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みなさん、こんにちは。AWS のソリューションアーキテクトの伊藤ジャッジです。 このブログでは開催予定のイベントや直近1カ月に発表された製造関連のブログ・サービスのアップデート・事例などをお届けしています。国内だけでなく海外の情報も含めていますので、リンク先には英語の記事・動画も含まれていますが、解説を加えていますのでご興味あればぜひご覧ください。 過去の月刊製造ブログはこちらです 。未読の方はあわせてご覧ください。 さて、AWS は創立二十周年を迎えました! AWS のサービスもお客様と共に成長してきました。その軌跡を こちらの二十周年記念記事 でご覧ください。これからも皆様からのフィードバックを元に、サービス改善を続けていきます。 AWS の節目の時期となりましたが、4 月は多くの企業も年度始まりですね。フレッシュな区切りの時期ですが、一方で先月末の棚卸しという重要なタスクもあったと思います。今回は、在庫管理、需要予測またサプライチェーン管理に役立つ情報をピックアップコンテンツとして特集をします。 ピックアップトピック:サプライチェーン管理 製造業において在庫管理は、経営効率の中枢を担う機能の一つです。在庫不足は生産ラインの停滞や顧客納期の遅延を招きますし、過剰在庫は保管コストやキャッシュフローを圧迫します。多品種少量生産や受注変動が常態化する現代では、単に在庫を管理するだけでなく、需要変動を先読みし供給網全体を最適化する仕組み作りが不可欠になっています。 ここで鍵を握るのが、需要予測とサプライチェーンマネジメントの活用です。販売実績や市場動向、季節要因、経済指標など多様なデータを AI で解析し、過去の傾向をつかみ将来の需要を精度高く予測し、必要量を前もって準備できます。これにより「作りすぎ」「作らなさすぎ」のムダを減らし、生産・調達・物流を連動させた全体最適が実現します。 こうしたデータドリブンな仕組みを飛躍させるのがクラウド技術です。工場や倉庫、販売拠点から収集されるさまざまな記録をクラウドに統合し、データの可視化と分析を可能にします。さらにエージェントAI を活用することにより、全体を俯瞰しながらボトルネックや需給ギャップを自律的に発見し、複数拠点をまたいだ調整のアクションまで実行できます。AI による「データ駆動の意思決定サイクル」を回しやすいのがサプライチェーンの領域といえます。 お客様事例 3 月には、サプライチェーン関連のお客様事例として、OPLOG 社 の AWS の AI サービスの活用の事例が発表されています。 1. Learn how technology-driven fulfillment company OPLOG accelerated decision-making using Amazon Bedrock AgentCore 倉庫管理企業の OPLOG 社が、AIエージェント × ロボティクスで倉庫オペレーションを変革した事例です。 Amazon Bedrock AgentCore を使って複数のAIエージェントがリアルタイムに数千の判断を下す基盤を構築しました。その結果、意思決定時間、稼働率、コスト全ての効率が上がりました。生成 AI エージェントを本番投入したい方が、構想→PoC →スケーラビリティのイメージをつかむための良い事例ですので、ぜひ元記事でご確認ください。 2. Amazon Multi-Channel Fulfillment and Buy with Prime Accelerators for SAP S/4HANA が利用可能に こちらは 1 月の発表とはなりますが、 SAP S/4HANA から Amazon MCF と Buy with Prime を直接アクセスできるようにすることで、在庫一元管理と出荷を自動化し、欠品・過剰在庫の抑制や在庫管理のコスト削減といった効果が期待できる、という機能の発表がありました。 こちらは既存 SAP への変更を最小限に抑えつつ、Prime 配送や簡単返品などの購入体験を自社 EC にも拡張できる機能となります。詳細の仕組みについては、ぜひリンク先本文をお読みください。 Amazon 社との協業 Amazon is investing AU$750 million in a robotics fulfillment center in Australia Amazon 社の倉庫におけるロボティクス技術活用がまた進化したニュースが 3 月に発表されました。オーストラリアに新しいロボット駆動のフルフィルメントセンターを建設します。ここでは人とロボットが協働し、ロボットが重量物や反復作業を担うことで、従業員は判断が必要な業務に集中できるように設計されています。安全性と効率性を両立した職場づくりの取り組みや倉庫業務を行う、ワクワクする最新ロボットの詳細につきましては、リンク先をご覧ください。 AWS が提供する ワークショップ コンテンツ AWS からはセルフペースで手を動かしながらサンプルを構築し、サービスについて学べるワークショップが提供されています。3 月には、サプライチェーンの課題にフォーカスした下記のワークショップが新しくリリースされました。 Amazon Bedrock を使用した AI 駆動型サプライチェーン管理の構築 このハンズオンワークショップでは、 Amazon Bedrock AgentCore の機能を使用して既存のサプライチェーンシステムを強化する方法を学びます。 Strands Agents SDK とインタラクティブな Jupyter ノートブックを使用して、紛争や天災によるサプライチェーンの混乱を分析し、在庫配分を最適化し、緩和戦略を自律的に実行できるサプライチェーン管理システムを構築できます。 Amazon Bedrock AgentCore で実現する Chronos-2 を用いた時系列予測エージェント 時系列予測は在庫管理の分野で活用されてきましたが、このワークショップで体験できる Chronos は、AWS が開発した時系列基盤モデルです。事前に膨大な時系列データでトレーニングされた時系列予測モデルで、大規模言語モデルで利用されている Transformer を応用することで、予測対象の実績データをトレーニングすることなく、さまざまなケースで高い精度の予測を実現します。Chronos-2 はその最新モデルで、多変量予測においても、新しいデータセットに対して追加学習なしで、即座に高精度な予測が可能になっています。AWSのソリューションアーキテクトが執筆した 紹介ブログ もあります。 上記のワークショップにご興味をもたれましたか?ぜひ貴社の技術支援担当の者か、 技術支援窓口 にお問い合わせください。 なお、 AWSからはサプライチェーン系ワークロードを AWS 上で設計・運用する際のベストプラクティスと設計指針を体系的に示す Supply Chain Lens – AWS Well-Architected Framework が提供されていますので、あわせてご参照ください。 企業競争力の源泉は、もはや製造スピードだけではなく、データに基づく俊敏なサプライチェーン運営にあります。クラウドと AI を活用した在庫・需要・供給そして AI によるアクションの統一管理が、製造業の持続的な成長を支える次のステージとなるでしょう。今回のピックアップトピックが、皆さまのより良いサプライチェーン運営のきっかけになれば幸いです。 以上、4 月のピックアップコンテンツでした。 直近で開催予定のイベント・セミナー CAE in the Cloud 2026 〜 自動車・製造業向けCAEセミナー 〜 本年 2 月(東京リージョンは 3 月)に一般提供開始した Hpc8a インスタンス をはじめとしたAWS の最新ソリューションの情報をお届けするイベントです。4 月 20 日の週に東京・大阪・名古屋 3 か所で開催します。 Hannover Messe 先月号 でも紹介しましたが、2026 年 4 月 20 日(月)~ 4 月 24 日(金)に製造業の国際展示会がドイツのハノーヴァーで開催されます。 詳細はブログ記事、「 Hannover Messe 2026 で知る AWS による産業 AI の大規模展開 」もご参照ください。AWS もブース展示しますので、ホール 15、ブース D76 の AWS ブースにご来訪ください。 AWS JumpStart 2026 「AWS を使ってみたいけれど、学習方法がわからない」という初学者を対象に、AWS JumpStart 2026 が開催されます。直近では、2026年 5 月 11 日 (月) ~ 5 月 12 日 (火)(各回 2 日間:9 – 18 時)のオンライン開催となっています。製造業に限らず、高度な専門分野の技術に長けた専門家の皆様で、今までクラウドには触れてこなかった方は多くいらっしゃると思います。1モジュールから参加できますので、この機会に触れてみてください。 AWS Summit Japan 2026 今年も日本最大の “AWS を学ぶイベント” AWS Summit Japan が 6 月 25 日(水)、26 日(木)の二日間で開催されます!ベストプラクティスの共有や情報交換のこのチャンスにぜひご来場ください。[ 動画 ] フィジカル AI、シミュレーション、サプライチェーンなどの、去年よりパワーアップした製造業向け展示もあります! 過去 の イベント の 見逃し配信 や 動画 JAWS-Days AWS 利用者コミュニティ、JAWS のイベントが 3 月 7 日に行われました。皆様はご参加されましたか?あいにく行けなかった!という方にもアーカイブ動画が出ています。SAP、セキュリティといった製造業の皆様にも役にたつ動画が満載のアーカイブです。ぜひご覧ください。 CES 2026 – Physical AI for Adaptive Automotive Manufacturing | AWS Events 1 月に開催された CES の動画が AWS の公式チャンネルで公開されました。 AWS のデモでは、フィジカル AI が工場現場をどのように変革するかを紹介しました。こちらの動画では AWSの 5 つの要素(データ、トレーニング、シミュレーション、Sim 2 Real、Agentic なオーケストレーション)を柱に、物理の工場のモダン化から未来の工場設計まで、次世代の自動車生産を実現するデモのサマリをご覧いただけます。 製造関連の アップデート Auto & Manufacturing – Kiro for Business Users AWS が提供する AI コーディングアシスタント「 Kiro 」を活用して流体シミュレーションの構築から 3D モデリングを試行できるワークショップが3月に公開されています。製造業の設計部門の方々のご活用をお待ちしています。AWS のソリューションアーキテクトが執筆した日本語の 紹介ブログもあります 。 AWS IoT Greengrass v1 サポート終了 半年後の 2026 年 10 月 7 日に、Greengrass v1 のサポートが終了します。製造業の皆様は工場などクローズな環境や、スマートプロダクトに使っているかもしれません。まだの場合は早急な AWS IoT Greengrass v2 への移行をお願いします。 製造関連の Blackbelt Online Seminar アップデート 【AWS Black Belt Online Seminar】AWS IoT Greengrass コンポーネント開発編 エッジデバイス上でアプリケーション(コンポーネント)を動かし、クラウド側から一括デプロイ・更新・管理できる AWS IoT Greengrass の「コンポーネント開発編」の解説動画が 3 月にリリースされました。 製造業のお客様のAWS活用事例 下記は、3月に発表された製造業のお客様事例となります。製造業の皆様のもつ課題やゴールと似たお話があるかもしれません。ぜひ本文をご覧ください。 How Amazon Devices Eliminated Credential Risk to Scale AI across Engineering Tools Amazon 社には自社で開発・販売しているハードウェア製品 を取り扱う Amazon Devices という組織があります。この組織でハードウェア開発を加速するため、Creo、 Parametric、SOLIDWORKS、ANSYS など 60 以上のエンジニアリングツールに直接 AI を統合する必要がありました。10,000 人以上のエンジニアが使用しているこれらのツールは、ローカルのワークステーション上で動作しているため、セキュリティを維持しながらクラウド上の AI を活用できる仕組みが求められていました。このブログでは、Amazon Devices のエンジニアが、クレデンシャル配布をせずに認証して、ローカルの設計ツールから Amazon Bedrock にセキュアに接続した方法を寄稿しています。 The Evolution of BMW Group’s 3D Streaming Experience BMW 社は、オンプレミスで稼働していたディーラー向けの 3D 車両ストリーミングを、 AWS 上の Linux GPU(g4dn.2xlarge)でグローバル提供できる 3D ストリーミング基盤に移行しました。製造業の R&D 部門の皆様は 3D データを配信する場面があると思います。ぜひご参考にしてください。 Driving Intelligent Quality in the Software-Defined Vehicle Era Upstream 社の PQD (Proactive Quality Detection) が Ocean AI エンジンを使用して「モビリティ特化のインテリジェンス層」を AWS のスケーラブルなインフラ・ストレージ・セキュリティ・AI 基盤上で提供しています。SDV 時代の品質管理を、実環境のデータベースの継続的な予測型プロセスに変革することに成功した事例をご覧ください。 AI 時代に組織はどう変わるか — Jeff Barr が語る開発チームの未来と、三菱電機の挑戦 三菱電機はデジタル基盤「 Serendie 」による DX を進め、モノの販売中心からデジタルサービスのコト売りへ事業転換中です。この過程で、AI 時代の開発組織についてのインサイト、生産性向上事例と KPI の変化、人材育成、コミュニティと組織変革について、イベントのため来日した、AWS の Chief Evangelist である Jeff Barr との対話しました。 三菱電機が挑む製造業の商談変革 – AWS で実現した商談支援サービス「Memory Tec h」 三菱電機名古屋製作所は、製造業の商談で起きがちな「口頭コミュニケーションの認識齟齬」を解消するため、AI商談支援サービス「 Memory Tech 」をAWS上で新規開発しました。 AWS のサーバーレス構成により、ブラウザやスマホだけで商談録音から 2 分以内の議事録自動生成を実現し、少人数でスモールスタートとスケーラブルな運用を両立しました。詳細は本文をご覧ください。 電通総研、大規模 GPU 環境を約 1 ヶ月で構築 〜リアルタイム 3DCG ソリューション「UNVEIL」の戦略的アプローチ 〜 電通総研はリアルタイム 3DCG メタバース「UNVEIL」の大規模イベント利用に向け、1,000 名同時接続で低レイテンシーを満たす GPU 環境を AWS 上に約 1カ月で構築しました。東京リージョンで Amazon EC2 g4dn/g5 や Amazon EKS などを活用し、段階的な負荷試験と複数回の事前テストでボトルネックを洗い出しつつ、イベント駆動型ワークロードに適した、スケーラブルかつコスト効率の高いアーキテクチャを設計しました。どのように実装したのでしょう。ぜひ本文をチェックしてください。 キヤノン株式会社イメージング事業本部様にて生成 AI ハッカソンを開催!生成 AI をフル活用し社内課題を解決する 5 つのシステムを開発 キヤノン 株式会社 イメージング 事業本部と AWS が協力し、社内業務課題を生成 AI で解決することをテーマに約 6 カ月のハッカソンを実施した事例です。 約 20 名のエンジニアが 5 チームに分かれ、AWS の生成 AI サービスの勉強会、アイデアソン、プロトタイピングを通じて、実用レベルの 5 つのプロトタイプを開発し、いくつかのプロトタイプでは実業務での活用検討が進んでいます。 最後まで読んでいただきありがとうございました。今月は サプライチェーン管理に役立つ情報をピックアップしてお届けしました。このような形式で毎月最新の情報を製造業の皆様にお届けして参ります。 月刊 AWS 製造ブログ を今後ともよろしくお願いします。それでは、また来月お会いしましょう!   伊藤ジャッジ向子 (Ito, Judge Sakiko) 米国での開発者経験を経て、AWSのサポートに入社し、異動しエンタープライズ事業本部でソリューションアーキテクトとして製造業のお客様をご支援しています。趣味は山登り、クラッシックバレエと愛犬のお世話です。
こんにちは、イノベーションセンターの石禾(GitHub: rhisawa )です。NTTドコモビジネス内製OT向け侵入検知システム(OT-IDS)であるOsecTの開発・運用・拡販業務に取り組んでおります。 このたび、米国マイアミで開催された大規模OTセキュリティカンファレンスS4x26にOsecTのスポンサー出展および聴講参加してまいりました。本記事では、世界中の専門家が集結した現地の模様と、最新のOTセキュリティトレンドについてお伝えします。 OTセキュリティとは OsecTとは S4x26の概要 スポンサーとしての出展 聴講者として Maritime: Compliance Risk Trumping OT Cyber Risk Emerging Markets OT Security Regulation Poland 2025 Attack on the Electric System 他企業の出展の模様 レモネード工場の模擬システム さまざまなベンダーが集結したPoC(Proof of Concept) Pavilion ネットワーキング マイアミの街で日常に溶け込むロボット おわりに OTセキュリティとは 工場、プラント、ビル、船舶、社会インフラなどの物理的に動く制御システム(OT; Operational Technology)のセキュリティを指します。ITは情報処理が目的ですが、OTは物理的機器や設備の制御・監視を担うため、システム停止が直接的な事故や生産停止に繋がってしまうという特性があります。今回はこのOTセキュリティに特化したカンファレンスへ参加してきました。 OsecTとは NTTドコモビジネスでは、OT向け侵入検知システムOsecTを開発しています。OT環境の可視化・セキュリティリスクを検知するサービスです。 多様化する工場システムのセキュリティ脅威に対して、パケット解析するセンサー機器を設置するだけで、OT環境への影響なく、ネットワークの可視化と脅威・脆弱性検知ができます。詳しくは過去のブログ記事に書いているので是非ご覧ください。( OsecTリリース ・ OsecT前編 ・ OsecT後編 ) S4x26の概要 S4 (SCADA Security Scientific Symposium)は、 2008年から開催 されているOT/ICS(Industrial Control Systems)セキュリティに特化した歴史あるカンファレンスです。今年はマイアミビーチで開催され、公式サイトによるとチケットは完売し、約1,000名が参加する活況となりました。厳選されたスポンサー陣による展示をはじめ、多彩な講演やOTシステムデモ、ネットワーキングイベントが4日間にわたって繰り広げられ、会場は終始熱気に包まれていました。来年はフロリダ州タンパでの開催が予定されています。 スポンサーとしての出展 今回、私たちNTTドコモビジネスは「Double Cabana Sponsors」として、プールサイドの開放的なエリアでブースを出展しました。このCabanaセッションは終始盛況で、来場者への対応が途切れることのない活気あふれる場となりました。 国内の展示会と比較して印象的だったのは、来場者の前提知識が非常に深かったことです。検知の種別やその仕組み、OsecTを設置する具体的なレイヤーなど、専門的な質問が相次ぎました。国内の展示会はITや製造業全般を対象としていることが多く、OTセキュリティに特化したイベントが少ないため、S4のような専門家が集う場での対話は非常に新鮮でした。 CabanaセッションでのOsecTブースの模様です。 ブースの目の前には、写真の通り活気に満ちた光景が広がっていました。快晴の空の下、ネットワーキングを楽しむ多くの参加者の方にOsecTのご説明ができました。 今回の出展を通じて、今後の海外展開に繋がる貴重な関係を築くことができました。 聴講者として 3つのトラックで同時進行する充実した講演の聴講を通じて強く感じたのは、OTセキュリティの世界がいま、AIの台頭によって劇的なパラダイムシフトの渦中にあるということです。私は今年初参加でしたが、昨年までと異なりAIを意識した講演の激増を昨年の参加者から伺いました。 スポンサー展示では、他社製OT-IDSとの連携機能を備えたシステムが目立ちました。我々の開発するOsecTでは、連携機能を強化する方針で開発を進めています。これが世界的な潮流と合致していることを再確認しました。 ※NTTドコモビジネスの取り組みについては、先日公開した 「現場の「気づかない」を解決!OsecTの新機能:信号灯連携のご紹介」 も是非併せてご覧ください。 面白かった講演について3つピックアップします。 Maritime: Compliance Risk Trumping OT Cyber Risk 海事分野では、ボルチモア橋崩壊やスエズ運河封鎖のような物理的事故により数億ドル規模の損失を招くため、規制は極めて厳格化しています。サイバー攻撃による被害よりも、セキュリティ対策に関する規制要件の不適合による運航証明書の取り消しこそ、船の運行、つまりビジネス継続における最大のリスクです。 実例として、2019年のランサムウェア事案が挙げられていました。この事案では、システム被害そのものよりも、規制当局による3日間の足止め(運航停止)のもたらした損失の方が遥かに甚大だったようです。コンプライアンス遵守と船の運行自体の目的化により、形式的なルール適合のみに注力するあまり、実効的なセキュリティ対策に注力できないリスクが生じています。 船級協会を通じてコンプライアンスを強制執行できる海事分野の特殊性は、極めて興味深かったです。国内の一般産業(工場等)では、ガイドラインこそ存在するものの法的な強制力に乏しく、コスト負担からセキュリティ対策が後回しにされがちな現状があります。その点、海事分野の「強制力」は実効性を高める強力なスキームです。 Emerging Markets OT Security Regulation 講演では4カ国のOTセキュリティ規制を比較していました。ブラジルは未整備で政策関与の好機、サウジアラビアは石油産業保護のため厳しい現地化要件により参入障壁が高いと紹介されました。インドは電力セクターでSBOM(Software Bill of Materials)義務化など先進的な取り組みが進む一方、インドネシアは規制はあるものの運用が未整備で実効的でない実情が浮き彫りとなりました。 諸外国の規制状況を体系的に知ることができ、非常に有益でした。日本は現在OTセキュリティに関しては法制化段階にあり、ブラジルと同様に「規制策定前」の重要な局面にあります。改めて、自社がこれまで培ってきた実務的な知見を国の公的な基準に反映させることで、形骸的な規制を排し、実効性の高い枠組みを構築することの重要性を再認識いたしました。 Poland 2025 Attack on the Electric System 2025年12月にポーランドで発生したとされる、世界初の次世代エネルギー網(太陽光・風力・蓄電など)を標的とした大規模サイバー攻撃を題材としていました。 攻撃者は、FortiGate Firewallの既知の脆弱性を悪用し、さらにデフォルト認証情報を用いてVPN経由でアクセスを確立しました。侵入後、彼らはRTU(Remote Terminal Unit、遠隔端末装置)、保護リレーなど複数のデバイスを標的とし、恒久的に使用不能にしました。その結果、これらの機械を買い替えることとなり、サプライチェーンにも影響を及ぼしました。この教訓から、Firewallの脆弱性パッチ適用およびデフォルト認証情報の変更の必要性が強調されました。 ログ分析により、順次手動で攻撃されたこと、時には攻撃者が数時間離れてから戻ってくること、失敗した攻撃を数時間後に再試行することなどが判明しました。また、攻撃の数週間前にはデフォルト認証情報のテストが行われており、計画的な偵察活動の存在も明らかになりました。 この事例では、サプライチェーンに甚大な影響を及ぼすほどの被害実態を示しており、強い衝撃を受けました。周到な偵察活動の段階で不審な通信を検知できていれば、被害の拡大を防げたのではないかと感じています。我々の開発しているOT-IDS「OsecT」を、こうした脅威に対する確かな防波堤とするべく、決意を新たに製品の提供に邁進してまいります。 他企業の出展の模様 実際のプラントを模した大規模なシステムのデモ披露などもありました。OTシステムに特化した展示が非常に充実していました。 レモネード工場の模擬システム Siemens社のPLC(Programmable Logic Controller)を使ったレモネード工場の模擬システムで、お客さまに模擬システムのレモネードをそのまま振る舞い、人々を惹きつけていました。Siemens社の提供するPLCと集客力のあるシステムの組み合わせが魅力的な展示となっていました。 さまざまなベンダーが集結したPoC(Proof of Concept) Pavilion 自動車製造プロセスを模した高度なデモが印象的でした。PLC制御による塗装ラインや組立ラインにセキュリティベンダーの製品が統合されており、単なる機能紹介に留まらない実践的な構成を具体的に確認できました。顧客へのソリューション提案から実装までを明確に想起させる、非常に訴求力の高い展示内容でした。 ネットワーキング S4はネットワーキングを非常に重視したイベントです。 Welcomeパーティーやクラフトビールアワー、私たちがスポンサーを務めたCabanaセッションでの交流会など、リラックスした雰囲気で意見交換できる場が数多く用意されていました。また、昼食会場は屋内と屋外の2箇所あり、私も他の参加者との交流を楽しみながら昼食をいただくことができました。 交流を進める中で、参加者の多くはアメリカ国内からである印象を受け、米国の最新トレンドに直接触れるにはこれ以上ない場所だと実感しました。 マイアミの街で日常に溶け込むロボット カンファレンス以外で非常に興味深かった点として、マイアミの街中に、荷物お届けロボットが日常に溶け込み、自律的に走行している姿を目にしたことです。何台も見かけたこのロボットは、人がいない場所では徒歩より早いスピードで移動し、信号を自動で判断して待機、進行、障害物を迂回するなどスムーズな動きを見せており、歩行者もそれを見慣れている様子でした。こうした光景から「Physical AI」の浸透と、テクノロジーがもたらす近未来の息吹を強く感じました。 おわりに 今回のS4x26への参加を通じて、世界のOTセキュリティ専門家と直接議論を交わし、技術の最前線を肌で感じることができました。また、海外展開に向けた貴重なネットワークを構築できたことも大きな収穫です。私たちはこれからも日本発の技術で世界のインフラを守るべく、グローバルな市場での挑戦を続けていきます。今回の経験を糧に、OsecTを世界に通用するサービスへと展開させるべく、一層邁進していく決意です。
近年、AIやデータサイエンスの急速な発展に伴い、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)の需要が爆発的に増加しています。しかし、需要が拡大する一方で、「現場の計算待ちが常態化している」「費用対効果を把握できず投資に踏み切れない」といった課題を抱える企業も少なくありません。 この記事では、HPCを取り巻く現状の課題を紐解きながら、リソースの最適化と全社的な可視化を実現するSCSKのソリューション「HPC View(エイチピーシー ビュー)」の魅力と機能についてご紹介します。 HPC市場の急成長と多様化するニーズ 世界的なHPCの市場規模は、2034年までに915億ドル(約14兆6,000億円)に達すると予測されており、需要が急速に伸びています。日本国内に目を向けても、2025年時点で約4,300億円規模に達するとされています。 Source: Global Growth Insights 2020年頃までのHPCは、主に自動車や重工業など製造業におけるCAE(コンピュータ活用エンジニアリング)需要が大半を占めていました。しかし現在は、AI・機械学習(ML)が台頭し主役になりつつあります。さらにクラウドHPCの普及により、金融、ライフサイエンス、メディアなど業界がさらに多様化しており、従来の運用方法では対応しきれない新たな課題が生まれています。 HPC管理に潜む「悪循環」とは? HPCの運用において、現場と経営層の間で以下のようなギャップが生じていませんか? 現場の課題 :計算待ちの常態化、急な計算に対応できない、利用者の偏り、運用・管理の属人化(引き継ぎ不備や運用に時間がかかる) 経営の課題 :投資効果が見えないため、有効な戦略が立てられない このように、「現場の課題が可視化されない ➡ 経営が判断できない ➡ 投資されない ➡ 現場が改善しない」という悪循環が起きています。これを断ち切るためには、 「全社で利用状況を一元的に可視化すること」 が不可欠です。 部門ごとではなく全社的に一元管理できれば、「計算待ちの短縮」「フェアユースの実現(リソースの公平な利用)」「説明可能なHPC運用(経営層への数値提示)」「他部門とのスムーズな連携」が可能となり、全社最適が促されます。 リソース最適化を実現する「HPC View」とは? こうした課題を解決するためにSCSKが提供しているのが、HPCの利用状況を可視化し、リソースを最適に活用するためのサービスである「HPC View」です。業務やシミュレーションのスピードを落とすことなく、最適なHPC運用を実現します。 HPC Viewの3つの特長 HPC View(ポータル)の主な機能 HPC Viewのポータル機能は、直感的に利用可能なGUIベースで提供されます。オンプレミスとクラウドのジョブ管理を統合し、最適なリソースの選択が可能です。以下に主な5つの機能をご紹介します。 ① ダッシュボード機能 利用者は、現在のリソース使用状況やジョブの混雑状況を、グラフィカルな画面で一目で把握できます。全体の稼働率や空きリソースをリアルタイムで確認可能です。 ② ジョブ実行制御 事前に定義済みのテンプレートから、GUIベースで簡単にジョブを実行できます。リストからテンプレートを選択するだけで設定可能なパラメータが表示されるため、ジョブ発行の手間を大幅に軽減します。 ③ ジョブ状況確認 実行中および過去の完了済みジョブの状況をポータルから一覧で確認できます。ジョブをクリックすれば詳細情報が表示され、便利なフィルタ機能により、大量のジョブの中から対象のものを素早く見つけることができます。 ④ モニタリング / BI機能 計算ノードの状態、メモリ・CPUの使用状況、ジョブやキューの混雑状況を確認できます。最大6年間分のデータを参照でき、将来の投資判断やフェアユースの実現を支援します。各レポートデータはCSVでのダウンロードも可能です。 ⑤ セルフ管理機能 管理者向けに、ユーザー情報の作成・変更やジョブテンプレートのメンテナンス機能を提供します。また、お知らせ管理機能により、ユーザー向けのマニュアルやURLリンクを簡単に設置できます。 まとめ HPCは単なる計算機から、ビジネスの成長を牽引する重要なインフラへと変化しています。しかし、そのリソースがブラックボックス化していては、十分なパフォーマンスを発揮できません。 「HPC View」を導入し、現場の利用状況を可視化・一元管理することで、無駄のないリソース活用と納得感のあるIT投資が実現します。 ■ HPC運用のお悩み、SCSKにご相談ください 「現場の計算待ちを解消したい」「HPCの利用実態を可視化したい」など、HPC運用に関する課題をお持ちではありませんか? 本記事でご紹介した「HPC View」の詳細機能や、お客様の環境に合わせた最適なソリューションについては、以下の製品サイトよりお気軽にお問い合わせください。 🔗 HPC View(エイチピーシービュー) | SCSK株式会社

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