チューリング の技術ブログ

Kaggle 2COOOL 準優勝:学習データなし動画コンペのVLM解法とICCVレポート

はじめに チューリングのVLAチームでエンジニアをしている横井です。 2025年にKaggleで開催された自動運転とVLM (Vision-Language Model) のドメインである2COOOLコンペに社内のKaggler ( Kento Sasaki, ymg_aq, colum2131, Hidehisa Arai, Hotaka Ueda) で参加しました。幸運にも2位を獲得し、ICCVに参加するなどの貴重な経験ができたので参加記録を残します。 これはKaggle Advent Calendar 2025の3日目の記事で

30万kmの道のり、東京でE2E自動運転を走らせる

はじめに チューリングで自動運転第一グループのマネージャをやっている棚橋です。 今週、チューリングは無事にシリーズA 1st closeの資金調達を発表することができました。 E2E自動運転の開発においても、ようやく都内を30分ほど走行できるレベルに到達しつつあります。しかし、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなく、多くの失敗や試行錯誤を積み重ねてきま

NVIDIA NeMoを利用したGPT-OSSの学習

はじめに Turing CTO室に所属している東京科学大学(Institute of Science Tokyo)の藤井です。 本記事では、OpenAIから2025年8月にリリースされたgpt-ossをNVIDIA NeMoフレームワークにて学習するための方法について解説します。 2025年11月4日時点では、NVIDIA公式からは、LoRA finetunigを行う方法についてのみ解説されており、Long Context継続事前学習(Continual Pre-Training)など本格的な学習を行うに

LLM開発の裏で行われるデバッグ作業: PyTorch DCP

はじめに Turing CTO室に所属している東京科学大学(Institute of Science Tokyo)の藤井です。 本記事は、LLM, VLM開発の裏で行われるリアルなデバッグ作業の様子を紹介します。 LLM, VLMの開発の裏には本記事で紹介するような地道なデバッグ作業が多数あるのですが、なかなかその実態が伝わっていないように思います。できるだけ詳細にデバッグ作業の様子を記しましたので、実際

全プロセスが一秒止まる不具合続編: カーネル内部で何が起きたか?

はじめに 完全自動運転の実現を目指すスタートアップ「チューリング」でエンジニアをしています、鈴木勝博です。私が所属しているDrivingSystemチームでは、自動運転向けのシステム開発を担当しています。 Linuxを用いたシステム開発を行っていると、カーネルの挙動、周辺デバイスとの組み合わせ等によって、思いがけない問題に遭遇することが少なくありません。この

全プロセスが一秒止まる不具合、原因はLinuxカーネルにあり?

はじめに 完全自動運転の実現を目指すスタートアップ「チューリング」でエンジニアをしています、坂本です。私が所属しているDrivingSystemチームでは、組み込みLinuxをベースに、自動運転システムと、自動運転モデル学習用データ収集システムを開発しています。 組み込みLinuxの開発を行っていると、カーネルの挙動、周辺デバイスとの組み合わせ等によって、思いがけ

都市部の自動運転を支えるマップマッチング

はじめに End-to-End自動運転開発チーム (以降E2Eチーム) の塩塚です。本記事では、画像認識結果とベクターマップをマッチングすることで自己位置推定を行う手法について紹介します。 アイディアとしては 高架下などGNSSが不安定な場所では自己位置がズレる。 その結果、本来は適切に車線中央を走行しているのに、自己位置上は白線の上を走行しているような状態になる

Turing MLOpsチームの誕生秘話

Turingには「MLOpsチーム」と呼ばれるチームがあります。このチームはもともと、自動運転を実現するMLモデルを開発する「E2Eチーム」から、2025年3月頃に独立して誕生しました。 今回の記事では、MLOpsチーム誕生に至る経緯と、その役割について紹介できればと思います。 自動運転MLモデル開発に必要なドメインは多い TuringのE2Eチームは、自動運転用の機械学習(ML)モデルを

`uv pip install torch --torch-backend=auto`で互換性の高いPyTorchをインストールする流れ

チューリングのMLOpsエンジニアの岩政です。 先日ポストした内容が思いのほか拡散されたので、個人的な再現性が保ちやすい PyTorchの環境構築の流れ についてまとめた記事です。 https://x.com/colum2131/status/1960520833438482930 本記事の主な対象は、Linux OSでNVIDIA GPUが搭載されているマシンでPyTorchをインストールする方です。他のOSやWSL2などで同様の操作が可能かは保証しません。

自動運転基盤モデルの最前線:VLAモデルの今とこれから【2025年版】

1. はじめに 完全自動運転の実現を目指すスタートアップ「チューリング」でエンジニアをしています、佐々木です。現在、Vision-Language-Action (VLA) モデルの研究開発に取り組んでいます。 本記事では、自動運転VLAモデルの概要と最新の研究動向を整理し、今後の取り組みについて掘り下げていきます。 1.1 自動運転システムの概要 まずは、本題に入るまえに自動運転システ

MIRU2025で3DGSドライビングシミュレータを展示しました

はじめに Turing基盤AIチームの荒居と上田です。2025 年 7 月 29 日〜8 月 1 日に京都・国立京都国際会館で開催された国内最大規模のコンピュータビジョン会議 MIRU 2025(画像の認識・理解シンポジウム) にブース出展し、3D Gaussian Splatting(3DGS)を活用したドライビングシミュレータを実機デモしました。 MIRU2025で展示したチューリングのブース 会場には 3 面ディスプレイと

[Tips] PyTorch Lightning を利用した学習 Tips

はじめに Turingの基盤AIチームに業務委託として所属している東京科学大学(Institute of Science Tokyo)の藤井です。本記事では、PyTorch Lightningを利用してマルチノード(=2インスタンス以上の環境)で学習を行う際のTipsと、PyTorch Lightningと Lightningの併用により生じる問題の解決策について紹介を行います。 普段はSwallow Projectや横田研究室にて大規模モデルの分散並列学習や低精度学

[Tips] NGC PyTorchのversion lockを解除する方法

はじめに Turingの基盤AIチームに業務委託として所属している東京科学大学(Institute of Science Tokyo)の藤井です。本記事では、NVIDIA NGC PyTorchのcontainerを利用する際に直面するversion lock問題に関する知見や注意点について紹介します。 普段はSwallow Projectや横田研究室にて大規模モデルの分散並列学習や低精度学習について研究を行っていますので、そちらもご覧いただけますと幸

「言葉」で守る自動運転の安全と倫理 –マルチモーダル時代のアラインメント戦略

はじめに チューリングの髙橋です。機械学習やAIにおけるセキュリティやプライバシーの研究開発を専門としています。 チューリングでは、「完全自動運転」の実現を見据えて、LLMに視覚理解や行動計画を統合したマルチモーダルAIの研究開発に取り組んでいます。このようなモダリティの統合に加えて、ひとの価値観と整合(アライン)したふるまいも、安全な自動運

[Tips] PyTorchにおける動的リンク

はじめに Turingの基盤AIチームに業務委託として所属している東京科学大学(Institute of Science Tokyo)の藤井です。 本記事では、PyTorchをsource buildした後に利用する際にCUDA Toolkitをmodule loadしておく必要があることの背景について解説を行います。 また、pip installによりbuild済みのbinaryをインストールしたときのPyTorchとsource buildした場合の違いについても解説を行います。 普段はSw