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みなさん、こんにちは。AWS のソリューションアーキテクトの伊藤ジャッジです。 このブログでは開催予定のイベントや直近1カ月に発表された製造関連のブログ・サービスのアップデート・事例などをお届けしています。国内だけでなく海外の情報も含めていますので、リンク先には英語の記事・動画も含まれていますが、解説を加えていますのでご興味あればぜひご覧ください。 過去の月刊製造ブログはこちらです 。未読の方はあわせてご覧ください。 さて、AWS は創立二十周年を迎えました! AWS のサービスもお客様と共に成長してきました。その軌跡を こちらの二十周年記念記事 でご覧ください。これからも皆様からのフィードバックを元に、サービス改善を続けていきます。 AWS の節目の時期となりましたが、4 月は多くの企業も年度始まりですね。フレッシュな区切りの時期ですが、一方で先月末の棚卸しという重要なタスクもあったと思います。今回は、在庫管理、需要予測またサプライチェーン管理に役立つ情報をピックアップコンテンツとして特集をします。 ピックアップトピック:サプライチェーン管理 製造業において在庫管理は、経営効率の中枢を担う機能の一つです。在庫不足は生産ラインの停滞や顧客納期の遅延を招きますし、過剰在庫は保管コストやキャッシュフローを圧迫します。多品種少量生産や受注変動が常態化する現代では、単に在庫を管理するだけでなく、需要変動を先読みし供給網全体を最適化する仕組み作りが不可欠になっています。 ここで鍵を握るのが、需要予測とサプライチェーンマネジメントの活用です。販売実績や市場動向、季節要因、経済指標など多様なデータを AI で解析し、過去の傾向をつかみ将来の需要を精度高く予測し、必要量を前もって準備できます。これにより「作りすぎ」「作らなさすぎ」のムダを減らし、生産・調達・物流を連動させた全体最適が実現します。 こうしたデータドリブンな仕組みを飛躍させるのがクラウド技術です。工場や倉庫、販売拠点から収集されるさまざまな記録をクラウドに統合し、データの可視化と分析を可能にします。さらにエージェントAI を活用することにより、全体を俯瞰しながらボトルネックや需給ギャップを自律的に発見し、複数拠点をまたいだ調整のアクションまで実行できます。AI による「データ駆動の意思決定サイクル」を回しやすいのがサプライチェーンの領域といえます。 お客様事例 3 月には、サプライチェーン関連のお客様事例として、OPLOG 社 の AWS の AI サービスの活用の事例が発表されています。 1. Learn how technology-driven fulfillment company OPLOG accelerated decision-making using Amazon Bedrock AgentCore 倉庫管理企業の OPLOG 社が、AIエージェント × ロボティクスで倉庫オペレーションを変革した事例です。 Amazon Bedrock AgentCore を使って複数のAIエージェントがリアルタイムに数千の判断を下す基盤を構築しました。その結果、意思決定時間、稼働率、コスト全ての効率が上がりました。生成 AI エージェントを本番投入したい方が、構想→PoC →スケーラビリティのイメージをつかむための良い事例ですので、ぜひ元記事でご確認ください。 2. Amazon Multi-Channel Fulfillment and Buy with Prime Accelerators for SAP S/4HANA が利用可能に こちらは 1 月の発表とはなりますが、 SAP S/4HANA から Amazon MCF と Buy with Prime を直接アクセスできるようにすることで、在庫一元管理と出荷を自動化し、欠品・過剰在庫の抑制や在庫管理のコスト削減といった効果が期待できる、という機能の発表がありました。 こちらは既存 SAP への変更を最小限に抑えつつ、Prime 配送や簡単返品などの購入体験を自社 EC にも拡張できる機能となります。詳細の仕組みについては、ぜひリンク先本文をお読みください。 Amazon 社との協業 Amazon is investing AU$750 million in a robotics fulfillment center in Australia Amazon 社の倉庫におけるロボティクス技術活用がまた進化したニュースが 3 月に発表されました。オーストラリアに新しいロボット駆動のフルフィルメントセンターを建設します。ここでは人とロボットが協働し、ロボットが重量物や反復作業を担うことで、従業員は判断が必要な業務に集中できるように設計されています。安全性と効率性を両立した職場づくりの取り組みや倉庫業務を行う、ワクワクする最新ロボットの詳細につきましては、リンク先をご覧ください。 AWS が提供する ワークショップ コンテンツ AWS からはセルフペースで手を動かしながらサンプルを構築し、サービスについて学べるワークショップが提供されています。3 月には、サプライチェーンの課題にフォーカスした下記のワークショップが新しくリリースされました。 Amazon Bedrock を使用した AI 駆動型サプライチェーン管理の構築 このハンズオンワークショップでは、 Amazon Bedrock AgentCore の機能を使用して既存のサプライチェーンシステムを強化する方法を学びます。 Strands Agents SDK とインタラクティブな Jupyter ノートブックを使用して、紛争や天災によるサプライチェーンの混乱を分析し、在庫配分を最適化し、緩和戦略を自律的に実行できるサプライチェーン管理システムを構築できます。 Amazon Bedrock AgentCore で実現する Chronos-2 を用いた時系列予測エージェント 時系列予測は在庫管理の分野で活用されてきましたが、このワークショップで体験できる Chronos は、AWS が開発した時系列基盤モデルです。事前に膨大な時系列データでトレーニングされた時系列予測モデルで、大規模言語モデルで利用されている Transformer を応用することで、予測対象の実績データをトレーニングすることなく、さまざまなケースで高い精度の予測を実現します。Chronos-2 はその最新モデルで、多変量予測においても、新しいデータセットに対して追加学習なしで、即座に高精度な予測が可能になっています。AWSのソリューションアーキテクトが執筆した 紹介ブログ もあります。 上記のワークショップにご興味をもたれましたか?ぜひ貴社の技術支援担当の者か、 技術支援窓口 にお問い合わせください。 なお、 AWSからはサプライチェーン系ワークロードを AWS 上で設計・運用する際のベストプラクティスと設計指針を体系的に示す Supply Chain Lens – AWS Well-Architected Framework が提供されていますので、あわせてご参照ください。 企業競争力の源泉は、もはや製造スピードだけではなく、データに基づく俊敏なサプライチェーン運営にあります。クラウドと AI を活用した在庫・需要・供給そして AI によるアクションの統一管理が、製造業の持続的な成長を支える次のステージとなるでしょう。今回のピックアップトピックが、皆さまのより良いサプライチェーン運営のきっかけになれば幸いです。 以上、4 月のピックアップコンテンツでした。 直近で開催予定のイベント・セミナー CAE in the Cloud 2026 〜 自動車・製造業向けCAEセミナー 〜 本年 2 月(東京リージョンは 3 月)に一般提供開始した Hpc8a インスタンス をはじめとしたAWS の最新ソリューションの情報をお届けするイベントです。4 月 20 日の週に東京・大阪・名古屋 3 か所で開催します。 Hannover Messe 先月号 でも紹介しましたが、2026 年 4 月 20 日(月)~ 4 月 24 日(金)に製造業の国際展示会がドイツのハノーヴァーで開催されます。 詳細はブログ記事、「 Hannover Messe 2026 で知る AWS による産業 AI の大規模展開 」もご参照ください。AWS もブース展示しますので、ホール 15、ブース D76 の AWS ブースにご来訪ください。 AWS JumpStart 2026 「AWS を使ってみたいけれど、学習方法がわからない」という初学者を対象に、AWS JumpStart 2026 が開催されます。直近では、2026年 5 月 11 日 (月) ~ 5 月 12 日 (火)(各回 2 日間:9 – 18 時)のオンライン開催となっています。製造業に限らず、高度な専門分野の技術に長けた専門家の皆様で、今までクラウドには触れてこなかった方は多くいらっしゃると思います。1モジュールから参加できますので、この機会に触れてみてください。 AWS Summit Japan 2026 今年も日本最大の “AWS を学ぶイベント” AWS Summit Japan が 6 月 25 日(水)、26 日(木)の二日間で開催されます!ベストプラクティスの共有や情報交換のこのチャンスにぜひご来場ください。[ 動画 ] フィジカル AI、シミュレーション、サプライチェーンなどの、去年よりパワーアップした製造業向け展示もあります! 過去 の イベント の 見逃し配信 や 動画 JAWS-Days AWS 利用者コミュニティ、JAWS のイベントが 3 月 7 日に行われました。皆様はご参加されましたか?あいにく行けなかった!という方にもアーカイブ動画が出ています。SAP、セキュリティといった製造業の皆様にも役にたつ動画が満載のアーカイブです。ぜひご覧ください。 CES 2026 – Physical AI for Adaptive Automotive Manufacturing | AWS Events 1 月に開催された CES の動画が AWS の公式チャンネルで公開されました。 AWS のデモでは、フィジカル AI が工場現場をどのように変革するかを紹介しました。こちらの動画では AWSの 5 つの要素(データ、トレーニング、シミュレーション、Sim 2 Real、Agentic なオーケストレーション)を柱に、物理の工場のモダン化から未来の工場設計まで、次世代の自動車生産を実現するデモのサマリをご覧いただけます。 製造関連の アップデート Auto & Manufacturing – Kiro for Business Users AWS が提供する AI コーディングアシスタント「 Kiro 」を活用して流体シミュレーションの構築から 3D モデリングを試行できるワークショップが3月に公開されています。製造業の設計部門の方々のご活用をお待ちしています。AWS のソリューションアーキテクトが執筆した日本語の 紹介ブログもあります 。 AWS IoT Greengrass v1 サポート終了 半年後の 2026 年 10 月 7 日に、Greengrass v1 のサポートが終了します。製造業の皆様は工場などクローズな環境や、スマートプロダクトに使っているかもしれません。まだの場合は早急な AWS IoT Greengrass v2 への移行をお願いします。 製造関連の Blackbelt Online Seminar アップデート 【AWS Black Belt Online Seminar】AWS IoT Greengrass コンポーネント開発編 エッジデバイス上でアプリケーション(コンポーネント)を動かし、クラウド側から一括デプロイ・更新・管理できる AWS IoT Greengrass の「コンポーネント開発編」の解説動画が 3 月にリリースされました。 製造業のお客様のAWS活用事例 下記は、3月に発表された製造業のお客様事例となります。製造業の皆様のもつ課題やゴールと似たお話があるかもしれません。ぜひ本文をご覧ください。 How Amazon Devices Eliminated Credential Risk to Scale AI across Engineering Tools Amazon 社には自社で開発・販売しているハードウェア製品 を取り扱う Amazon Devices という組織があります。この組織でハードウェア開発を加速するため、Creo、 Parametric、SOLIDWORKS、ANSYS など 60 以上のエンジニアリングツールに直接 AI を統合する必要がありました。10,000 人以上のエンジニアが使用しているこれらのツールは、ローカルのワークステーション上で動作しているため、セキュリティを維持しながらクラウド上の AI を活用できる仕組みが求められていました。このブログでは、Amazon Devices のエンジニアが、クレデンシャル配布をせずに認証して、ローカルの設計ツールから Amazon Bedrock にセキュアに接続した方法を寄稿しています。 The Evolution of BMW Group’s 3D Streaming Experience BMW 社は、オンプレミスで稼働していたディーラー向けの 3D 車両ストリーミングを、 AWS 上の Linux GPU(g4dn.2xlarge)でグローバル提供できる 3D ストリーミング基盤に移行しました。製造業の R&D 部門の皆様は 3D データを配信する場面があると思います。ぜひご参考にしてください。 Driving Intelligent Quality in the Software-Defined Vehicle Era Upstream 社の PQD (Proactive Quality Detection) が Ocean AI エンジンを使用して「モビリティ特化のインテリジェンス層」を AWS のスケーラブルなインフラ・ストレージ・セキュリティ・AI 基盤上で提供しています。SDV 時代の品質管理を、実環境のデータベースの継続的な予測型プロセスに変革することに成功した事例をご覧ください。 AI 時代に組織はどう変わるか — Jeff Barr が語る開発チームの未来と、三菱電機の挑戦 三菱電機はデジタル基盤「 Serendie 」による DX を進め、モノの販売中心からデジタルサービスのコト売りへ事業転換中です。この過程で、AI 時代の開発組織についてのインサイト、生産性向上事例と KPI の変化、人材育成、コミュニティと組織変革について、イベントのため来日した、AWS の Chief Evangelist である Jeff Barr との対話しました。 三菱電機が挑む製造業の商談変革 – AWS で実現した商談支援サービス「Memory Tec h」 三菱電機名古屋製作所は、製造業の商談で起きがちな「口頭コミュニケーションの認識齟齬」を解消するため、AI商談支援サービス「 Memory Tech 」をAWS上で新規開発しました。 AWS のサーバーレス構成により、ブラウザやスマホだけで商談録音から 2 分以内の議事録自動生成を実現し、少人数でスモールスタートとスケーラブルな運用を両立しました。詳細は本文をご覧ください。 電通総研、大規模 GPU 環境を約 1 ヶ月で構築 〜リアルタイム 3DCG ソリューション「UNVEIL」の戦略的アプローチ 〜 電通総研はリアルタイム 3DCG メタバース「UNVEIL」の大規模イベント利用に向け、1,000 名同時接続で低レイテンシーを満たす GPU 環境を AWS 上に約 1カ月で構築しました。東京リージョンで Amazon EC2 g4dn/g5 や Amazon EKS などを活用し、段階的な負荷試験と複数回の事前テストでボトルネックを洗い出しつつ、イベント駆動型ワークロードに適した、スケーラブルかつコスト効率の高いアーキテクチャを設計しました。どのように実装したのでしょう。ぜひ本文をチェックしてください。 キヤノン株式会社イメージング事業本部様にて生成 AI ハッカソンを開催!生成 AI をフル活用し社内課題を解決する 5 つのシステムを開発 キヤノン 株式会社 イメージング 事業本部と AWS が協力し、社内業務課題を生成 AI で解決することをテーマに約 6 カ月のハッカソンを実施した事例です。 約 20 名のエンジニアが 5 チームに分かれ、AWS の生成 AI サービスの勉強会、アイデアソン、プロトタイピングを通じて、実用レベルの 5 つのプロトタイプを開発し、いくつかのプロトタイプでは実業務での活用検討が進んでいます。 最後まで読んでいただきありがとうございました。今月は サプライチェーン管理に役立つ情報をピックアップしてお届けしました。このような形式で毎月最新の情報を製造業の皆様にお届けして参ります。 月刊 AWS 製造ブログ を今後ともよろしくお願いします。それでは、また来月お会いしましょう! 伊藤ジャッジ向子 (Ito, Judge Sakiko) 米国での開発者経験を経て、AWSのサポートに入社し、異動しエンタープライズ事業本部でソリューションアーキテクトとして製造業のお客様をご支援しています。趣味は山登り、クラッシックバレエと愛犬のお世話です。
本ブログは 【寄稿】AI民主化に向けた丸紅の取組 (丸紅株式会社)の続編です。 みなさん、こんにちは。総合商社を担当しているソリューションアーキテクトの林です。 前回のブログでは、 丸紅株式会社 デジタル・イノベーション部が内製で開発した社内生成 AI プラットフォーム「Marubeni Chatbot」の誕生から、7,500 人以上への展開、そして業務時間 25〜65% 削減という成果をご紹介しました。 あれから約1年半。丸紅グループの生成AI活用は、さらに大きく進化しています。前回のブログに引き続き、デジタル・イノベーション部 芹川 武尊 氏からお話を伺いました。 今回は、Marubeni Chatbot のその後の進化に加え、新たに立ち上がった 3 つの取り組みをご紹介します。丸紅グループが生成 AI をどのように業務や開発の現場に根付かせてきたか、ぜひご覧ください。 Digital Experts 株式会社について 丸紅グループの生成 AI 活用を語る上で欠かせない存在が、 Digital Experts 株式会社 です。丸紅グループ各社の新たな取り組みに対し、高いエンジニアリング力で実証から実装・運用まで一気通貫で支援する会社です。 Digital Experts の最大の特徴は、 全社員がコーディングエージェントを用いて日常の開発業務を行っている 点です。 社内プレゼン作成ツールをはじめ、業務に必要なシステムを自分たちで開発・活用するなど、生成 AI を日常の開発業務に深く組み込んでいます。本ブログで紹介する取り組みの多くは、丸紅 デジタル・イノベーション部と Digital Experts の緊密な連携によって実現したものです。 取り組み1:Marubeni Chatbot — エージェント AI への進化 前回ブログでご紹介した Marubeni Chatbot は、登録ユーザー数が 7,500 人以上から 10,000 人以上 へと拡大し、丸紅グループ全社の日常業務に欠かせないプラットフォームへと成長しました。 AI エージェントの搭載 基本的な対話 UI に加え、LLM が自律的に試行錯誤を行い複雑なタスクをこなすエージェント機能の搭載を進めています。 このエージェント機能の中核を担うのが、 Amazon Bedrock AgentCore です。AgentCore Runtime を活用することで、従来のサーバーレス構成では課題となっていた長時間実行のタイムアウト問題を解消し、複雑なエージェントタスクを安定して実行できる環境を実現しています。 Marubeni Chatbotのアーキテクチャ図 今までの機能に加え、新たに以下のような機能も追加されています。 PowerPoint 自動生成ツール :高品質なプレゼンテーションを半自動で生成。社内プレゼン作成の工数を大幅に削減 データ分析・ドキュメント生成システム :社内情報を参照した上で、データ分析からドキュメント生成までを一気通貫で実行 Marubeni Chatbotの画面イメージ 取り組み2:競合分析システム — 対話形式で市場を読み解く 総合商社において、市場や競合の動向を迅速に把握することは、事業判断の精度を左右する重要な要素です。丸紅は、外部データソースや Web 上の情報を AIと組み合わせることで、競合分析を支援するシステムを構築しました。 本システムでは、財務データベース、Web データ、ユーザーがアップロードした PDFなど、複数のデータソースを横断的に蓄積・参照できる基盤を整備しています。LLM が Tool useを通じて必要なデータへ動的にアクセスすることで、競合企業の候補を AI が列挙し、各社の事業概要や財務状況の要約、 比較分析からレポート作成までを対話形式で AIが支援 します。 競合分析システムの画面イメージ 競合分析業務では、多数の企業情報の収集・整理に加え、財務指標の横断分析や市場ポジションの評価など、長時間かつ複雑な処理が求められます。こうした要件に対応するため、AI エージェントの実行基盤として Amazon Bedrock AgentCore を採用しました。これにより、 AWS Lambda の実行時間制約を超える長時間の自律的な情報収集・分析を実現しています。 さらに、Web 上の公開情報に加え、信頼性の高い外部データソースの定量データを組み合わせることで、実務の意思決定に活用できる分析品質を確保しています。 ユーザーは、「このセクターの競合他社の財務状況を比較して」「最新のニュースを踏まえてリスクを整理して」といった自然言語での問いかけを行うだけで、AIがリアルタイムに関連データを参照しながら回答を生成します。 競合分析システムのアーキテクチャ図 取り組み3:水道管路 AI 劣化予測診断サービス — 作業時間を 99% 削減 丸紅株式会社の旧環境インフラプロジェクト部と Digital Experts 株式会社が共同で開発した、水道管路の AI 劣化予測診断サービスです。日本全国の自治体が抱える水道インフラの老朽化問題に対し、人手不足・技術継承の困難・予算制約という課題を AI で解決することを目指しました。 自治体から管路データを受領し、データの前処理・AI での分析・レポーティングまでの業務全体の作業時間を 5 ヵ月から 1.5 ヵ月へ大幅に削減 。さらに、AI を活用したデータサイエンス業務の自動化により、 分析作業を約 99% 削減 することに成功しました。 AI による分析結果を GIS(地理情報システム)上に反映することで、更新が必要な管路を視覚的に把握できるようになり、自治体の意思決定を大きく支援しています。スモールスタートから始め、ビジネスの成長に合わせて柔軟にスケールできる構成を採用しており、 AWS Control Tower と AWS IAM を活用したマルチアカウント構成により、異なるアクセスレベルのメンバーへの適切な権限分離を実現。機密保護と効率的な共同開発を両立しています。 水道管路 AI 劣化予測診断サービス アーキテクチャ図 取り組み4:AI DLC Unicorn Gym — 「AI と共に開発する」文化の醸成 Marubeni Chatbot の展開や競合分析・水道管路診断といった取り組みを通じて、丸紅グループ内で生成 AI の活用が着実に広がっていました。こうした流れを受け、AWS から「開発プロセスそのものに AI を組み込む」次のステップとして提案・実施したのが、AI DLC Unicorn Gym です。 2026 年 2 月、丸紅株式会社と Digital Experts 株式会社、 丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社 の合計 23 名が参加した 3 日間の AI DLC Unicorn Gym を開催しました。 AI DLC Unicorn Gym とは AI-DLC とは、AI をソフトウェア開発の中心的な協働者として位置づけ、開発ライフサイクル全体に AI の能力を組み込む新しい開発手法です。AI が計画を立案・実行し、人間が重要な意思決定を担うという役割分担のもと、Inception(要件定義)・Construction(設計・実装)・Operations(デプロイ・運用)の 3 フェーズで開発を進めます。 Kiro といったコーディングエージェントを活用することで、開発速度を大幅に向上させることができます。AI DLC Unicorn Gym は、この手法を実際のプロダクト開発を通じて体験する AWS のプログラムです。 実業務テーマで挑む 3 日間:開発から成果発表まで 「社内ユーザー用のサンドボックスアプリ基盤」「牛体重推定アプリ」「Marubeni Chatbot 内でのSkills 共有プラットフォーム」「稼働管理ツール」「議事録作成システムの高度化」と、領域・規模感の異なる 5 テーマに取り組みました。途中で方向修正が発生したチームもありましたが、生成 AI を活用することで修正コストを大幅に抑え、 全チームが 3 日間で成果物を完成 させました。最終発表では AWS にデプロイした環境を用いたデモを実施するチームもいました。非エンジニアはAIに要件を伝えるとともにビジネス上の意思決定を行い、エンジニアはAIが生成した成果物をレビューし、要件が正しく反映されていることを確認することで、「AI を使えば自分たちでも作れる」という実感を得る場となりました。「AI-DLC がいかに強力なツールであるかは、ワークショップを体験してみないとなかなか伝わりづらい」というアンケートコメントが象徴するように、実際に手を動かすことで初めて実感できる体験となりました。 最終発表会の様子 議事録作成システム(成果物デモ画面) おわりに Marubeni Chatbot はエージェント機能を搭載し 10,000 人超の日常業務を支えるプラットフォームへと進化。競合分析システムや水道管路 AI 劣化予測診断サービスでは、AI が業務の中核を担い、定量的な成果を生み出しています。そして AI DLC Unicorn Gym では、エンジニア・非エンジニアが共同するAIネイティブなソフトウェア開発プロセスを体感できました。 AWS は今後も、丸紅グループの生成 AI 活用がさらに広がり深まるよう、技術・知見の両面から支援を続けてまいります。本ブログが、皆さまの生成 AI 活用の参考になれば幸いです。 著者プロフィール 芹川 武尊 (Takeru Serikawa) 丸紅株式会社 デジタル・イノベーション部 2022年 東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。情報理工学修士(数理最適化に関する研究)。大学院修了後、丸紅株式会社に入社。入社後は、物流関連最適化システムの開発や、生成AIを活用したグループ会社向けChatbotアプリの開発など丸紅グループを横断したプロジェクトに参画。 林 隆太郎 (Ryutaro Hayashi) アマゾンウェブサービスジャパン 総合商社・エネルギー業界担当 ソリューションアーキテクト 大手ガス会社にてガススマートメーター・電力トレーディングのシステム開発を経験した後、総合商社にて全社の IT/DX 推進と国内外のエネルギー領域での事業投資・新規事業開発を担当。現在は AWS 総合商社・エネルギー業界のソリューションアーキテクトとして、業界知識を活かした AWS 活用に携わる。
こんにちは。AI LabチームのHan Kil Roです。サービスに必要なAIモデルやソリューションを開発するチームで業務に携わっています。最近、LINEヤフー社内で実施された Orchestrati...
























