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本ブログは ヤマトプロテック株式会社 様と アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社が共同で執筆いたしました。 みなさん、こんにちは。AWSアカウントマネージャーの古山です。 「AI 化を検討したいが、情報システム部門のリソースが足りない」——そんな課題を抱える企業は少なくありません。本記事では、急な欠員により書類保管業務が逼迫した状況から、 Amazon Bedrock と Kiro を活用してわずか 2 日間でマルチモーダル AI を利用した書類電子保管システムを構築し、85% 以上の業務効率化を実現したヤマトプロテック株式会社様(以下、ヤマトプロテック様)の事例を紹介します。情シスリソースが限られた環境でも、適切な生成 AI 開発ツールの選択と活用方法によって、短期間での課題解決が可能であることを示す実践的な事例です。 多くの企業が直面する:手作業による書類保管業務の逼迫 ヤマトプロテック様は 1918 年創業以来、消火・防災領域におけるメーカーとして、開発・製造・設計・施工・メンテナンスを網羅し「火にまつわる安心」を作り出してきました。同社において、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、これからも安心を届け続けるための重要な課題の一つとして、取り組みを進めていたなか、受発注に関連する部署にて、書類の電子保管担当者に急な欠員が発生しました。他の担当者がカバーせざるを得ない状況となり、部署全体の負荷増大と業務時間の延長という事態に陥りました。具体的な業務フローは以下の通りでした。 1. 紙で届いた書類をスキャンして電子化、または電子で届いた書類をダウンロード 2. 書類を目視で確認しながらフォームに手入力 3. フォームに PDF をアップロードして送信 書類 1 枚あたり 1 分から最大 3 分程度を要する単純作業であり、自動化の余地は明らかでした。AI-OCR などによる自動化は以前から検討していたものの、情報システム室が他のシステム開発やプロジェクトで逼迫しており、対応できていませんでした。 なぜ AWS・Kiro を選んだのか:生成 AI 開発ツールの選定理由 ヤマトプロテック 経営企画本部 情報システム室 土屋 俊貴 様は、以前より生成 AI を活用した簡易ツール開発を試みていましたが、書類電子保管業務における問題を解決するためプロジェクトの合間を利用して、開発に本格的に着手しました。最初は他の AI コーディングツールで開発を進め、要件定義とシステムの基礎設計を進めていました。しかし、以下の問題により開発が行き詰まりました。 – コンソールから PowerShell や AWS CLI の操作が正常に実行できない – 設計やインフラへの考慮が不十分なまま開発が進み、終わりが見えない 情報システム室の開発 PC の切り替えというタイミングも重なったため、新しい環境構築と合わせて AI 周りも新しいツールに切り替えることにした際に、土屋様ご自身がAWS re:Invent 2025 に現地参加して体験した Kiro を想起し、「Kiro なら AWS インフラストラクチャーとベストプラクティスに合わせて開発できるのでは?」という期待から Kiro Pro を契約し、途中まで作成したプログラムや要件定義を Kiro に渡してバイブコーディングを開始しました。 ブレークスルーへの道:AI が AI を強化するという発見 Kiro は当初のツールより速いものの、当初は期待したほどの開発速度が出ませんでした。そこで土屋様は、AWS re:Invent でAWSのソリューションアーキテクトから「Steering が大切」と聞いていたことを思い出し、Kiro 自身に Steering の仕組みを尋ねてみました。Kiro の Steering とは、プロジェクト固有のルールや前提知識を AI に常時・条件付きで共有する仕組みです。 .kiro/steering/ 配下の Markdown ファイルとして管理され、チームの開発標準、プロジェクト固有の設計・制約、ビルドやテストの実行手順などを定義できます。「AI 自身に AI のベストプラクティスを調べさせ、自分の Steering を最適化させる」というアプローチを試みました。Kiro は AWS のリファレンスや公式ブログ、各種技術ブログ、re:Invent のレポートを読み込みながら、自らの Steering を作成・適用しました。さらに Kiro は MCP(Model Context Protocol)と Powers の導入を提案し、環境構築を進めました。 – Steering の設定 – Powers の設定 – MCP(Model Context Protocol)のセットアップ AI が AI 自身のアーキテクチャを理解し、最適化を提案・実行するというアプローチにより、開発効率が向上しました。 ソリューションの概要 新たに構築したシステムは、PDF 書類の受け取りから電子保管システムへの自動登録までを完全自動化するものです。Amazon Bedrock のマルチモーダル機能を活用した AI-OCR により、日本語書類の高精度な認識を実現しています。 システムフロー — PDF 書類(Amazon S3) ↓ AWS Lambda 関数起動 ↓ Amazon Bedrock(Amazon Nova Lite)で AI-OCR 処理 ↓ 書類情報の抽出(金額、日付、会社名などの必要情報をパラメーター化) ↓ invoiceAgent 文書管理 API 経由で自動登録 — 仕様駆動開発 SPEC が生み出したシステム構成 Kiro がシステム要件を整理する中で「SPEC モードで進めた方が良い」と提案しました。SPEC モードは Requirements(要件定義)、Design(設計)、Task(作業)の 3 段階で順に進める仕様駆動開発のアプローチです。Kiro は要件を分析し、以下の AWS サービス構成を提案・構築しました。 サービス 役割 Kiro の選定理由 AWS Lambda API 処理 サーバーレスで運用コストが低く、VPC 内配置が可能 Amazon API Gateway (Private) エンドポイント VPC エンドポイント制限でセキュアな通信を実現 AWS Secrets Manager 認証情報管理 API キーやパスワードをコードに記述せずに管理 VPC エンドポイント プライベート通信 NAT Gateway 不要でコスト削減 Amazon S3 書類 PDF の保管 高耐久性・低コストのオブジェクトストレージ Amazon Bedrock (Amazon Nova Lite) AI-OCR による書類認識 日本語書類の高精度認識 OCR 技術の選定と切り替え 当初は Amazon Textract を利用していましたが、日本語書類に対する認識率が約 50% と実用に耐えない水準でした。Kiro の提案により Amazon Bedrock の Amazon Nova Lite マルチモーダルへ切り替えたところ、認識率が約 89% に向上しました。 技術 認識率 評価 Amazon Textract 約 50% 日本語書類には不十分 Amazon Bedrock(Amazon Nova Lite) 約 89% 実用レベルに到達 Kiro が自動生成したディレクトリ構造 iA-API-ServerPJ/src/ ├── lambda_function.py # エントリーポイント ├── auth/api_key.py # API キー認証 ├── validation/models.py # Pydantic バリデーション ├── ia_client/client.py # iA API クライアント ├── handlers/search.py # 検索ハンドラー ├── handlers/document.py # 文書詳細ハンドラー ├── errors/handler.py # エラーハンドリング ├── rate_limit/limiter.py # レート制限 └── audit_log/logger.py # 監査ログ Kiro はデプロイ用の Python スクリプトを 70 個以上作成し、自動デプロイを実現しました。また、37 個のユニットテストを作成し、全て通過しています。タイムアウト問題が発生した際も、Kiro が Amazon CloudWatch ログを分析して原因を特定し、接続プールの拡張とリトライロジックの追加を提案・実装しました。 最適化項目 変更前 変更後 接続プール 10 接続 60 接続 リトライ なし 3 回(1 秒 / 2 秒 / 4 秒) タイムアウト 30 秒一律 接続 10 秒 / 読取 45 秒 2 日間で実現した導入効果:85% 以上の業務効率化 ヤマトプロテック様は、Kiroを活用した書類電子保管システムの構築により、以下の効果を実現しました。 定量的な改善 – 開発期間:2 日間 – AI-OCR 認識率:89%(Amazon Textract 比で約 39 ポイント向上) – 自動化範囲:書類の読み取りから登録まで完全自動化 – 工数削減:手作業による入力作業を 85% 以上削減 定性的な改善 – 急な欠員による業務逼迫の解消 – 他担当者への業務負荷の軽減 – 情報システム部門のリソースを他のプロジェクトへ集中できる環境の整備 – 単純作業からの解放による担当者の業務品質向上 ヤマトプロテック 土屋様からのコメント 「AI のことは AI が一番わかっている。MCP、Powers、Steering などのベストプラクティスを適用することで、開発効率が向上した。AI に AI のプロンプトを書かせるのがベスト。」 「特に AWS との統合が必要な場合、Kiro のような AWS に特化したツールがオススメ。AI 関連は新技術が速い速度で出てくるので、使い慣れているからといって他のツールを使わないのは機会損失。まずは触ってみましょう。」 事業成長への転換点:今後の展開 書類電子保管システムの構築をきっかけに、ヤマトプロテック様の生成 AI 活用は広がりを見せています。 – invoiceAgent 文書管理 API の MCP 化による AI エージェントとの連携強化 – Dify チャットボットと連携した AI-OCR 書類の AI 検索機能の開発 – AWS インフラの継続的な最適化 – Salesforce や ERP システムの DB 解析を Kiro で実施する仕組みの構築 – プロジェクト管理ツールの API を Kiro 向け MCP に再編し、Kiro 自体を PMO として活用 さらに、MCP 化と AI エージェントのコンテナ化によるエージェンティックネットワークの構築により、従来型のデータウェアハウスと BI ツールを代替できる可能性も検討されています。Amazon Bedrock や Kiro などの生成 AI 開発ツールの詳細については、以下のリソースをご参照ください。 – Amazon Bedrock 製品ページ – Amazon Bedrock ドキュメント – AWS Lambda 製品ページ まとめ ヤマトプロテック様の事例は、情報システム部門のリソースが限られた環境でも、生成 AI 開発ツールを適切に活用することで短期間での課題解決が可能であることを示しています。本事例から得られた主な知見は以下の通りです。 1. 適切なツールの選択と更新:AWS との統合が必要な場合、AWS に特化したツールの選択が開発効率を左右します 2. AI の事は AI が一番わかっている:MCP、Powers、Steering などのベストプラクティスを AI 自身に調べさせ適用することで、開発効率が向上します 3. OCR とマルチモーダルの適切な選定:日本語処理においては、一般的な OCR より Amazon Bedrock のマルチモーダルモデルの活用が有効です 4. 迅速なプロトタイピング:生成 AI 開発ツールを活用することで、従来数週間かかっていた開発を数日で完了できる可能性があります 生成 AI を活用した業務効率化にご興味のある方は、ぜひ AWSにご相談ください。 ヤマトプロテック株式会社 : 土屋 俊貴様(中央) アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 : アカウントマネージャー 古山 玄弥(左)、ソリューションアーキテクト 大松 宏之(右)
G-gen の佐々木です。当記事では、Google Cloud Next '26 で発表された Google Cloud のデータベースに関する新機能について、公式の投稿記事「 What’s new with Databases: Powering the agentic future 」の内容をもとに紹介します。 はじめに Embed AI into every layer of the data stack AI Studio とのバイブコーディング連携(GA) データエージェント向けツール(Preview) Database Onboarding Agent / Database Observability Agent(Preview) AlloyDB AI-Powered Search at Scale(Preview) AlloyDB の AI 関数の追加と最適化(Preview) データベース向けマネージドリモート MCP サーバー(GA / Preview) MCP Toolbox for Databases 1.0(GA) Break down walled gardens with lakehouse integrations AlloyDB の Lakehouse Federation(Preview) BigQuery から AlloyDB への Reverse ETL(Preview) Datastream による継続レプリケーション(GA) Knowledge Catalog(旧称 : Dataplex Universal Catalog)(Preview) Spanner Columnar Engine(GA) Database Center の BigQuery サポート(Preview) Commitment to open data and multi-cloud flexibility Spanner Omni(Preview) Bigtable In-Memory(Preview) Memorystore for Valkey 9.0(GA) Oracle AI Database@Google Cloud の拡張 Compute Engine からマネージドサービスへの移行機能(Preview) Firestore の全文検索 / 地理空間検索(Preview) はじめに 以下の Google 公式投稿を参考に、Google Cloud Next '26 で発表された Google Cloud のデータベース製品に関する新機能を紹介します。なお、当記事で紹介する機能の提供ステータス(GA / Preview / Coming Soon)は 2026年4月23日現在の情報です。 Google Cloud Next '26 では、AI モデル、データ分析、運用データベースを単一の AI ネイティブ基盤に統合するアーキテクチャとして Agentic Data Cloud が提唱されました。当記事では以下の公式投稿の内容に沿って、データベースに関する新機能を紹介します。 参考 : What’s new with Databases: Powering the agentic future 他の Google Cloud Next '26 の関連記事は、Google Cloud Next '26 カテゴリの記事一覧から参照してください。 blog.g-gen.co.jp Embed AI into every layer of the data stack AI Studio とのバイブコーディング連携(GA) Google AI Studio とデータベースの統合が GA となり、自然言語プロンプトから、データベースと接続済みで即座に動作するアプリケーションを数秒で生成できるようになりました。現時点では Firestore との接続が GA で提供されており、Cloud SQL for PostgreSQL のサポートも近日提供予定とされています。 プロトタイピングから本番運用まで、エージェント主導の自動化ワークフローとデータベースをシームレスに接続できる点が特徴です。 参考 : From prompt to production: Build full-stack apps faster with Google AI Studio and Firebase データエージェント向けツール(Preview) AlloyDB、Cloud SQL、Spanner で、データエージェントから使えるツール群が Preview 提供となりました。その中核となる QueryData ツールは、自然言語から SQL を生成する text-to-SQL を扱う機能で、公式ブログでは「ほぼ100%の精度」と説明されています。 QueryData は、 コンテキストセット と呼ばれる JSON 形式のナレッジベースを利用する点が、従来の汎用的な text-to-SQL との違いです。開発者があらかじめ監査・整備したコンテキストセットを参照してクエリを組み立てるため、LLM に自由生成させる方式と比べて、実データや業務要件に即したクエリを安定して生成できます。 また QueryData からデータへのアクセスは、 パラメータ化セキュアビュー (Parameterized Secure Views)を介して行われます。パラメータ化セキュアビューは、 PostgreSQL のセキュアビューの拡張機能であり、行レベルセキュリティやフィルタ条件をビュー側にあらかじめ組み込んでおける機能です。エージェントが自然言語から組み立てたクエリであっても、ログインユーザーに許可された範囲のデータだけが参照される状態を保つことができます。 カスタマーサポートの自動化、e コマースのショッピングアシスタントなど、定型的な問い合わせが大量に発生するユースケースでの利用が想定されています。 参考 : QueryData helps agents turn natural language into queries for AlloyDB, Cloud SQL and Spanner 参考 : QueryData の概要 参考 : パラメータ化されたセキュアなビューの概要 Database Onboarding Agent / Database Observability Agent(Preview) データベースの導入と運用を支援する2つのエージェントが Preview 提供となりました。 Database Onboarding Agent は、小規模システムからエンタープライズ要件まで、要件に応じた最適なデータベースを選択し、プロビジョニング作業をガイドするエージェントです。 Database Observability Agent は、AlloyDB、Bigtable、Cloud SQL、Spanner のパフォーマンスを監視し、潜在的な問題の根本原因の特定や、改善策の提示を行うエージェントです。運用中のデータベース群の観測と改善を自動化する機能となっています。 AlloyDB AI-Powered Search at Scale(Preview) AlloyDB のベクトル検索基盤に、Google が開発した ScaNN インデックスを活用した大規模ベクトル検索機能が Preview 提供となりました。最大100億ベクトルまでスケールし、標準 PostgreSQL の HNSW インデックスとの互換性を実現しながら6倍高速なベクトルクエリを実現します。また、カラム型エンジンによる高速化により、HNSW を使用する場合でも標準 PostgreSQL の4倍高速になります。 加えて、キーワード検索とベクトル検索を組み合わせたハイブリッド検索を可能にする BM25 のネイティブサポートも近日追加予定です。BM25 は Elasticsearch をはじめとする主要な検索エンジンで広く採用されている、単語の一致を基準に関連度を算出するキーワード検索のランキングアルゴリズムです。固有名詞や厳密な語句一致が得意な BM25 と、意味の近さを捉えるベクトル検索を1つのデータベース上で組み合わせられる点が特徴です。 参考 : ベクトルインデックスの概要 参考 : Okapi BM25 - Wikipedia AlloyDB の AI 関数の追加と最適化(Preview) AlloyDB に、SQL から直接 LLM を呼び出せる新しい AI 関数が Preview 提供となりました。 新規に ai.analyze_sentiment (感情分析)、 ai.summarize (要約)が追加され、既存の ai.if 、 ai.rank 、 ai.generate 、 ai.forecast についても最適化が施されています。各関数の用途とユースケースを以下にまとめました。 AI 関数 用途 ユースケース例 ai.if 自然言語による条件判定(インテリジェントフィルタリング) 振る舞いパターンから不正の疑いがある取引を検出 ai.rank ベクトル検索結果の再ランク付け 文脈に即して検索結果を並べ替え ai.generate コンテンツ生成、データフォーマット変換 生のサーバーログを解析しやすい JSON へ変換 ai.analyze_sentiment テキストの感情(ポジティブ / ネガティブ / ニュートラル)を分類 商品レビューから顧客満足度を評価 ai.summarize 長文テキストの要約 議事録から決定事項やアクションアイテムを抽出 ai.forecast TimesFM による時系列予測 過去の売上データから将来の在庫需要を予測 参考 : AI 関数の概要 参考 : AI 関数を使用してインテリジェントな SQL クエリを実行する データベース向けマネージドリモート MCP サーバー(GA / Preview) Google Cloud の各データベースで、 Model Context Protocol (MCP)に対応したフルマネージドのリモート MCP サーバーが提供開始となりました。Gemini をはじめとする MCP 準拠のクライアントが、データやインフラストラクチャと安全にやり取りするためのインターフェースを提供します。 参考 : Powering the next generation of agents with Google Cloud databases MCP サーバーの提供ステータスはサービスにより異なるため、最新のステータスは以下の公式ドキュメントの原文(英語)をご確認ください。 参考 : Supported products Google Cloud が提供している MCP サーバーの詳細については、以下の記事を参照してください。 blog.g-gen.co.jp MCP Toolbox for Databases 1.0(GA) MCP Toolbox for Databases は、AI エージェント、IDE、アプリケーションといった MCP クライアントからデータベースに直接接続するための、オープンソースの MCP サーバーです。Gemini CLI や Claude Code などの MCP 準拠クライアントから、Google Cloud のマネージドデータベースに加え、PostgreSQL、MySQL、Oracle、MongoDB、Redis、Snowflake など、合計40以上のデータベースを扱えるようにします。 テーブル一覧の取得( list_tables )や SQL 実行( execute_sql )といった汎用ツールがデフォルトで利用できるほか、独自のロジックをカスタムツールとして定義することで、エージェントが実行可能な操作をあらかじめ限定できます。 参考 : googleapis/mcp-toolbox(GitHub) Break down walled gardens with lakehouse integrations AlloyDB の Lakehouse Federation(Preview) AlloyDB から BigQuery や Apache Iceberg のライブデータを、PostgreSQL のインターフェースで直接照会できる Lakehouse Federation が Preview 提供となりました。 AlloyDB Studio の UI から BigQuery や Iceberg のテーブルを探索でき、フィルタや集計は BigQuery 側にプッシュダウンされます。データを移動せずに、オペレーショナルデータと分析データのライブ結合が可能です。 BigQuery から AlloyDB への Reverse ETL(Preview) BigQuery で算出したインサイト(顧客セグメント、レコメンドスコア、需要予測など)を、AlloyDB にワンクリックで同期できる Reverse ETL 機能が Preview 提供となりました。 アプリケーションから BigQuery を直接参照するのは、レイテンシや同時実行数、コストの観点で現実的でないケースが少なくありません。あらかじめ BigQuery で計算しておいたインサイトを AlloyDB に戻しておけば、アプリは普段通り AlloyDB を参照するだけで、分析結果を画面表示やレコメンドなどのリアルタイム機能に組み込めます。 同期先の AlloyDB は、読み取りを高速化するカラム型エンジンと高速キャッシュによって、多数の同時リクエストに低レイテンシで応答できるアプリケーションバックエンドとして機能します。 参考 : AlloyDB にデータをエクスポートする(リバース ETL) Datastream による継続レプリケーション(GA) Datastream を介して、AlloyDB から BigQuery や Apache Iceberg テーブルへ 継続的レプリケーション を行える機能が GA となりました。 Datastream はサーバーレスで動作し、特に AlloyDB から BigQuery へのストリームには無料枠が提供されます。リアルタイムの ML 特徴量生成など、分析側との連携を前提としたユースケースに適しています。 参考 : ストリームの作成 Knowledge Catalog(旧称 : Dataplex Universal Catalog)(Preview) データガバナンス サービスである Dataplex Universal Catalog が、 Knowledge Catalog へ名称変更されました。Dataplex Universal Catalog は、BigQuery のテーブルや Cloud Storage 上のファイルなど Google Cloud 上のデータ資産に対して、メタデータ、データ品質、リネージ、アクセス制御を一元的に扱えるサービスです。 名称変更に合わせ、AI エージェントがデータの業務的な意味を踏まえて動けるようにするための「コンテキストエンジン」としての機能が Preview 提供となりました。Google Cloud の製品だけでなく、パートナーのデータプラットフォームやサードパーティカタログからも情報を取り込み、組織横断のデータガバナンスの起点として機能します。 Knowledge Catalog の詳細については、以下の記事をご一読ください。 blog.g-gen.co.jp Spanner Columnar Engine(GA) Spanner Columnar Engine が GA となりました。行ベースのストレージと並行して列指向フォーマットでデータを保持し、複数行をまとめて処理するベクトル化実行を組み合わせることで、稼働中のトランザクションデータに対する集計・分析クエリのスキャンを最大200倍高速化するとされています。 また、Iceberg テーブルのサポートや、BigQuery からの継続的な Reverse ETL、フェデレーションクエリの高速化にも対応したことで、Spanner を単独で HTAP (Hybrid Transactional/Analytical Processing)的に使える範囲が広がりました。HTAP は、トランザクション処理(OLTP)と分析処理(OLAP)を、ETL を介さずに1つのデータベースで兼ねるアーキテクチャを指す用語です。 参考 : Spanner カラム型エンジンの概要 Database Center の BigQuery サポート(Preview) Database Center は、Google Cloud のデータベースサービスを横断して、フリート全体の健全性、パフォーマンス、セキュリティ、コンプライアンスを一元的に可視化・管理する管理コンソールです。 この Database Center での BigQuery サポートが Preview 提供となりました。これにより、Google Cloud のマネージドデータベースや Compute Engine 上で運用しているデータベースに加えて、BigQuery も一元的に扱えるようになります。 Gemini によるフリートアナリティクスによってパフォーマンス改善の余地を検出できるほか、メトリクスをサードパーティツールへ連携するための API とマネージド MCP サポートも提供されます。 参考 : Database Center の概要 Commitment to open data and multi-cloud flexibility Spanner Omni(Preview) Spanner Omni が Preview 提供となりました。Spanner Omni は、従来 Google Cloud 上でのみ提供されていた Spanner を、自社データセンター、他クラウド、エッジなど任意の場所で稼働できるダウンロード可能なエディションです。 Spanner のスケーラビリティ、高可用性、強整合性、エンタープライズセキュリティ、マルチモデル機能を、自社データセンターや他クラウドなどの環境でも利用できるようになります。 参考 : Spanner Omni を発表:あらゆるインフラで Google のイノベーションを活用 参考 : Spanner Omni の概要 Bigtable In-Memory(Preview) Bigtable に、1ミリ秒未満の読み取りレイテンシを実現する新しい インメモリ階層 が Preview 提供となりました。Bigtable は2026年4月から Enterprise と Enterprise Plus の2つのエディションを提供しており、このインメモリ階層は Enterprise Plus エディションの一部として提供されます。 インメモリ階層は Bigtable ノードの一部として統合されており、RAM / SSD / HDD のハイブリッド ストレージアーキテクチャによって、頻繁にアクセスされるホットデータをメモリに、長期保管データを低コストストレージに置く、といった使い分けが透過的に行えます。 参考 : エディションの概要 参考 : インメモリ階層の概要 Memorystore for Valkey 9.0(GA) Memorystore for Valkey が Valkey バージョン 9.0 に対応しました。Memorystore 以外で独自に運用している Redis や Valkey を Memorystore へ移行するためのパスも提供されます。 また、選べるノードサイズに小型と大型が加わり、ワークロードの規模に応じて性能とコストのバランスを取りやすくなりました。ブルームフィルタを提供する valkey-bloom 、JSON ドキュメントをネイティブに扱える valkey-json といったモジュールへの対応や、ACL、トークンベース認証、柔軟な認証局設定などのエンタープライズレベルのセキュリティ機能も整備されています。 参考 : Memorystore for Valkey の概要 Oracle AI Database@Google Cloud の拡張 Oracle AI Database@Google Cloud の提供が20リージョンまで拡大しました。なお、東京リージョンは2025年6月に対応済みです。 加えて、 Oracle GoldenGate Service のサポートが追加され、Oracle DB から BigQuery へのニアリアルタイムなデータレプリケーションが可能になります。さらに、前述の Knowledge Catalog(旧称 : Dataplex Universal Catalog)および Database Center との統合も発表されました。 参考 : Oracle Database@Google Cloud overview Compute Engine からマネージドサービスへの移行機能(Preview) Compute Engine 上で自前運用している PostgreSQL などのデータベースを、Cloud SQL や AlloyDB といったマネージドサービスへ移行できる機能が Preview 提供となりました。移行フローは Database Center にネイティブに統合されており、Database Center の画面からそのまま移行を開始できます。 PostgreSQL 向けにはネットワーキングとレプリケーションが自動化されており、最小限の作業とダウンタイムで移行できる点が特徴です。 Firestore の全文検索 / 地理空間検索(Preview) Firestore で 全文検索 および 地理空間検索 機能が Preview 提供となりました。これまで別サービスと組み合わせる必要があった検索機能が、Firestore 単体でサーバーレスに提供され、キーワード / フレーズ / 地理空間クエリに対して高い関連度で応答できます。 参考 : Use text searches 参考 : Use geo queries 佐々木 駿太 (記事一覧) G-gen 最北端、北海道在住のクラウドソリューション部エンジニア 2022年6月に G-gen にジョイン。Google Cloud Partner Top Engineer に選出(2024 / 2025 Fellow / 2026)。好きな Google Cloud プロダクトは Cloud Run。 趣味はコーヒー、小説(SF、ミステリ)、カラオケなど。 Follow @sasashun0805
本記事は2026年1月15日に公開された AUMOVIO Boosts Software Development with an Agentic Coding Assistant Powered by Amazon Bedrock を翻訳したものです。 本ブログ記事では、 AUMOVIO が Amazon Web Services (AWS) のサービスと知見を活用して、Software-Defined Vehicle (SDV) 領域における革新的な自動車向けコーディングアシスタントを開発した事例をご紹介します。AUMOVIO のソリューションは、複数の AI モデルを活用して開発ライフサイクルの各工程を加速させながら、自動車業界の標準と AUMOVIO 独自のコーディングベストプラクティスに準拠しています。可能な限りコードを再利用し、変更を最小限に抑えることで、このアシスタントは V 字モデル の他の工程に必要な作業を大幅に削減します。 AUMOVIO とその AWS 上の SDV ソリューションの詳細については、 こちら をご覧ください。 背景 車両がますますソフトウェアにより定義される中、自動車メーカーは複雑化するソフトウェア、イノベーションサイクルの高速化、厳格な品質要件という困難に直面しています。ハードウェア、拠点ごとのチーム、手作業に依存して構築された従来の開発手法は、制約となりつつあります。自動車メーカーは、現在世界中の拠点で勤務する数千人のエンジニアと連携しながら、様々な観点で検証が必要な膨大なコードベースを管理しなければなりません。さらに、開発チームは AUTOSAR 、 MISRA-C/C++ ガイドラインなどのドメイン固有のソフトウェア開発標準に加え、独自の社内標準にも準拠する必要があります。AUMOVIO の開発チームは、自社の組込みシステムプロセスをこの新しい現実に適応させるというプレッシャーにさらされています。 AUMOVIO は自動車向けのアプリケーションの厳格な基準を維持しながら、チームの生産性を向上させるインテリジェントなソリューションを求めて 、AWS と協業することにしました。 課題設定 自動車のベストプラクティスと規制によりよく適合させるため、AUMOVIO は V 字モデル に従ってソフトウェアを開発しています。各工程に費やされた工数を示す膨大な過去データのおかげで、AUMOVIO は効率化余地が最も高い工程を特定することができました。AWS の支援を受けて、AUMOVIO チームは以下を生成できるコーディングアシスタントの開発に取り組むことにしました: システム設計から自動車向けメソッド本体を生成(コーディングアシスタントの第 1 弾) システム設計からユニットテストを生成(コーディングアシスタントの第 2 弾) ソリューションの検討 AIコーディングアシスタントの実現可能性を検証するため、AUMOVIO は AWS の支援の下でハッカソンを開催しました。まず、AUMOVIO チームは RAG ベースのアプローチを試し、コードベースをベクトルストアに保存し、 Amazon Bedrock (サードパーティプロバイダーと Amazon の基盤モデルを簡単に使用できるフルマネージドサービス)を使用して、取得したチャンクに基づいてコードを生成しました。しかし、テストの結果、セマンティック検索では単一のクエリで与えられたタスクに関連するコードを取得できないことが判明しました。このアプローチの代わりに、チームはエージェント型アプローチを採用しました。このアプローチでは、コーディングアシスタント(強力な推論能力を持つモデルによって駆動)がコードベースから関連するコードコンテキストを段階的に取得します。言い換えると、エージェントは与えられたタスクに対して複数回検索を行い、各検索の結果を分析して必要な追加のコードコンテキストを決定し、コード生成などのタスクを完了するために必要なすべての関連情報を得るまで再度検索します。 このアプローチを実現するため、チームは Amazon Bedrock でホストされている Claude 3.7 Sonnet を搭載したオープンソースのコーディングアシスタント Cline を統合しました。エージェント型の構成は大きな可能性を示し、以下のような事例が得られました: シニア開発者が5日間かけた作業を数分でバグ修正 非常に大きなファイルをリファクタリングし、冗長性を削除してサイズを50%削減 同じ構成は既存コードの説明においても非常に優れたパフォーマンスを発揮しました。一方で、これらの標準モデルは、多くの再利用可能な API とベストプラクティスを含む AUMOVIO コードベースでファインチューニングされておらず、自動車特有のドメインにおいては限界も見られました。多くの場合、生成されたコードは良好であっても既存のライブラリを活用しておらず、既存実装の重複やわずかなバリエーションを引き起こしていました。 ワークショップの結果を踏まえて、AUMOVIO と AWS チーム (AWS の Generative AI Innovation Center を含む) は協力して、概念実証 (PoC) の一環としてエージェント型アーキテクチャを考案しました。PoC の目的は、自動車ソフトウェア開発向けの特化型コーディングアシスタントの実現可能性を探ることでした。このプログラムは、AI 駆動のイノベーション可能性を迅速に評価するため、事前に定めた成功基準と指標で評価する構造化されたアプローチを取りました。PoC フレームワークは、スコープ定義、開発、テスト、パフォーマンス評価、技術検証を包含し、期間内に測定可能な成果を提供するように設計されました。 チームは以下で構成されるエージェント型アーキテクチャを設計しました: ファインチューニングされたモデルまたはエージェント: コード生成やユニットテスト生成などの特定のV字モデルの工程に対して最先端の精度を提供するために使用。 オーケストレーターモデル (Claude Sonnet 3.7/4など): アプリケーションの対話ウィンドウで使用され、以下を実行: ユーザーからタスクに関する情報を収集 該当する場合、ファインチューニングされたモデルにタスクを委任 ファインチューニングされたモデルでサポートされていないタスクに応答(例: コード説明) パフォーマンスのベースラインを確立し、エージェントの取りうるさまざまな構成を理解するため、我々は多様な能力を持つ複数のモデルを評価しました。これには、迅速な応答に最適化された Nova Pro のようなプロンプトエンジニアリングのみを使用するモデルや、後に自動車特有のコードでファインチューニングのベースとして使用した Qwen3 32B のようなモデルが含まれています。 ソリューション この評価フェーズにおいて、柔軟なインフラストラクチャを用いてこれらの異なるモデル機能を統合するアーキテクチャの必要性が明らかになりました。アーキテクチャの概要は、以下の通りです: 図1:マルチモデル/マルチエージェント コードアシスタント アーキテクチャ AUMOVIO は、複数の拡張機能を備えた VS Code を標準の統合開発環境 (IDE) として採用しました。この既存の構成を基に、我々のアーキテクチャは Amazon Q Developer や Cline などのコーディング支援拡張機能を使用しています。 Amazon Q Developer は、開発者がアプリケーションを理解、構築、拡張、運用するのを支援する生成 AI アシスタントです。VS Code などの IDE で使用すると、Amazon Q はコードについてチャットし、インラインコード補完を提供し、新しいコードを生成し、セキュリティ脆弱性のためにコードをスキャンし、言語更新、デバッグ、最適化などのコードアップグレードと改善を行うことができます。Amazon Q Developer の推論とエージェント機能は、プレミアムモデルによってサポートされています。執筆時点では、Claude Sonnet 3.7 またはClaude Sonnet 4 で使用するように設定が可能でした。 同様に、オープンソースのプラグインの Cline は、IDE 内でエージェント型コードアシスタントのユースケースを実現するために、多くのエンドポイントをサポートしています。Cline は Claude Sonnet 3.7 や Claude Sonnet 4 など、 Amazon Bedrock でホストされているモデルで簡単に設定できます 。 さらに、このアーキテクチャは Model Context Protocol (MCP) を活用しています。MCP は、AI アシスタントが外部ツールやサービスと対話できるようにするオープン標準です。Cline と同様に、 Amazon Q Developer は MCP をサポートしており 、ユーザーはカスタムツールやサービスに接続することで Q の機能を拡張できます。我々のケースでは、ファインチューニングされたモデルを MCP エンドポイントとしてオーケストレーターモデルに公開しています。これにより、オーケストレーターモデルはユーザーから与えられたタスクの初期計画を行い、必要に応じてさらに情報を収集し、最終的に MCP プロトコルを介してファインチューニングされたモデルを呼び出すことができます。 以下は、図の番号付けに沿った Amazon Q Developer を使用した処理フローの例です: 1) 開発者は、 Amazon Q Developer が統合された VS Code に質問を送信します。 2) 基盤となるオーケストレーターモデルを使用して、Amazon Q Developer はタスクがメソッド生成に関するものであることを理解します。次に、オーケストレーターモデルは、関連するコードを生成するために一部の入力が不足していることを識別します。その後、Amazon Q Developer はさらなる入力 (不足している要件ドキュメントなど) を要求します。 3) 開発者とモデル間のメッセージ交換の後、Amazon Q Developer はすべての入力を収集します。次に、Amazon Q Developer は 「Method Generator 用 MCP クライアント」 を使用して、リクエストを Amazon API Gateway に転送します。Amazon API Gateway は、あらゆる規模で REST、HTTP、WebSocket API を作成、公開、維持、監視、保護するための AWS サービスです。 4) Amazon API Gateway は、クラウドネイティブ認証サービスである Amazon Cognito を使用してユーザーを認証します。 5) Amazon API Gateway は 「Method Generator」 AWS Lambda 関数 に委任します。これは、コードを実行するためのクラウドネイティブサーバーレスコンピューティングエンジンです。 6a) リモート MCP サーバーを立ち上げて、 「Method Generator」 Lambda 関数は Amazon Bedrock に推論リクエストを行います。Amazon Bedrock は、メソッド生成専用のファインチューニングされたモデルをホストしています。同様に、タスクがユニットテストの生成に関するものであれば、「Test Generator」が呼び出されます (6b)。 7) モデルからの応答は、AWS Lambda → API Gateway → MCP クライアントのパスを介して Amazon Q Developer に返され、ローカル IDE のコードを変更し、ユーザーに確認を求めます(読みやすさを向上させるため、図では番号付けが省略されています)。 別の処理フローでは、ユーザーが既存コードの説明を求める場合があります。この場合、オーケストレーターはタスクを処理するファインチューニングされたモデルがないと結論付け、独自の推論能力を使用して回答を提供します。 現在のソリューションの MCP エンドポイントは、単一のタスクを処理するモデルエンドポイントによってサポートされていることに注意してください。したがって、現在のイテレーションはマルチモデルですが、必ずしもマルチエージェントではありません。推論し、ツールを利用する唯一のエージェントはオーケストレーターモデルだからです。同時に、このアーキテクチャは MCP エンドポイントの背後に追加のエージェント(推論とオーケストレーション機能を持つ) の拡張をサポートしており、これによりマルチエージェントコーディングアシスタントが実現されます。 ファインチューニングの詳細 業界標準を考慮したドメイン特化型の自動車コードを生成するため、我々は人間が書いた高品質なコードで言語モデルをファインチューニングします。このセクションでは、ファインチューニングプロセスの詳細を説明します。 データの準備 効果的なモデルのファインチューニングの基盤は、高品質でドメイン特化型の学習用データです。我々は、生の自動車ソフトウェアリポジトリを、C/C++ コード生成に不可欠な豊富なコンテキストを保持する構造化された学習用データに変換する前処理パイプラインを構築しました。 前処理パイプラインは、AUMOVIO の C/C++ リポジトリを探索して、包括的なコンテキストとともに個々の関数を抽出することから始まります。このコンテキストには以下が含まれます: 関数ドキュメント: Doxygen スタイルのコメントとインラインドキュメントの両方が抽出され、対応する関数実装にリンクされます。 システム要件: パイプラインは DOORS が出力したXML ファイルを解析して、関数ドキュメントで言及されている要件識別子を完全な要件テキストにマッピングします。 アーキテクチャコンテキスト: ドキュメントで参照されている PlantUML 図が抽出され、挙動の仕様を提供するために含まれます。 API コンテキスト: 関連するヘッダーファイルとその関数シグネチャが収集され、利用可能な API とデータ構造に関する情報を提供します。 前処理を用いたアプローチの重要な工夫は、ヘッダーファイルと実装ファイルのインテリジェントな連携です。システムは各 C/C++ ソースファイルに対応するメインヘッダーファイルを識別し、含まれる依存関係から追加のコンテキストを抽出します。これにより、生成されたコードが既存の API を使用できることが保証されます。 # Example of context aggregation from the preprocessing pipeline def create_training_example(function_info): user_message = f"Implement the function: {function_info['signature']}\n\n" if function_info["documentation"]: user_message += f"with following specifications:\n{function_info['documentation']}" if function_info["requirements"]: user_message += f"\n\nRequirements tests:\n{function_info['requirements']}" if function_info["uml_diagram"]: user_message += f"\n\nThe behavior follows this UML diagram:\n{function_info['uml_diagram']}" return { "messages": [ {"role": "user", "content": user_message}, {"role": "assistant", "content": function_info["implementation"]}, 図2:抽出したコンテキストを集約するコード 前処理パイプラインは、いくつかの品質保証メカニズムも実装しています: 関数シグネチャの検証:ヘッダーファイルの宣言と照合することで、実装ファイルの関数シグネチャを自動的に修正します。 ドキュメントの完全性:包括的なドキュメントを持つ関数のみが学習用データセットに含まれます。 コードコンプライアンス:関数は、自動車の安全性とアーキテクチャパターンを含むカスタムルールセットに準拠しているか検証されます。 様々な複雑さを含むバランスの取れたコードを確保するため、前処理パイプラインは関数の長さと複雑さに基づく層別サンプリングを実装しています。このアプローチにより、一貫した分布特性を持つ学習用データセットとテスト用データセットが作成されます: # Stratified sampling ensures balanced complexity distribution stats = stratified_sample_jsonl( input_file="dataset-7037-funcs.jsonl", sampled_file="test-set-funcs.jsonl", remaining_file="train-set-funcs.jsonl", sample_size=1000, num_strata=5, ) 図3:層別学習用データサンプルの生成 結果として得られたデータセットには、完全なコンテキスト情報を含む約 7,000 の高品質な関数実装が含まれており、複雑さの分布を維持しながら学習用データセットとテスト用データセットに分割されています。 ファインチューニング ファインチューニングを用いたアプローチは、自動車ソフトウェア開発の計算リソース制約と精度要件に最適化された最先端の技術を活用しています。 プロジェクトチームは、コード生成タスクでの優れたパフォーマンスと適度な計算リソース要件から、Qwen3-32B をベースモデルとして選択しました。ファインチューニングプロセスは、モデルの一般的な能力を維持しながら効率的な学習を実現するために、Low-Rank Adaptation (LoRA) を採用しています: LoRA設定: アテンション層とフィードフォワード層に適用されるランク 8 アダプター (alpha=16) 量子化: BitsAndBytes を使用した 4 ビット量子化によりメモリ使用量を削減 ターゲットモジュール: クエリ、キー、バリュー、出力プロジェクション層に加えて、すべてのフィードフォワードネットワークコンポーネントに LoRA アダプターを適用 ファインチューニングでは、 Amazon SageMaker の分散学習機能と PyTorch DeepSpeed を利用しており、自動車コードベースでの大規模モデル学習の計算リソースの要件を満たすように特別に設計されています。我々は、 SageMaker の remote デコレーター を使用して、単一インスタンス内の複数の GPU 間で分散学習を構成し、マルチノード構成へのスケーリングのためのサポートを備えています。 @remote( instance_type="ml.p4d.24xlarge", volume_size=100, use_torchrun=True, pre_execution_commands=[ "pip install torch==2.5.1 transformers==4.51.3", "pip install peft==0.15.2 deepspeed bitsandbytes", ] ) def train_model(train_dataset, test_dataset, config): # Adaptive DeepSpeed configuration based on quantization settings stage = 2 if use_quantization else 3 deepspeed_config = { "zero_optimization": { "stage": stage, "overlap_comm": True, "contiguous_gradients": True, "offload_optimizer": {"device": "cpu", "pin_memory": True} } } if stage == 3: deepspeed_config["zero_optimization"].update({ "offload_param": {"device": "cpu", "pin_memory": True}, "stage3_prefetch_bucket_size": 1e6, "stage3_param_persistence_threshold": 1e4, }) # Training implementation... 図4: SageMaker のremoteデコレーターを介した LLM の学習 学習用のインフラストラクチャは、いくつかの重要な最適化を実装しています: 適応型メモリ管理: システムは、学習の設定に基づいて DeepSpeed ZeRO-2 と ZeRO-3 の最適化ステージの両方を採用しています。量子化を使用する場合、ZeRO-2 は4ビット量子化モデルとの互換性が優れているため優先され、モデルパラメータを複製したままオプティマイザの状態を GPU 間で分割します。フル精度学習シナリオの場合、システムは自動的に ZeRO-3 に切り替わり、モデルパラメータをデバイス間でさらに分割し、アクティブに必要とされない場合は CPU メモリにオフロードします。この適応型アプローチにより、限られた GPU メモリでも 320 億パラメータのフルモデルの学習が可能になり、各設定で最適なパフォーマンスを維持します。 高度なパラメータ管理: ZeRO-3のパラメータ分割機能により、包括的な関数ドキュメントや要件トレーサビリティに必要な大規模なコンテキストウィンドウの処理が可能になります。バケットサイズとパラメータ永続化の閾値を調整することで、過度な通信オーバーヘッドを発生させることなく、効率的なパラメータストリーミングを実現しています。 通信最適化: 分散セットアップでは、NVIDIA Collective Communication Library(NCCL)を使用し、最適化されたタイムアウト設定と通信オーバーラップにより、コード生成モデル特有の大規模かつ密な勾配を処理します。 耐障害性と信頼性: 長時間の学習を考慮し、インフラストラクチャには、モデルダウンロード時のエクスポネンシャルバックオフを用いた堅牢なエラーハンドリングと、一時的なハードウェア障害に対する自動リトライ機構を組み込んでいます。また、システムは中断時に最後に保存された状態から学習を再開するチェックポイント復旧機能を実装しており、ZeRO-3のパラメータ分割により、より細かい粒度でのチェックポイント戦略が可能になっています。 動的リソース割り当て: Amazon SageMaker 統合により、学習の計算負荷に基づく動的スケーリングが可能になり、学習の計算負荷がピークに達した時に追加の計算リソースを自動的にプロビジョニングする機能があります。 分散学習のセットアップは、安定した収束を維持しながら、すべてのデバイスで約 85% の GPU 使用率を達成し、AUMOVIO が効率的なリソース使用を通じてクラウドコンピューティングコストを最適化しながら、開発スプリントの時間軸でファインチューニングサイクルを完了できるようにしています。 学習完了後のモデルは、 Amazon Bedrock のカスタムモデルインポート機能 を通じてデプロイメント用にパッケージ化され、前述のマルチモデルアーキテクチャとのシームレスな統合が可能になります。ファインチューニングされたモデルは、IDE 統合に必要な会話能力を維持しながら、ドメイン特化型の精度で大幅な改善を達成しています。 評価結果 MCP エンドポイントとしてデプロイされたさまざまなコード生成モデルの有効性を評価するため、C と C++ の両方のコード生成に焦点を当てた包括的な評価を実施しました。このセクションでは、評価方法論と主要な結果について詳しく説明します。 図5:コンプライアンスとレイテンシに関するさまざまなモデルの評価 この表は、ファインチューニングされたモデルと汎用モデルなどさまざまなベースモデルと、人間が作成したコードを比較しています。我々は、プロンプトエンジニアリング (PE) とファインチューニング (FT) 戦略に焦点を当て、複数の評価指標を使用しています: カスタム自動車コーディングルールへの適合性: 正規表現ベースのカスタムビルド静的アナライザーを用いて測定 (関数あたりの平均エラー数で測定) カスタム自動車アーキテクチャルールへの適合性: 正規表現ベースのカスタムビルド静的アナライザーを用いて測定 (関数あたりの平均エラー数で測定) コード生成レイテンシ: 関数あたりの平均秒数 結果は興味深いパターンを示しています。 Qwen3 32B (PE) のような PE 重視のモデルは、C 言語 において Automotive Architecture Checker 準拠スコアで平均 1.22 の違反、Automotive Coding Checker 準拠スコアで 0.54 を示す強力な C コード 品質スコアを達成しましたが、FT 強化バージョンは C++ 生成で競争力のある結果を示しました。特に、Qwen3 32B – V2 (FT) は、C++ において優れた Automotive Architecture Checker 準拠スコア (0.02) と堅実な Automotive Coding Checker 準拠スコア (1.25) を達成し、ファインチューニングとプロンプトエンジニアリングを組み合わせる利点を示しています。 この結果は、MCP を通じて複数のコード生成モデルへの柔軟なアクセスを持つことの戦略的優位性を示しています。それぞれのモデルは異なるシナリオで優れた性能を示します: Nova Pro は 優れた C 準拠スコアと14.62 秒のレイテンシで迅速な生成を提供し、素早いプロトタイピングと C 重視の開発に理想的です。一方、Qwen3 32B 由来のモデルは優れた C++ 準拠スコアを示しています。PE と FT アプローチ間のシームレスな切り替えが可能なため、さらに最適化が可能です。開発者は、プロンプトのカスタマイズが鍵となる単純な API 実装に PE モデルを利用できます。より複雑な C++ コード生成の場合、学習されたパターンがより有益なので、 FT モデルに切り替えることができます。この柔軟性は、各モデルのコストパフォーマンスのトレードオフと組み合わせることで、開発チームがプロジェクト固有の要件に基づいてコード生成を調整できるようにします。 これらのコードの品質改善と標準への準拠は、SDV の複雑性の増大に追随しながらコード品質を維持するという冒頭で述べた課題に直接的に対処しています。 「 AUMOVIO のエンジニアリングアシスタントは、顕著に高速な開発サイクルとコード品質の向上を実現しながら、SDV の複雑化に対応するのに役立っています。このアシスタントは、開発スピードを犠牲にすることなく自動車業界の標準に準拠することが可能です。これはまさに、今日の競争の激しい自動車市場で我々が必要としていたものです。」 – Amir Namazi, AUMOVIO バーチャライゼーション クラウド & AI ソリューションマネージャー まとめ この最初のイテレーションで、AUMOVIO はコード生成のためのファインチューニングされたモデルを利用して高度に特化したコーディングアシスタントを開発しました。今後、AUMOVIO はコーディングアシスタントのイテレーションを続け、V 字モデル開発プロセスのさまざまな工程をより効果的にサポートするために機能を拡張していきます。この取り組みをさらに促進するため、AUMOVIO は、現在の構成のエージェント型コーディングアシスタント機能とともに、V 字モデルライフサイクルの複数の工程をカバーする 仕様駆動開発 をサポートする Kiro に徐々に移行しています。単体テスト生成は引き続き重要な関心領域ですが、AUMOVIO のより大きな目標は、このツールをAUMOVIO 社内チームと外部パートナーの両方に利益をもたらす統合された製品グレードのオファリングに進化させることです。長期的なビジョンとしては、特化したモデルとオーケストレーターが開発ライフサイクル全体でシームレスに連携するマルチエージェントフレームワークへの移行を目指しています。 詳細については、 AWS for automotive および Manufacturing ページをご覧いただくか、今すぐ AWS にお問い合わせください。 Levent Kent Levent Kent は、アマゾンウェブサービス (AWS) のシニア生成 AI ソリューションアーキテクトです。銀行、教育、ヘルスケアから自動車、製造に至るまで、さまざまな分野で 14 年以上にわたるサービス提供経験とアーキテクチャの専門知識を有します。現在は、自動車や製造業のお客様とのコラボレーションを通じて、スケーラブルで革新的な生成 AI ソリューションの設計と構築を支援することで成功を収めています。空き時間には、友達と踊ったり歌ったりするのが好きです。 Aiham Taleb, PhD Aiham Taleb, PhDは、Generative AI Innovation Centerのシニアアプライドサイエンティストとして、AWS の顧客と直接協力し、複数の重要なユースケースにわたって生成AIを活用しています。Aiham は教師なし表現学習の博士号を持ち、コンピュータビジョン、自然言語処理、医用画像処理など、様々な機械学習アプリケーションにわたる業界経験を有しています。 Amir Mahdi Namazi Amir は、AUMOVIO における高性能コンピュータ (HPC) 向けの仮想化、クラウド、および AI のソリューションマネージャー兼プロジェクトリーダーです。彼は TH Köln で工学とコンピュータサイエンス、および産業工学の学士号を、OTH Regensburg で機械工学の学位を取得しています。Amir は2017年に Continental にデータアナリストとして入社し、旧パワートレイン部門で NOx センサーに関する業務に従事しました。2019年にはソフトウェアエンジニアとなり、AUTOSAR Classic と Engine Control Units に注力しました。2020年以降、Amir は ANS PL1 において HPC のソフトウェアアーキテクトの職に就き、2023年からは現在の役職に就いています。 Brian Jensen Brian Jensen は、AWS Generative AI Innovation Center のアプライドサイエンスマネージャーで、15年の経験を持っています。彼は、アイデア創出からプロトタイプ、そして本番環境まで、革新的な生成 AI の顧客エンゲージメントの提供を主導し、製造業、旅行・運輸、金融サービス、自動車産業など、様々なセクターにわたって高価値の成果を推進しています。Brian は、コンピュータビジョン、ロボティクス、時系列予測、医用画像処理など、多様な機械学習アプリケーションにおける豊富な専門知識を有しています。 Daniel Schleicher Daniel Schleicher は、Continental を担当する AWS のシニアソリューションアーキテクトで、SDVに注力しています。この分野において、彼は自動車アプリケーションへのクラウドコンピューティング原則の適用と、仮想化ハードウェアを活用した自動車アプリケーションのソフトウェア開発プロセスの進化に関心を持っています。以前の役職では、Daniel は Volkswagen においてエンタープライズ統合プラットフォームの AWS への移行を主導し、プロダクトマネージャーとして、Mercedes Intelligent Cloud の中核サービスの構築に貢献しました。 Kim Robins Kim Robins は、AWS の Generative AI Innovation Center のシニア AI ストラテジストです。彼は、人工知能と機械学習における豊富な専門知識を活用し、組織が革新的な製品を開発し、AI 戦略を洗練させることを支援し、目に見えるビジネス価値を創出しています。 Liza (Elizaveta) Zinovyeva Liza (Elizaveta) Zinovyeva は、AWS Generative AI Innovation Center のアプライドサイエンティストで、ベルリンを拠点としています。彼女は、さまざまな業界の顧客が生成 AI を既存のアプリケーションやワークフローに統合するのを支援しています。AI/ML、金融、ソフトウェアセキュリティのトピックに情熱を持っています。余暇には、家族との時間、スポーツ、新しい技術の学習、クイズを楽しんでいます。 Martin Kraus Martin Krausは、AUMOVIOでハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)のDevOps組織を率いており、CI/CD/CT、AI、仮想化のトピックをカバーしています。彼は世界中のすべての HPC プロジェクトの効率的な開発セットアップに責任を持っています。自動車ソフトウェアプロジェクトのリーダーとして15年以上の経験があり、AUMOVIOをより速く効率的な開発へと変革することに情熱を注いでいます。 Nikita Kozodozi, PhD Nikita Kozodozi, PhDは、AWS Generative AI Innovation Centerのシニアアプライドサイエンティストで、AI 研究とビジネスの最前線で活動しています。Nikita は、業界を超えた AWS の顧客の実際のビジネス課題を解決するための生成 AI ソリューションを構築しています。Nikita は機械学習の博士号を保有しています。 Samer Odeh Samer Odehは、AWS のテクニカルアカウントマネージャーで、自動車業界の顧客サポートを専門としています。IT およびクラウド技術において15年以上の経験を有します。Samerは自動車企業が AWS インフラストラクチャを最適化し、クラウドサービスを活用してソフトウェア定義車両(SDV)のイノベーションを推進することに注力しています。Samer の専門分野は、クラウドアーキテクチャ、DevOps プラクティス、コネクテッドカーソリューションのための戦略的IT計画です。Samer は、自動車組織が運用の卓越性を達成し、AWS サービス、特に SDV 開発と展開の領域を活用してデジタルトランスフォーメーションを加速することに情熱を注いでいます。 本記事は Solutions Architect の坂本 和穂 が翻訳しました。

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