩進んで、AutoOps の通知(Notification)機能を活用し、異常検知から通知までを自動化する設定例を紹介します。管理画面を常時監視することなく、トラブルの予兆に素早く気づくための設定をマスターしましょう。 1. AutoOps の通知機能とは? AutoOps の通知機能を利用すると、新しいイベントの発生時や問題の解決(クローズ)時に、外部ツールへリアルタイムでアラートを飛ばすことができます。 これにより、管理画面に張り付く「監視」から、通知を受けて動く「アクション」主体の運用へとシフトでき、MTTR(平均復旧時間)の短縮にも貢献します。 2. 通知の設定ステップ 設定は大きく分けて 「どこに送るか(Connector)」 「何を・いつ送るか(Notification Filter)」 の 2 つのステップで行います。 ステップ 1:コネクタ(Connector)の作成 まず、通知をどこに送るかを設定します。AutoOps では以下の組み込みコネクタが利用可能です。 Email: 指定したアドレスへのメール通知。 Webhook: カスタム HTTP エンドポイントへの通知。 Slack: チャンネルへの投稿。 PagerDuty / Opsgenie: 障害管理ツールとの連携。 など。 ※詳細は、公式ドキュメント  https://www.elastic.co/docs/deploy-manage/monitor/autoops/ec-autoops-notifications-settings#ec-built-in-connectors  を参照してください。 今回は、基本となる Email での設定例を紹介します。 1.1 コネクタ作成画面への移動 Elastic Cloud の AutoOps のメニューから Settings > Notifications Settings をクリックします。 1.2 コネクタの追加 Connector Settings タブをクリックし [ Add ] をクリックします。 1.3 送信先情報の入力 以下の項目を設定し、[ Save ] で保存します。 Connector Type を Email にします。 Connector 名を入力します。 送信先の Email アドレスを入力します。 イベントがクローズした際にも Email を送信するよう設定しておきます。 ステップ 2:通知フィルター(Notification Filters)の設定 すべてのイベントを通知すると「アラート疲れ(Alert Fatigue)」を招きます。フィルター機能を使い、「本番環境のクリティカルな問題のみ」といった絞り込みを行うことが可能です。 ※今回は、サンプルなので、すべてのイベントを通知します。 2.1 通知フィルターの設定 Notifications Settings の Filter Settings タブをクリックし [ Add ] をクリックします。 2.2 通知条件とコネクタの紐づけ 通知したいイベントと、先ほど作成したコネクタを選択し、[ Save ] をクリックします。 Name : 通知名を入力します。 Clusters: 今回の監視対象のクラスタを選択します。 Connectors : 先ほど設定した Email 送信用のコネクタを選択します。 Delay : No Delay としておきます。 Events : 通知対象とするイベントを選択します。 画面左側にあるイベントが「通知対象」です。今回は、動作確認のため、すべてのイベントを左側に配置します。 3. 動作確認 : 異常検知から復旧検知まで 実際に異常を発生させて、通知の流れを確認してみます。 3.1 異常の発生(データノードの停止) 前回の Docker コンテナ環境で、わざと Elasticsearch の データノード es02 のコンテナを停止させてみます。 しばらく待つと、AutoOps が異常(The cluster status is yellow)を検知し、以下のような Email が送信されてきます(日時は UTC 表記)。 3.2 復旧の確認 再度、es02 のコンテナを開始します。しばらく待つと、問題が解消されたことを示す「No longer detected」通知が届きます。 このように「異常発生」と「障害からの復旧」の両方を把握できるのが AutoOps 通知の強みです。 4. レポート機能 Reports > Notifications 画面では、過去に送信された通知履歴を一覧で確認できます。「特定の時間帯にアラートが頻発していないか」「通知が多すぎていないか」といった運用状況の振り返りや、キャパシティプランニングの材料として役立ちます。 ※参考URL  https://www.elastic.co/docs/deploy-manage/monitor/autoops/ec-autoops-notifications-settings#ec-notification-report 5. さらに踏み込んだカスタマイズ : イベント設定 AutoOps では、通知のトリガーとなるイベントの「重大性」や「閾値」が詳細に定義されています。 重大性:大 (Critical) No master node was discovered(master node不在)など 重大性:中 (Major) The memory usage is too high(メモリ高負荷) Long running index task(インデックス処理の遅延)など 重大性:小 (Warning) Some data nodes do not contain any shards(シャード未割り当て)など これらの詳細設定は、Settings > Events Settings 画面で確認・カスタマイズが可能です。例えば「Long running index task」の検知時間を変更することで、自社のワークロードに合わせた最適なアラート運用を構築できます。 まとめ Elastic Cloud AutoOps の通知設定を適切に行うことで、リアクティブな(起きてから対処する)運用から、プロアクティブな(予兆を掴んで対処する)運用へと進化させることができます。 「通知が多すぎて無視してしまう」状態にならないよう、フィルター機能を活用して本当に必要なアラートを厳選することから始めてみてください。あなたのクラスタの安定稼働のために、ぜひこの機会に通知設定を見直してみましょう! The post AutoOps の Notification を使った Elasticsearch の異常検知および通知 first appeared on Elastic Portal .

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