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はじめに アニメ Tech STUDIO ソフトウェアエンジニアの新です。 この記事では、コーディン ...
2026 年 6 月 17 日、 Amazon Bedrock マネージドナレッジベース を発表しました。これは、デベロッパーが所有データを使用してエンタープライズグレードの生成 AI アプリケーションを数分で構築できるようにする新しい機能セットです。エージェンティック AI アプリケーションを構築する組織は、正確かつ迅速で信頼性の高い結果をもたらすために、企業全体のデータへの、セキュアで信頼性の高い最新のアクセスを必要とします。マネージドナレッジベースは、検索拡張生成 (RAG) パイプラインの構築と管理の複雑さを抽象化し、デベロッパーがインフラストラクチャ管理ではなく、ビジネス成果の実現に注力できるようにします。 今日、エージェント向けのナレッジベースを構築するデベロッパーは、3 つの主要な課題に直面しています: エンタープライズデータへの接続 – エンタープライズナレッジは、コンテンツタイプ、アクセスコントロールリスト、ドキュメント形式が異なる、さまざまなシステムに分散して存在しています。各ソースごとにカスタムコネクタを構築および維持することは、開発の複雑さを増大させ、開発速度を低下させます。 RAG 精度の最適化 – 検索拡張生成に関するベストプラクティスは進化し続けています。デベロッパーは、データから正確な回答を得るために、さまざまな解析戦略、チャンキングアプローチ、埋め込みモデル、エージェンティック検索動作を実験する必要があります。 インフラストラクチャの大規模な管理 – 組織は、数百万のドキュメントを含む大規模なナレッジベースを運用したり、チーム間で数千の小規模なナレッジベースを管理したりする必要があります。いずれのパターンでも、信頼性の高いインフラストラクチャ、セキュリティ対策、コスト管理が不可欠です。 これらの課題により、デベロッパーは、アプリケーションに注力するのではなく、差別化につながらない作業を繰り返し実行せざるを得なくなります。 Amazon Bedrock マネージドナレッジベースは、デベロッパーが従来自らアセンブルおよび維持しなければならなかった複数のインフラストラクチャコンポーネント (ストレージ、検索、埋め込み、再ランキング、基盤モデルの選択など) を単一のマネージドプリミティブに抽象化することで、これらの課題を解決します。デフォルトでは、サービスがデフォルトの埋め込みモデル、再ランキング付けモデル、基盤モデルを自動的に選択および管理するため、お客様は、モデルを選択したり、管理したりすることなく、すぐに使用を開始できます。このマネージド基盤に加えて、使いやすさと精度をさらに高める 3 つの主要なイノベーションがあります: ネイティブデータコネクタ – エンタープライズデータと許可を SaaS アプリケーションからネイティブにプルする 6 つの事前構築済み取り込みコネクタにより、デベロッパーがアプリケーション固有の要件を管理する際のオーバーヘッドがなくなります。リリース時点では、Amazon S3、SharePoint、Confluence、Web Crawler、Google Drive、OneDrive がサポートされています。 Smart Parsing – コンテンツのタイプやソースによって、正確な検索を実現するために必要なアプローチは異なります。Smart Parsing は、この複雑さを自動的に処理し、各データタイプとコネクタに適したパーシング戦略を選択することで、エージェントのために極めて高い精度を提供します。 Agentic Retriever – 単一のナレッジベース内、または複数のナレッジベースにまたがる、マルチターン、マルチホップの検索を必要とする複雑なクエリ向けに最適化されています。Agentic Retriever は、エンドユーザーの意図を自動的に推測し、複数のデータソースやモダリティにわたって分散した組織のナレッジから関連するコンテキストを抽出します。 わずか数行のコードで、Amazon Bedrock マネージドナレッジベースは、エンタープライズナレッジエージェントを支えるエンドツーエンドの RAG パイプラインを自動的に管理およびスケールします。エージェントビルダー向けに、 Amazon Bedrock AgentCore Gateway で事前構築済みのターゲットタイプとして利用可能となっています。これにより、統合はわずか数行のコードで済むほか、ロールベースの許可が自動生成され、AgentCore Observability ダッシュボードでオブザーバビリティと評価メトリクスが提供されます。 Amazon Bedrock マネージドナレッジベースの開始方法 マネージドナレッジベースの作成は簡単です。 Amazon Bedrock AgentCore コンソール または Amazon Bedrock コンソール に移動し、 [ナレッジベース] ページを開いて、 [マネージド KB を作成] を選択します。操作感はいずれのコンソールでも同じです。既に慣れ親しんでいるかもしれない他のナレッジベースのタイプに加えて、推奨オプションとして [非構造化ベクトルストア KB] が利用可能になっています: 図 1 – Amazon Bedrock AgentCore コンソールのナレッジベースのリストページ。[タイプ] 列にさまざまな KB タイプが表示されており、[マネージド KB を作成] ボタンも確認できます 新しいナレッジベースを作成する際には、ドロップダウンで直接、サポートされているコネクタのリストから選択することで、エンタープライズデータソースに直接接続できます。 AWS Identity and Access Management (IAM) ロールが自動的に作成され、必要に応じてこれらの許可を編集することを選択できます: 図 2 – [ナレッジベースを作成] ページ。データソースのドロップダウンリストが展開されており、Amazon S3、Confluence、カスタム、Google Drive、OneDrive、SharePoint、Web Crawler といったサポートされているすべてのコネクタが表示されています 最適化されたデフォルト設定セットが表示されるため、わずか数回のクリックでナレッジベースを作成できます。データが同期されたら、ナレッジベースをエージェントと統合したり、基盤モデルのツールとして指定してクエリを開始したりできます。 正確なデータインジェストのための Smart Parsing ナレッジベースの構築における主要な課題の 1 つは、多様なデータタイプを正確に検索できるように準備することです。マネージドナレッジベースをデータソースにポイントすると、Smart Parsing が各データタイプとコネクタに最適なパーシング戦略を自動的に決定します。追加の設定は不要です。 Smart Parsing は、次の複数の手法を組み合わせています: コネクタ固有のデータモデル – 各データソースのために最適化された処理。例えば、Web Crawler コネクタは、埋め込み画像やテーブルを含む HTML 構造を保持し、取り込み中にリッチコンテンツが失われないようにします。SharePoint コネクタは、ドキュメントの階層とファイル間の関係を維持します。 マルチモーダル処理 – ドキュメント内のさまざまなコンテンツタイプの自動検出と処理。システムはドキュメント内のバウンディングボックスを識別し、データ抽出、キャプション生成、動画ファイルのシーン記述のために基盤モデルに送信します。 最適化されたチャンキング – Smart Parsing は、基盤モデルを活用してドキュメント構造を理解し、意味のあるコンテンツを抽出します。これにより、複数のフォーマットが混在する複雑なドキュメントも適切にインデックス化されます。インテリジェントなデフォルト設定はドキュメントのタイプとコンテンツ構造に基づいて検索の精度とパフォーマンスのバランスを取り、上級ユーザーは必要に応じてチャンキング戦略をカスタマイズできます。 この自動化されたアプローチにより、通常、本番レベルの質の検索精度を実現するために必要となる数週間に及ぶ実験が不要になり、必要に応じてカスタマイズできる柔軟性も維持されます。 複雑なクエリでの Agentic Retriever の使用 データの取り込みが完了したら、ナレッジベースへのクエリを開始できます。生成 AI アプリケーションは、推論、再帰的な複数ステップの検索、および結果の中間評価を必要とする複雑なユーザークエリの処理に苦慮することがよくあります。ユーザーが「ML プラットフォームチームのクラウドインフラストラクチャ予算はどうなっていますか?」と「当社の経費ポリシーでは、年間契約の事前払いは認められていますか?」という 2 つの関連する質問をする場合を考えてみましょう。 単一の検索ステップでは、ML プラットフォームチームに関するドキュメントは見つかるかもしれませんが、質問に完全に答えるために必要な予算に関する情報と経費ポリシーを結びつけることができない場合があります。 図 3 – Agentic Retriever は、複雑なユーザークエリをステップバイステップのプランに分解し、複数のナレッジベースでマルチホップ検索を実行して結果を組み合わせ、根拠がある正確な応答を提供します Agentic Retriever は、ステップバイステップのクエリプランを作成することでこれを解決します: 1.どのチームが ML プラットフォームを所有しているか? また、そのチームのクラウドインフラストラクチャの予算はどうなっているか? 2.年間契約の事前払いに関する経費ポリシーはどうなっているか? 3.ML プラットフォームチームがこの予算から事前払いすることはポリシーで認められているか? システムは各ステップでマルチホップ検索と推論を実行し、十分な関連パッセージが収集されたら検索プロセスを停止して、上位の結果を返します。このアプローチは、個別のマルチホップ推論パイプラインを構築する複雑さを抽象化することで、複雑なクエリの精度を劇的に高めつつ、デベロッパーがオーケストレーションロジックではなく、エージェンティック検索アプリケーションに注力できるようにします。 Amazon Bedrock AgentCore コンソールのナレッジベースのテストパネルから、Agentic Retriever を直接お試しいただけます。ナレッジベース全体にわたる複数ステップのクエリをシステムが自動的に計画および実行できるようにするには、検索タイプとして [エージェンティック検索のみ] を選択します: 図 4 – [ナレッジベースをテスト] パネル。検索タイプとして [エージェンティック検索 (回答生成あり)] が選択されており、モデルの選択、および最大エージェンティックイテレーションオプションが表示されています Bedrock AgentCore で MCP を有効にする Amazon Bedrock マネージドナレッジベースは、ネイティブターゲットタイプとして AgentCore Gateway とシームレスに統合します。この統合により、手動での統合が不要になり、組み込みのオブザーバビリティ、ポリシーの強制適用、および自動許可管理が提供されます。 Amazon Bedrock AgentCore コンソールまたは SDK に移動して、AgentCore Gateway を作成したり、既存のゲートウェイを選択したりできます。ゲートウェイにターゲットを追加する際、MCP サーバー、Lambda ARN、REST API、および他の統合オプションとともに、新しい事前構築済みターゲットタイプとして [ナレッジベース] が表示されます。ゲートウェイを通じて公開するために必要なのは、ナレッジベース ID を選択することだけです: 図 5 – AgentCore Gateway の [ターゲットを追加] ページ。ナレッジベース ID セレクタとランタイム検索モードオプションを備えた、新しい事前構築済みターゲットタイプとしてナレッジベースが表示されています AgentCore Gateway の [ターゲットを追加] ページ。ナレッジベース ID セレクタとランタイム検索モードオプションを備えた、新しい事前構築済みターゲットタイプとしてナレッジベースが表示されています ゲートウェイは標準のモデルコンテキストプロトコル (MCP) を公開するため、ナレッジベースツールは、 Strands Agents 、 LangChain 、 CrewAI 、 LlamaIndex 、 LangGraph など、MCP 互換フレームワークのクライアントによって自動的に検出されます。カスタム統合コードは不要です。 モデルの選択と柔軟性 Amazon Bedrock マネージドナレッジベースは、デベロッパーが Amazon Bedrock に期待する柔軟性を維持します。Bedrock で使用可能なすべての基盤モデルは生成ステップで使用でき、デベロッパーはさまざまな埋め込みモデルと再ランキングモデルから選択して、特定のユースケースに合わせて検索を最適化できます。これにより、チームはインフラストラクチャを変更することなく、精度とコストパフォーマンスをファインチューニングできます。 特定のモデルプロバイダーにロックインされるマネージドソリューションとは異なり、Amazon Bedrock マネージドナレッジベースは、インフラストラクチャ管理 (コネクタ、解析、ストレージ、検索オーケストレーション) とモデル選択を分離します。これは、次が可能であることを意味します: 最新モデルを活用する – 最新の埋め込みモデル、再ランキングモデル、基盤モデルが利用可能になり次第、それらを採用することで、RAG パイプラインを再構築することなく、アプリケーションの精度、レイテンシー、コストを改善できます。 料金パフォーマンスを最適化する – 同じナレッジベースインフラストラクチャを使用して、シンプルなクエリにはより小型で高速なモデルを、複雑な推論タスクにはより高性能なモデルを選択できます。 Bedrock 埋め込みモデルを使用する – Smart Parsing は最適化されたデフォルト設定を提供しますが、ドメインで特殊な意味論的理解が必要な場合は、Bedrock 埋め込みモデルを設定できます。 既存アプリケーションとの一貫性を維持する – Bedrock ナレッジベース API ( Retrieve 、 StartIngest 、 StopIngest 、 IngestKnowledgeBaseDocuments ) を既に使用している場合、マネージドナレッジベースは同じ API を使用するため、移行にはコードの変更は不要で、新しいナレッジベース ID をポイントするだけで済みます。 このアプローチにより、進化する要件や新しいモデル機能に基づいてモデルを変更する能力を失うことなく、生成 AI アプリケーションに時間を割けます。 今すぐ始めましょう Amazon Bedrock マネージドナレッジベースは、米国東部 (バージニア北部)、米国西部 (オレゴン)、アジアパシフィック (シドニー、東京)、欧州 (ダブリン、フランクフルト、ロンドン)、および AWS GovCloud (米国西部) リージョンで現在利用可能です。リージョンごとの提供状況や今後のロードマップについては、「 AWS Capabilities by Region 」にアクセスしてください。 Bedrock マネージドナレッジベースでは前払いの義務はなく、お支払いいただくのは使用した分の料金のみです。料金は、保存されるインデックス付きデータのサイズと、実行される検索回数 (オンデマンド) の 2 つの要素に基づきます。料金の詳細については、 Amazon Bedrock の料金ページ にアクセスしてください。また、Bedrock は AWS 無料利用枠 の一部でもあり、AWS の新規のお客様は無料で利用を開始し、主要な AWS サービスを試すことができます。 これらの機能は、CreWAI、LangGraph、LlamaIndex、Strands Agents などのあらゆるオープンソースフレームワークと、あらゆる基盤モデルで動作します。Bedrock サービスは一緒に使用することも、単独で使用することもできます。 AgentCore オープンソース MCP サーバー を使用して、お気に入りの AI 支援開発環境の使用を開始できます。 詳細を確認し、すぐに使用を開始するには、「 Bedrock ナレッジベースデベロッパーガイド 」にアクセスしてください。 Daniel Abib 原文は こちら です。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS ジャパン)が実施する「 生成 AI 実用化推進プログラム 」は、生成 AI の活用を支援する取り組みです。お客様のニーズに合わせ、生成 AI による価値創出のため戦略策定に取り組む方向けの「戦略プランニングコース」、カスタムモデルによる課題解決に取り組む方向けの「モデルカスタマイズコース」、公開モデルによるビジネス課題解決を狙う方向けの「モデル活用コース」をご用意しております。 その「生成 AI 実用化推進プログラム」の参加者や、GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)の関係者、生成 AI に関心を持つ企業が一堂に会する「生成 AI Frontier Meetup」が、2026 年 5 月 28 日に開催されました。2024 年 11 月の 第 1 回 、2025 年 2 月の 第 2 回 、2025 年 4 月の 第 3 回 、2025 年 8 月の 第 4 回 、2025 年 11 月の 第 5 回 、2026 年 2 月の 第 6 回 に続き、今回が第 7 回となります。本記事では、イベントの模様をレポートします。 本イベントの司会進行は、AWS ジャパン 戦略事業開発本部 プリンシパル 戦略事業開発マネージャー 塚本 陽子が務め、全体を通じて登壇者の紹介やセッションの案内を行いました。 開会のご挨拶 イベントの冒頭では、塚本が開会の挨拶をしました。塚本はまず、2023年の「 AWS LLM開発支援プログラム 」開始以来、AWS が継続してきた生成 AI 活用支援の歩みを振り返りました。直近では 2026 年 1 月より「 フィジカル AI 開発支援プログラム 」を始動させるなど、移り変わる顧客ニーズに合わせ、支援内容を拡充してきたことを強調しました。 また、これまでの実績として「生成 AI 実用化推進プログラム」への参画企業が合計で 320 社に達したことを報告。経済産業省および NEDO が主導する「GENIAC」プロジェクトへの支援も含め、AWS が日本の生成 AI の発展に尽力している旨を共有しました。 続いて、生成 AI の現状に触れる中で、Amazon CEO Andy Jassy の「株主への手紙」から「不釣り合いに大きな変曲点を見つけたら、大きく賭けよ」という趣旨の一節を引用しました。 技術動向については、2026 年 4 月に「What’s Next with AWS 2026」で発表された最新アップデートに触れ、「お客様が用途に応じて最適な生成 AI を自由に選択できるよう、サービスをさらに拡充していく」という AWS の方針を強調しました。 アップデートの具体的な内容として、AI アシスタント Amazon Quick のデスクトップアプリ・無料プラン提供開始に加え、OpenAI とのパートナーシップ拡大により 最新の OpenAI モデルが Amazon Bedrock 上で利用可能になったこと や Codex on Bedrock、Managed Agents のリリースを紹介。 Amazon Connect の 4 ソリューション(Decisions、Talent、Customer、Health)についても解説しました。 さらに、 Amazon Bedrock において Claude Code と Codex 双方をサポートすることや、Claude のネイティブプラットフォームと AWS の認証・課金を組み合わせた新たなサービスの開始についても紹介しました。 最後に塚本は、今回で 7 回目を迎えた本ミートアップが、エンジニアから経営層までが業界を越えて一堂に会する貴重な場であることに言及。「この場を通じて知識を吸収し、ネットワークを広げていただくことで、みなさまのプロジェクトがさらに前進することを願っています」と期待を込め、挨拶を締めくくりました。 AWS セッション AWS セッションの前半パートでは、ゲストスピーカーである株式会社 NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー Senior Principal Architect 三井 力 氏(写真上)が登壇。後半パートでは、AWS ジャパン AIML 事業本部 シニアAIML セールススペシャリスト 近藤 祐丞(写真下)をモデレーターに三井 氏との対談が行われました。 三井氏はまず、同社のスマートライフ事業を支える「プロダクトデザイン部」の体制を解説しました。100 以上のプロダクトを抱え、年間 12,000 回以上のリリースを行う大規模な開発運用(DevOps)組織です。さらなる開発速度向上と顧客体験価値の最大化を目指し、AI 駆動開発に全面的に取り組んでいる旨を語りました。 組織的な仕掛けとして、2025 年 4 月に「生成 AI 本格活用元年」を宣言し、プロジェクトを推進。社内の生成 AI コンテストを通じて 250 件以上のアイデアを創出しました。実用化された施策によって、今年度末までに約 13.3 億円もの事業成果が見込まれています。 技術論として三井氏が強調したのが、AI が信頼できる仕事をするための環境を整える「ハーネスエンジニアリング」の概念です。静的解析やテストを活用してのフィードバックループの実施や、要件定義やレビューといった勘所に高性能モデルを配置する推論サンドイッチといった手法を紹介しました。 また、運用の高度化についても言及。Agent CoreやLangChainを使った自前のエージェントに加え、東京リージョンで GA(一般提供開始)された AWS DevOps エージェントを導入し、障害対応を AI がサポートする体制を整えています。加えて、AWS の提唱する AI-DLC(AI 駆動開発ライフサイクル)に準拠したテンプレートを社内展開し、誰でも標準化された環境で開発を始められる工夫をしています。 対談パートでは、AI 時代の開発者像について議論が交わされました。三井氏は「AI 駆動開発は避けて通れない道。実装を AI が担うようになるからこそ、エンジニアはより上流のビジネス理解や、下流のデータ活用へと役割を広げ、技術を繋いでいく存在になるべき」と指摘。「AI と共に、顧客体験価値の高いプロダクトを作り続けたい」と展望を語り、セッションを締めくくりました。 カスタマー事例 ここからは、生成 AI 実用化推進プログラムに参加する各社の代表者が登壇し、「カスタマー事例」「モデル開発者紹介」の 2 部構成で取り組みを紹介しました。AWS ジャパン サービス & テクノロジー事業統括本部 AI/ML Specialist SA の飯塚 将太(写真左)と鯨田 連也(写真右)がモデレーターを務め、登壇者に質問を投げかけつつ進行しました。 株式会社 JDSC FDE / テックリードの鈴木 海斗 氏は、船主(船舶所有者)の業務を支援する海運 AI エージェント「AI番頭」の取り組みを解説しました。海事領域特有の課題に対し「データ」「回答生成」「運用」において独自の工夫を凝らしています。 データ設計では、画像処理(OpenCV)を用いて古い契約書の不要記述(取り消し線など)を除去し OCR 精度を向上させたほか、船舶データベースによる名称の正規化を行いました。回答生成では、質問からメタデータを抽出して検索ロジックを動的に切り替える仕組みを構築し、高精度な回答を可能にしました。運用面でも、アプリの利用者と目線を合わせながら「観測・評価・改善」を続けてきたのです。こうした活動が評価され、経産省・NEDO「GENIAC-PRIZE」最終審査で第 2 位を獲得しています。 ウォンテッドリー株式会社 Visit AI Squad リーダー の市古 空 氏は、同社のビジネス SNS「Wantedly Visit」における AI エージェントの実装事例と、設計思想の核となる Human-in-the-Loop の重要性について説明しました。 生成 AI の技術基盤には Amazon Bedrock を採用し、マイクロサービス群から共通ライブラリ経由でアクセスして、複数のモデルを柔軟に使い分ける構成にしました。また、採用ドメインにおける説明責任やユーザーの納得感を重視し、AI の判断を人間が評価するプロセスを意図的に組み込んでいます。「Human-in-the-Loop は人間の介入ポイントをいつ・どの粒度で持たせるかを意識して設計することが重要」と市古氏は語りました。 アイフル株式会社 グループシステム本部デジタル推進1部5課 課長兼 CCoE 統括長の大田 悠司 氏は「属人化したレガシーの再生」をテーマに、生成 AI とサーバーレスを活用した完全内製開発の事例を紹介しました。同社は従来はシステム開発を外部ベンダーに頼ることが多く、ドキュメントが欠落・形骸化したレガシーシステムの保守・改善が大きな課題となっていました。 そこで、内製化へと舵を切るため、特定プロジェクトで Amazon Bedrock 経由の Claude Code を活用した仕様駆動開発を実践。特に既存コードから仕様を逆算出するリバースエンジニアリングの工程では、工数を従来の 86.7% 削減することに成功しました。全工程を通じた開発効率も約 4 倍に向上したほか、フルサーバーレス構成への移行により、インフラコストを 95% 以上削減するという劇的な成果をあげています。 株式会社リーフワークス 代表取締役の澤 健太 氏は、会社の規模や目的に合わせて使える PaaS 型 Web サービス構築プラットフォーム「Palette CMS」への AI エージェント実装事例を共有しました。 UI 設計では、チャットを通じて動的に画面要素を生成する Generative UI を採用。アーキテクチャ面では、各エージェントが「これは自分の仕事ではない」と自律判断した時点で専門エージェントへバトンを渡すスキルディスパッチ機能を搭載しました。さらに RAG においては、Markdown の階層構造を保持したままデータ化することで、ドキュメントの文脈を正確に捉えた高精度な回答を実現しています。 モデル開発者紹介 ストックマーク株式会社 取締役 CTO の有馬 幸介 氏は、複雑なビジネス資料を読み解くための専用 AI の開発・運用事例を解説しました。フルスクラッチで開発した1000億パラメータの日本語 LLM やマルチモーダル文書読解 VLM は、特に日本語のドキュメント理解に優れており、GPT-4o を超える性能を示しています。 開発には Amazon SageMaker HyperPod を活用。加えて、多様な学習用合成データ自動生成技術を駆使し、専門的な図面や文書の理解力を大幅に向上させました。今後は大手企業や産総研との協業を通じて、ビジネスシーンにおける生成 AI の社会実装を加速させることを目指しています。 登壇者の皆様 クロージング クロージングでは塚本より、次回の「生成 AI Frontier Meetup」が、2026 年 8 月 27 日に開催予定であることを説明しました。会場は東京都港区の麻布台ヒルズ JP タワーの新オフィスです。加えて、今後開催される他のイベントも紹介しました。 Physical AI — クラウドとロボティクスの融合 AI が仮想空間を超え、物理世界で自律的に動作する「フィジカル AI 」の時代が到来しています。本イベントでは、AWS のフィジカル AI スペシャリストよりグローバルの最新動向を紹介するとともに、ファナック株式会社をゲストに迎え、協働ロボットCRXの実践事例やオープンプラットフォーム戦略を通じて、フィジカル AI プロジェクトを成功に導くための具体的なアプローチをお伝えします。また、同週開催の AWS Summit Japan の「フィジカル AI 観点での楽しみ方」もご紹介します。 イベント概要 日時:2026 年 6 月 24 日(水) 13:00 – 15:00 場所 : 東京都港区麻布台1丁目3-1 麻布台ヒルズ 森JPタワー 36階 形式:対面(定員 70名) ※ 参加希望者は担当営業にお問い合わせください AWS Summit Japan 2026 AWS Summit Japan は、クラウドと AI イノベーションの最前線を体験できる 2 日間の無料イベントです。エージェンティック AI やサーバーレスコンピューティングなど、業界を変革し、デジタル時代においてビジネスの成長を支えるテクノロジーを体感しましょう。業界のリーダーとの交流、同業他社とのコラボレーション、そして AWS エキスパートへ直接質問し疑問を解消できる貴重な機会です。同じ興味・関心を持つプロフェッショナルとの交流を広げ、インタラクティブなワークショップやカスタマーショーケースなど、多彩なラインアップからご自身のビジネスニーズに最適な体験を自由にカスタマイズしましょう。 イベント概要 日時:2026 年 6 月 25 日(木)〜 6 月 26 日(金) 場所:千葉市美浜区中瀬 2 – 1 幕張メッセ 公式サイト:https://aws.amazon.com/jp/events/summits/japan/ 参加者交流会の様子 交流会では、各セッションで語られた具体的な開発手法や組織文化の作り方を起点に、参加者同士の自由な議論が交わされました。業界の垣根を越えて「学びと繋がり」を深める本イベントらしい活気にあふれ、新たな共創の可能性を感じさせる場となりました。 会場内には、技術的な相談に応じる「Ask an Expert」コーナーや、各種の疑問を気軽に相談できる「よろず相談」コーナーも設けられ、参加者の方々の質問に回答いたしました。 おわりに 第 7 回を迎えた本イベントでは、技術的な工夫のみならず、組織文化の醸成やデータの質を追求する取り組みまで多岐にわたる知見が語られました。各社の生成 AI 活用が、より多角的かつ実用的なフェーズに進展していることを実感できる場となりました。AWS ジャパンは、今後もコミュニティの活性化や技術支援を通じて企業の生成 AI 活用を後押しし、その実用化と発展に貢献してまいります。
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